民間事業者による放課後児童クラブ(学童保育所)のリスクは「事業継続」にある。新規参入が盛んですが、利用者も留意しよう。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!

 放課後児童クラブはいま、新規事業展開を考える民間事業者に注目されています。期待されています。少子化という大きな傾向があるも、人口が増えている、あるいは減少のペースが緩やかな地域はそれなりにあって、そういう地域では児童クラブの待機児童が生じている、あるいは生じやすいからです。そこに事業展開の可能性があると、民間事業者から注目されているのです。しかし事業である以上、成否は必ずあり、なかなか思うように利益を得られないとか、運営経費ばかりかかるようでは、民間事業者としては撤退を考えるのもまた当然のこと。しかし、子育て世帯の生活、なによりこどもの安全安心の居場所を用意してそこでこどもの健全な育成を支えるという公的な事業ですから、安易な撤退は考えものです。この難しいバランスの上に成り立っている民設民営の事業であることを、改めて認識しておきましょう。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。) 

<新規進出は止まらない>
 放課後児童クラブの世界にどんどん新規参入が続いています。つい最近もこのような報道がありました。日本経済新聞が2026年4月30日5時に配信した有料記事「英会話ECC、学童保育を全国展開 フランチャイズ生かし2年で300施設」との見出しの記事です。一部引用します。
「英会話教室大手のECC(大阪市)は学童保育施設を全国に展開する。フランチャイズチェーン(FC)方式を活用し、2028年4月までに300施設の運営をめざす。英語教育のノウハウや知名度を生かし、需要を取り込む。学童保育施設「ECCみらいアフタースクール」をFCで運営する事業者を4月から募集し始めた。」(引用ここまで)
 知名度は申し分ない超有名事業者が学童保育施設を展開、それも2年で300施設ですよ。このスピードは恐ろしいほどの加速感。FC方式ですから、参入側は「2年間でそれだけFC応募がある」という計算があるのでしょう。
 わたくし萩原も2年間でFC300施設は決して不可能ではなかろう、と考えます。
「全国にたくさんある1事業者1クラブ(ないしは少数の支援の単位)の零細規模の児童クラブを対象に、安定運営の可能性を提供する」
「英語教育を望む保護者の希望を反映させて現状以上の入所希望者を集める可能性がある」
 特に、2026年12月から始まる日本版DBS制度をにらみ、いずれ同制度を適用している事業者に限定して児童クラブ対象の補助金が交付される可能性がある中で、零細規模の児童クラブで対応に限界を感じた事業者に安定経営の可能性を提供し、日本版DBS制度の適用に際してFC本部が支援するようなことがあれば、より零細規模の児童クラブ運営事業者にとっては安心でしょう。

 また、東京都港区からも次のような発表がありました。
令和8年4月28日の区長記者発表で「小学生の放課後等の居場所 民設学童クラブが新たな選択肢に」と題した資料を公表しました。それによると、「職員体制や開所時間など、国基準よりも高い東京都独自の運営基準を満たす学童クラブを認証する「都認証制度」を活用し、区は、保護者や児童の多様なニーズに対応するとともに、健全な育成環境を確保するため、都認証制度の基準を満たす民設学童クラブを運営する事業者に対し、整備や運営等に係る経費を支援する補助事業を令和8年4月から実施しています。」としています。そして2026年6月に2施設が新規開所することを紹介しています。港区は公設の児童クラブと放課後全児童対策事業の2つで放課後児童健全育成事業、そして児童館で児童健全育成事業と、3つの仕組みでこどもの居場所を提供していたようですが、児童クラブの選択肢が増えることになった、ということでしょう。

<その一方で撤退も>
 一方で種々の事情で児童クラブを閉鎖する例もあります。東京都中野区は、ライクキッズ株式会社が運営している民間クラブ3施設が2026年度末をもって廃止されることを関係各位に明らかにしたようです。廃止の理由として区の子ども教育部育成活動推進課名義の書面では「事業者において、昨今の人件費高騰に伴う事業運営コストの増大により、安定的な経営継続が著しく困難となったため。」「 施設全体の老朽化や借用物件の契約満了等により、利用児童の安心・安全を十分に確保した上でのサービス提供を維持することが困難であると事業者が判断したため。」の2点を挙げています。
 気になる入所児童の行き先ですが、3施設のうち2施設については既存施設と新規開設施設があることで対応できるとしていますが、1施設については児童の受け入れ先が不足するようで、「新たな民間学童クラブの誘致が必要となる。令和9年4月から運営開始が可能となるよう民間学童クラブの誘致を進める。」としています。

<事業である以上、廃止は絶対にダメとは言えない>
 児童クラブをはじめ多くのこども関係の事業に関わる人からわたくしはよく聞くのですが、「福祉だから」「廃止や撤退などもってのほか。こどものことを考えたら安易な廃止や撤退はできない」という意見を耳にします。どうやら、福祉とりわけ児童福祉は聖域に等しいものであって廃止される、無くなるということはありえない、あってはならないという強い意識を抱いている人が多いようですね。その気持ちは分かりますが、その気持ちがさらに勝手に展開されて「廃止はありえない」と信じている人も案外といるようです。

 公営だろうが民営だろうが、どんなに赤字があっても事業の収支が成り立たなくても何らかの目的があって事業を継続すると決められている、強い合意がある場合をのぞけば、事業である以上、収支が見込めなければ廃止、撤退、縮小は当然にあります。確かに児童クラブで急にそんなことがあっては困るのですが、いろいろな事由をもって施設が閉まる、無くなることはあるのです。そこは当然のこととして受け入れねばなりません。
 その一方でやはり重要な社会インフラである児童クラブの安易な廃止、撤退、縮小は利用者や従業員へ与える影響の大きさを考えて、できうる限りその可能性を低くするべきであって、これは国と地方自治体にそのようなバックアップを用意することと、児童クラブを運営する事業者も必ず考慮するべきであると、わたくしは考えます。

 弊会(あい和学童クラブ運営法人)が受託作成した「埼玉県放課後児童クラブ新規参入スタートブック」(リンクはブログの下に記載しています)でも、それについて明記しています。紹介しましょう。27ページです。
「放課後児童健全育成事業を廃止または休止すると、利用していた児童や保護者にとって大きな影響が出ます。事業を廃止または休止しようとする際は事前に各市町村の担当課と連携を取ってください。」

<廃止の理由が気にかかる>
 中野区の児童クラブ廃止の理由として民間事業者が挙げたのは、「昨今の人件費高騰に伴う事業運営コストの増大により、安定的な経営継続が著しく困難となった」ということです。人手不足によって事業継続が難しくなったということです。これは極めて深刻です。児童クラブの人手不足は都内特別区だけの話ではありません。全国どこだって同じです。人手不足倒産ということが事業破綻の理由として挙げられるようになって久しいですが、完全な労働集約型産業であって、職員の配置基準の順守が補助金交付の要件となっている児童クラブは、人手不足は致命的な事態を招くに十分な高リスク状態です。
 また「施設全体の老朽化」と「借用物件の契約満了」が挙げられています。児童クラブは「ハコ」がなければ実施できません。そのハコつまり施設を確保するのはとりわけ地代や賃貸料が高額になる都心部では問題です。なかなか物件がないんですよ。基本的に民設民営児童クラブの場合、民間事業者が施設を自力で確保しますが、40坪ほどの広さの物件を確保するのがとても難しい。かといって自前で施設を建築するほど事業予算を投入する事業者ばかりではない。借りられる期間の更新ができなかったら、ほとんどの場合もうゲームオーバーになりがちです。このあたりは民間事業者だけの工夫と努力ではいかんともしがたいでしょう。

<いったん整理>
 ここで民設民営の、こどもの居場所とりわけメディアで学童保育(施設)と呼ばれる形態を整理しましょう。実はここがあいまいですと、民設民営の施設の事業継続を考えるときに食い違いが生じてしまいます。メディアは特にこの点、ご留意ください。
 例えば冒頭に記事を引用紹介した超有名英会話事業者ですが、記事では学童保育施設とあります。この学童保育施設とは? をしっかり把握しておくことが必要です。

 いわゆる学童保育(施設、所)は、放課後や夏休みなどにこどもたちが過ごす場所です。世間一般的には「親が仕事をしている家庭のこどもを、預かる場所。預かる仕組み」というのが学童保育(施設、所)と認識されています。親が何らかの事情で留守だったりこどもの監護ができない場合、その家庭のこどもを受け入れる仕組みが学童保育ということですが、その仕組みの中でも「生活の場としてこどもが過ごす場を用意し、適切な遊びを通してこどもの健全育成を行う仕組み」を児童福祉法は「放課後児童健全育成事業」と定義しています。この放課後児童健全育成事業を実施する場所が「放課後児童クラブ」となります。
 地方自治体が独自に制定する条例や規則、要綱で、「学童保育所」「児童クラブ」「留守家庭育成室」といった様々な名称が、放課後児童健全育成事業を実施する場所として定めていることもごく普通にあります。ただ国レベルでは、放課後児童健全育成事業が行われる場所は放課後児童クラブ、という理解で間違いありません。

 この放課後児童健全育成事業を民間事業者が行っている場合、民営の放課後児童クラブとなります。場所や施設を地方公共団体が用意していれば公設の放課後児童クラブとなり、例えば市区町村が用意した施設で民間事業者が放課後児童健全育成事業を営んでいれば、それは「公設民営放課後児童クラブ」ということになります。民間事業者が用意、確保した施設で放課後児童健全育成事業を営んで入れば、それは「民設民営放課後児童クラブ」となります。地域によっては「民設民営学童保育所」と呼ばれることもあるでしょう。

 ここで留意が必要なのは、民間事業者がこどもを受け入れて過ごさせる事業を行う場合、必ずしも放課後児童健全育成事業である必要が無いこと、です。例えばスポーツクラブや学習塾は放課後等にこどもを受け入れて過ごさせていますが、放課後児童健全育成事業ではありませんね。同じように、こどもを複数人数受け入れて、こどもを過ごさせていても、放課後児童健全育成事業ではない形で受け入れることはもちろん可能です。単に、放課後児童健全育成事業に対して国が決めている「子ども・子育て支援交付金」ーいわゆる児童クラブの補助金ーの交付対象にならないだけの話です。放課後児童健全育成事業ではないのですから、例えば職員配置や、こども1人あたりに必要な面積の確保など、緩やかですけれどいくつかある基準に従う必要もありません。
 もう1つ留意が必要なのは、放課後児童健全育成事業は届出制であることと、国の補助金は放課後児童健全育成事業に機械的に交付されるのではない、ということです。前者はつまり、「放課後児童健全育成事業を基準ー国の省令基準ー通りに営んでいるけれど、あえて地元の自治体に届出をしないでおくこと」が可能であるということです。後者は「地元の自治体に届出をしたけれども、放課後児童健全育成事業に対する補助金がもらえない事態がある」ということです。

 もうすでにこんがらがっていることでしょう。民間事業者が、放課後等にこどもを集めて営む事業をするには、いろいろな形態が可能であるということです。そしていろいろなポイントで区別ができるということです。
「放課後児童健全育成事業であるか、違うか」 
「放課後児童健全育成の届出を自治体にしているか、していないか」
「(届出をしている場合)補助金の交付があるか、ないのか」
この3点だけでも複数の事業形態が可能です。例えば「放課後児童健全育成事業の基準通りに事業運営をしており、市町村に届出をしているが、補助金は受け取っていない」というケースが考えられます。もちろん、放課後児童健全育成事業ではない場合、届出は不要ですし補助金の交付対象にもなりません。

 今回紹介した英会話事業者の記事もそうですが、報道記事や発表資料だけでは、「放課後児童健全育成事業であるかどうか」が分かりません。学童保育施設というのが放課後児童健全育成事業なのかどうかは文字だけでは不明です。困ったことに、メディアの記事では「学童保育=放課後児童クラブ」であることがとても多いので、記事やニュースで放課後児童クラブとして紹介されていても実は放課後児童健全育成事業ではない事業、いわゆる「民間学童保育所」に該当する事業であることがままあります。

<民設民営児童クラブの安定かつ継続的な事業運営は重要だ>
 民設民営の放課後児童クラブ、つまり放課後児童健全育成事業を実施している民間事業者で、しかもその事業の実施を自治体に届け出ている場合は、この放課後児童健全育成事業が「公の事業」であるという、非常に重い責任がある事業であることの認識が前提となります。この点、心もとないですね。ちょっとずれますが公設民営児童クラブは公募で選ばれる形態が増えていますが、「うちは職員確保大丈夫ですよ」として事業を任されてもふたを開けてみたら職員が配置人数分だけ確保できないで延々と求人広告を出しているというケースが本当に多いですが、公の事業である責任感をどれだけ感じているのか、わたくしには疑問でしかありません。

 民間事業である限り、廃止や撤退、縮小はどうしても起こり得ます。法律で廃止は許さぬ、ということなんてできませんから。しかし、放課後児童健全育成事業であれば当然、届出をしていなくても多くの子育て世帯のこどもを受け入れている社会インフラとして「ごめんね、事業が成り立たないから閉鎖します。来週からどこか別の場所に行ってください。行き先は自分で探してください」というのは、とても困ります。その困る事態が過去に実際起きていてー2008年のハッピースマイル事案ー児童クラブ界隈に衝撃を与えたのです。

 では、民間の事業運営による児童クラブが安定かつ継続的に事業運営をするためにどういうことが考えられるのでしょうか。まず大原則は民間の私企業による事業運営に、あれこれと公権力が指導や指示ができないので、側面的な部分から事業運営を支える方策を考えていくことになります。なお、放課後児童健全育成事業ではない、いわゆる民間学童保育所であったり、放課後児童健全育成事業として届出をしていても補助金を交付されていない民設民営児童クラブの場合は、あくまでも「民間事業者の自助努力」しかありません。学習塾が倒産しそうだからといって公の税金を使うことなどありえません。それと同じです。あくまでも、放課後児童健全育成事業として補助金を受けている場合の民設民営児童クラブの場合の、安定かつ継続的な事業運営を考えることです。
1 地元自治体が制度として、健全経営であるかどうかを確認、チェックできる仕組みを取り入れること。
 →補助金を出しているのですから管理監督の一環として自治体がこのような仕組みを実施することは当然に可能でしょう。児童クラブの運営に詳しい専門家、税理士や社会保険労務士を中心に、事業の安定かつ継続的な運営が可能な状態であるかどうか、運営する民間事業者から資料を提出させて確認することです。ここで是正項目があれば市が指導します。可能性としてありそうなのは、「本部への利益計上が過大すぎて人件費が足りないので人が雇えない」という状況が見つかることですね。民設民営であっても放課後児童健全育成事業の補助金を交付されているのであれば、およそ特異な状況でもない限り、交付される補助金で事業が運営できると事業計画を地元自治体に示しているはずです。それでも運営が困難である、とりわけ人手不足が理由の場合は「では、職員を確保できやすいようにするための雇用労働条件、とりわけ賃金はどうなっていますか? 事業者本体へ先に計上するこの割合分を減らして人件費に回せば、もっと求人応募が増える雇用労働条件に変えられますよね?」と、話をすることができるでしょう。
 「補助金ビジネス」への過度の傾斜が、そもそもの事業である放課後児童健全育成事業の不安定な継続を招いているのであれば、そこをまず是正するべきであって、補助金を出す側はその点に関して関与の度合いを深めていく必要があると、運営支援は考えます。
2 施設面への支援
 →民設民営児童クラブはなんといってもハコが重要です。賃貸できる物件がすぐに見つかるような支援はすぐにでも可能でしょう。運営支援はもっと進んで、国に、民設民営児童クラブの新規参入および事業継続に当たっての補助金の充実を訴えたい。補助金メニューの環境整備費1200万円では、特に物価高の都市部ではとてもじゃないけど足りません。施設新築の補助金も創設するべきです。問題は短期間での目的外使用のおそれ、つまり5年や10年で児童クラブ事業をたたまねばならなくなったときに補助金で造った施設をどうするか、です。このあたり、なんとかうまいこと制度を整えることはできませんかね。地元の公的な活動をする団体やそれこそ自治体に強制的に寄付するということなどです。
3 運営費の増額
 →待機児童が出ている地域や、待機児童が生じるおそれがある地域で待機児童発生回避のための民設民営児童クラブの設置運営に対して特例的に運営費を増額すること。もちろん、増やした分をそのまま事業者本体の利益に転嫁されては困るので規制は必要でしょう。

<利用者側が意識しておきたいこと>
 何度も書きますが、事業というものは突然の廃止、閉鎖、縮小はつきものです。公営病院だって公教育の学校だって統廃合が当たり前にある時代になりました。児童クラブは崇高な目的であるから廃止や撤退はありえない、というものではありません。まして民設民営児童クラブの場合、民間事業者である以上、民間事業者が「これ以上、出血(赤字)を容認できない」となれば急な廃止や撤退があります。たとえ1年後の廃止であっても、なかなか新たな受け入れ先が見つからない地域ーだからこそそもそも民設民営児童クラブが事業を実施できていたーであれば、来年度から利用できる児童クラブを探すのも大変です。
 事実として「急な児童クラブの廃止や閉鎖がありえる」ということは、頭の片隅で意識しておくことは大切です。

 その上で、児童クラブの公的な責任、社会インフラとしての重要性を住んでいる自治体に訴えていくことが欠かせないと、運営支援は考えます。そのために保護者連携組織をかねて作っておくことを勧めたい。これは事業者側にとっても不利なことではありません。民設民営児童クラブの場合、ともすれば保護者からの意見や要望を「面倒くさい」としてそのような意見や要望を取りまとめる保護者連携組織の存在について後ろ向きである事業者が多いようですが、いざというときに自らの事業の存続を強く訴えてくれる利用者、ユーザーの存在は「使える」はずです。そもそも普段から利用者、こどもと保護者の意見や要望を聞いて運営に反映させていくことを丁寧にやっているならば、利用者からの支持は高くなるでしょう。そういう状況を背景に自治体と相談していくことは、事態を有利に展開させられる可能性があるでしょう。仮に現在地での事業展開が難しくなっても自治体が用意する施設で、こんどは公設民営として事業を続けられる可能性だってあります。これは私が現に体験したことで、施設所有者の意向ー近い将来の明け渡し要望ーをキャッチして地元自治体に相談した結果、2年後に小学校内特別教室を利用した公設民営児童クラブの開設を実現させたことがあります。地元では民設民営児童クラブが公設になった初めてのケースでした。実現に際し、保護者会の強い支えがあったことは言うまでもありません。

<事業者には>
 児童クラブの補助金が充実してきたこと、放課後の安全安心な居場所のニーズが以前からずっと右肩上がりで高くなっていることで、「児童クラブは確実に稼げる。ドンと巨額な儲けは仕組み上、得られないが、少ない額でも継続して計算できる収益が見込める」という認識が広がっています。このこと自体は公の事業の民営化とまったく同じ構図で、児童クラブの世界にも「ようやく? とうとうついに?」どんどんと新規事業者が増えているのです。先に引用紹介した記事の媒体が日本経済新聞であることを思い出してください。経済界のために情報を提供するのが日経新聞の使命です。経済界に「児童クラブという有望な収益事業がありますよ。ブルーオーシャンが広がっていますよ」と伝えているのです。

 現実に新規参入事業者が増えていることが「うま味のある事業」であることの証左でしょう。その中心は、固定経費が極限まで削減できる「公設」の民営ですが、民設民営児童クラブであってもハコがあるとか、FC化ーもともと英会話教室や算数教室などで一般的ですものねーで児童クラブ事業を展開すれば、ある程度の収益が見込めるということです。とりわけ、固定資産を持っている公共インフラ企業においては児童クラブ参入に関する難易度はかなり下がるでしょう。場所があるわけですからね。地元密着の金融機関も支店や出張所の統廃合が盛んですが、そこにATMだけ置いておくのではなくて、児童クラブを開く、又は児童クラブを展開する事業者に出資するということで、収益源となる可能性だってあるでしょう。

 しかし、わたくしは「放課後児童クラブ新規参入スタートブック」につづったように、公の責任がある事業なので、安易な廃止、撤退は困ると強く言いたい。それは裏返せば、安易な新規参入もまた困るよ、ということです。善意の事業で赤字上等で事業をしなさいとは言えませんが、児童クラブに手を出す以上、最優先として地元の生活および地元の経済圏にしっかりと利益を還元しつつ、最終的に自社自団体の利益を見込むというぐらいの考えであってほしいと強く求めます。事業ですから儲けを追求するのは当然であっても、その「儲け」の中に、「その地域における福祉の充実」を組み込んでほしいのです。
 最後に。国や自治体も、まじめに地元社会の子育てを応援する民設民営児童クラブへの支援方策を充実してください。

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf

(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf

 「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

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萩原和也