放課後児童クラブ(学童保育所)の運営者と従事者に、運営支援が必ずお願いしたいこと。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
放課後児童クラブには、様々な運営の形態があります。全国のあちこちでクラブを運営している大きな会社があれば、クラブを利用している保護者や、かつて利用していた保護者たちがボランティアで運営しているクラブも珍しくありません。ただどんな運営の形態であっても、運営支援を掲げているわたくし萩原が「これだけは、ずっと意識してほしい」と願っていることがあります。それをお伝えします。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
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<運営に従事する方々へ>
児童クラブの運営に従事する人といっても、これまたいろいろな立場や境遇の人がいます。「運営側に立つ人」といえばひとくくりですが現実には立場の違いがあまりにも大きい。ざっと挙げてみましょう。
・各地で児童クラブを運営している事業者(広域展開事業者)の経営者、役員
・各地で児童クラブを運営している事業者(広域展開事業者)が、運営するクラブの地域に設置する現地事務所や地域運営本部、支社などの管理職。
・保護者会や運営委員会が法人化して設立された法人の役員。理事や監事。
・児童クラブをやりたい、と起業した人。法人もあれば個人事業もあり。
・保護者会運営の場合は保護者全員が運営者。とりわけ運営業務に携わる役員や係の人。そして現実に職務を担うことが多い児童クラブ職員。
・(地域)運営委員会の場合は地域の方々。自治会長や学校長、PTA会長など。ほぼボランティア。
・児童クラブの施設ごとに任命されている施設長や主任といった中間管理職の職員。
役員報酬をもらっているであろう立場の人がいれば、報酬をもらうどころか月々の利用料や保育料を支払って児童クラブを利用しつつ運営に関係する業務や作業に従事する時間の報酬や賃金など一切受け取らないで任務担務に励む人がいます。というか、そのような業務に従事する人にそもそも報酬や賃金を支払う仕組みが無いでしょう。
児童クラブの運営に関わる人、といっても、実にいろいろな立場の人がいます。それを承知の上で、わたくしは次のことを、運営に関わる人に心してほしいと願っています。
「児童クラブは、『誰のために、何のためにあるのか?』 を常に自問自答してほしい」
この問いを常に自分自身の中に持ち続けていれば、わたくしはおのずと、運営に関わる人の目指すべき方向性が自然と定まっていくと考えています。
その自問自答の答えの内容は細部まで全員が一致することはなくても、放課後児童健全育成事業の定義や趣旨、また放課後児童クラブ運営指針を少しでも読んでいれば、自分自身がそれを歓迎するかどうかはともかく、「誰のため、何のため」というのが理解できる、または理解に近づけるはずだとわたくしは考えます。
ただ、残念なことに、保護者運営系の児童クラブで、例えば保護者会運営での保護者会の役員は特定の学年が役員に就きがちですし、ルーツが保護者会や運営委員会にある法人(多くがNPOや一般社団法人)の役員は、傘下にあるクラブから半ば強制的に役員(理事や監事)として送り込まれた人が多いものです。そういった方々は、自分のやりたい、やりたくないという希望に関わらず、年度ごとにクラブ運営業務をしなければならない状況になります。そのような人たちには児童クラブが「誰のため、何のため」という自問自答をする余裕はないかもしれません。「こどもが2年生になったら役員だよ。面倒くさいから退所しちゃおう」という人も珍しくないでしょうが、そういう保護者が多くいる保護者運営系クラブは、この「誰のため、何のため」という本質的な問いを保護者にしてもらう機会、きっかけを用意していないのだろうと、わたくしは残念に思います。(もっとも運営責任を保護者が負う運営形態そのものに、わたくしは絶対的に反対の立場です。運営責任を負うのは業として児童クラブ運営を行ってその業務の対価として賃金、報酬を得ている立場の人であるべきだというのが、わたくしの考えです)
児童クラブは誰のためにある? 何のためにある? それを意識しつつ、本来あるべき児童クラブの方向性に向かって事業を営む、事業を運営する立場にある人たちは、社会インフラとして重要となった児童クラブをいわば「背負う」立場の人たちとして、社会の多くの人たちから本来は評価されたり感謝されたりもすることになるでしょう。いや、そうなってほしいですし、そうでなければならないともわたくしは考えます。
<思いあがってはダメ。勘違いは困ります>
保護者運営系のクラブ(保護者運営だったり、保護者が役員になって運営している法人や団体の運営クラブ)には落とし穴があるとわたくしは考えます。児童クラブの運営に関わっているということで地域社会からそれなりの評価や感謝を受けることがあるでしょうが、決して「児童クラブを運営している自分たちはすごいんだ、偉いんだ」と思ってしまうことが、落とし穴です。それが例えばボランティアであっても。ボランティア、つまり無償で従事しているから偉いんだ、では決してありません。無償であろうが報酬を得ようが、その任を引き受けた(あるいは引き受けざるを得なかったとしても)なら、役目を果たして当然です。
児童クラブの運営に無償で関わる人たちは、多くの場合、児童クラブの役割に理解があって、こどもの健全育成、保護者の子育て支援がとても重要だと理解している人たちです。そうして地域社会の発展や維持に貢献できていることに誇りを感じている人たちです。それはもちろん「誰のため、何のため」を理解していると言えるでしょう。ですが、「自分たちは、誰もやりたがらない、とても大変な児童クラブの運営を引き受けている」という意識が肥大化してしまうと、「自分たちは評価されてしかるべし。自分たちこそ、すごいんだ」という落とし穴にはまります。その結果、誰のため、何のため、という根源的な問いを忘れて、「児童クラブに関わっている自分たちにとって、有益になるように、利益になるように、得するように」という意識が知らず知らずのうちに育っていく危険性が大であると、わたくしは考えます。それは金銭の報酬を得るという分かりやすいことはあまりなく、「自分たちが良しと思った方向性で運営をする」という方向性に児童クラブ運営全体が向いてしまうことです。結局のところ、誰のため何のため、というものが「運営に携わっている自分たちにとって都合が良いこと」に、児童クラブ運営の方向性が向いてしまうというおそれがある、ということです。そのことに気付いている人が運営の陣営に入っていればいいのですが、保護者運営系の児童クラブの運営陣営には、こどもがもう成長して大きくなってもずっと運営に関わっている保護者(いわゆる保護者OB)が多く、そういう方々は「ずっと児童クラブに関わっている」ことを自身の誇りに感じていることもまた珍しくありません。わたくしにはそう感じます。そういう方々が、「誰のため、何のため」という根源的な問いをすることを忘れてしまうと、その児童クラブは「児童クラブを運営している自分たちにとって、望ましい児童クラブにしたい」という単純な方向性に向いてしまうおそれがある、とわたくしは言いたいのです。「児童クラブの運営に保護者が理解し協力して当たり前」という意識のもと、「自分たちにとって都合の良い施策」に終始してしまうということになれば、「新規入所の手続き期間は数日あれば十分だ。児童クラブが本当に必要なら平日の昼間だって手続きできるだろう。期間内に手続きをしなかった人は5月以降の入所とする」と、「相手(利用者)があってこその児童クラブ」なのに、自分たちの運営の都合しか考えないような、独善的な運営に陥るおそれがあると、わたくしは考えます。実際、そういうひどい唯我独尊を絵に描いたような運営をしているクラブだってありましたから。
児童クラブの運営に自らの意志で関わっている人は、わたくしはとても頼もしい人と感じます。こどものため保護者のため地域社会の発展維持のために、無償で時間を割いて、自らの能力を発揮する人は素晴らしい。素晴らしいのですが、それを自分自身で勝手に肥大化させて「偉いでしょ、わたしたちって」となってはならないということです。児童クラブの運営に関わるということは、すべては「誰のため、何のため」を常に自問自答しつつ、本来あるべき方向性に向かって進まねばならないということです。自分たちの都合を優先して、こども、保護者そして職員の「こうあってほしい」を「運営する自分たちにとってこの方が都合が良い」という意志をもって押しつぶすようなことは、決してあってはなりません。そういう、運営者に都合の良い児童クラブを目指してしまうと、組織決定をないがしろにし、理事会など会議も適当で、さらには本来なら総会など最高議決機関で決めることを同調する役員だけの理事会などで勝手に決めてしまいそのことが外部のチェックから目につかないように理事会などの議事録を偽造する、ということも、平然と行うようになるのです。
そんな運営者に、こどもの健全育成など手掛ける資格はありません。補助金という名の公金を得て事業を営む資格などありません。無償だから、ボランティアで児童クラブ運営に関わっていることそのものは評価されても、それは健全な運営ができた、という結果が伴ってこそです。勘違いしてはなりません。そして勘違いさせないために、ルールによる統治を児童クラブ運営に根付かせねばなりません。コンプライアンスはお題目ではなくて実際に実行するべきことです。児童クラブの世界はあまりにもコンプライアンスに乏しい。そしてそれは「法的なものの考え方」が、児童クラブの経営側にも労働者側にも根付いていないことが原因であるとわたくしは考えています。児童クラブにこそ、法教育が必要です。こどもに自主性、社会性を根付かせようとする児童クラブが実はルールを軽視している、法的な考え方を知らないでいるのは、あまりに深刻な悲劇です。
<規制が必要>
わたくしは営利企業が児童クラブ運営をすることを否定しません。この場合の営利企業は運営支援ブログがいうところの広域展開事業者です。なお広域展開事業者には非営利法人も含まれます。まず営利企業の児童クラブ運営ですが、ここでもやはり経営陣には「誰のため、何のため」に児童クラブがあるのかをしっかりと踏まえた事業展開を求めたい。とはいえ、そんな倫理的な願いなど企業の経営、ビジネスには風の前の塵と同じです。
なぜ多くの企業や団体が、営利非営利に関わらず、相次いで児童クラブ運営に参入し、運営する支援の単位数を増やしていくのか。それは児童クラブへのニーズ拡大と言う流れに上手に乗れれば、収益事業として期待できるからです。しかも「児童クラブ運営には、うまみがある」からです。そのうまみが「こどものため、保護者のため、そこで働いている職員のため、地域社会の発展のため」と、プライスレスな価値にうまみがあるという理解に至ることは、広域展開事業者においては、そうそうあるはずもないでしょう。稼げるから児童クラブ運営に手を出すのです。
児童クラブ事業というものは得られる利益の額が計算で容易にわかる事業ですから、利益を増やすには運営クラブ数を増やすしかないのが児童クラブ運営事業です。これは児童クラブだけではなくて公の事業のアウトソーシング事業の必然ですね。モノやサービスを編み出して販売する事業なら予想外の大ヒット商品、大ヒット事業でじゃんじゃん利益が増えていくことがありえますが、児童クラブは収入額の上限がおよそ決まっているので、支出する額との兼ね合いで残る利益の額が決まります。そして支出には絶対的に削れない額があります。光熱水費や賃料、最低限の人件費です。薄利多売なのです。だから基本的には、運営クラブを増やすしか利益を増やせない。そしてこの十数年間、公営クラブは市区町村の事業見直しや職員数削減、あるいは「運営疲れ」(児童クラブの運営は、多くのこどもと保護者と関わるのでその対応がとても大変で、人数が少ない市区町村ではとても対応しきれない)で直営を民営化する動きがもう止まりませんし、同じように保護者もまた運営疲れで運営を手放したいという、もう止められない地殻変動が続いています。この動きと、収益事業として児童クラブを求める企業団体側の思惑が一致しているのが、まさに現在の児童クラブ業界です。
問題はこの構造の中で、極限まで支出する額を減らすことで利益を増やそうという広域展開事業者の児童クラブ運営の姿勢です。「誰のため、何のため」児童クラブを運営するという根源的な問いを忘れて「1つのクラブでどれだけ利益を上げられるか」ということを最上位に据えてしまうと、そのクラブは「できる限り少ない職員数」で、「時給単価が最低賃金レベル」で、「最低賃金でも良しとする高齢者」や「家計のちょっとした足しになればという程度の意識で働く人」で事業運営をすることになります。そこに、放課後児童クラブ運営指針が求める児童クラブ運営の目指すべき姿を実現する余裕などありません。少ない人員で、足りない知識で多くのこどもたちをクラブで過ごさせようとするには画一的なプログラムを運営事業者で用意して、マニュアル通りにタブレットや器具を使用させるのが最も簡単です。あるいは、「単にこどもを見張るだけ」の運営に陥るのが関の山です。
先日、とある自治体の児童クラブのそばを通りがかりました。有名な広域展開事業者運営クラブです。夏季休業中の、昼前の時間でした。こどもたちが園庭で遊んでいました。職員は、園庭の隅っこで腕組みをして様子を見ていました。20分ほどしてまたそのクラブのそばの道を通ったのですが、光景は変わっていませんでした。確かに児童クラブはこどもが遊んですごす場です。しかしその遊びは、ただ単にこどもを遊ばせていればよいのでしょうか。仁王立ちになって動かない職員の様子を見た納税者なら「ああ、児童クラブの仕事って、単に突っ立ってこどもたちを見張るだけか。なら、時給なんて最低賃金で十分だ」となるのは不思議ではないでしょう。わたくしだってそう思います。
わたくしは、人件費ー職員の給与、賃金ーをギリギリまで抑え、かつ、雇用する職員数をできる限り減らすことで1円でも利益を稼ごうという姿勢である限り、広域展開事業者の児童クラブ運営には規制が必要だと考えます。最低賃金レベルの仕事に、運営指針が求める程度の専門性を発揮した業務を期待する方が酷です。と同時に、仁王立ちになって単にこどもを見ているだけで「社会的に大事な児童クラブの職員」としての評価を社会は与えてはならないとも考えます。こどもと関われない職員には最低賃金レベルの賃金で問題ありませんが、利益を少しでも増やすために有能な職員も低賃金に抑圧されるようであるなら、そのような仕組みで利益を得ているのであれば、そのような事業者には何らかの義務を与えるべきです。最も分かりやすいのは、賃金の下限額を自治体が公契約条例で決めることですが、その下限額が単に最低賃金レベルであれば無意味です。まっとうな放課後児童クラブ職員が示せる、専門性を備えたこどもの育成支援と保護者の子育て支援の業務の質を加味した額にしなければなりません。
同時に働く側にも厳しい条件を貸すことになります。ただ突っ立ってこどもを見ているだけの職員は、まず不要です。そういう仕事の仕方を認めている事業者の問題がとても大きいのは間違いありませんが。どんな教育研修をしているんだ、と何百回でも運営側を問い詰めたい。あえて暴言を吐けば、「児童クラブの運営に適当な事業者には、適当な人員しかそうそう集まりませんよ」ということです。もちろん、「こどものため、保護者のため」に安い賃金でも必死で食らいついて働いている職員の方が多いでしょう。ですがあえて言わせてもらえば「あなたたちは、誰のため何のため児童クラブを運営しているかを真正面から考えずに、本来必要な費用を削って事業の質を落としてまでも利益を追い求める事業者から、本来得られるべき対価を吸い取られて、やりがいをいいように利用されているだけですよ」ということです。怖いのは、「事業の質が落ちる」とおそらく考えていないことでしょう、児童クラブで利益を追い求める事業者たちが。「こどもなんて居場所があればいい。死なない程度のけがさえしなければいい。だから様子を見張ることができる人間がいればそれでいい」と思っているとしか、わたくしには思えません。そうでなければ、安易にスポットワークなどに頼りません。
誰のため何のため、それが分かっているのなら、それを実行する人たち、つまり職員には、職務と職責に見合った対価を用意するべきです。それをせずに、単に運営するクラブ数を増やしてその運営クラブ数の多さを誇っているだけの広域展開事業者には、政治と行政が本腰を入れて対応を考えるべきです。1億円の予算を行政が計上しても、実際の事業運営つまり真水分としては人件費やこどもの教材費を削りに削ったあげく8000万円しか使われず残り2000万円はどこかに消えるような仕組みをいつまでこの国は容認するのですか。わたくしの立場は、1億円の予算がある児童クラブ運営事業者が、事業運営にちゃんと支出し、職員の賃金も職務職責に見合った額となり、保護者も満足する運営がされた結果、9500万円を使ってしまって残りが500万円であれば、その500万円はどうぞ利益として計上してください、というものです。ところが対照的に、地域に根差した非営利法人や保護者運営系クラブにおいては、そのように「しっかりとした運営」をした結果の剰余金は自治体に返還せよ、ということが一般的ですね。それはおかしいです。広域展開事業者には認めている、効率的な運営をした結果の剰余金の取り扱いは、地域に根差した児童クラブ運営事業者にも認めるべきです。そうして得られた剰余金は間違いなく事業に投資され、児童クラブの運営の質が向上していくことが期待できるからです。
それにしても広域展開事業者の多くが財務状況を明らかにしていません。上場企業ばかりではないからです。ですから、これからの時代、児童クラブの支援の単位ごとに会計の状況を公表させるべきです。いくらもらって、いくら使ったのかが明らかになるーそれは納税者への説明責任を果たすことにもなるー状況であれば、「あ、この事業者は予算の20パーセントを事業に使わないで懐に納めているわ」ということが一目瞭然ですからね。
こういうことこそ、児童クラブに関わる人、とりわけ保護者や職員が要求するべきです。
児童クラブ運営で稼ぐことは一向に問題ありませんが、事業に必要なカネを使わずに得た利益は不当利益です。不当利益が生じにくいための規制を、もういい加減、用意しなければなりません。
<働く人たちへ>
前にも少し触れましたが、児童クラブで働いている人、それは現場も運営も同じことですが、あなたたちの働きぶりは見られていないようで見られています。現場の場合は先に述べたような仁王立ちしている職員は容易に第三者に分かってしまいますね。児童クラブの評価が不当に低い、低賃金でひどすぎると声を上げるなら、まずは誰から見ても「そうだね、その通りだね」と納得されるだけの仕事をする努力を見せねばなりません。
もちろん、明らかに違法状態であるならどんどん声を挙げねばなりませんし、世間に広く訴えていいのですが、仁王立ちのままでいる職員が「賃金が安すぎるからそうしているんだ」と訴えても「あ、そうなの」で終わりです。「やることはやってから、待遇改善を求めようね」で世間は終わりです。賃金は労働の対価ですから。
現場で苦しい立場にあるのは施設長や主任、クラブ長といった中間管理職でしょう。クラブの最先任常勤職員もそうでしょう。現場の職員からの不満に対処したくても、経営陣は聞く耳を持たない。挙句の果ては「施設長レベルで処理するべき問題だね」で押し付けられてしまう。そういう例をよく耳にします。これこそいびつな構造です。現場の難問を押し付けられ、事業者の経営方針、運営方針には服従を強いられ、その対価が他の一般職員より2~3万円程度の役職手当で済まされる、というのはひどすぎる話です。
ですが、あえて運営支援は申します。「経営側と話せる立場にあるなら、待遇改善、業務内容改善に関して、気概を持って対峙せよ」と。正論を訴えて、違法な行為、非違行為がないのに解雇されたり不当な扱いをうけたなら、それもまた堂々と撤回を求めて戦いなさい、ということです。「そんな人生のハイリスクは負いたくない」というのなら、現状に甘んじなさい。文句を言わず事業者側に立って黙々と事業に従事しなさい。それはそれで個人の選択ですから、運営支援はとやかく言いません。そういう道だって当然あります。
ただ、運営支援は応援したい。どんな小さなことでも、事業運営の質の改善につながるのであれば、何度も退けられ、はねつけられても、粘り強く訴え続ける努力をぜひ持ってほしいのです。結果として実現できなくてもそれはそれでしょうがない。やらないよりやった結果、そうなったのは仕方がないということです。文句を言うなら「やったあと」に文句を言おうぜ、ということです。まあ、上手な方法も磨きましょう。改善を求めて真正面からケンカを売るような方法ではなくて運営側が喜ぶような内容を見せつけながら結果は改善につながる、というような、それはもうスマートというよりも「クレバー」なやり方でいいのですから。
そして最後の最後に、こどもに関わる立場の人たちにわたくし萩原は言いたいことがあります。育成支援を行うとても大事な立場の人たちですが、「目の前の育成支援」だけに考えを閉じないでいただきたい。よく、「親が休みなのにこどもを学童に連れてくる。こどもは親元にいるのが本来の子育てだ。いったいなんだあの親は」と憤る職員がいますが、あなたが考えるべきは「どうして、こどもと一緒に過ごすことを選択しなかったのだろうか」ということです。そこに、子育てに関して何か課題や問題や困りごとが隠れているかもしれない、ということを同時に考えることです。わたくしは「複眼的思考」と呼んでいますが、1つの事象を多角的に考えることです。こどもの立場、親の立場、クラブの立場、いろいろな立場で考えを巡らせることです。
児童クラブの職員は、こどもの成長に関わっているその重責ゆえ、こどもの成長に一義的に関わる保護者について厳しい見方をする人が少なくないと、わたくしには感じられます。もっとも、あまりにも多い児童クラブの登録人数ゆえ、「もっとクラブに来ているこどもに関わりたいから、クラブで過ごすこどもの人数が少ないほうがよい。だから家で過ごせるこどもは家にいてほしい」という切実な願いがあることは承知です。それはまた別の問題として、配置基準の問題や児童クラブの量的整備の問題として、別に訴えて改善を求めるべきものです。
目の前のことだけではなく、幅広い視野を持って、日々の業務に従事してほしいということです。もっと言えば、社会インフラとして認知されるようになったのであるから、社会における児童クラブ、社会全体における子育てと、こどもの成長の援助支援の在り方について、常に考えてほしいのです。自分の仕事が大変になる、楽になるというのは考えがちであってそれは否定しませんが、「それだけ」では困ります。社会全体を支える立場の仕組みに従事しているのですから、「職員個人として」「クラブとして」「社会全体として」の、それぞれの立場で目指すべきこどもと保護者への援助支援を考えながら、職務に向き合ってほしいのです。そしてそういう思考を、職員を雇っている運営者が組織に根付かせねばならない、とわたくしは考えています。
実はここに記したこと、わたくし萩原は、運営支援という事業に挑もうと決意した2022年の8月のちょうど今頃からずっと考えていることです。それだけ重要なきっかけがあったということでもあります。そしてこれからもずっととりわけこの時期は「誰のために、何のために」児童クラブがあるのだろうかを自問自答することになるでしょう。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」です。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s
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※こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+
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放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
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わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン))
2026年5月29日には「“産業化”の大波に飲み込まれる学童保育…企業はどう収益を上げているのか?事業構造から見える放課後育成の実情」という記事が公開配信中です。URLは以下の通りです。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40665
2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事も公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。こちらもぜひ読んでいただけるとうれしいです。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

