学童保育でまたも児童虐待行為が発覚。従事者への徹底的な意識改革と、資格制度の改善が急務です!
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。
学童保育の世界で大変残念ですが、再び、職員による子どもへの虐待行為が発覚しました。放課後児童支援員の資格を持っている者が、子どもに暴力行為を行ったという事案です。報道が事実であれば、本当にひどい話です。この事案を伝える6月3日午前8時44分配信の静岡新聞ネットニュース記事を一部引用します。
「小山町の各小学校区の放課後児童クラブを運営する町放課後児童健全育成会は2日、クラブに入所していない児童に対する暴言や暴力行為が認められたとして50代の男性支援員を懲戒解雇処分にしたと発表した。処分は5月29日付。同会によると、男性支援員は同月27日午後2時過ぎ、児童クラブの子どもを学校のグラウンドで遊ばせる「外遊び」の際、クラブに入所していない児童たちがスマートフォンで自身を撮影したと思い込み、腹を立てた。複数の児童に対し声を荒らげて暴言を吐いたほか、1人の尻を2回蹴り、毛髪をつかんで頭をたたいたとみられる。(中略)男性支援員は町内の放課後児童クラブで補助員を3年間ほど務め、昨年度に県の研修を受けて放課後児童支援員の資格を得た。普段から口調が荒い場面があったが、多くの子どもからは懐かれていたという。」(引用ここまで)
子どもに対して暴言を吐く、しかも2回も蹴とばし、髪の毛をつかんで頭を叩く。報道が事実であれば、れっきとした暴行行為であり、刑事責任も厳しく問われるべき事案です。民事上で懲戒解雇処分となるのは当然として、この支援員に対する処分はそれで済ませてはなりません。
この事案で深刻だと私が思うのは、放課後児童支援員という資格を持っている者が、子どもに対して虐待行為を行っていたということ。それも、記事の最後の部分に、「普段から口調が荒い場面があったが、多くの子どもからは懐つかれていた」とあることから分かるように、支援員としての適性をそもそも欠いていたのではないかということが強く推察されることがあるのに、支援員として雇用され、従事していたということです。
放課後児童支援員は、一定の基礎資格されあれば、指定の講義を受講する「だけ」で取得できる資格です。試験はありません。講義中、頭の中で何を考えていようが、座って受講していれば取得できる、資格としては本当に基盤が弱いものです。24時間程度の受講時間で、子どもに対する育成支援をどこまで理解できるかはなはだ疑問です。
しかも一定の基礎資格には、実務上の経験も含まれており、2年間で2,000時間の勤務経験があれば認定資格研修の受講が可能となります。今回、事案を起こした支援員は補助員で3年間の勤務経験があるようなので、もしかすると、この実務経験をベースに放課後児童支援員の資格を取得した可能性があります。
この、容易すぎる資格取得のハードルを一刻も早く引き上げる必要があります。子どもの育成支援に本当にすぐれた適性を持つ者に付与できる資格とするべきで、資格取得後も一定期間後は再受講、再認証を必要とするべきです。具体的には、それなりの何度の試験を行って合格者に資格を付与する、資格付与後も5年ごとに再受講を義務付けることです。5年後の再受講では、前回の受講時と同じ事業者に雇用されている場合は、再受講に係る費用負担を大幅に減免するなどの優遇措置を導入するといいでしょう。そうすることで、雇用する側も、離職を防ぐために雇用環境を改善する効果が期待できます。
この種事案に共通して指摘できることですが、もちろん、当事者は厳しく非難されるべきです。しかし、当事者を雇用している側、事業者や自治体の対応の不備も同時に批判されるべきです。普段から口調が荒いということを把握しているなら、そこから派生する育成支援上のリスクをどう捉えていたのか。子どもが懐いているというのは本当なのか。怖いから本音を言えないだけではないのか。組織事業者と自治体は、常に、学童保育所で従事している者の適性と仕事ぶりを常にチェックし、評価をすることが必要です。
今回の事案を受けて、小山町は指導監督を厳しくすると報道で伝えられていますが、単に、虐待行為はダメだとか、子どもの権利はこうだとかといった、よくある講義だけで済ませてはなりません。従事者の心にズシリと染み渡るような、厳しい内容の児童虐待防止に関する講義、セミナーが必要です。大学の講義で聴くようなお勉強的な内容ではなく、実務に即した実践的な内容で受講者1人1人が真剣に向き合える内容こそ、子どもの権利を保障できることにつながるということを理解するべきでしょう。
こうした残念な児童虐待事案を、放課後児童支援員が引き起こすことが無いよう、資格制度の改善と、普段からの指導研修を徹底すること。この当たり前の事を早急に政府と行政は実施するべきです。こどもまんなか社会の実現のために当然、必要なことですから。
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の業界が健全に発展できるように、資格制度の改善、充実をはじめとした種々の意見提言を行います。また、児童虐待防止に関して、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。
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