「こどもと関わってみたい」人へ。放課後児童クラブ(学童保育所)のお仕事の具体的な内容について紹介します。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
 こどもが好きで、こどもと関われる仕事に就いてみたいという人はそれなりに多いのではないでしょうか。「こどもってかわいいですよね。こどもを見ていると元気をもらえます」という100%前向きな動機で、放課後児童クラブの仕事を考えてみる人も多いでしょう。そこで、放課後児童クラブでの仕事は具体的にどういう内容なのか紹介します。非常勤職員向けの内容です。正直いって、楽な仕事ではないです。ないですが、「しっかりとした」職場であれば、とても充実感、手ごたえが得られる職業ですよ!
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 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)

<児童クラブのお仕事の整理>
 児童クラブの仕事を、まずいろいろな方面で整理しましょう。

「正規職員、非正規職員」=事業者が決めるものですが、正規職員は一般的に無期雇用であるとか幹部職員になれる、というものです。非正規職員は正規ではない職員ですが、有期雇用だったり職務内容が限定されているものです。なお正規職員だからといって必ず無期雇用とは限らないのが児童クラブの事業者には往々にしてあります。

「常勤職員、非常勤職員」=これもまた事業者が決めるものですが、常勤職員については補助金の交付要件にも関わります。一般的には、事業者が決めた児童クラブ開設時間の全てで勤務している職員を常勤職員と考えることが多いようです。また事業者が就業規則等で、週〇時間以上勤務の者を常勤職員としている場合もあります。つまりこれも事業者次第です。常勤職員でない職員は非常勤です。正規職員や常勤職員には、賞与が支給されたり役職手当が支給されたりします。なお常勤職員もまた児童クラブの世界では無期雇用とは限りません。公営クラブでは任期がある会計年度任用職員が常勤職員としてカウントされていることが普通です。

「主任、施設長」=事業者ごとに呼び方は異なりますが、児童クラブの施設の責任者に対する役職名として、主任や施設長という名称が使われることがあります。単に「リーダー」とする場合もあるようです。なお児童クラブの場合、1つの施設に複数のこどもの集団を設定することがごく普通にあります。おおむね、施設を「クラブ」と称し、こどもの集団=支援の単位=を「クラス」と称することが多いようです。つまり1つの建物=1つの施設=1つのクラブに、複数の支援の単位がある=複数のクラスがある、ということです。〇〇学童保育所に「あおぞらクラス、そよかぜクラス、ひまわりクラス」がるという具合です。その場合、クラスに配属される複数の職員を統括する者を主任もしくはリーダーとして、複数クラスを束ねる責任者を施設長とする、ということが多いようです。
 また、児童クラブそれも伝統的な育成支援重視型で保護者運営由来の児童クラブの場合、施設に複数職員が配置されていても、特に施設長や主任といった中間管理職を示す役職名を使用しない、もしくは組織として明確に職員の地位の上位を示さないこともあります。これは「保育はひとりひとりの職員が行う」という概念の元、1人1人の職員がこどもに関して責任を持っているという考え方に由来すると、わたくしは現場で実感していました。しかし、対外的には「施設を代表する人は誰?」というのは当然に求められる区別ですから、その場合はキャリアが長い職員だったりそのクラブで長く勤めている人だったりが、そのクラブを代表する振る舞いーあいさつを先にするなどーをすることになります。

「職員、スタッフ」=どちらも同じようなことばですが、求人広告ではスタッフということばが目立つという印象がわたくし萩原にはあります。あくまで好き嫌いの範疇ですが、わたくしは職員ということばを基本的に使います。クルー、という表記はほとんど見かけないですね。

<児童クラブの仕事の内容>
 まずわたくし萩原が言いたいのは、求人広告に「こどもたちを見守る仕事です」と、さも簡単そうに書いていることがありますが、「見守ることは仕事の一部であって、ずっとこどもの様子を眺めて過ごすだけの仕事ではない!」ということです。そんな見守りであれば監視カメラで事足ります。そんなことは決してありません。

では、「こどもに関わる、または関わりながら行う業務」と「こどもとの関わりではない業務」に分けて紹介しましょう。なお、ここで紹介するのはごく基本的なものです。クラブ運営事業者や、クラブごとによって様々な種類の業務がありますことを先に申し上げます。
「こどもに関わる、または関わりながら行う業務」
・基本的にあらゆる業務態様であっても、こどもと関わる=コミュニケーションを取りながら行います。そうしてこどもとの関係性を盤石なものとしていくこと。こどもとの信頼関係を構築していくことこそ児童クラブにおける最も重要な業務です。
・登所や退所の確認。こどもの存在確認です。連絡アプリの操作は正規常勤職員が行うとあっても、欠席の連絡がないのに登所してこないこどもがいる、ということに速やかに気づくということは、非常勤職員でも大事な業務です。
・こどもの遊びに加わる。
 →これは単純に「こどもと一緒に遊ぶ」だけではありません。こどもと遊びながら、個々のこどもの様子や行動ぶり、感情が向いている方面を常に観察しつつ、「こどもの成長発達の度合い」を評価していきます。また、周辺の様子に気を配り、不審者が近づいていないか、こどもがどこかに勝手に行ってしまうことがないか、なども同時並行的に確認します。
・こどもが自分たちで遊びを創るときに適切な助言や方向性を示す。
・こどもが遊ぶ場所や遊具に危険がないか、事故につながりそうな危険性がないか事前に確認したり、遊びながら確認したりする。
・こどもたちだけで遊んでいる場合にはその様子を確認しつつ周辺の環境や動向に留意する。
・時間割(スケジュール)を管理監督する。
・宿題の様子を見守る。
 →クラブや運営事業者によっては、勉強を一定程度サポートすることもあります。
・外から帰ってきたとき、トイレの後などに手洗いを促す。
・おやつを一緒に食べつつこどもの様子を確認し続ける。
 →窒息や誤飲、誤嚥を防ぐためにしっかりとこどもの様子を確認します。
・こどもの体調の変化に常に留意する。
 →元気だったこどもが急にぐったりすることはごく普通です。
・けが、病気への対応。
 →「こどもの大丈夫は大丈夫ではない」は、良く知られた児童クラブ内の金言です。鬼ごっこ中に転んだこどもが大丈夫! と言っていても実は亀裂骨折していた、というのはまったくもって一般的に良くあることです。こどもが痛めた部位は定期的に観察し、腫れや変色がないかどうか現認して必要に応じた対応をします。眼へのけが、歯が折れたということもごく普通にあります。そのようなときは事前に保護者と確認している、かかりつけの医院、クリニックを基本的に医療機関に受診させるので、その付き添いに行くことは非常勤職員であっても大いにあり得ます。「雲梯から転落して頭や胸部を強打した」ということもあります。けがをした当事者のこどもや、周辺にいたこどもから速やかに情報を収集し、医療機関受診の際に必要な情報を提供します。なお転落等で頭部や胸部に打撃があった場合は当然、医療機関での受診が一義的に必要です。様子見を選択するクラブがあるようですが「児童クラブの人間は医師でもないのに様子見をして人体の何が分かる?」というのがわたくしの持論です。すぐに病院に行ってください。
・トラブルへの対応。
 →こども同士の争い、いざこざ、けんかに介入して深刻な事態になることを防ぎます。正規、常勤職員は当然、一定程度の非常勤職員であっても、トラブルの原因を探ってその解消、解決に取り組みます。こどもはよく嘔吐します。その対応も必要です。消毒剤(ピューラックスなど)や「嘔吐物処理キット」を使用して衛生的に処理します。また、トイレの失敗もあります。トラブルではありませんが、女子には急に生理がくることもあります。その対応も必要です。
・児童クラブ以外の場所に出かけるときの引率、安全管理。
 →こどもたちの行列の前後に配置して、飛び出しを防いだり、車や不審者が急に接近してくることがないよう十分に周囲を観察しつつ、こどもたちの行動を管理監督します。
・こどもたちだけで話し合う時間の場に付き添います。
 →クラブでのルールをこどもたちだけで決めることがありますが、一方的な、偏った内容にならないよう適切に助言したりアドバイスを出したりします。
・保護者への、こどもの様子の報告。
 →極めて重要な業務ですが、正規常勤職員だけでは手が足りず、非常勤職員も担うことがままあります。クラブによっては保護者対応専門の職員を配置しているようですが、運営支援は感心しません。迎えに来た保護者のおこさんに、その日または最近、よく関わっている職員が保護者に報告するべきでしょう。
・避難訓練の実施。

「こどもに間接的に関わる業務」
・育成支援討議
 →これは運営支援が提唱している概念であって、「こども個人又は特定の属性のこども集団(低学年男子や高学年女子など)に対して、現状において行うことが必要な援助及び支援の方向性ー見立てーを確認し、方針を明確に打ち立てて全職員で共有し、その方針を実行するための具体的な手段、方策ー手立てーもまた全職員で共有、確認することです。これが児童クラブの全ての事業運営の根本です。児童クラブは「放課後児童健全育成事業」を実施、提供している場所ですがその事業の中核が「育成支援」です。この育成支援の方針や内容を決める職員たちの話し合い、協議すり合わせこそ「育成支援討議」です。ここに参加するかしないかは、児童クラブにおける仕事において責任の度合いを左右することにもなります。例えば、夏休みなどに働いてもらうことが多い学生アルバイトは、この育成支援討議には参加しないー夏休みなどはなかなかこの討議の時間そのものが確保できない事情もありますがーので、いわゆる「遊び要員」、つまり「こどもとめいっぱい遊んでください」という業務を担うことがほとんどです。こうした学生アルバイトさんはクラブの事業運営に関する責任については正規常勤職員と比べると確実にその度合いは低いと言えます。なお、事業運営に関する責任は正規常勤職員と比べて低いと言えども、「こどもの安全安心を確保する上での責任」についてはどの職員も等しく負っていることを忘れてはなりません。こどもが急に校庭の外に飛び出していこうとするのを目撃したら、学生アルバイトといえども直ちに制止する行動をとらねばなりません。それを「わたしはアルバイトだから」といって漫然と無視した結果、こどもの生命身体に何らかの被害が生じた場合、その学生アルバイトがこどもの安全確保上の責任について過失を追及されることは当然にありえる、ということです。
・研修への参加。
 →実のところ、育成支援の知識や技量を常に向上させるのは当たり前に必要なところ、そのために必要な研修や勉強会への参加に関して児童クラブの運営事業者が費用、つまり賃金や資料購入の費用をちゃんと出してくれるかどうかは、なんともお寒い状況にあるのが児童クラブの世界です。事業者が実施するオンライン研修ー現場をろくに知らない学識者が理論だけを説明するビデオ講義ーをクラブで1時間眺めるだけが研修として認められ、それ以外の研修会や勉強会への参加は事業者が実施するものではないのですべて自費で受けること、平日に受講するには年次有給休暇を使うこと、という「あまりにふざけた、ひどい運営事業者」はごまんとあります。しかし研修の参加は重要な業務です。常に研鑽に励むことは、国の省令基準にもうたわれています。週数日勤務の非常勤職員であっても、積極的に育成支援に関する研修に参加しましょう。とりわけ心理学に関わる方面の研修はぜひ受けましょう。
・施設内外の環境の様子を確認する。
 →夏場は熱中症の発生リスクに関して常に最新の情報を入手することです。他にも急な雷雨(なおゲリラ雷雨ということばが一般的に使われますが、そもそも雷雨は突発的に起きるものです。)への警戒、対応。光化学スモッグへの対応も。大雪の場合は建物の屋根からの落雪に巻き込まれないよう厳重な管理監督が必要です。
・こどもの成長の記録作成。
 →「児童成長記録」とか「児童票」など、運営事業者によって様々な名称があるでしょう。こどもの成長の様子を記録するものです。基本的には正規常勤職員が記載、作成するものですが、週5日や週4日勤務の非常勤職員も、こどもと関わる時間がそれなりに長いので記載させる運営事業者もあるでしょう。

「こどもとの関わりではない業務」
・環境整備。つまり掃除、整理整頓。
 →男性の非常勤職員が嫌がることが多いのがトイレ掃除。「うちでもやったことがない」と言い訳する男性職員がたまにいますが、そんな言い訳は却下です。「仕事です。やってください」と、たとえ親子、いや祖父母と孫ほど年齢が違っても指示する立場にいる正規常勤職員の諸君は、ビシッと指示しましょう。
・おやつの発注、管理。
 →これは正規常勤職員の仕事になりますが、クラブによっては週5パートの職員も担うことがあります。重要なのは3点、「アレルゲンの確認」と「消費期限、賞味期限の確認」および「腐敗や異物混入の有無」です。
・買い物。
 →こどもが読む本や漫画、教材(折り紙やテープ、糊など)、おやつの食材の買い物です。比較的、非常勤職員も担うことが多いです。買い物で注意なのは、出勤途中や退勤途中に、私物の買い物と一緒にクラブ用の物品や食品を買い物する際の精算の区別です。なお運営側としては、出勤途中や退勤途中に買い物を命じる、あるいは許容認容している場合の賃金及び労働災害の取り扱いです。買い物を命じているのであれば買い物が終わるまでに起きた災害に関して、それは通勤途中の出来事ではなくて「業務遂行中の出来事」となります。労災は通勤災害と業務中の災害とで明確に取り扱いが区別されますから、留意が必要です。
・外部との連絡、調整。訪問客への対応。
 →これも正規常勤職員が担うことが多いでしょう。学校との連絡や通知、事業運営本部との連絡です。ただ、電話や玄関先で真っ先に対応することは非常勤職員でもありますので、最低限のマナー、あいさつの常識は身につけておき実践できるようにしておきましょう。訪問客の素性を確認することも当然に必要ですが、ここがしっかりできないと、「不審者らしかったので追い払いました」と非常勤職員から報告を受けたら実はそれは市区町村の課長や部長だった、ということがあるものです。
・ごみの管理。
 →クラブ内で生じるごみは、まずこどもたちにしかと分別させるのは良いとして、ゴミ出しの日にしっかりと決められた場所にごみを出す。カラスやクマに荒らされないように管理する。ゴミ回収の業者がなかなか来ない場合は業者に連絡して回収忘れがないかどうかアピールする、などです。
・小口現金類の管理。
 →おやつや教材などを買う予算の管理です。原則、正規常勤職員が管理監督するものでしょう。ただ週5日勤務の非常勤職員など、クラブの運営に大きくかかわる職員では、取り扱うことがあるかもしれません。ただ最終的な管理、帳簿に記載するなどの作業は正規常勤職員が行うことになるでしょう。

 ほかにもたくさんあるでしょう。しかしこれだけでも「見守るお仕事」とは程遠いことが、ご理解いただけるのではないでしょうか。

<児童クラブの仕事は大変?>
 児童クラブのお仕事は、いや実はどんな仕事でも同じことでしょうが、「大変な、しんどいところはもちろんある。あるけれど、決してしんどいだけの嫌な辛い仕事ではない」ということをわたくし萩原は保障します。なお、「運営側の考えや職場環境、職場を統括する者の立ち振る舞い」によって「働きやすい職場か、地獄のような職場か」という命運が決まるのは、とりわけ少人数職場であってその場の「権力者」次第で雰囲気がどうにでもなる児童クラブという職場の特色からして避けられないところです。要は、「職員のうち、とても公正で公平で人格者がリーダー、トップの地位にいる児童クラブ」であれば、業務量が多くても和気あいあいと前向きに乗り切れる職場になります。「えこひいきが激しい、気分屋で5分前と今とで指示する内容が違う、こどもの最善の利益などまったく考えず、労働者の権利などまるで無視している者がトップの地位にいる児童クラブ」は、最悪の職場になる、ということだけは申し上げます。

 児童クラブの現場から聞こえるのは「こどもが大変。なかなか言うことを聞いてくれない」ということや「そりゃ素直に職員の言うことは聞いてくれない。でも、わたしたち職員を信頼していないのか、まったく聞く耳を持たない、あるいはバカにして反発しかしてこないこどもたちが本当に多い」」ということです。
 また、いわゆる問題行動のこどもへの対処対応に現場が疲弊しているクラブが本当に多いのも事実としてあります。この部分は現場の職員だけで解決は絶対にできません。職員への研修テーマで常に最多数を争うのは「問題行動や障がいのあるこどもへの適切な援助、支援の仕方」であったり、「問題行動や障がいのあるこどもの家庭の保護者への対応」であったりするのです。
 わたくしは別に何も隠しませんからはっきりと書きますが、この問題行動のあるこどもへの対応の限界がもうとっくに全国津々浦々のクラブできています。現場の職員は真面目ですから研修でなんとか対応方法を学んで少しでもこどものためにと考えますが、「施設の広さに対する児童数の多さによるプライベートゾーンの確保ができない問題」や「発達障害などの各種状況に知悉した専門性のある優秀な職員を雇用できない雇用労働条件の劣悪さ」などで、現状の児童クラブは、もうお手上げ状態です。このことが、児童クラブの仕事をとても過酷にしていて、離職者が止まらない状況を招いていると、わたくしは断言します。
 ここを隠して「児童クラブは見守るだけのお仕事です」として職員を募集するのは、わたくしは児童クラブの信頼性を損ねる行為であると残念でなりません。

 よって、児童クラブの仕事は決して楽ではありません。ただ、楽なクラブもあります。楽にすることは実は簡単です。それは「こども自身で考えて行動することを一切認めず、すべてにおいて職員が指示してこどもを動かす児童クラブ」です。刑務所であり監獄です。いや最近の刑務所のほうがよっぽど受刑者の自由があるでしょう。こどもの意見を一切聞かず、異議を申し立てようならその子を厳しく叱責、いや怒鳴りつけ、なんども指示に従わなかったこどもを児童クラブから退会させるという、わたくしに言わせれば人権侵害そのものの児童クラブも、残念ながらあります。

 とりわけ、運営主体の責任者や、クラブの施設長や主任が「こどもの最善の利益を考えない」とか「労働法規をすべて無視する」とか「チームワークで支えるこどもの育成支援」などまったく考慮せず、単に自分自身が満足したい、楽したいだけで運営し、他の職員に指示しているような児童クラブは、最悪です。そのような児童クラブでの仕事は「絶対に楽しくないし、楽にもならない。ストレスに押しつぶされてしまうだけ」と言わざるを得ないのです。

<では児童クラブの仕事はやるだけ損?>
 そんなことは決してありません。ただ、先に書いたようなひどい主任や施設長や運営主体の児童クラブではない、まともな児童クラブを探す必要は大前提です。残念なことに、採用選考時は、さも「うちはみんな和気あいあい、チームワークも抜群です。福利厚生もしっかりしています」としか、雇う側は言わないんですよね。採用されて働き出して初めて「騙された!」となりがちなのが児童クラブの世界の残念すぎるところです。
 ただですね、全国に何万か所とある児童クラブの全部が残念なわけではなくて、絶対数で言えば、ごく普通の児童クラブの方が多いはずですよ。採用されてハズレだったら別の事業者にまた求人応募すればいいと運営支援は考えます。

 ごく普通の児童クラブで働くと、何が良いかと言えば、働いた対価として得る報酬額に不満が無いということであれば、毎日接するこどもたちとの関わり、会話、笑顔、喜怒哀楽すべてにおいて、「いやはや本当にこどもってすごい!」という思いが、働く側の毎日を豊かに楽しく彩ってくれるのです。それが「やりがい」というものなのでしょう。搾取に注意ですが。

 去年とは、半年前とは違う振る舞いをしているこどもに気づいたときの「あっ、成長したやんか!」という驚き。こどもどうしのいざこざにそれまで煽る一方だった男子が、「おいちょっと、だめだよそれは。こういうところに気を配れよ!」と仲裁役に乗りだしているのを見た時の驚きと感動。児童クラブを退所退会したこどもが中学生、高校生になって顔を出してくれたときに感じる「大人になったなあ!」という喜び。高校生大学生になってアルバイトしたいとやってきたとき、正規職員としてこんどはクラブを支える側として舞い戻ってきてくれたとき。それはもう、児童クラブである程度の期間、働いたことがある人でないと味わえない感動の数々です。
 わたくしは直接、現場でこどもたちの支援援助に関わる職務ではありませんでしたが、それでも時々、訪問がてら接してきたこどもの成長の様子に感嘆したものです。もっともわたくしの場合は、新人で採用した職員に対して同様のことを感じてきました。まして結婚式に出ようものなら目頭ウルウルでした。

 まずは、自分の考え方や価値観、生活パターンに合う児童クラブでの仕事に巡り合えることですね。少しの不満はあっても、まともなクラブなら他の職員と話し合うことで改善に向かうことができるでしょう。まともなクラブでなかったら、とっとと別のクラブを探しましょう。
 そして「ここならずっと働けそう」な児童クラブに巡り合えたなら、腰を据えて働いてくださいね。こどもたちは、児童クラブの職員、先生たちがすぐにいなくなる、辞めてしまうのが悲しいのです。だからなかなか信頼感を寄せてくれない。「試し行動」も辛らつなものになりがちです。「大丈夫、わたしはすぐに辞めやしないよ」と言いきれる大人を、児童クラブのこどもたちは待っているのですから。そうするとこどもたちは全力で職員に信頼感を向けます。そうなれば、児童クラブでの仕事がさらに充実して楽しくなりますよ。

 <まとめ>
・民間事業者が児童クラブを運営することそのものに問題はないと運営支援は考えます。
・雇用労働条件の質の低さは人員確保の点、それも人数と資質ある人材の双方の面で不利益です。
・公の事業であるなら児童クラブ運営について重視するべき。質の高い育成支援の提供が継続してなされることを自治体は重視するべし。
・人件費を削って、つまり給与を安くして児童クラブを運営する事業者には制度として制約を設けるべし。
・誰かのトクは誰かの損。児童クラブ職員の給与を低く抑えて働く人が損をしているのは、誰かがトクをしているから。公の事業でその行き過ぎは許されない。 

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf

(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf

 「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

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