(衆議院選挙編)放課後児童クラブ職員の厳しい雇用労働条件の改善を訴えてください

 放課後児童クラブ(児童福祉法に規定されている放課後児童健全育成事業を実施する施設のこと。学童保育所もその多くが該当します)にまつわる問題の多くは、結局は、「働き手が十分に確保できない」ことが影響して発生しています。子育て支援の充実を訴えるのであれば当然、放課後児童クラブの質と量の充実も含まれるべきですが、その質と量の充実はすなわち、児童クラブ職員の劣悪な雇用労働条件の改善が必要となります。

 児童クラブで働く職員の年収は200万円台です。いろいろな資料の中で、信頼性に足るものの1つに、「令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 放課後児童クラブの運営状況及び職員の処遇に関する調査」があります。この調査結果では、放課後児童支援員、つまり資格がある者で常勤職員として勤務している者の年間支給額は、2,899,910円となっています。これは賞与込みです。現実には賞与がない事業者が多いこと、平均年齢47歳で平均勤続年数6.2年ということを考えると、職員の入れ替わりが激しい中で、少数の勤続年数が長い職員が受け取る給与(児童クラブ業界はほぼすべてが年齢給。キャリアが長ければ給与が高い)が、大勢の勤続年数が短い職員もふまえた平均年間支給額を引き上げている、ということです。

 職員が安定して長期間、勤務を続けられることが児童クラブの業務の質の向上と安定に欠かせません。児童クラブは、関わる相手すべてと円滑な人間関係を構築することで事業が実施できます。単なる見守り、監視ではなく、相手の気持ちを上手にくんで支援、援助することが仕事ですから、長い期間、対象となる子ども、保護者と関わってこそ、その業務の質が向上し、安定するのです。しかし現状は、安い給与で、しかも同じ職場で働いている職員数が少ない(予算がないので、雇えない)ので、1人あたりの業務量が増し、とても長く続けられない職種となっています。

 総選挙に立候補されるみなさんは、地域の子育て支援に尽くすこともアピールするでしょう。であれば、放課後児童クラブの安定した運営も訴えてください。そのキモは、職員の安定した雇用です。ひどい雇用労働条件なので安定した雇用ができないので働き手が少ない。だからクラブを増やしたくても増やせない。結果、待機児童が出る。あるいは大規模クラブが増える、ということです。

 立候補されるみなさんは、児童クラブ職員が強いられている、ひどい雇用労働条件の改善をぜひ争点の1つとして選挙に臨んでください。子育て中の有権者はきっと支持をしますよ。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」特別編)