運営支援からのお願い。放課後児童クラブ(学童保育所)の利用料は全額、納付してから退所、退会、卒所しましょう。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
 放課後児童クラブは必ずしも退所、退会が年度末に限定されているわけではなく夏休みが終わった8月末や9月末での退所退会も多いですが、それでも年度末にはまとまった数の世帯が退所退会します。長年、児童クラブ運営事業者のトップとして法人経営の責任を負っていた経験があるわたくし萩原からの切なる願いを、保護者のみなさまにお伝えしたい。「年度末で退所退会、そして卒所(6年生の年度末退所退会)されるみなさま、児童クラブの利用料(保育料、保護者負担金など)の未納、滞納はありませんか? かならず全額納付してから、児童クラブとお別れしてくださいね」。
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 ※ブログ投稿ですが、最近は他の業務との兼ね合いで投稿ができない日が増えています。ご容赦くださいませ。
 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)

<残念ですが、滞納する方は皆無ではありません>
 世の中は「当たり前」というものはなかなかありません。そもそも「人を殺めてはならない」という誰しも当たり前と思うことですら、毎週、日本のどこかで殺人事件が起こっているのですから。まして戦争、紛争は世界のどこかでいつも繰り広げられています。
 と、話を大きく広げなくても児童クラブの利用料(保護者が支払う費用)もまた、「児童クラブに入所入会、登録しているのなら支払うのが当然」と思う人がほとんどなのですが、全員ではないのですね。よって児童クラブの利用料の未納、滞納は児童クラブ運営においてなかなか避けられない問題です。児童クラブ利用料の未納滞納は、ほとんどない場合もあるでしょう。わたくしが非常勤の理事を務めている愛知県津島市の児童クラブ運営NPO法人では8施設9支援の単位を指定管理者として運営していますが、利用者の未納滞納がほとんどないのです。皆無に近いといえるほど。これはわたくしには驚きでした。わたくしの想像ですが、津島市の児童クラブ利用者の場合は「利用者と児童クラブとの間の、心理的な距離感」がよほど近いのだろうと考えます。人間、親しい人には迷惑をかけようとは思いにくいもの。心理的な近しさが、利用料未納滞納の少なさを実現しているのではないでしょうか。その近しさというのは、「児童クラブがあってよかった」という気持ちや、職員と保護者との関係性の深さによって実現するものだろうとわたくしは考えます。

 指定市である神戸市のホームページにとても興味深い記事が掲載されています。「放課後児童クラブ利用料債権回収等業務【事業者の決定】」というページです。2026年度から、児童クラブの利用料の未納滞納がある人からの利用料債権回収、ようは未納滞納の利用料を支払ってくださいね、という請求を行う事業者が決まりましたよ、という内容の記事です。
 ということはつまり2025年もそのような事業を神戸市は行っているわけでして、児童クラブのページに「督促状を送付した後もお支払いが確認できない場合は、電話や文書による催告を行います。神戸市では電話等による催告業務を以下の法律事務所に委託しています。」として法律事務所が明記されています。

 神戸市の児童クラブは2024年度の利用児童は19,206人、2025年度は2万人を超えるというのが市の見通しです。約2万人の利用児童がいて、ではどのくらい利用料の未納滞納があるのでしょうか。2026年度からの利用料債権回収等業務委託に関する募集要項などみますと、「初回委託予定債権の件数、金額」として「(R8.1.26 時点)759 件、16,216,500 円を予定しております。」(質疑応答書)とあります。この件数と金額が何年間に及ぶものなのか明確に分かりませんが、「初回委託予定債権の未収発生からの期間(3年未満、5年未満、5年以上等)」の問いに対して神戸市が「対象は平成 24 年度~令和6年度に発生した債権となります。」と回答していますから、2012年度から2024年度の13年度でしょうか。単純に13年間で759件1621万6500円を割りますと、年間約58件、約124万7423円となります。たいへんに大雑把なものですが、傾向として、1年間100万円ぐらいの利用料の未納滞納が、神戸市では発生しているのだろうということになりそうです。

<どうやって未納滞納利用料を回収する?>
 神戸市の利用料債権回収業務は、まず文書(手紙)による催告、それで応じてもらえなかったら電話による催告となり、それでも未納滞納利用料の支払いがない場合は市と協議の上、訪問催告を行うとなっています。ということは、少額訴訟や支払督促といった訴訟までは神戸市は考えていない、ということのように考えられます。弁護士事務所から手紙がきたり電話がかかってきたりしたら、まあ通常は「しょうがねぇ、支払うか」となるのでしょうね。その心理的効果を重視しているといえそうです。

 ちなみにわたくしは文書による支払いの要求、次いで電話による支払い要求を行って、それでも納付に応じていただけなかった人には司法書士に外注で支払督促による未納滞納利用料回収を行っていました。転居していても司法書士の職権で転居先は把握できますので文書を送達することはできます。むろん、行政担当課の承諾を得て行っておりました。ただ、そこまでして仮に裁判所で支払督促が確定したところで、「絶対に払わないと覚悟を決めている人は、払わない」ものです。では強制執行するかといえば、その方がはるかにコスト、費用がかかります。
 もとより、外部に発注して未納滞納利用料を回収しようとしても、その発注、手続きのコストの方が、利用料よりもはるかに高いのです。神戸市の場合、「基本利用料:月額4,500円、延長利用料(17時~18時ま):月額1,500円、延長利用料(17時~19時まで):月額3,000円、その他月額費用(おやつ代 月額1,500円、ICTシステム利用料)」です。利用可能時間すべてで利用するとして、10,500円ですね。それが何カ月もに及んで未納滞納があれば、1世帯当たりの回収コストは回収した未納滞納利用料より下回るかもしれませんが、1~2か月程度の未納滞納であれば、回収コストと未納滞納利用料を比較すると、とても割にありません。

 神戸市の場合、「債務者から受託者に支払があった金額に成功報酬率(消費税及び地方消費税を別途付加する)を乗じて得た額(1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)を、委託費として受託者に支払う。」とあり、「成功報酬として上限:金2,108,000円(消費税及び地方消費税含む)、成功報酬率は上限25%とする。」とありますから、仮に5カ月滞納していた人(10,500円×5カ月=52,500円)から全額、未納滞納利用料の回収ができたとしたら、52,500円の25パーセント13,125円を受託法律事務所は報酬として受け取れる、ということになりますね。文書と手紙だけで回収できたとしたらまあ、割に合うかもしれませんが、法律事務所であればはるかに多額の成功報酬が得られる案件があるでしょう。

 わたくしの場合はコストよりも「ルールの遵守を内外に示す」ことを目的にして未納滞納利用料の回収に勤しんでおりました。「ただ乗り」は許さないということです。とりわけ行政や議会に対して「しっかりと回収に取り組んでいます」という姿勢を見せることは社会的な評価、信用を得る上で欠かせないことでした。まじめに支払う保護者の方々が9割以上のところ、残りの数パーセントの人がズルをするのは許さない、という姿勢を明確にすることは、それら9割以上の方々からのより強い信頼を得ることにつながるのです。一方で、「回収に費用をつぎ込みすぎるのは経営者としては大局を見ていない」ということでもあります。このあたり、税理士さんは冷静で「萩原さん、人間社会ってのはこれが現実ですよ。1割の回収不能はちょっと多いけれど数パーセントの回収不能の債権ってのは事業をやっていれば出るものですよ。割り切りが必要です。損切りですよ。とっとと雑損、でいきましょう」と諭してくれたものです。

<児童クラブの利用料>
 千葉県習志野市のHPに、「市の債権の分類」という、なかなか興味深いページがあります。
市の債権の分類/習志野市ホームページ
 市の債権は公債権と私債権に分けられ、さらに公債権は「強制徴収公債権」と「非強制徴収公債権」に分けられるとあります。HPには「強制徴収公債権とは、個別の法令の根拠規定により、市が滞納債権について地方税法(国税徴収法)の例による滞納処分(給与・預貯金・不動産等の差押えや担保権の実行等)を行える債権」とあり、保育所保育料もここに含まれるとあります。一方、「非強制徴収公債権とは、強制徴収公債権とは異なり、個別の法令に根拠規定がないため、滞納処分が行えない債権です。」とあり、放課後児童育成料や幼稚園保育料、こども園保育料(短時間児)が挙げられています。

 ここでも、保育を必要とする人がいる限り自治体が設置することになる保育所と、任意の事業である児童クラブとの間に、差があることが明確ですね。児童クラブが保育所と同じ位置づけになれば、児童クラブの利用料も「強制徴収公債権」となる可能性があるのです。そうすれば、滞納処分によって未納滞納利用料の回収もだいぶ様変わりするのに、とわたくしは考えます。
 ちなみに習志野市の児童クラブは委託による運営クラブもあるようです。公設クラブは当然、民設民営でも放課後児童健全育成事業を業務委託している場合でも、未納滞納利用料は公債権となるのでしょう。一方、放課後児童健全育成事業を自治体に届出していても放課後児童健全育成事業の業務委託がない場合は、私債権になるのでしょうか。習志野市のHPには私債権として「学校給食費、保育所給食費」などが挙げられています。児童クラブのおやつ代も、ここに入るのでしょう。

<お願いです。しっかり支払ってから退所退会してくださいね>
 さて最後ですが、児童クラブを退所退会される方、おこさんが中学生になるので児童クラブを退所退会される方へ。利用料の未納滞納はございませんか?「立つ鳥跡を濁さず」と申します。へんなところに爪痕を残さないでくださいませ。
 利用されるみなさまが納付される利用料は、児童クラブが「存在するために必要な資金」になるのです。お支払いいただけないとそれだけ「児童クラブが存在できなくなるリスク」が高まります。「実にひどい児童クラブだった」「ひどい職員ばかりだった」と憤りの感情をお持ちの方もきっとおられるでしょう。それは「児童クラブ」という仕組みや制度がダメだったからではなくて、児童クラブを「運営している事業者」がダメだったということです。児童クラブという仕組みや制度が存在するために、どんなに憎い気持ちであっても、「利用したからには対価として利用料を支払う」というお約束は、果たしてくださいませ。「いやいや、うちが支払わないことで、ひどい事業者を困らせてやるんだ。ひどい職員が困っても、どうだっていんだ」とは思わないでください。あなたが見えていないところでまじめにひたむきにこどもたちのために業務に取り組んだ人がいます。そういう人たちも巻き添えになってしまいます。「ひどい児童クラブだった。ひどい職員だった。でも、中にはまじめに頑張っている職員だっているはず」と気持ちを切り替えて、必ず、利用料は全額、納付してから退所退会してくださいませ。

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 New! 日本版DBS制度について相談したい事業者さんにぜひともお勧めします。さいたま市南区の「エリーネ行政書士事務所」(https://www.eri-ne.com/)さんのご紹介です。行政書士の入澤えりな先生が、日本版DBS制度を中心に児童福祉施設や児童福祉の事業者様からのご相談に対応してくださいます。日本版DBS制度以外にも遺言作成・相続、介護タクシー等をメインにご相談に応じているとのことです。営業時間は平日9:30~17:00で、土日祝は応相談とのこと。ぜひ、困り事がありましたら頼ってくださいね。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

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萩原和也