私が、学童保育と学童保育運営支援に取り組むようになった理由をお話しします。

(代表萩原のブログ・身辺雑記です)学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」萩原和也です。2023年度を迎え、私の学童保育への思いを、恥ずかしながら少しだけでもご紹介させてください。

 私が学童保育と接したのは、そんなに昔のことではありません。2009年に一人息子が学童保育所に入所してからです。それまでは、学童保育について全く知ることはありませんでした。学童保育所を利用することができたおかげで、私も妻も仕事を続けることができたので、それだけでも本当にありがたいことでした。

 2010年には妻と2人して保護者会の会長になりました。「保護者会が楽しい場所になれば、きっと集まってくれる。みな、子育てのことを話したい気持ちを持っているから、集まって話すことができればいい」と思い、「できる人が、できることをやる。押し付けない」という気持ちで取り組みました。その思いは後任の会長さんたちも引き継いでくださって、児童数40人に届かないクラブが最盛期には70人を超えるまでになりました。「親どうしがつながることができる場が、必要とされている」という時間を得ることができました。
 その後は学童保育所の運営にボランティアとして関り、ボランティアながらも運営団体の代表を務めていました。

 学童保育に関わりながら、大事なことに気付きました。「学童保育所って、子どもが、人として育っていく場所なんだ。学童保育所の先生は、子どもの成長を支える大事な仕事をしているんだ」ということに初めて気づいた、ということです。ただ単に、放課後や長期休みの期間、子どもがそこにいるだけではないということ。異年齢集団の中で、いろいろなことを経験しながら、子どもが人として育っていくこと、その場所が学童保育所であり、子どもの成長を支える仕事が、学童保育所の職員の仕事であること。

 学童保育所はとても重要な社会資源であると認識したと同時に、「これほど重要な役割を果たしている学童保育なのに、社会からほとんど評価されていない。低賃金と長時間労働が当たり前。それでいいのだろか」と、考えて悩み始めました。その思いは、ボランティアとして学童保育の運営に協力するようになるにつれ、「もっと学童保育のために力を尽くしたい」という気持ちになり、その思いがますます増大していきました。

 新聞記者という仕事をしていましたが、社会に問題提起をすることができる記者という大事な仕事よりも、学童保育への正統な評価とその発展を支える仕事の方が、現在もっとも必要なことではないか、と思うようになりました。新聞記者も社会正義を訴えていく仕事ですが、今の学童保育の現状を放置することは社会正義に反している、私ができることをできる限りやることが、社会正義の実現につながると信じるようになりました。

 そしてついに、学童保育所運営法人に転職することとしました。周囲には無謀なことと驚かれました。確かに、収入が激減したのは事実です。家族には本当に迷惑を掛けました。2014年夏から2022年秋まで、地元の学童保育所運営組織の責任者として、学童保育事業の発展と、そこで働いている人たちの雇用の安定、待遇の改善に全力で取り組んできた日々は、激務の毎日でしたが、私なりに精いっぱい尽くしたつもりでいます。着任当初は17万円台前半だった正規職員初任給も、職を去るときには補助金込みで21万円台に届くまでにたどり着きました。私なりに学童保育に関する貢献を続けてきたことは、私を支える大事な思いとして残っています。

 2023年秋からは無謀なこととは思いつつも、活動範囲を全国に広げて、学童保育についての理解を広く訴えていくとともに、私自身が体験してきた学童保育運営に関する種々の課題、悩みについて、これもまた私自身が解決してきた実務経験をベースに、同じように課題を抱えている学童保育関係者を支えてバックアップ、フォローする「学童保育運営支援」という、日本で初めての事業にチャレンジすることにしました。

 そして2023年度を迎えました。

 ひとえに私の力不足ですが、学童保育運営支援という取り組みについて、その存在も、事業の意義も、まだまだ知られていないのが実情です。学童保育を支える事業の必要性は必ずあると確信していますが、事業としてはまったく成果はでていません。しかし、国の少子化対策として学童保育の更なる拡充も必ず行われることが見えている中で、この社会を支える重要な社会システムとしての学童保育所を支える「学童保育運営支援」の意義が、いずれ理解されることと信じています。

 小1の壁、学童保育所で働く人の劣悪な雇用環境、子どもたちの育ちに決して良いとは言えない施設面など、学童保育に関する問題は山積しています。その1つ1つに真摯に取り組みたい。取り組んでいる人を支えたい。その活動は最終的に、学童保育所で育つ子どもと、その保護者と、その学童保育所がある地域、市町村のすべてを支える大事な活動につながっていくことと、私は信じています。それが「社会正義」の1つの実現だと、信じています。

 学童保育という言葉1つとっても、本当に種々の現象があって、それゆえ社会に学童保育が何であるのか、という根本的な理解もまだまだ圧倒的に足りない現状。その現状を少しでも変えることができて、学童保育所に関係するすべての人が「学童保育があってよかった」と思えるようになるまで、微力ですが、できる限りのことはやっていこうと決意を新たにしているところです。

 どうか皆様にも、学童保育運営支援について、ご理解とご支援、ご協力をいただければと思います。事業として成り立つようにどうぞ遠慮なく仕事の相談を寄せていただけますと、本当に助かります。

 2023年度が実りある「学童保育運営支援」スタートの年度となりますよう、どうぞよろしくお願い致します。

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