特別版の最終回は「休暇を考える」。放課後児童クラブ職員が長く働き続けるために事業者が配慮しよう

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 さて私事で恐縮ですが、新型コロナウイルスに感染してしまい、今もなおいろいろなことができにくくなっている状況です。(業務自体は自宅でやっているので他者との接触はありませんので、ご安心ください)本日まで自宅で静養するように医師から言われています。5類になっても自宅待機は結局、事実上残っているんですね。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)で働くことは、感染症にかかるリスクが高いことです。子どもたちの間ではやる種々の感染症に感染するということです。代表的なものはインフルエンザですね。新型コロナもそうでした。他、ノロウイルスなど感染性胃腸炎も、クラブにおいて児童の吐しゃ物を処理したときに感染してしまうことが考えられます。流行性の角膜炎、溶連菌、水ぼうそう、手足口病など、例を挙げればきりがありません。

 クラブの職員だって、かかりたくてそれらの感染症にかかってしまうわけではなく、業務を遂行している上でどうしても感染リスクが高い状況に置かれているのです。よって、事業者は、それらクラブ勤務で感染しやすい疾病に罹患した職員に対して十分な配慮をしましょう。職員を大事に思うならなおさらです。というか、大事に思うのは当然です。ただでさえ、人手不足です。いま働いている人材を大事にすることは基本です。その大事にすることのカタチとして、クラブ勤務に寄って罹患しやすい疾病で休まざるを得なくなった場合は、事業者が制定する特別の休暇で職員を休ませるべきです。

 例えば新型コロナは5日の自宅待機が推奨されます。今後もその措置が続くかどうかは分かりませんが、小学校ではインフルエンザと同様の基準が示されています。その間は他者への感染リスクが高いので自宅に留めておくということですが、5日間、仕事を休む間を、職員個人の年次有給休暇を利用させるのはやめましょう。個人がどうしても使いたいというのなら別ですが。事業者は就業規則にて、これら勤務において罹患しやすい疾病の治療、療養で休む期間については、原則として有給の特別休暇を設定して、職員の所得保障をしましょう。無給の特別休暇の場合は月給から休んだ分の賃金を控除する必要があります。ノーワーク・ノーペイの原則からして当然ですが、その場合、ただでさえ低賃金の職業ですから、5日分の賃金を控除してしまったらそれこそ生活ができなくなるレベルになります。

 有給の特別休暇とすることは事業者にとっては負債が増すことです。職員が休んだ分、他の職員を穴埋め分に稼働させなければならず、必要な予算はさらに増します。しかしそれでも、職員に対して「うちの会社は、あなたを大事に思っている」ことを、病休の有給特別休暇という形で示すことです。それは職員の、組織に対する感謝と信頼の気持ちをきっと増すことになるでしょう。しっかりと就業規則に明記して、組織は職員を守りたいんだ、ということを示しましょう。

 なお、法定で定められた休暇の一つに生理休暇があります。こちらは女性の労働者から請求があれば事実上、必ず付与しなければなりません。就業規則に記載がなくても労働基準法に記載があるので事業者は必ず生理休暇の要望には対応しなければなりません。生理休暇は必ず有給にしなければならない決まりはありません。無給でも良いのです。これについても請求があった初回分については有給にするべきでしょう。(なお必ず1日を単位に付与しなければならないものではなく、請求に応じて付与すれば足ります。半日でも構わないのです)2日目以降については、さすがに有給とすることは難しいと私は思いますが、生理時の就業の困難の程度については個人差があまりにも大きいので、一定のレベルでの線引きはやむを得ないと考えます。2日目、3日目が大変きついという方も決して珍しくはないので、そのような方にどう対応するか、労使でしっかり話し合っておくことが大事ですね。

 大変厳しい人手不足の中、学童業界は、すぐれた人材を1人でも多く確保しなければなりませんし、雇用している職員の離職、退職をできるかぎり食い止めなければなりませんね。そのためにも、特別休暇の扱いなどから手始めとして、職員の事を大事にしている、大切に思っていると職員から信頼される事業者になりましょう。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。

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