学童保育所に就職を考えています。食べていけますか?
学童保育所で働いて安定して生活できるかどうかは、施設を運営する事業者次第というのが、残念ながら現実的です。学童保育所と言っても、実に多くの種類があり、多くの事業者がそれぞれの考え方で経営、運営をしています。末永くずっと働きたいのであれば、「良質な事業者」をしっかり選ぶことが肝心です。しかし、実はそれが大変難しいのです。
学童保育所はそのほとんどが「放課後児童クラブ」です。放課後児童クラブとは、児童福祉法が定める「放課後児童健全育成事業」を実施する場所です。それを歴史的な経緯もあって学童保育所と呼ぶことが多いのです。その放課後児童クラブは、市区町村が設置し、運営を市区町村が自ら行ったり、あるいは民間事業者に委ねたり、あるいは民間事業者が設置した施設を市区町村が放課後児童クラブとして取り扱うことで、各地に存在しています。
つまり、市区町村から運営を任せられることで事業者は事業を続けられるのですが、現在は大変多くの地域で、3~5年の間隔で事業者を選び直す作業が行われています。つまり、次の選定の機会で、必ず引き続いてその後も施設の運営ができるという保証がありません。もし、運営から外されたとなると、事業を続けられなくなります。あるいは事業者が他の地域で運営している施設に転勤することになります。
こういう事情で、学童保育所で働くということが、長期的に継続して安定している状況に、なかなかなっていません。まして公営のクラブは、ごく一部の地域を除けば「会計年度任用職員」という単年度の雇用です。しかも報酬はかなり低い額になっています。
学童保育所で長く継続的に安定して働く、つまり「食っていける」というのは、よほど慎重に就職先を選ぶ必要があります。そのポイントとしては、「1つの事業所で多くの施設を運営している」(=収入が多い)、「事業者の選び直しが非公募である。業務委託にしろ、指定管理者制度にしろ、非公募で事業者を選定している市区町村が少ないですが存在するので、そういう市区町村の施設を運営している事業者を選ぶ」、「正規(常勤)職員を原則的に無期限雇用としている」。この3点はしっかりと確認しましょう。
もし、家族がいて生活基盤に他の家族の収入も頼ることができれば、つまり1人だけで家計を支えるという状況でなければ、ほぼどの施設でも就職して大丈夫とは言えますが、1人暮らしや、自身の収入が家計の中心となっている場合は、学童保育所、児童クラブは残念ながら、決して、絶対に大丈夫とはなかなか言いにくい業界です。この点、特に国には、もっと学童保育、児童クラブへの補助金の額を増やすなど抜本的な対策が求められています。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)