学童保育事業運営に役立つ「小さくても大事なこと」:その1「事業内容を地域に知っていただくこと」
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。
学童保育の運営は「一寸先は闇」。指定管理者制度が学童保育の運営に対して当たり前に適応される時代、運営主体(事業者)はどの形態であれ、3~5年後の公募を無事に勝ち抜けるかどうか、難しくなっています。公募で選ばれなければ、その事業者は重要な事業を失います。継続かつ安定的に一(いち)の事業者が学童保育所を運営し続けられるかどうかが難しくなっているこの状況は、児童福祉の質を確保するには極めて不適切な状況であるため抜本的に改善されることが必要ですが、それが実現するまでは、嫌でも公募という競争に勝たねばなりません。
どうすれば、継続かつ安定的に、地域で学童保育所を運営し続けることができるか。そのために、事業者が行うべき「小さな運営上の大切なこと」を運営支援の立場から解説していきます。第1回は「周知広報の重要性」です。
今回、お伝えしたいことは次のとおりです。
・地域社会(住民、学校、地域の団体、議員)に、自ら実践している事業内容を継続的かつ頻繁に伝え周知する。
・事業者は自らのウェブサイト(ホームページ)や広報紙、地域のイベント参加等の複数の手段で「掲げている理念」「事業方針」「日々の出来事」を発信する。
・特に重要なのは「事業者に寄せられた利用者や地域からの要望、不平、不満、問題とその対応策の公表」。
・忘れてはならないのは「発信した」ことではなく「発信した内容が地域や住民に届いているか」。
これらを実施する上での大前提として、「質の高い(と自負できる程度の)育成支援を行っている」ことは、言うまでもありませんよ。
さて、これらの点がなぜ必要なのか、その理由ですが、包み隠さずすべてを情報公開していることは、事業者に対する信頼感を醸成します。とりわけ、要望や不平不満、いわゆるクレームは、その内容と、寄せられた要望等に対してどのような対応をするか、あるいは講じたかを、事業者として公表することです。地域のスーパーマーケットに、よくありませんか?「お客様の声」と、店長の回答。まさにそれです。
学童保育所でどのようなことが行われているか。そしてそれは、どのような理念のもとで、どういう手段をもって事業者が行っているかを常に地域社会に知っていただく。これこそが、学童保育に対する社会の正確な理解を向上させます。事業者の活動内容を知っていただくことは極めて重要です。まして、将来的に学童保育所を利用するであろう人々にとって、安心感と信頼感を感じさせる重要な要素になります。
知っていただく手段として手軽なものはホームページですが、それでは「発信しただけ」の自己満足で終わる可能性が高いですね。もちろん、やらなければなりませんよ。大事なことは「見てもらう、読んでもらう」ことです。そのための工夫をしましょう。考えられる工夫はいろいろありますよ。
ホームページだけではありません。当然、毎週1回は学童保育を利用する保護者に「おたより」を出して、クラブでの子どもの様子や育成支援について伝えることを、事業者は職員に義務付けていることと思います。していない事業者は反省しましょう。お金をいただいて事業の具体的な内容を伝えないなんて、事業としてありえませんよ。
さて、保護者にはおたよりや、職員からの直接の話しかけでいろいろな情報を伝えられますが、地域の人々や議員にはなかなか伝えにくいですね。ホームページにアクセスといってもそのままでは、わざわざ見てくれるかどうか期待はできません。よって、地域の人たちを招くイベントを開催することが大事です。半日程度のイベントでもいいのですし、何か月も準備を行って大々的なイベントを行うことも可能ならチャレンジしましょう。私の経験としては、地域の大きなホールを借り切ってファミリーコンサートを2回、開いたことがありました。井上あずみさんと、嘉門タツオさんです。とても素敵なイベントでした。
こういう大掛かりなイベントをすると、地域や市区町村に対しても貢献度がアップできます。実際、上記のコンサートを開催したときは市長からのあいさつをいただき、その後に市の広報誌にも紹介していただきました。市区町村のイメージアップにも貢献できるのです。(これはとても重要ですので回を改めて取り上げます)
地域に向けて丁寧に、かつ、継続的に情報発信をしていくことは、学童保育のことを知っていただくと同時に、事業者のことについても知っていただくことになります。「この事業者は、子どもたちのために、保護者のために、一生懸命頑張っているじゃないか」と、地域に知っていただくことになります。
それが、事業者が地域で学童保育という事業を継続していくために、大きな財産、強力な武器となるのです。
くれぐれも念を押しておきたいのは、「いい育成支援を行っているから、私たちは地域にかけがえのない団体。他の事業者に替えようがない」というのは、ただの思い込みということ。残念ながら、どんなに質の高い育成支援をしていても、(本来はこれが絶対的に大事なのですが)子どもたちが安心して学童保育所で過ごしていても、保護者の支持があっても、「地域全体からの支持、必要だと思ってもらえる気持ち」が根付いていないと、いざというときに事業者の存在は継続の保障がないのです。子どもやその保護者の支持は「コップの中の水」なのです。
今は残念ながら、児童福祉事業については不合理な競争の状態の時代です。その改善の必要性を全力で訴えて活動を続けると同時に、「今、そこにある危機」についても対応することが大事なのです。それはすなわち、3~5年後の公募のときに、地域から絶大な支持を受けているという目に見える実績を獲得しておくことで選定委員に「こりゃどうしたって外せないわ」という理解を植え付けることであり、それでこそ、公募を勝ち抜けるのです。
地域、市区町村からの安心感、信頼感が十分に醸成されれば、公募ではなくて非公募の随意契約による選定に切り替わることだって考えられます。
この周知広報は、地味な仕事です。地味ですが、極めて重要です。事業者のトップが直轄して行うことがよいでしょう。しかも情報は鮮度が大事です。随時更新するためには専従の職員が担うべきですね。非営利法人だろうが株式会社だろうが、ぜひ、自信をもって、自身の事業内容、育成支援のリアルな姿を発信してください。
育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所の運営の継続について、「あい和学童クラブ運営法人」がお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。
育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。
子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!
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