学童保育の良いところは?
学童保育所(この場合、学童保育所の中核的存在である放課後児童クラブを念頭に考えます)の利点について、学童保育所を構成する3つの要素についてそれぞれ考えます。「保護者」、「子ども」、「社会」です
まず保護者にとってですが、「子どもの安全に関する不安を抱えることなく、安心して、求められる行動に専念できる」ことがあります。子どもが学童保育所でその安全を確保されているからこそ、心配することなく仕事に集中できるということです。非常に重要であり、実はそれが学童保育所が誕生した動機でもあります。
最近では、「子どもが家にいるとゲーム三昧になるのでゲームがいらない学童で過ごさせたい」という生活規範上の心配から学童保育所の利用を希望する保護者もいます。
子どもにとってですが、集団生活の中で、遊びを通じて、他者との関りを通じて、人間が成長するに必要な種々の能力を身に付けていくことができます。社会性や主体性、自己肯定感、コミュニケーション能力といった、将来、社会に出た時に必須とされる種々の能力です。つまり学童保育所は「非認知能力」を大いに育むことができる場所といえます。もちろん、勉強や学習、英語、スポーツやダンスなど種々のプログラムを提供している施設もあります。そういった学童保育所では「認知能力」の育成を主軸にしていると言えるでしょう。優劣があるわけではなく、特色の違いです。
社会にとってですが、子育て世帯の保護者が就労を続けられる社会環境を整えることで経済活動の停滞を防ぐことができます。急速に労働力が減っている中で、とりわけ女性の就労機会を増やすことは経済面で重要です。また個々の保護者にとっても、学童保育所が安心して利用できることで自らの職業生活における経歴、キャリアを中断することなく仕事を継続できます。それはキャリアの中断による所得の低下を防ぐことになります。企業側にとっても、コストを投入して育てた有能な人材の離脱や就業中断に伴う穴埋め人材登用にかかるコストの防止となってメリットは大きいといえます。この点において「学童保育の待機児童」は経済的な損失が大きいといえるでしょう。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)