学童保育の指導員は何をしますか?

 学童保育所(この場合、学童保育所の中核的存在である放課後児童クラブを念頭に考えます)で働く職員の仕事は、「子どもの健全育成のために支援、援助を行う」ことです。2015年から放課後児童クラブには原則、「放課後児童支援員」という公的資格を認定された者を配置することになりました。「指導員」というのはかつての呼称であり、今も良く使われる呼称ですが、放課後児童支援員という正式名称と、同資格を認定されていない者は「補助員」と位置付けられていることが法令で定められているので、正しい呼称は「放課後児童支援員」であり「補助員」です。それを取りまとめて「指導員」と呼びますが、正式な名称ではないことに留意ください。

 というのも、放課後児童クラブの職員は、子どもを指導すること「だけ」が仕事ではないからです。生活や遊びの指導も児童クラブ職員の行う仕事の一つですが、それはあくまで一場面に過ぎないのであって、子どもたちが自分で経験し、体験し、学び、教えられること、つまり他者との関りを踏まえて自分の力で育っていくことを支える、支援することが、放課後児童クラブの職員、つまり放課後児童支援員や補助員の仕事です。その職務については「放課後児童クラブ運営指針」に概要が示されていおり、子どもの健全育成を行うこと、保護者の子育てを支援することです。また、小学校はじめ子育てに関する関係各機関と連携して対応します。

 なお、放課後児童クラブの世界には未だに指導員という呼称について愛着を持っているのか、指導の重要性を踏まえてなのか、いずれにしても各々の理由で指導員呼称を多用していますが、せっかくできた(放課後児童)支援員の呼称があまり使われないのは残念です。
 また、これまで数十年に及ぶ学童保育(放課後児童クラブが誕生する、はるか以前から学童保育所は存在していました)の歴史はすなわち学童保育指導員の歴史でもありますが、その歴史において、学童保育指導員の雇用待遇が極めて劣悪だった事実を考えるべきです。
 つまり、その事実が存在したのは何故かを考えることです。「学童保育指導員」という呼称の職種や職務に対して、社会が認識し評価した結果が、その職業の手取りの賃金が10万円ちょっとで十分だということなのです。学童保育指導員には10万円ちょっとの給料で十分でしょ、という暗黙の社会的合意が成立していたということです。指導員という職種について社会はその程度の評価しかしてこなかった、それは今後も同様であるだろうということを児童クラブの世界は考えるべきです。育成支援に求められる職務の内容が指導を含む幅広い対人支援であることと、指導員という職業に社会が下す評価はたかだか10万円程度の賃金である、という事実を2015年度から変えようとしたのが、新たな資格制度だという理解が欠けているのは残念です。
 それでも「指導員です」と、指導員呼称こだわる方は、放課後児童支援員という資格に対して交付されるキャリアアップ補助金は辞退するべきでしょう。自分は指導員だ、でも放課後児童支援員資格を対象とした補助金はいただきます、では筋が通りません。むしろ、指導員対象の補助金を作るように国に交渉してはいかがでしょうか。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)