夏休みが終わって、学校に登校できない、登校したくないこどもたちの居場所として、放課後児童クラブ(学童保育所)が機能してほしい
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンのみで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
2024年8月21日の運営支援ブログでわたしは、夏休みが終わって小学校に登校できなくなるこどもの居場所として、放課後児童クラブが利用できれば良い、と投稿しました。今回はそのブログ記事を若干、手を入れて再掲載します。学校に行けなくなったこどもを目の前に不安にかられる保護者さんと、こども家庭庁や政治家のみなさんに届けたい内容です。放課後児童クラブは「放課後」という文言が付いてはいますが、本質的には「こどもが成長していく場所」です。であれば、不登校状態のこどもが過ごす場所として機能したっていいじゃないか、というわたし(萩原)の考え方は全く変わっておりません。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<休み明けの不登校、無理に行かせないで>
夏休みが終わって次の学期が始まるときに、不登校状態になるこどもが多いと言われています。私が勝手に言っているのではなくて、インターネットで検索すればいくらでもその理由や背景を説明している記事や特集サイトを見つけられます。いろいろな理由に基づく心理的な不安が過度になり、行動となって現れるのが不登校状態であるとしたら、こどもが苦しんでいる心理的な不安を、ゆっくりと丁寧に除去したり安心感で補ったりすることが必要ですね。
不登校状態のこどもが、どの場所でなら安全地帯として過ごせるのかは、100人の子どもがいたら100通りの希望があるでしょう。学校の教室は無理だけど保健室なら大丈夫、というこどもがいれば、自分の部屋でなければ不安で押しつぶされそうというこどもだっているでしょう。その中でも、「いつも自分の事を気にかけて話しかけてくれる、学童の先生が、そばにいてくれるとうれしい」というこどもが、いるかもしれません。いや、きっといるでしょう。
そういうこどもたちが、自分の安全地帯となる居場所として、1学期や夏休みのうちに通っていた放課後児童クラブを望むなら、私は子育て支援の仕組みとして、児童クラブは積極的に不登校状態で苦しんでいるこどもと保護者の支援に取り組んでいくべきだということを、繰り返し訴えたいのです。
<国は前向きに対応するべきです>
もちろん、現状では、例えば午前中から不登校状態のこどもを受け入れるための準備や態勢が児童クラブに整っているわけではありません。そういう事態に対応することが想定されていないので当然です。しかし、現実にはおそらく間違いなく、児童クラブであれば行ける、行きたいという不登校状態のこどもがいる。そのこどもたちに安心できる居場所を提供し、それによって保護者の不安を軽減し、児童クラブが保護者、小学校と連携を取りつつ、不登校状態のこどもと、その保護者の生活を支援、援助していくことは、社会的にきわめて意義のある活動だと私は確信しています。それこそ、困り果ててしまう子育て世帯への実に心強い子育て支援になるでしょう。
児童クラブの側にしても、放課後児童健全育成事業だけでなく、不登校状態のこどもの支援、援助が法的に定められた正式な任務、業務とすることが、充分恩恵のあることと理解するべきです。不登校状態へのこどもへの支援が、さらなる子育て支援の仕組みとして児童クラブの任務に付与されることで社会における存立基盤がさらに拡大するわけです。より社会から必要とされる度合いが高まる、より社会インフラとしてその機能を発揮できるということになるでしょうか。
私は、児童クラブの意義は、児童クラブに入所しているこどもと保護者への支援、援助だけに限定されないと考えています。もちろん、児童クラブに入所していないこどもと保護者に対して直接的な支援、援助は当然できませんし契約上もその義務はありませんが、児童クラブに属していないこどもたち、子育て世帯を含めて、地域全体のこども、子育て世帯への関りを常に念頭に置いておくべきだと考えています。支援、援助はむしろ児童クラブの側からも積極的に外部に投げかけていく方向に将来的には向かっていくべきだと考えています。いまはそのような任務はまったく考えられていないので態勢もできていませんが、「地域における子育て支援の拠点」において、その数の多さと、こどもの育ちを支える専門職として位置づけられている(その専門性の充実度には議論があるのは承知の上で)有資格者が存在するという利点を生かして、地域に密着した子育て支援の拠点として機能するべきだと、私は考えています。
不登校状態のこどもの支援、援助が児童クラブに期待される機能の1つとするには、児童福祉法など関連法令の改正が必要となるでしょう。そもそも、実務上、午前中からクラブにこどもを受け入れるための態勢を確保するための予算が必要です。ですので、なかなか難しいことは承知です。しかし一方で、今の法制度であっても、児童クラブは市区町村がそれぞれの事情に応じて実施できる仕組みです。全国各地の児童クラブの状況をわたしは自治体のHPで公開されている情報を基に点検していますが、幼稚園児や中学生も限定的に受け入れている自治体だってあります。地域の実情に応じて、市区町村が「その気」になれば、わたしは不登校の小学生のこどもを受け入れる児童クラブを設置、運営することだってできるはずです。
当たり前ですが、不登校となったこども全員を児童クラブで受け入れなさい、と主張してはいません。100人の不登校のこどもがいたとして、その中で何人か分かりませんが、5人でも10人でも「学校には行けないけれど、学童なら行けるかも」というこどもだけの対応でいいんです。また、児童クラブに入所していない子どもであったとしてもいい。不登校で一番苦しんでいるこども自身が、自分で選択した過ごし方で元気になる、その手段として児童クラブが必要だ、ということであれば(そしてその必要性はきっとあるものだと私は信ずる)、社会はそのこどもに寄り添っていくべきです。それが「こどもまんなか」の1つのスタイルでしょう。
国は、不登校に悩むこどもが、その子なりの生き方を確立するまで、仮に児童クラブが有効だということであれば、不登校のこどもの支援、援助ができる法的な根拠と予算の裏付けを直ちに付与するべきです。いまは、就労等による留守家庭児童のこどもを対象としている児童クラブの仕組みですが、これに不登校状態など何らかの問題に直面したこどもたちへの支援をも事業に加えるということです。国が議論して決めていくべき問題です。そして市区町村は、地域の実情に応じて児童クラブを実施できるのですから、国の動向を待つまでもなく率先して取り組むべきです。
「わが街は、すべてのこどもに寄り添うまち」として、不登校のこどもに寄り添う姿勢を打ち出す自治体があるとしたなら、わたしはそれも自治体にとって素晴らしいアピールになると考えます。児童クラブを含めて既存の社会福祉制度や資源を存分に活用し、不登校のこどもに寄り添う施策を打ち出せる自治体には高い評価が社会から湧き上がるでしょう。
生臭いことを失礼を承知で書きますが、不登校のご家庭は案外と保護者が社会的な地位が高いとか年収額が高いとか、経済的にゆとりのある家庭も多いような気が私にはします。そのような世帯が「安心して、こどもに寄り添ってくれる施策があるから、家計を支えるために働き続けることができる」として、その自治体に転入してくることだって考えられますよ。不登校のこどもの家庭では、こどもの将来を心配すると同時に、こどもが心配だから仕事を続けられない、仕事が休みがちになってしまうというのも保護者の大きな悩みどころです。それを、こどもの育ちの専門家が丁寧にフォローすることを打ち出している自治体であれば、保護者も安心して暮らすことができます。所得が高いので住民税も高めになるでしょう。
<児童クラブの側も積極的に>
今は人手不足、待機児童も出ていて施設に余裕がない。不登校の子どもと対応する職員に人件費の補助がない。こどもたちが下校してきたときにどうする? いろいろな疑問、問題があるでしょう。「だから無理」とか、「意義は分かるけれど、国が決めてからの話」ではないのです。児童クラブの側は、不登校状態のこどもの支援に意義を感じていないのでしょうか。そんなはずはないと私は信じています。児童クラブで働く人も、運営に勤しんでいる人も、すべてのこどもが幸せに過ごすことを願っているはずと私は信じたい。
こどもの育ちと、子育ての保護者を支えるということが児童クラブに求められる事業の軸であるという基本的な理解があれば、不登校状態のこどもの支援にも意義があり、そこに児童クラブが乗り出すことの意義もまた、児童クラブの方々にはきっと理解されるであろうと私は期待しています。今はできない、無理だというのはその通りですが、制度を整えつつ、「できるところから」始められるところはぜひ始めてほしいと考えます。午前中から受け入れて学校に登校したこどもがクラブに登所してくるまで受け入れるとか、小学校や行政と仮に受け入れるとしたらどのような情報共有体制が必要か、ということの検討から始めるとか、いろいろ、手を付けられることがあるでしょう。
私がもっとも嫌なのは、「児童クラブの任務は、クラブにいるこどもたちへの支援です」と、凝り固まった固定観念のままその他の考え方を排除する姿勢です。そのような姿勢では、限られた社会資源への支援の原資を割り当てるにはふさわしくない、費用対効果に劣る存在だと社会全体に見なされる可能性がありますよ。「だったら民間企業にどんどん任せよう」と、それこそ、高額な費用を企業に支払って不登校状態のこどもの受け入れとその解決を民間の商業ベースで解決、対応させようとすることが不登校状態のこどもと家庭の支援として、国が標準的な制度として設定していく(それを「市場化」と呼びます)ことになりかねません。すでに放課後児童クラブそのものは、そうなっていますよね。どんどん営利企業が「儲かるから」といって参入していますよね。不登校状態のこどもと保護者の支援もまた同じ道をたどる可能性が大いにあります。
児童クラブの側も、自分たちで出来る、ほんのわずかなことからやってみてはいかがですか。例えば、児童クラブに在籍しているこどもや保護者を対象にするだけでも、アンケート調査を行ってみる。「学校に行きたくないとき児童クラブなら行けるということが考えられる?」とか、「夏休みや春休みが終わった時、こどもが学校に行くのを嫌がるようなことがありましたか?」「こどもが学校に行けない状況になったとき児童クラブで受け入れることができるようになることに対してどう思いますか?」など、意識調査から始めてみる。クラブ単独でも、連絡協議会単位でもいいでしょう。また、職員同士で不登校状態のこどもにどのような支援、援助、かかわりを持つことができるか、その際の克服が必要な課題、問題は何か、どのような効果が期待できるか、広くなんでも話し合ってみる機会を持ってみてはいかがでしょうか。その小さな動きがやがて社会に大きく広がっていくことになるかもしれませんから。
(お知らせ)
<新着情報!>
2025年6月から放課後児童クラブ(学童保育所)の新規設立と日本版DBS制度への対応に際してご相談者様、ご依頼者様からのニーズに万全対応を期すべく「イオリツ行政書士事務所」(佐久間彩子代表)と、業務上において連携することと致しました。
弊会に寄せられた児童クラブ新規設立のご相談、ご要望に際しては、児童クラブ全般の説明や業務設定の支援を弊会にて行い、クラブ設立に関する具体的な相談や手続きにつきましては、イオリツ行政書士事務所にて対応となります。また、日本版DBS制度につきましては、弊会は事業者の労務関係面の対応助言や必要規程の整備を担当し、イオリツ行政書士事務所が制度の説明や、認定事業者を得るための具体的な手続きの説明や代行面を担当いたします。
佐久間氏は、「日本一、学童保育に詳しい行政書士を目指す」として2025年度から事業を開始された気鋭の行政書士です。児童クラブに関しても豊富な知識を有しており、また実際に保護者運営系の児童クラブの利用者であり運営にも関わっておられるので、児童クラブに関する業務についてはまさに最適任です。
児童クラブの新規設立や運営主体の変更の手続き、また日本版DBS制度の全般的な相談には、ぜひとも「イオリツ行政書士事務所」まで、お問い合わせいただけますと幸いです。
「イオリツ行政書士事務所」(https://office-iolite.com/)
代表者:佐久間 彩子(さくま あやこ)
所在地:〒231-0048 神奈川県横浜市中区蓬莱町2-6-3 KOYO関内ビル406
もちろん、イオリツ行政書士事務所は日本版DBS制度についてきめ細やかな事業者様のサポートが可能です。
・認定取得に向けた申請書類の整備/相談
・導入/管理体制の構築、運用のサポート
・職員/保護者向けの説明サポート
・制度や法令に関する最新情報の提供
・就業規則等の整備、労務関係面の対応助言(弊会も連携して対応いたします)
日本版DBS制度についてのご相談は、弊会並びにイオリツ行政書士事務所まで、ぜひご相談ください。(https://dbs.office-iolite.com/)
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弊会代表萩原ですが、必要な手続きを経て2025年9月1日付で、社会保険労務士として登録となります。埼玉県社会保険労務士会大宮支部となります。同日付で「あい和社会保険労務士事務所」を自宅にて開業いたします。詳細は後日、ブログに投稿いたします。同日以降は、社会保険労務士としての業務は「あい和社会保険労務士事務所」で、放課後児童クラブ(学童保育所)の個別具体的な運営支援については「あい和学童クラブ運営法人」で分離してお引き受けいたします。「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽に児童クラブについての講演、セミナー、アドバイス、メディア対応についてご依頼ください。
※新着情報はここまで。「お得情報」が下にあります!
〇弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない、あらゆる児童クラブを応援しています。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。
さらに運営支援からの書籍第2弾として、放課後児童クラブを舞台にした小説「がくどう、序」を発売しました。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。もちろんフィクションですが、リアリティを越えたフィクションと、自信を持って送り出す作品です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いたハートフルな作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説です。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。
この2冊で、放課後児童クラブの世界をかなり知ることができると運営支援は自負しています。いわゆる日本版DBS制度において、放課後児童クラブと関わりができるであろう弁護士や社会保険労務士、行政書士といった各士業の方々には、放課後児童クラブの世界を知るにはうってつけの書籍となっています。他の業種、業態とかなり異なる、ある意味で異質の業界である児童クラブについて知ることができる、運営支援からの2冊を士業の方々には、ぜひご活用ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)