これから放課後児童クラブ(学童保育所)を利用する保護者の方々に向けてお伝えする「初めての児童クラブ」。その1
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
あと1か月ちょっとで、新年度です。小学1年生になるお子さんがいて、放課後児童クラブ(学童保育所)を利用することになる方も大勢いるでしょう。いまや小学1年生の2人に1人が児童クラブを利用しています。地域によっては1年生のほとんどが児童クラブに行くということも珍しくない時代です。「初めて学童を利用するのだけれど、大丈夫かしら? どんな困り事にぶつかるのかな?」という不安を持っている方もきっといらっしゃるでしょう。今後不定期に、初めて児童クラブを利用する保護者さんに向けて児童クラブのあれこれを紹介していきます。
※2026年2月21日(土曜日)の運営支援ブログは投稿を行いません。他、予告なく投稿を休む場合があります。ご承知おきください。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<児童クラブは、みんな違います>
小学生になったこどもが過ごす場所が、放課後児童クラブです。学童保育所とも呼ばれたり、~学童クラブと呼ばれたり、地域によって呼び方は様々です。どうして呼び方が様々なのかは単純そうで奥が深いハナシになります。この運営支援ブログでは単に(児童)クラブと書いています。様々な呼び方があるのは、簡単に言ってしまうと「児童クラブは何でもありの世界だから」です。
ということは、児童クラブは地域によって、正確に言えば運営する事業者ごとに、「どういう運営内容なのか」「どういう理念をもって実施しているのか」が異なっているということです。例えば、ある会社にこれから児童クラブを利用することになる人AさんとBさんがいて、それぞれ違う市区町村に住んでいるとします。
「こんど利用することになるクラブは弁当を頼めるから便利。4月からの春休みも頼めるの。1食500円だけれど。そっちはいくらするの?」とAさんがBさんに尋ねました。Aさんは(うちのクラブは休みに弁当を頼める、というのは他の地域でも同じようにできるはずだ)と、無意識に思ったから聞いたのですね。ところがBさんは「えっ? そっちは休みに弁当を頼めるの? こんどうちの子が入るクラブは春休みからもう弁当作りだよ」と驚いて答えました。
このような地域による児童クラブの「中身」に違いがあることが、児童クラブの世界の特徴です。ある地域では午後6時30分に閉所するのでそれまでに迎えに行く必要があれば、ある地域では午後7時30分まで開いているので少し残業してもお迎えに間に合う、ということがあるのが児童クラブの世界です。
児童クラブのことをあれこれ考えたり話したり情報交換をしたりするときには、「児童クラブは、地域によって、運営する母体によって、全然中身が違う」ということを、最初に押さえておきましょう。
<児童クラブは何をするところ?>
「そんなの分かり切っているわ。こどもを預かってくれるところでしょ?」と思ったそこの読者様、違います。「なるほど!ザ・ワールド」(あまりにも古すぎる)なら愛川欽也が「はい消えた」と言って次の人のところに行ってしまいます。
児童クラブは、「こどもが大人に育っていく過程の場所」です。こどもが成長するために必要な2つの要素を含んでいる場所です。それは「適切な遊び及び生活」の場所なのです。決して、こどもをただ単に預かるだけではありません。こどもを受け入れて(外形的には確かに「預かり」ますね)、そこでこどもが成長する上で、児童クラブで働いている職員たちが、必要な援助と支援をして、こどもの成長を後押しするのです。「必要な援助と支援」というのが難しいところですが、基本的には、こどもたちが自分たちの考えた方針や姿勢で過ごしていくときに、うまくいかなかったり戸惑ったりすることを児童クラブの職員たちが支えていく、ということです。「あれをしなさい、これをしなさい」と職員がこどもたちに常に命令しつつ過ごさせるという場所ではありません。(集団生活の上で必要な指示を職員がこどもたちすることは、当然にありますよ。おやつの時間になるから手を洗ってください、ということなどです。)
ですので、児童クラブは何をするところ? という質問には、「こどもたちが人間として育っていく上で必要なことを、集団での生活を通じていろいろと身につけていくところ」というのが答えになるでしょうか。社会で生きていく上で必要な、ルールを守ることや第三者との距離感、コミュニケーション能力も身につけていきます。宿題もします。こどもたちが自分たちの力でそれらを身につけていくことを、児童クラブで働く職員は支えていくといういことです。
ということで、これも絶対に覚えてほしいのですが、「児童クラブで働いている職員は、単にこどもたちを預かっているだけの仕事をしているのではありません」ということです。
もしも、お子さんが通うことになった児童クラブの職員が、はたから見ても、こどもを怒鳴りつけているとか、ぞんざいに扱っているように思えたら、それはすぐに地元の役所や児童クラブ運営事業者本部に連絡したり相談したりしてくださいね。
<勉強はさせないの?>
保護者としては、児童クラブに行っている時間で宿題はもちろん、いろいろ勉強させてほしい、勉強の習慣を身につけさせてほしいという気持ちになるでしょう。これはですね、児童クラブを運営する事業者ごとに取り組み方が違います。
まず基本的に児童クラブは「適切な遊び及び生活の場」と位置付けられているので、学習塾や英会話スクールとは違います。ですから、「児童クラブで過ごしている時間は、まず勉強。次いで勉強。その次も勉強。勉強の合間におやつをしたり遊んだりします」というのは、正確にいえば児童クラブとは趣旨が異なります。ですが、児童クラブは千差万別です。現実的に、勉強第一に過ごさせる児童クラブもあります。そのような児童クラブは多くの場合は「民間の企業や団体が開いている児童クラブ」です。自治体が設置している児童クラブでは、そこまで勉強第一で過ごさせる施設はほとんどありません。
とはいえ、家庭の役割をある程度代行するような生活の場でもあるのが児童クラブですから、宿題をする時間をたいていの児童クラブでは設けています。つまり、家庭と同じように宿題をする習慣づけを児童クラブでも意識している、ということです。
宿題をどこまでやるかの点について、「宿題を最後まできっちり終わらせる」か、「やるかやらないかはこどもに任せる」という違いが運営する事業者ごとにあります。ですので、お子さんが通うことになる児童クラブにおいては、宿題に関する方針について事前に確認しておきましょう。「プリントや計算ドリル、漢字ドリルは最後までこどもにやってもらいますが、国語の音読の宿題はご家庭でやってください」という児童クラブもあります。ただ、正解にたどり着くまで勉強内容を指導するような児童クラブは、民間が設置して勉強をアピールしている児童クラブ以外では、多くないといえるでしょう。
これはつまり、勉強をしっかりさせますよ、とアピールしている児童クラブがある、ということです。そういう児童クラブを利用する家庭も多いです。ただ一般的に利用料は高めになります。利用料については次回以降、取り上げますね。
<遊んでばかりで、バカにならない?>
児童クラブにこどもを迎えに行ったとき、施設内や学校の校庭でこどもが遊んでいる様子を見かけることになるでしょう。迎えに行ったときはいつもこどもが遊んでいる。こどもに話を聞くと遊びの話しばかり。「学童で過ごしている時間、もう少し勉強させてほしいのに」と不安になったり不満を感じたりすることも多いでしょう。
児童クラブは「放課後児童健全育成事業」というのが正式な国の呼び名です。「健全育成」という文言が入っていますよね。こういう言い方はわたくし萩原は大嫌いなのですが、「ちゃんとした社会人になっていくように育てていく」という意味が込められています。そこには勉強や学習への意欲を持つ、難しい問題にぶちあたっても乗り越えていく前向きな気持ちを育てる、ということも含まれます。
そのような気持ちはよく「自己肯定感」と呼ばれます。失敗や難問に直面したとき「あーあ、わたしはやっぱりだめだ。どうせうまくいかないよ。わたしはダメ人間だから」といつも落ち込んでしまうよりも、「うーん、これは難しい。ではこうしてみようか。ああしてみようか。今回は失敗したけれど、練習して次はうまくいくようにしよう」とか「これはさすがに無理ゲーだから、今回は回避していつかチャレンジしよう」というような、前向きに物事を考えていく自分を受け止めることができるのが、自己肯定感です。
自己肯定感をはじめとして、人が集団生活、社会生活の中で「うまくやっていける、うまく立ち回れる」という種々の能力を「非認知能力」とざっくばらんに呼んでいますが、児童クラブでは、「遊び」を通じてその非認知能力を徐々に育てているのです。遊びは、多人数であれ少人数であれ、ひとり遊びであれ、人間がいろいろな能力を磨き、育てる絶好の機会なんですね。ルールを守る、ルールを新たに作る、リスクを乗り越えて挑戦する、他者との調整や思いやり、配慮も学んでいけるのが遊びです。つまり、遊びをたくさん経験することで、人間としての総合力を育てていけるとも、言えるでしょう。遊びを通じて身につけた能力、経験が、やがていろいろな勉強をしなければならない時期に、役に立つ可能性が大いにあるのです。
「よく学び、よく遊べ」といいますが、順番が逆の方が正しいとわたくしはいつも感じます。「よく遊んだあとで、よく学ぼう」です。これはもう、異年齢で多人数で過ごす機会が児童クラブ以外にはほとんどない現代社会において、児童クラブならではの強みだと、わたくしは考えています。
ですので、遊んでばかりでバカにならない? という不安には、「大丈夫。たくさん遊んだこどもほど、勉強にも取り組める姿勢が育ちますよ」とお答えしています。(むろん、得手不得手はありますよ。児童館学童育ちのわたくしですが天文気象の仕事を夢見た時期もありましたが数学がからきしダメでしてね。一方で国語関係はまあまあできて中学生のときに大手予備校の全国模試で全国9位になったこともありやした。いまでも数字はとてもじゃないけど無理です。)
児童クラブに行っているときは、こどもに、たくさん遊ぶ時間を確保してくださいね。工作の時間もあります。計算は苦手でも工作が得意なこどもだって大勢いますよ。なんといっても今の時代、手に職がある仕事の方が稼げますよ。
このシリーズ、不定期に続けていきます。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
