こどもと職員が「密」に過ごす放課後児童クラブ(学童保育所)だからこそ注意したい「麻しん(はしか)」。福利厚生面での対応も。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
「密」ということば、ちょっと懐かしい響きです。つい数年前の新型コロナウイルス流行期には「密になっていない?」「これ密だよね?」と当たり前に話していた日常がありました。放課後児童クラブはどうしても「密」の環境です。そこで気を付けたいのは「麻しん」、いわゆるはしかの流行の様子です。児童クラブは感染症が拡大しやすい環境ですから、麻しんの流行のニュースが報じられている今こそ、改めて感染症拡大防止について児童クラブで話し合ってください。そして運営事業者は、職員を守る姿勢を打ち出すことを考えましょう。
※当面、ブログ投稿をSNSで告知いたしません。外部URLをX(旧ツイッター)に投稿することを繰り返すとアカウントが凍結されるおそれがあるようです。凍結されたら一大事です。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<学年閉鎖とは!>
麻しん(はしか)で学年閉鎖が出た、という驚きのニュースです。ヤフーニュースに2026年4月21日20時12分に配信された毎日新聞の「児童や教員18人、はしか感染 新宿の小学校で学年閉鎖」との見出しの記事を一部引用します。
「東京都は21日、新宿区内の小学校で麻疹(はしか)の患者が増えたことから、学年閉鎖になったと発表した。都内では同日までに今年計180人が感染」
「都保健医療局によると、9日からこの学校の10代の児童と40代の教員計18人が発熱や発疹などの症状があり、感染が確認された。全員、渡航歴はなかった。20日から1週間、学年閉鎖となった。」(引用ここまで)
麻しんが流行していることは最近ひんぱんに報道されています。「今年のはしか患者数299人、昨年1年間の報告数を上回る…東京108人が最多」(読売新聞オンラインが2026年4月21日18時40分にヤフーニュースに配信)の見出しの記事によると、「 麻疹(はしか)の患者数が、今年に入って12日までで299人(速報値)になったと、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が21日発表した。12日までの直近1週間は56人で今年最多となり、昨年1年間に報告された患者数265人を上回った。」とあり、ものすごい勢いで、麻しんの患者数が増えていることが分かります。
わたくし萩原は、あの新型コロナウイルス流行時代を思い出します。もちろん、まったくワクチンがなかった状態で流行拡大となった新型コロナと、まがりなりにもワクチンの定期接種の制度がある麻しんとは前提状況が異なるのですが、新型コロナも当初(2020年)は、全国で100人、200人、300人などと日に日に細かな増減を繰り返しながらどんどん感染者数が増えていったことを覚えています。
よもや麻しんがそのようにならないように願います。
<専門家に学ぼう>
麻しんの具体的な情報、例えば感染の仕方や症状については専門家に教わりましょう。インターネット検索でも、たくさんの麻しんに関する情報を手に入れることができますが、医療に関することは専門家に教えてもらうことが最も確実で安心で、信頼性があるものです。
麻しんは非常に恐ろしい病気であるとインターネット検索で知ることができます。対策もいろいろ見つかります。ですが、ネット検索でいくらでも麻しんの知識は仕入れることはできても、医療の専門家からしっかりとした根拠や説明を受けてことを信じるようにしてください。この運営支援ブログにはあれこれ麻しんについて書き連ねていますが、信じるべきのはやはり医療の専門家から教わる内容です。
麻しんの流行拡大に備えたいとして、児童クラブ運営事業者は地元の自治体に研修や教えを受けることについて相談してください。保健所や、自治体の保健センターから保健師さんを派遣して説明してもらうこと、配布資料を作成するとしてその内容について監修を受けることなど、児童クラブにおける麻しん対策に乗り出しましょう。
なぜなら、特に放課後児童クラブは感染症が拡大しやすい環境にあるからです。麻しんの感染力の強さもよく言われるところです。正真正銘の空気感染です。であれば、まだ感染者が身近にいない地域であればなおさら、麻しんへの対策対応についてしっかり学び、もしも感染者が身近に出たならどういう対応が必要かについても、地元自治体の児童クラブ担当者に相談しつつ、事業者として対応方針を確立してください。
児童クラブに策定が義務付けられている安全計画には感染症への対応についてのマニュアル整備や職員を対象にした感染拡大の訓練実施について記載があることでしょう。麻しんについては今までその感染拡大が広く認知されていなかったので記載されていない場合もあるでしょう。今回の事態を機に、麻しんに対する対応について盛り込みましょう。
<隠さないこと>
報道で、麻しんに感染して発症した人の行動ルートが公開されていることに気づいた人がどれだけいるでしょうか。〇月〇日に、どの鉄道を利用したとか、どの公共施設に立ち寄ったとか、結構詳細に報道されている場合があります。つまりそれが麻しんの恐ろしさなのですね。
「学校における麻しん対策ガイドライン」(第二版)が公開されています。作成は国立感染症研究所感染症疫学センターで、監修が文部科学省、厚生労働省。平成30年2月に作成されたものです。この中に、次の記載があります。
「(1)情報の収集
①麻しんを発症した児童生徒・職員等に関する情報(症状や発症日、行動歴など)
②学校に在籍する児童生徒・職員等の健康状態に関する情報
欠席者を把握し、その欠席理由として麻しんと診断されている者の有無を確認する。また、欠席していなくても発熱、発しん、せき、鼻水、目の充血等、麻しんを疑わせる症状を有する者が他にいないかを把握する。
③当該児童生徒・職員等の発症後、教室や体育館など同じ空間にいた可能性のある児童生徒・職員・保護者を含む来訪者等の把握及びその健康状態に関する情報
④近隣地域での麻しん発生に関する情報(以下略)」
「(2)児童生徒等及び保護者への情報提供
当該学校に在籍する児童生徒等及び保護者に対して、次の情報を提供する。また、提供する情報の内容に関しては、所管の保健所や保健センターに相談することが望ましい。
① 当該学校の在籍者に麻しん患者が発生したこと(患者の発症日や立ち寄った場所などについても把握次第、提供する)。
② 発症した児童生徒・職員等と同じ空間にいたなど感染の可能性がある児童生徒等(予防接種歴・罹患歴がある者を含む)は、厳重監視期間中は登校前に検温を行う必要があること。
・ 検温の結果、37.5℃以上の発熱を認めた場合は、麻しん発症の可能性があるため、理由を報告の上学校を欠席し、速やかに受診する必要があること。
・ 医療機関を受診する際には、電話であらかじめ学校内で麻しん患者が発生していることあるいは流行していることを伝え、待合室等で他の患者と一緒に待つことのないよう事前に受診の方法を確認してから受診すること。
・ 受診の結果、麻しんまたはその疑いがあるとされた場合、速やかにその事実を学校等に連絡すること(校長は学校保健安全法に基づき出席停止の措置をとることができる)。」
これは学校における対応を示した内容ですが、児童クラブについても類推して考えておく必要がありそうです。自治体もしくは自治体の保健衛生行政担当者と相談してください。内容でわたくし萩原がとても気になるのは、「当該学校の在籍者に麻しん患者が発生したこと(患者の発症日や立ち寄った場所などについても把握次第、提供する)」という一文です。つまり、麻しんに関して情報を隠すな、ということです。それは広く状況を知らしめて個々の対策を強化することが感染拡大の抑止に少しでもつながる、更なる流行の拡大を防ぐという観点からでしょう。
児童クラブについてはこの広報周知が弱点であると運営支援は常々感じています。すみやかに必要な情報を児童クラブ利用世帯に伝えること。その際に伝える内容について行政とも確認する必要があるとして、行政と速やかに広報内容の確認ができるように事前に打ち合わせをしておくことが必要です。
(そうしないと、ややもすると自治体の事務対応スピードが遅くなりがちで、当日昼前に広報内容の確認を行政担当課に求めても行政内部の確認や決裁に時間がかかってしまい広報開始が夕方、時には翌日までずれこむ可能性がゼロではありません。とにかく、行政内部の意思確認の手続きには時間がかかるものです。)
<事業運営者に考慮してほしい福利厚生>
運営支援ブログは常々、こどもたちが罹患しやすい感染症に児童クラブ職員も罹患することが多い状況を鑑みて、そのような場合には特別の有給の病気休暇を用意して職員の福利厚生に努めるよう訴えています。それが職員にとって何よりの安心になり、雇い主への感謝につながるからです。なにせ、児童クラブはただでさえ給与が安い。時給で働いている職員も多い。こどもたちがかかった病気が自分に移ったので仕事を休まざるを得なくなって、それで何日も仕事を休むと収入額ががくんと減る可能性が高いからです。職場での感染症罹患の可能性がそれなりにあるので、事業主としては職員への配慮をしましょう、ということです。
児童クラブの事業者は中小零細規模が多いこと、また全国各地で児童クラブを運営している広域展開事業者であっても、その代表的な事業者では「月~金の間でシフトに休みを入れるときには年次有給休暇を使うこと。長期休暇を設定するときも同様」と、実にひどい雇用労働条件を平然と提示しています。そんな条件だからどこの児童クラブでも人手不足なんですよ、とわたくしは呆れています。福利厚生がなかなか充実していない業界であるのは否定しがたい事実です。
麻しんは必ずしもこどもたちが学校で罹患しやすい感染症であるとは言い難いでしょう。電車だってショッピングセンターだってどこの場所でも見知らぬウイルスキャリアーから感染してしまうことが大いにあります。とはいえ、「密」の状況にある児童クラブです。多くのこどもたち、そして職員と密の世界で従事する仕事です。麻しんの場合はその強烈な感染力から一気に1つの支援の単位や1施設内で多数の患者が生じる可能性があります。1週間程度は休むことになったとして、その日数分がまるまる給与が出ないこととになったら、たたでさえ満額もらえる給与が多くない児童クラブ職員はもう生活に困る状況になります。
ですので、運営支援はぜひとも児童クラブ事業者に勧めたい。麻しんや新型コロナウイルス、季節性インフルエンザだけはせめて年間10日、少なくても5日分は特別の年次有給休暇(有給の病気休暇)を就業規則にて設定してください。また、インフルのワクチン接種料金に一定の補助を出してあげてください。事業者で2,000円も補助すれば、自治体が設定している各種補助と組み合わせれば、ほぼ費用負担なしでインフルのワクチン接種ができる可能性があります。
そういうきめ細かい雇用労働政策が安心できる福利厚生の確立となります。
なお、病気休暇がある事業者の場合、無給としている場合が一般的でしょうか。無給の病気休暇の場合、ノーワーク・ノーペイの原則から、時給制の場合は当然勤務をしていないので賃金報酬は発生しないので使った病気休暇の日数、勤務時間合計分の賃金は発生しません。つまり手取り額が減ります。月給の場合も同じノーワーク・ノーペイですから月の基本給を1日あたりまたは時間あたりの賃金に換算して病気休暇を使用した日数、勤務時間数分だけ賃金を控除することになります。つまり手取りが減ります。
有給の病気休暇にすれば、仕事をしたと同じ扱いですから休んだとしても手取りが減ることはありません。もちろん当たり前ですが事業主にとっては経費増になります。仕事を休んだ人の労働力を補う新たな職員が必要ですから、その分の賃金を用意することになるのです。しかし、児童クラブにあっては「社会経済活動を支える上で重要な社会インフラ」であるがゆえの公の事業です。運営事業者は社会が求めている重要な事業を営んでいるという理解を正しく理解して、その事業に従事している人をしっかりと支える意識を醸成していただきたいと運営支援は希望します。
何より人手不足な業界なのは、働く人を大事にしないから。大事にしているかどうかは、報酬だったり休みの日数という分かりやすい形ですぐに判定できます。このことは運営事業者だけではなく市区町村、ひいては国にも言えることですよ。
ちなみに無給の休暇と欠勤の違いは、欠勤の場合は種々のペナルティの対象になりうること(事業者が定めている懲戒処分の対象)、年次有給休暇の付与日数算定に関わることなど、労働者にもちろん不利になります。無給の休暇はそれを行使したからといって職員に不利益な扱いをしてはなりません。まして、インフルや麻しんになった職員が年次有給休暇を行使したいといっても「有給ダメ。無給の病気休暇とします」と事業主が一方的に指示することは許されません。年次有給休暇の行使は当然に職員労働者の権利ですし、その行使の事由に制限は基本的にありません(職場放棄のために年休を行使する等、限られた事由は別です)。よってインフルや麻しんになった職員が年休で休みたいと申請したときには拒んではなりません。
なお運営支援は有給の病気休暇の設定を推奨しているのは前述の通り。まとまった年休消費が必要となるインフルや麻しんでの休みで年休日数がどんどん減るのは最終的にどうしても休みたいときになって年休がゼロ日になってしまい、やむなく欠勤となる最悪の事態を回避できる可能性が高まるからです。
<まとめ>
・麻しんが大流行の兆し。麻しん対策について児童クラブ運営事業者は取り組みましょう。
・行政と相談し医療の専門家を招く、意見を聴くなどして対応を講じよう。
・麻しんなど集団生活による感染リスクがある感染症に対して児童クラブ運営事業者は有給の病気休暇を設けて職員を守る体制を構築しよう。それが基本給が低い児童クラブという職種における、感謝される福利厚生になります。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
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「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)



