「学童落ちた」とは何ですか

 学童保育所(放課後児童クラブのことを指している場合がほとんどです)に入所ができなかった保護者たちは例年1~3月ごろに、旧ツイッターなどSNSに、「#学童落ちた」と投稿します。それをメディアが「小1の壁」として取り上げることが、この数年来、見られるようになってきました。

 つまり「学童落ちた」はSNSのトレンド入りするキーワードです。

 この話を聞くと、今お子さんが中学生ぐらいの子育て世帯なら、同じくインターネットから始まったトレンド「保育園落ちた日本死ね」が社会問題となったことを思い出すのではないでしょうか。あのときは日本全国がこの話題に包まれ、年間流行語大賞のトップテン入りして、政府も保育所保育園の大増設に踏み切りました。

 しかし、「学童落ちた」は、そこまでの社会的なうねりとはなりませんね。それには、「学童落ちない」という地域は実は日本の至るところにあって、「学童落ちた」は全国的な共感を集めるに至らないという事情があると考えられます。つまり「ふーん、学童落ちたんだ。でもこっちは絶対に落ちないから」という地域が、日本の大都市を中心に多いのです。そのような地域は、学童と通称される放課後児童クラブと、小学校の児童であればだれでも利用できる「放課後子供教室」を融合させた事業である「放課後全児童対策事業」という独自の施策を行っており、選考に漏れることなく、つまり必ず、子どもの居場所を利用できるからです。ですから、待機児童になる、小1の壁にぶちあたる、ということがそもそも発生しないのです。

 そのような地域に住んでいる子育て世帯にとっては「学童落ちた?それっておいしいの?」状態になりますね。つまり日本においては、いわゆる学童保育については全国の各市区町村ごとにその実施の内容が異なっているので、待機児童が出る地域があれば出ない地域もある、という現状になっています。よって「学童落ちた」がありえない地域も大都市中心に多いのです。では、全国で統一すればいいじゃないと思われるでしょうが、そう簡単な話ではありません。長くなるので省略しますが学童保育はもともと各地で独自に進化発展しており、法令での規制は後付けです。つまり統一しようともすでにもうあちこちで形が出来上がっていたのです。これがなかなか全国での運営に関する方針の統一化ができない理由の1つですが、いずれこの部分についても改善されることが望まれます。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)