学童保育所の耐震構造はどうなっていますか?

 学童保育所(放課後児童クラブである場合が多いです)の建物に限定して直接に耐震構造を義務づけたり耐震性を定期的に確認することを義務づける法令はありません。あくまでも一般的な法律である建築基準法によって考えることになります。

 建築基準法では、いわゆる「耐震基準」という考え方が示されています。1981年6月1日以降に建築確認が済んでいる建物は「新耐震基準」とされて地震動によってすぐに倒壊しないような強度を持っていると考えられます。2000年にはさらに木造住宅の耐震性向上を考慮した基準になっています。

 児童クラブにおいては木造住宅を転用している施設がありますが、新たに木造住宅を児童クラブとして改築して開所する場合は、2000年以降に建てられた建物を優先的に探しましょう。次いで1981年6月以降に建てられた建築物。それ以前に建築された建物は児童クラブとして利用することは、よほどの補強をする場合を除いて避けることが必要です。

 児童クラブに多い「公設民営」であれば、施設は市区町村の管理物ですから定期的に行政による耐震診断が入ることになります。民設民営の場合は事業者の責任において建物を管理することになります。毎年は難しくても数年に1度はプロの診断士にチェックしてもらうことが必要でしょう。そのような用途に使える国の補助金創設が待たれます。

 行政が児童クラブを新設する際、補助金をあてにして木造建築物を選択する例があります。国産木材の使用も大事ですが、大勢の児童が過ごす児童クラブでは、そもそも地震動に強い建物が必要です。木造建築物も地震に十分耐えられる構造で建てられますが、きわめて短時間で何十人もの児童を一斉に屋外に避難させる状況はごくまれにしか起きないとしても想定をしておくと、開口部(ドア)を大きめに確保でき、かつ、耐震性に優れる軽量鉄骨(プレハブ)建築の児童クラブの方がより適切であるとも言えます。(もっともプレハブは断熱性や遮音性に難があるのでその対策は別途必要になります)。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)