学童保育に高齢の職員が多いのは何故ですか?
学童保育の世界は、もう何十年も前からずっと人手不足です。その理由は賃金が低いことにあります。賃金が低いから仕事に見合った適正な報酬額と実感できないですし、働いてくれる人がなかなか集まらないから1人あたりの仕事量が増えてしまい、低賃金で重労働、小学校が休みの日は長時間労働まで重なります。よって、どんなに求人を出してもなかなか応募者が来ません。特に若い人の応募はなかなかありません。
一方で、団塊の世代を中心に高齢者、シニア世代の就労の意欲は高いものがあります。年金を少しでも補おうということもあるのでしょう。所得を増やしたいということ以外でも、社会に関わりたい、福祉の分野で力になりたいとして就労を希望する高齢者はとても多いのですね。当然、学童保育の求人にも多くのシニア層が応募していますし、現実的に、そうした高齢者の存在なくしてもはや学童保育は成り立たない状況にもなっています。
地域によっては、「シルバー人材センター」が、そもそも学童保育所の運営を任されている、ということもあります。
シニア層は学童保育の仕事にまったく向いていない、ということは決してありません。確かに、子ども達と一緒に走り回る、球技をして遊ぶということは限度があるでしょう。しかし学童保育の仕事は何もそれだけではありません。昔ながらの「伝承遊び」を子どもたちに伝えることもできます。立ち上がるのがやっと、というほどでは確かに仕事としては向いていないのですが、普通に動ける程度の体力があれば、動き回らないでも一緒にサッカーをしながら子どもたちの遊びの様子を観察して、子ども1人1人の社会的な成育の具合を観察して正規職員に報告することはできますね。使用者側、事業者側も、シニア層を単に体力が無い、運動ができないとして消極的な評価に終始せず、どのような点で積極的な業務を任せられるのかの検討を進めることが必要です。シニア層を上手に活用できれば、その人件費の相対的に低額な部分があいまって、事業体としては有利になります。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)