放課後児童クラブにひどい職員がいたら親はどうしたらいい?

 もし自分の子どもが通っている放課後児童クラブ(地域によっては学童保育所や、学童クラブといった様々な名前が付いています)の職員が、いろいろな点で問題があったとき、保護者はどうしたらいいのでしょう。これはとても難しい状況です。というのも、事業者や市区町村に通報、相談しても、うやむやにされることがかなり多いのです。

 もし、子どもが通う放課後児童クラブ、学童保育所にひどい職員がいたなら、次のような行動を考えましょう。
・明らかに法令違反の場合で、犯罪行為に該当すると疑える場合=子どもが暴力や暴言を浴びせられた、盗撮を仕掛けられたということがあれば、その状況を把握した時点ですぐに「110番通報」してください。特に、暴力行為をされたときには、けがの状況が証拠となります。警察の指示に従いましょう。
・明らかに法令違反の場合ですが、警察が捜査するようなものではないもの=差別行為が典型例です。人権侵害になりますから、人権に関する各機関の相談窓口に相談しましょう。法務省や内閣府、地元の弁護士会に窓口があります。その際は事前に、「こういう問題を無視できないので、関係機関に相談することにしますから」と、児童クラブを担当する地元の市区町村の担当には連絡をしておきましょう。また、多くの児童クラブは「苦情受付処理機関」を設けて運用していますので、その利用もしてください。その上で、関係機関の相談窓口を並行して活用しましょう。なお弁護士の無料相談会を利用することもいいでしょうが、市区町村が主催する無料相談会は止めましょう。市区町村の責任を追及することになるわけですから、いろいろと上手くいかない可能性があります。
・法令違反までにはいかないが、職員の行動が目に余る=これが一番難しいのです。当然、市区町村や児童クラブ側には改善を要求することになります。多くの地域では問題解消に向けて自治体や事業者は対応してくれるでしょうが、残念ながら消極的な自治体や事業者があります。このような場合は本当に大変で、「保護者の仲間を作って応援を受けながら自治体や事業者への申し入れを繰り返す」ことや「地元の議員に相談し、議会で児童クラブの運営全般の問題として行政の管理監督体制について取り上げてもらう」ことがあります。ここでは、「数が力」です。苦情受付処理機関は事業者側が運営する仕組みですから、いわば身内に甘い結果となる恐れは多分にあります。なかなか思うように解決に向けて事が進まないでしょうが、「これはおかしい!」と声を上げることが重要です。被害や迷惑を受けている側に心労を強いることになりますが、残念ですがそういう現実があるのです。

 子どもを守るはずの児童クラブで、子どもが職員から守られないという現実は、職員が子どもに暴力を振るったり盗撮をしたりで、残念ながら全国各地で今なお存在しています。そんなときに子どもを守れるのは最終的には保護者の「我が子にひどい思いをさせた人たちを許さない」という強い意志です。その意志に共感する人たちが増えればその強い意志が保護者の願いを実現させます。「これは絶対に許されない!」ということがあれば堂々と要求しましょう。児童クラブの側は常に自己を点検して質の高い事業を実施することが求められます。また制度として、利用者からの深刻な苦情を迅速に第三者が処理解決する仕組みの制度の整備が求められているといえるでしょう。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)