学童保育の労働時間は?
学童保育所(この場合、学童保育所の中核的存在である放課後児童クラブを念頭に考えます)で働く職員の労働時間は、その学童保育所を設置して運営する事業者の考え方によって大きく異なります。また、夏休みなど長期休業中と、学校の登校日によっても労働時間は異なります。大まかに言えば、労働時間を短く設定している事業者では、週の所定平均労働時間は30時間から35時間程度であり、長めに設定していているところでは週の所定平均労働時間は38時間から40時間です。変形労働時間制を取り入れている事業者も珍しくありません。
市区町村が設置し、運営も行う学童保育所(これは「公設公営」「公立公営」と区分されます)の多くにおいては、学校の登校日の労働時間を6時間~7時間45分の設定としています。これは、子どもが下校して学童保育所に登所する前の昼過ぎからを勤務時間とすることが多いためです。市区町村が設置するものの民間企業や団体が運営する学童保育所(「公設民営」「公立民営」と区分)のうち、日本各地で施設運営を行う広域展開事業者も、公営施設に近い労働時間を設定します。人件費を抑え、事業者の利益分を確保するためです。共に、有期雇用契約による勤務が中心です。
一方、NPO法人や一般社団法人など学童保育所を利用する保護者が運営に関わる事業者の場合は40時間近い週所定労働時間を設定することが珍しくありません。無期雇用の場合もあります。これは、学校の登校日にあっても、午前中から研修や、子どもの支援、援助に関する協議検討、打ち合わせを行う、あるいは組織の運営業務に従事することがあるためです。
この労働時間の差は月収の額、年収の額に明確に現れます。公営や、広域展開事業者の施設で従事する職員の多くは時給制のため、労働時間の短さは収入の低さとなって現れます。一方、非営利法人に雇用されて働く職員の場合は、他の運営形態と比べると給与額が数万円程度高めですが、組織運営に関わる業務量が追加されることで業務量が増え、過重労働になる可能性もあります。
夏休みなど長期休業中は、早ければ午前7時、遅くても午前8時に学童保育所が開所するので、どうしても長時間労働が避けられません。人手不足がはなはだしい業界ですので、「通し勤務」(開所から閉所まで勤務すること」も月に数回は行うこともあります。そのためもあって、時間外勤務による割増賃金の支払いを回避するために変形労働時間制を取り入れる事業者もあります。
つまり、「労働時間が短いが、収入も低い」事業者と、「労働時間はフルタイム40時間あっても業務量に見合った収入にはなかなかならない」事業者に分けられ、共に「夏休みなどは、労働時間が著しく長くなる」仕事である、といえます。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)