学童指導員に向いている人は?

「指導」という単語が含まれますが、いわゆる学童保育所(その中核的存在である放課後児童クラブを含む、留守家庭の小学生児童を受け入れる施設)に勤務する職員に必要なのは、「子どもが、自分の力で育っていくことを支えられる」技量です。子どもの育ちを支えることを「育成支援」と呼びます。その育成支援の中に、子どもの言動や行動に対して職員が褒めたり、同意したり、教えたり、諭したり、指導したり、あるいは叱ったりという行動が含まれると考えてください。

 それを踏まえて指導員にどのような能力が求められるかを例示します。このような能力を持っている人が、指導員に向いている人といえます。
・「子どもの主体性を理解できる」人。具体的には「子どもが考えていること、やろうとしていることを察知あるいは予測できるだけの深い知的洞察力を持っている人」。
・「物事の背景にある複雑な事象についてすぐに想像し、予想できる複眼的思考を持っている人」
・「多人数の子どもの予想外の行動や出来事に対して瞬時に処理対応の優先順位を付けてそれぞれに適した対応方法を考えられるマルチタスク能力を持っている人」
・「子どもや保護者、地域の住人としっかりやりとり、意思疎通ができる十分なコミュニケーション能力を持っている人」

 学童保育所で働くことは、高度なコミュニケーション労働といえます。人と関わることが苦手な人には、とてもつらい仕事です。もちろん、子どもの動きに合わせて体を動かす場面が多いですから、体力も気力も必要です。(決して身体障碍がある人が向かないという意味ではありません。それぞれの能力に合わせた仕事の役割分担をすればまったく問題ありません)

 そして「学童指導員」という呼称は避けましょう。決して間違いではありませんが、国の決まりでは、放課後児童クラブで働く人は「放課後児童支援員」と「補助員」です。両者をひっくるめて「指導員」と呼ぶ向きもありますし、放課後児童支援員という資格制度が始まる2015年より前は「学童(保育)指導員」という呼称を国も使っていました。しかし今は正式な名称があるのですから、放課後児童支援員や、クラブ職員という呼び方が適切でしょう。生まれたての資格ですから、資格を使う側がその資格を活用することで、社会的な認知を広め、専門性を深めていくことが求められているのです。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)