放課後児童クラブの世界に欠けている「シンクタンクの存在」。共同親権など時代の変化に適切な助言が必要なのに
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。
子ども、子育てを取り巻く社会的な環境は今も昔も日々、刻々と変わっていきます。現在なら、共同親権について国会の場で議論がされています。離婚後に子どもを育てるにあたり、現在の単独親権を共同親権にするという、重大な変更です。では共同親権の時代がくるとして、放課後児童クラブの世界にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、学童の世界との関連について、あまり論じられることはないようです。共同親権について私はまったく知識が足りず、放課後児童クラブとの関りについて論じられる能力は持ち合わせていません。報道の範囲において知識を増やそうとはしている段階です。その時点においても、共同親権について、種々の問題点があることはとても気になります。
児童クラブ運営の実務では、離婚した元夫婦間のトラブルにクラブが巻き込まれることはさして珍しいことではありません。「親権はこちらにありますから、別れた元夫がクラブに来ても、子どもを渡さないでください」と母親から依頼を受ける、ということなどがあります。では共同親権の時代になったらどうなるのか。トラブルがある場合は単独親権が認められる場合もあるようですが、共同親権との区別はどうやってするのか。事前に何か証明書を提出してもらえるのか。いろいろと、実務上、頭を抱える局面が、今まで以上に増えるのではないかと想像します。運営の実務上以外にも、子どもの育ちを支える育成支援における影響があるのかどうかなど、支援の専門家からの問題提起も必要でしょう。
共同親権以外でも、日本版DBS(こども性暴力防止法案)も、現在会期中の国会で審議されます。これら、こどもや、子育てに関する重大な制度の創設や変更と、放課後児童クラブとの関りについて、法制度や実務上の取扱い、子どもの育成支援の観点など、様々な方面から今後の展開を想定し、必要な対策、対処法を提言する仕組みが、放課後児童クラブの世界にはありません。放課後児童クラブという業界の先行きを支えるシンクタンクがないのです。業界団体はもちろんありますし、制度上の問題について国に意見書を出したり署名活動をしたりという活動はしていますが、シンクタンクとして、すでに運営をしている事業者に対してその先行きに関するヒントや重要な示唆を与えるような活動はありません。あるとすれば、法律家や大学教授といった有識者が個々の活動において意見や見解を出す、ということぐらいです。組織的にというものではありません。
本来なら、もう何十年も前から業界団体はシンクタンク的な制度を準備して折に触れて業界の適正な発展のために、進むべき道筋を提供してしかるべきでした。残念ながら、学童の世界はそれぞれの立場の正当性を守ることに固執してきたように私には思え、それがゆえに、業界全体を見渡して、業界全体の発展のために動こうという傾向はみられなかったと私には感じます。その結果どうなったかといえば、全国各地で営利の広域展開事業者が児童クラブの運営を任されるようになり、伝統的な業界団体が大事に崇めてきた保護者参加の児童クラブは急激に数を減らしています。保護者の負担感を顧みず、保護者が背負う法的責任を見て見ぬふりをしてきたそのツケがいま、急激に襲いかかってきている現状すら、まともにとりあおうとしないのですから、何をかいわんや、です。
私は、運営支援と言うビジネス(といってもなかなか皆様からご理解いただけていないのでビジネスとしてなかなか成り立っていません。もっとご理解とご協力とオファーをいただきたい!)を通じて、個別の事業者単位でその運営を支援することを行っているのですが、いわば小さな小さなシンクタンクみたいなもの。いまの放課後児童クラブの世界に必要なのは、全国にあまたおられる有識者の方たちの意見発出を組織化して、学童業界の発展(というか、立て直し)に資する大きなシンクタンクの存在です。
こども家庭庁に関する動き、共同親権など法制度に関する動き、児童虐待に対応する動き、こども支援拠出金など経済的な面の動き等々、こどもと子育て、そして放課後児童クラブへの影響について分かりやすく解説し、その後の展開を的確に予測し、必要な対応策を提示するシンクタンクが必要です。地域の業界団体が資金を拠出するなり、子どもを取り巻く環境に理解ある企業から寄付を募るなりして、早急に、放課後児童クラブに関するシンクタンクを誕生する動きが現れてほしいと期待します。
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。
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