学童保育事業運営に役立つ「小さくても大事なこと」:その2「人材(職員)募集では細かい点まで明記しよう」

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 学童保育の安定した運営に役立つ小さな、でも大事なヒントをお伝えしていくシリーズ。前回は次の事をお伝えしました。
・地域社会(住民、学校、地域の団体、議員)に、自ら実践している事業内容を継続的かつ頻繁に伝え周知する。
・発信手段はウェブサイト(ホームページ)や広報紙、地域のイベント参加等の複数の手段で。
・特に重要なのは「事業者に寄せられた利用者や地域からの要望、不平、不満、問題とその対応策の公表」。
・忘れてはならないのは「発信した」ことではなく「発信した内容が地域や住民に届いているか」。

 第2回目は、次のことを取り上げます。
・求人募集はハローワーク(公共職業安定所)と自社のウェブサイト(ホームページ)で十分
・雇用労働条件は、時間外労働(残業)と休日を特に詳細に表示しよう。
・職員募集では、自社のホームページに、しっかりと育成支援の理念を載せよう。
・訪問による説明機会を望まれたら喜んで対応しよう。職場の見学も断らないで。

 上記について説明します。特に難しいことはありませんよ。
まず、求人広告は無料のハローワークと自社のウェブサイトで十分です。といっても、今は無料のネット求人広告もありますし、使い勝手もそれなりなので利用している事業者も多いでしょう。
 大事なのは情報量です。ハローワークを利用したことがある人はお分かりになると思いますが、いろいろと細かいところまで記入を求められますよね。なぜ細かいかといえば、雇用労働条件の「捉え違い」があったら困るわけです。その点、無料のネット求人広告はもちろん、有料の広告でも、スペースの都合で、細かいところまで記載はできにくいものです。
 自社のホームページでしたら、いくらでも丁寧に雇用労働条件を掲載できますからね。なお、ネットの検索でしっかりと表示されるために、常日頃から、ホームページの更新は行いましょう。常に更新されているサイトはアクティブなサイトとして認識されるようで、検索結果で上位に表示されるようですよ。

 自社のホームページに詳細な雇用労働条件を掲載することで期待できるのは、「採用を希望する人が、求人情報だけでなくしっかりと自社のホームページを見ていろいろと情報を仕入れる機会を提供する」ことです。これは、雇用労働条件だけでなく、育成支援や事業の理念、目標を記載しているページまでしっかり目を通しているかどうか、その有無で社会人としての能力を判定できる1つの機会になりますから。

 さて、雇用労働条件を詳細に掲載することは当然です。採用に関してのトラブルは、提示や説明された雇用労働条件と、実際の雇用契約書に記載されている内容や実際の業務を行う上での説明と異なることについて発生することが多いためです。
 とりわけ、時給、時間外労働、勤務時間帯、休日についてトラブルになりがちです。よって、まずは自社のホームページに、こと細かく丁寧に書きましょう。時間外労働も正直に記載しましょう。記載をしていれば、「そんなこと聞いていなかった」という主張があったとしても、「いえいえ、そもそも、ホームページに記載してありますから」と言えますよね。当然、ホームページには、「採用を希望される方は、弊社の雇用労働条件について記載された内容を必ずご確認の上、ご連絡ください」と表示しておきましょう。 

 さて、同じように採用を希望される方には、必ず、ホームページに記載した育成支援と事業の理念を確認してもらいましょう。これが一番大事です。当たり前ですが、事業体として、理念や方向性が一致している人を採用することが優先です。というか、そうでない人を採用することは、採用後の研修や教育における効果が期待できません。現状、深刻な人手不足で「誰でも採用している」現状である事業者が多いでしょうが、育成支援や事業の理念を理解しない、あるいは理解できない人材を採用してその後の研修や教育で苦労するよりも、そういう人は採用を見送って少しでも理念や方向性を理解できる人を採用したほうが、その後に投じるコストは少なくて済むのです。

 大事なことは、ホームページに記載した育成支援や事業の理念が詳細なものであったとして、「しっかりとその内容を読んで、理解できているか」なのです。その機会を提供していることです。

 最後に、応募する前に話を聞きたい、あるいは現場を見たいという応募希望者もいると思います。このような申出には快く対応しましょう。直接、人柄を確認できる機会ですし、採用面接と違ってフリートークでいろいろな角度から知識や考え方を探ることができます。職場見学は、事業者によっては「子どもがいる時間帯に、見知らぬ人がクラブを訪れること」を警戒するため受け入れていないかもしれません。ですが、当然ながら写真撮影は厳禁の上で、求人に応募したいと考えている人を現場に連れて行って、学童の現場にどのような印象を持ったか聞いてみることで、なんとなく、向き不向きが見えてくることもあるものです。
 なお、見学に案内するクラブはなるべく固定化しましょう。そのクラブの子どもや職員も「ああ、また見学だね」と落ち着いて対応できますから。

 深刻な人手不足でとにかく人が欲しいと思う学童保育業界ですが、出来る限り、自社の特徴や特質、理念や方向性に「染まりやすい」人を選びましょう。とにかく、予算がない、教育研修を担当する人材も少ない業界ですから、ムダなコストをかけないために、一連の業務行動の上流部分(人材育成なら募集の時点。その後、採用、研修育成と進む一連の過程)からコスト削減を意識した個々の行動をしましょう。

 育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!

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