<運営支援ブログミニ65>放課後児童クラブ(学童保育所)で食物の窒息事故は必ず防ごう。そのためには?
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。(ぜひグーグルのAIで「萩原和也 放課後児童クラブ」と検索してみてください!)
ミニブログです。認定こども園で、4歳児が、凍ったゼリーがのどに詰まったことで亡くなるという、誠に痛ましい悲劇があったと報じられました。起きてはならない、起こしてはならない最悪の事案です。心より哀悼の意を表します。そして放課後児童クラブでは、食べ物による誤飲や窒息での事故事案を起こさぬよう、改めて総点検しましょう。その際に大事なことをわたくし萩原の見解としてお伝えします。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
New! ブログ後段に、【学童のすき間時間に使える、無料のクイズ・なぞなぞサイト】についてお知らせを掲載していますので、ぜひとも児童クラブのみなさま、ご覧ください!
<ただ「注意せよ」の組織は失格>
事故の防止や抑止に関して、児童クラブの運営主体が現場の職員に「こういうことが起きないように。しっかり注意をして日々の業務に取り組むこと」と通知したり、職員が集まった会合の席で役員クラスが注意を伝達する光景は、ごく普通にあるでしょう。わたくし萩原の見解では、「そんなことすらやらない運営主体は児童クラブを運営するにまったくふさわしくないが、それしかしない運営主体もまた同じだ」です。そういうのを「口先番長」というんですよ。
運営主体の幹部つまり経営陣が、窒息や誤飲事故事案の防止や抑止を現場に指示するなら、その防止や抑止にかかる業務や手順が実際に履行できるような業務の段取り、組織の能力を確保することに手を尽くさねばなりません。口先だけで「現場はしっかりやりなさい」ではありません。当然、次に示すことを運営主体は実施することです。
1 予算の確保。当たり前です。今までやっていなかったことを新たに行うのなら、そのコストがかかります。スクラップ&ビルドで他の業務を転換するのならともかく、新たに行うなら無から有は生まれません。必要なコスト、それは時間も含めてカネを確保して組織として防止や抑止の活動を実施するのです。
2 規定の整備。どんな組織でも事業を営むのなら、ルールに従ってヒトもモノも組織も動くのです。喫食時の誤飲や窒息を防止抑止する活動を組織内で始めるのなら、その活動を行う根拠をルール化する必要があります。当然そのルールには、理念と目的、具体的な手法を定めることになります。どういうルールにするのかはいろいろな組織でそれぞれ決めればいいのですが、例えば「業務マニュアル」でしょう。また、定められた防止抑止の業務を怠ったことは「職員服務規程」において服務規律違反として明示すればよいですし、「就業規則又は懲戒規程」などで処分の対象とする、と明示することも良いでしょう。つまり、ただ単に「大事なことだよね」と雰囲気だけが防止抑止を行う起動力となる、のではなくて、「児童クラブの運営主体として、喫食時におけるこどもの誤飲窒息防止を防ぐのは、運営上、当然に必要な注意義務に含まれる」と定義することが必要だ、ということです。
3 研修や演習の実施。単に「やりなさいシンジ君」(意訳)ではダメ。運営主体は、食物による誤飲窒息に関して、その研究の内容や、具体的に誤飲窒息を防ぐための研修や演習の機会を確保し、職員スタッフを受講参加させることです。専門家を招いて、定期的に、研修や演習を実施することです。つまり「現場で考えて学んでね」だけではだめだ、ということです。
なおインターネット検索で「日本小児保健協会機関誌『小児保健研究』」を見つけることができます。その中で、「食に関連する子どもの窒息事故 令和2年3月31日 小児科と小児歯科の保健検討委員会」という資料があります。そこに「学齢期は,咀嚼をはじめとした咀嚼機能がすでに獲
得されている時期であるが,何らかの理由で口腔機能の発達不全がみられたり,乳歯から永久歯への生え換わりの時期のため,「噛まない」,「丸のみ」,「詰め込み食べ」などの食べ方の問題がみられる小児に窒息のリスクが生じてくる。」と記載がされています。
まさに児童クラブでの喫食、昼食やおやつ(補食)時に十分、運営側が留意しなければならないことがこの短い文章に示されています。
こういうことを学びつつ、児童クラブでのこどもの誤飲窒息事故事案を防いでいくことが、児童クラブ運営主体に求められると、わたくし萩原は考えます。それは「組織ぐるみ」で行うことです。
4 職員だけの責務責任に限定しないこと。上記1~3は、児童クラブの運営主体がアクションを起こすことです。ここで1つ、念を押します。児童クラブの世界によくみられる「職員集団」での活動ではダメだ、ということです。職員集団というのは、「職員(指導員)部会」や「指導員会」など様々な名称ーいい加減、指導員という名称は使用禁止にしてほしいのですがーで組織され、自主的に育成支援の質の向上や、雇用労働条件改善のための勉強をしているものです。いわゆる職能集団で、運営主体を超えて複数の運営主体の職員集団が連合連携して活動することもありますね。そうなると「指導員連絡協議会」のような名称での活動になります。
いずれにせよ、児童クラブでの誤飲窒息を防ぐための、児童クラブ職員の意識の向上、技量の向上について、運営主体が主催して行うのではなく職員集団にいわば「丸投げ」することは、おやめなさい、とわたくし萩原は訴えたい。なお、運営主体が主催して行ったさらにその補強や、現場でのさらなる研究や勉強のために職員集団が積極的に誤飲窒息防止抑止の活動に取り組むことは、素晴らしいことです。当然ながら運営主体は、そのような自主的かつ重層的に行われる職員集団の活動に援助(手当を出す、時間を就業時間として認める等)するのが求められます。
5 最終的に、運営主体が行っている誤飲窒息防止の目的について児童クラブ運営組織全体で意識が共有できるようにする。共有だけではなく「もっと他にも手立て、工夫、取り組み方があるのでは?」と進歩改善の意識も育てていくこと。
<他にも大事な留意点>
児童クラブの運営主体には、保護者(現役も、卒所退所したこどもの保護者いわゆるOB保護者を含む)や、保護者や地域の方々による任意団体もありますし、そのような保護者運営の形態が法人化した非営利法人があります。実質的には、児童クラブという事業運営を専業に行っているプロフェッショナルな事業形態ではなく、いわば事業運営に関してはアマチュアである方々の運営による児童クラブも珍しくありません。
そのような児童クラブでは、日々の業務運営や業務執行を現場のベテラン職員に任せたり、あるいは運営本部や事務局があるような運営主体では専ら組織運営にかかる事務作業を担う本部・事務局職員に任せるような、運営の形態があります。
それら、プロではない経営者、運営責任者ではない方々が運営している児童クラブ運営主体では、「組織で取り組むことがなかなか難しい」という状況にあるかもしれません。しかしそんなことはあくまで組織内部の、内側の事情です。こどもをゆだねている保護者や、児童クラブ運営を任せている自治体にしてみれば、内部の事情など関係ありません。「児童クラブを運営して、日々、こどもを受け入れている事業を継続的に行っているなら、こどもの安全安心を守る絶対的に必要な事項を確実に履行せよ」と考えるのが当然であり、保護者や行政にしてみれば「当然、誤飲窒息防止抑止のためのあらゆる措置を講じていますよね?」と信じて当たり前です。
保護者運営だから、職員に任せているから、というのはまったく理由になりませんし、そのようなことを事情に挙げて「組織的に取り組むのはちょっと難しい」という運営主体があるなら、わたくし萩原に言わせればそれは「無責任極まりない運営主体」です。児童クラブを業として営む立場にいてはなりません。どんな組織であれ、誰が運営の責任、運営主体の組織経営の責任を負っているのであれ、こどもを守るために必要な措置は当然に行うべきです。それができないなら児童クラブの運営などするべきではない。
もう1つ。「そうはいっても予算が」という現実かつ具体的な要因を挙げたい運営主体もあるかもしれません。確かにカネがない児童クラブ運営主体が多いでしょう。カネがないから講師を呼べない、研修を開けない、必要な資料も買えないということがあるでしょう。しかしそれは運営主体に言わせれば本末転倒。「こどもを守るために必要な措置、取り組みを行うために必要な予算は当然に確保する。他の予算を調整、削減しても当然に最優先に確保するべきもの」ということです。
同時に、公設民営なら設置主体である地方公共団体に、民設民営で放課後児童健全育成事業について委託されていたり事業補助を受けている運営主体も、補助金を出す側つまりほとんどが自治体でしょうが、その自治体に対して、「こどもを守るために必要な教育研修を行うので、その分のコストとしてもっとお金を出してください。知識や技能がある方が自治体内部にいるなら研修講師として派遣してください」と、堂々と要求することが必要です。すぐに了承がもらえずとも、粘り強く毎年毎年、要求し続けることです。
口先だけで「事故事案を起こさないように」ではダメだということ。そのために必要なカネや人的資源を確保するために具体的な行動を運営主体は「迫力を持って」取り組むことです。
最後に生臭い点を指摘します。もちろん、最終的な目標は、児童クラブで過ごすこどもの誰ひとりとして、児童クラブで命を落としたり重大な後遺症をもたらすような事故事案を起こさないことですが、そのために行ってきた取り組みは、組織の健全さを客観的に示すことです。不幸にも、重大な事故事案が起きてしまったときに、取り組みをしっかりと行ってきたけれど起きてしまった場合と、取り組みをおざなりにしてきた組織で起きてしまった場合は、その組織の「予後」に関わります。後者であれば予後不良、つまり「そんな組織に児童クラブを任せてはいけなかった」として、児童クラブ運営から退場を迫られる事態に直結するでしょう。
「わたしたちが理想とする児童クラブを、わたしたちが続けたい」という強い覚悟があるなら、組織が持続的に安定して、質の高い育成支援を提供できるように最善の努力を尽くすべきです。そのために、こどもを守るための意識を醸成し、具体的な取り組みとして予算を確保しルールを作り研修演習を着実に積み重ねていくことが求められます。理念を掲げるだけではなくて「具体的に事業運営を任せてもらうために必要な行動をする」ことが大事だ、ということです。それこそ究極の組織防衛ですから。
(おわり)
New! 【学童のすき間時間に使える、無料のクイズ・なぞなぞサイト】
宿題が終わったあとや、おやつの前、雨で外に出られない日。放課後児童クラブ(学童保育所)では「ちょっとした時間に、みんなで楽しめる遊び」が欲しくなる場面がたくさんあります。そんなときに使える無料サイトを2つご紹介します。どちらも登録なしで、スマホやタブレットからすぐに使えます。
■クイズ図鑑(https://quiz-zukan.com/)
一般常識・雑学・ひっかけ・小学生向け・国旗・動物など21ジャンル、約5,500問のクイズを、答えと解説つきで集めたサイトです。テレビやプロジェクターに映して使える「クイズ大会ツール」には、チーム分け・早押しボタン・点数表がついていて、行事やお楽しみ会がすぐに開けます。問題用紙と答えの紙を印刷できる機能もあります。
■なぞなぞ図鑑(https://nazonazo-zukan.com/)
ダジャレやかくれことばなど、言葉遊びのなぞなぞ732問を集めたサイトです。幼児・1年生・低学年・高学年と、学年や年齢に合わせて選べます。どの問題にもヒントと答えの説明がついていて、読み上げボタンもあるので、まだ字を読むのが苦手な子とも一緒に遊べます。
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上の学年の子に問題を読んでもらうと、学年をこえた教え合いも生まれます。毎日の1問に、ぜひ使ってみてください。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
わたくし萩原が社会保険労務士となり、「あい和社会保険労務士事務所」を開業してから1年が過ぎました。ここまで続いてこれたのはひとえにみなさまのおかげです。どうもありがとうございました。「あい和社会保険労務士事務所」は、放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしてこども性暴力防止法(いわゆる日本版DBS制度を含む)に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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こども性暴力防止法に関する諸課題を5人の弁護士が各々の専門分野に関して紹介、説明するYouTubeチャンネル「こどもを守る弁護士チャンネル」。
出生までの戸籍・識別符号収集の注意点と自治体に求める支援
こちらをぜひご覧ください。「こどもを守る弁護士チャンネル」の特別版「出生までの戸籍・識別符号収集の注意点と自治体に求める支援」の動画URLです。弁護士で、自ら放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士による詳細な解説です。
「第6回子ども性暴力防止法緊急LIVE」は2026年8月12日21時半から、「災害時のこども支援とこども性暴力防止法」が登校されました。話し手は 鈴木愛子弁護士、聴き手は野田隼人弁護士です。
第5回は7月19日(日曜日)15時から、すでに施行されている「児童生徒性暴力防止法」における調査の解説です。話し手:飛田桂弁護士、聴き手:嶋崎量弁護士、鈴木愛子弁護士、野田隼人弁護士、三輪記子弁護士。
第4回が2026年6月30日に配信されました。放課後児童クラブの運営に関わってきた鈴木愛子弁護士が「こども性暴力防止法がもたらすこどもの被害申告に適切に対応できるか」をテーマに関して丁寧に説明しています。 まずは動画をぜひご覧ください。わたくしの著書「知られざる<学童保育>の世界」も紹介されています。
https://youtube.com/live/9q8xzkgs7wo?si=dr06eChxK1Jgov5T
第3回(2026年6月11日)は、鈴木愛子弁護士がメインスピーカーとして「こども性暴力防止法がもたらす「人手不足の加速」とその構造的リスク」とのタイトルで、人材確保に関する懸念を取り上げています。内容は放課後児童クラブ限定ではなくて法制度全般にわたるものですが、とりわけ放課後児童クラブで働く人、運営する人そして管理する行政パーソンには必見必聴の内容です。https://www.youtube.com/watch?v=ZVafKTKe204 を、ぜひクリックしましょう。
第2回(2026年5月30日)が、こども性暴力防止法の「Q&A」を読み解くとして、【弁護士が読む❗️こども性暴力防止法Q &A】のタイトルで配信されています。メインスピーカーは三輪記子弁護士、聞き手は嶋﨑量弁護士です。
https://www.youtube.com/watch?v=XtTCNTDBLLo
第1回(2026年5月16日)は「こども性暴力防止法を考える」です。
https://www.youtube.com/watch?v=uUlx8XaKMso&t=4324s
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わたくし萩原が寄稿した記事が「ウェッジオンライン」で2026年7月29日に公開されました。「子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ」という記事です。ヤフーニュースにも配信されています。URLは以下の通りです。(子どもの「体験格差」が気になる夏休み…その“差”を埋めるのは難しいのか?子どもにとって貴重な体験に目を向けろ Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン))
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こども性暴力防止法がもたらす、構造上の課題問題について、法律家がとても分かりやすく解説する記事が「アエラキッズプラス(AERAKidsPlus)に掲載されました! 解説はもちろん、鈴木愛子弁護士です。こどもを性暴力から守るための重要な法制度だからこそ、実は逆説的にこどもや運営事業者が追い込まれてしまう可能性を分かりやすく説明されています。ぜひぜひ、記事を読んでください! 実に分かりやすいですよ!
「本当に性犯罪を防げる?」学校や学童保育、放課後子供教室も対象になる「日本版DBS」に、現場から懸念の声…【弁護士が解説】 | AERA with Kids+
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、講演会、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
※ミニブログは、ページ全体の文字数が多くても7,000文字程度の投稿を指しています。また、文字数が多い場合でも「肩の力を入れずに気楽に読んでほしい」という内容の場合もあります。
