<運営支援ブログ・ミニ30>放課後児童クラブ(学童保育所)退所は「行きたがらず」なのは当然、対応手法も明瞭。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。
ミニブログです。放課後児童クラブの退所理由を探った放課後NPOアフタスクールの調査結果が共同通信で配信されたことで共同通信加盟社がこぞって記事を配信、公開しています。そのおかげで再び児童クラブ退所に世間の関心が集まっているようですね。当然の調査結果ですから当然、その対策方法もあるのです。あるのですが実施されていないことが大問題なのです。
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(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<報道より>
共同通信が2026年4月19日16時10分に更新配信した、「学童退所「行きたがらず」が最多 民間団体が理由を調査」との見出しの記事が多くの報道機関で配信されています。記事の冒頭部分を引用紹介しますと、「共働きやひとり親家庭の小学生を預かる公立の学童保育(放課後児童クラブ)を退所したという家庭のうち「子どもが行きたがらなくなった」との理由が36.7%で最多だったことが、民間団体の調査で分かった。」ということです。
児童クラブを退所した約4割のこどもが「行きたがらなくなった」という理由です。それはまったく驚くべきことじゃなくて、児童クラブに行きたがらなくなるから退所するんであって、行きたいと思えば退所しませんね。なぜ行きたがらなくなったのかその理由についても記事ではもちろん紹介されています。その内容は記事を直接目にしていただければよいとして、「児童クラブでは自分のやりたいこと、過ごしたいことの希望が実現できないこと」がどの理由でも根底にあります。
「やっぱりそうだよね、それは当然だよね」ということをしっかりと調査で裏付けて可視化することが最も大切です。その意味でこの調査と、この調査結果の報道は非常に大切で、児童クラブへの社会の関心を呼び起こすために重要なことと運営支援は大いに評価します。
<児童クラブは、無理やり行かせられる場所>
これは間違いありません。とりわけ低学年だったり、防犯面に不安がある地域だったりこどもが女の子だったりする場合は、保護者は児童クラブにこどもを入所させることを望みます。それはこどもにとっては児童クラブ入所を強制させられることにほかなりません。
学年が上になるにつれて児童クラブを自分の居場所の1つとして受容したこどもは自ら児童クラブで過ごすことを希望しますが、圧倒的少数です。そのことも不思議ではないですし、児童クラブの職員も、自分自身で活動できる能力を身に備えたこどもの児童クラブ退所は「こどもの自立」として歓迎するものです。
この、「こどもにとって無理やり行かせられる場所が児童クラブ」であること、「こどもの自立に伴う活動範囲の広がりへの正当な欲求」と、「こども自身ではどうにもならない第三者によるこどもの生命身体への危害発生リスクの軽減」が、難しいバランスを取り合いながら「退所するか、入所を続けるか」を常に選択し続けるのが児童クラブと子育て世帯との関りであると、わたくし萩原は実感してきました。
<こどもが進んで児童クラブに通い続けること>
これが大切ですが、至難の業です。「放課後児童クラブ運営指針解説書」には、この点に関して次のように記載しています。
「こどもが自ら進んで放課後児童クラブに通い続けるためには、放課後児童クラブでのこどもの様子を保護者に伝え、保護者と連携して育成支援を行う必要があります。これは、育成支援の基本的な役割ともいえる大切なことです。」
「放課後児童支援員等は、こどもの心情に配慮しながら、放課後児童クラブに通うことの必要性をこどもに伝えて理解を促し、こどもが自ら進んで放課後児童クラブに通い続けられるように援助することが必要です。その際には、こどもの権利が侵害されることのないよう、こどもの意見に耳を傾けながら、保護者や学校等の関係機関と連携して対応することが求められます。」
他にも関連記述がありますが、最も端的に記載しているのが上記の2つ。ここを読んで気が付きますよね。この2つを主体的に執り行っていくのは、児童クラブの職員です。児童クラブの職員が様々な取り組みを継続することで、こどもが自分で児童クラブに行くことを選択するようになる道筋が付けられるのです。児童クラブに入っているこども全員が児童クラブに通い続けることはもちろんありません。自分のやりたいことが明確になって児童クラブを退所することを選択するこどもだって当然います。
この運営指針が伝えたいのは、「こども自身が明確に児童クラブ以外で過ごす選択肢を求めている」場合には、保護者としっかり連携することでこども自身に「なぜ、まだ児童クラブで過ごすことの方が利益になるのか」をこども自身に理解させる努力をしていこう、というものであるとわたくしは解釈しています。
このことは、児童クラブ職員が常に児童クラブ在籍を保護者と歩調を合わせてこどもに働きかけることではないと私は考えます。「この子はもう児童クラブではない場所の方がより健全に大いに自分自身の世界観を広げていける」と児童クラブ職員が判断して保護者に理解を求めることもあります。児童クラブ職員は、こどもを常に児童クラブに留めさせるだけではなくて、「こどもの育ちにとって最も良い環境は何か」を考えているから(あるいは、そう考えていてほしいというわたくしの願い)です。
<他責に原因がある「行き渋り」とは区別しよう>
低学年、とりわけ1年生や2年生で児童クラブをこどもが拒否すると保護者は大いに心配ですね。「嫌だ嫌だ、学童に行きたくない!」と時には涙を流して抗議するこどもに途方に暮れる保護者さんは毎年、結構いるものです。この「行き渋り」の原因は、こどもにとって児童クラブが安全安心して過ごせる場所になっていないからその場で過ごすことを拒否することですが、児童クラブへの拒絶をもたらす要因が必ずあります。「クラブに行きたがらない理由」そのものですが、それが「他のこどもとの人間関係。とりわけ、支配被支配の関係が固定化していること、いじめやいじめに近い関係があること」だったり「児童クラブ職員への嫌悪感、恐怖感があること。怒鳴ったり無視したり、こどもにとって信頼がまったくできない職員がいること」だったりする場合は、こどもにとって全く落ち度や原因がありません。この場合は児童クラブ運営側の責任で対応しなければなりません。
他責に原因がある児童クラブ行き渋りは、保護者やこどもの努力だけで解決できません。保護者に求められるのは行き渋りに陥る前の早期発見です。行き渋りになりかかっていることが分かれば原因の解消を児童クラブ事業者に求めることができます。
児童クラブ事業者は当然ながら、「こどもが進んでクラブに通うことができるよう援助する」ことが任務ですから、行き渋りをもたらしている、あるいは行き渋りにつながりかねない要因を早急に排除することが当然に必要です。それをやろうとしない事業者については、児童クラブ運営をなんで営んでいるの? 単に補助金ビジネスだけ? とわたくしは疑います。
<こどもが児童クラブに通い続けるには>
すぐれた児童クラブ職員が必要十分な人数、児童クラブで育成支援に従事していることです。すぐれた児童クラブ職員とは、育成支援の専門性を理解し、こどもの育ちを支えることを実践できていること。こどもや同僚、部下の職員を怒鳴ったり文句を言い続けたりするような職員では困るのです。こどもに指示や命令を次々に出してこども自身の判断による行動を封鎖するような職員では、こどもが児童クラブを見限るのも早いです。
育成支援について理解でき、常に学び続けることができる職員が、必要十分なだけクラブに配置できていれば、「児童クラブなんて絶対に嫌だ」と言い出すこどもは、うんと減るでしょう。少なくとも、保護者が我が子の身の安全を真摯に心配している家庭のこどもにあっては「そうまで言うなら、児童クラブもそれほど居心地が悪くないから、もう少し通うことにしようかな」という考えになってくれるでしょう。まあ、通う日数は週3日ほどに減るかもしれませんが。
資質に優れた職員を必要十分だけ配置できるには、「人件費」が必要です。結局のところ、児童クラブを取り巻く問題はカネ、つまり「貧すれば鈍する」状態が児童クラブなのです。こどもが児童クラブに行きたがらない問題をなるべく減らすには、児童クラブがこどもにとって居場所になっていればいい、そのためには児童クラブ側は保護者と連携しつつこども自身の権利を十分に尊重しつつこどもが児童クラブに通うことの大切さを理解できるように援助し続けることが欠かせない。それができるのは、すぐれた資質の職員が、丁寧に落ち着いてこどもと関わり続ける環境が整っていること。つまり、職員1人1人の業務量が適正であって、少なくとも登所しているこども10人に最低1人、できれば40人のこどもが過ごしている児童クラブには管理職含めて8人程度の職員がいることが望まれます。こども5~10人に職員2人が理想ですね。それぐらいの職員がいれば、こどもは「自分に関わってくれる大人がいる」と安心することができます。
そうなれば、児童クラブが自分の居場所となっている、と感じられるこどもはうんと増えるでしょう。早くに児童クラブを退所退会するこどもは減るでしょう。
分かっているのです、人件費がもっとあれば優れた職員を十分に雇用配置できるって。それをしようとしないから、児童クラブの早期退所退会をめぐるトラブルや保護者の苦悩が尽きないのです。分かっているのに、この国ときたら! と言いたいところです。また児童クラブ事業者も同様です。しっかりと育成支援という本業に補助金を使ってください。先に利益確保しようとそろばんをはじいてはダメですよ。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
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「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
