特にこの時期、放課後児童クラブ(学童保育所)では所在確認、登所・欠席確認に最新の留意を。保護者も注意して!
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
放課後児童クラブは、こどもが安全安心な環境で生活して育っていく場所です。それには「こどもが、児童クラブにいること」が当然の大前提ですが、この大前提が時折、揺るがされる事態が起こります。「こどもがいない!」「あれ、きょうはあの子、休みだっけ?」という恐ろしい事態です。児童クラブは所在確認、登所欠席確認が極めて重要であることを本日は訴えます。
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(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<気になる報道がありました>
所在確認等に関して、わたくし萩原がとても気になった、正確には「とても恐ろしく感じた」報道がありましたので紹介します。ヤフーニュースに2026年4月11日10時11分配信された、毎日新聞の「学童利用予定児を帰宅させる 出欠管理の不備 三重・伊賀」との見出しの記事です。一部を引用して紹介します。なお固有名詞は伏せる修正をしております。
「三重県伊賀市は10日、市の放課後児童クラブで本来利用予定の入学したばかりの1年生2人をそのまま帰宅させていた事案があったと発表した。業務にあたる指定管理事業者の出欠管理の不備が原因で、市は同日付で再発防止を指示した。」
「7日に児童2人が自宅に帰ってしまった。うち1人は鍵を持っておらず、不安になってクラブに自ら戻ったという。」
「保護者からの問い合わせで市は把握。市と事業者は8日に保護者に謝罪した。市によると、昨年4月と今年3月にも同様の事案があった。」(引用ここまで)
単なる確認ミスと片づけてはならない重大な失態であると運営支援は考えます。
1 児童クラブ運営事業者は、こどもの登所欠席の情報を把握していなかったと考えられること。
2 新1年生ということはつい数週間前まで未就学児であったこどもであり、そのこどもを保護者等の迎えなくそのまま帰宅させていたこと。
3 帰宅させたこどものうち1人は自宅に入れずクラブに戻ってきたが、無事だったのは結果論にすぎないこと。
4 保護者からの問い合わせで行政が事態を把握したということは、運営事業者から行政に報告がされていなかったことだが、「報告するまでもない事案」と事業者側が判断した可能性がぬぐえないこと。
5 昨年4月と今年3月にも同様の事案があったので、報道された事案で3回目であること。直近はしかも前月のことだった。なおこの2回について行政に対して事業者が報告していたのかどうかは報道からは分からない。
かつて児童クラブを運営していたわたくしからは、まったく信じられないほどずさんな業務です。市が改善を指示したのは当然ですがむしろ特別監査を行ってどういう業務執行を行ってきたのか徹底的に調べて当然の事態だと考えます。
何が問題なのか。「こどもの生命身体の安全を確保する」のが児童クラブの大前提です。それがなされてはじめて育成支援ができますし保護者は安心して社会経済活動に従事できます。その、こどもの生命身体という究極の人権をないがしろにしているに等しいことを、この事業者が危機感を感じずに行っていたということです。
・こどもの身の安全を徹底して守るという意識の欠落がうかがえる。
・親権者たる保護者に確認もしていない。
・登所なのか欠席なのかの情報をどこまで徹底して確認把握していたのか疑問。
・こどもがクラブに戻ってきたときに登所欠席の確認において問題があったと事業者自身が反省するべきなのに行政に報告もせず保護者から指摘を受ける始末。「たいしたことではない」という意識すら感じさせる。
・過去2度、同じようなことを行っておきながら繰り返しており再発防止の施策を事業者が実施していたとは考えにくいこと。
<連想したことがあります>
現在、マスメディアは京都府南丹市の小学生の事案を大々的に報道しています。この事案は父親の逮捕という展開に至ってしまいましたが、そもそもこの事案の最初期のころの報道は、小学校がこどもの不在を把握するのが遅れ保護者に連絡したのも遅れたということが取り上げられていました。こどもの所在確認は、かように報道で取り上げられるほど大事なポイントだということです。
わたくしが三重の事案で思い起こしたのは、上尾市の公営保育所で起きた児童死亡事案でした。こどもの所在確認の不徹底に関係する事案を耳にするたびに思い起こす、実に悔やまれる悲劇です。詳細はつづりませんが2005(平成17)年8月に4歳のこどもが保育所内で亡くなった事案です。この事案は、こどもの所在確認に関する深刻な失態が招いたものでした。「本来、存在していることをその場にいる大人(職員たち)に確実に意識されていなければならないのに、存在そのものを意識されなかった」ことで異常事態に陥っていたことに気づくのが遅れたため、取り返しのつかない事態になってしまったものです。
「こどもがここにいること、ここにいなければならないことを確実に大人たち(職員ら)に意識してもらっている」ことを失念されてしまうほど、こどもにとっての悲劇はありません。それは時として、絶対に損なわれてはならないこどもの命をも失われる事態を招くからです。
児童クラブにおけるこどもの所在確認に、運営支援が徹底的にこだわるのはまさにこの点です。そしてそれを常に意識しながら、私も同様の失敗を犯したことがあるからです。児童クラブ運営法人の代表理事として専従になって2か月が過ぎた2014年10月、ある児童クラブで起きたことです。夕刻、保護者がこどもを迎えにクラブに来ました。が、こどもはクラブにいませんでした。その時になってはじめて職員たちが気づきました。「学校から登所してきていない!」。そのクラブは学校敷地内にあり、こどもの登所ルートは極めて安全です。職員はこどもを出迎えに行くことはしていません。それはそういう業務執行で問題はなかったのですが、当然、こどもがクラブ内に入ってきたときに出欠簿に登所状況を記入します。出欠簿のその子の確認欄には「〇」がついていました。でも、実はその子はクラブに来ることはなくそのまま下校していたのです。
職員は、毎日の決まった作業ールーティンと化した出欠確認チェック作業ーで漫然とこどもたちを一瞥して確認欄に〇を付けていたのです。事前に欠席連絡があった子はこどもが登所する前に斜線を引いていました。
児童クラブに関わっている、関わったことがある人なら、この事態がいかに深刻なのか理解していただけるでしょう。結果としてこどもは自宅近くで見つかりました。保護者は直接、このことでクラブ側、運営側を激しく責めることはされなかったのですが年度末で退会されました。事案からほどなく、わたくしは先に記載した上尾市立保育所の事案の調査に関わった方を招いて全正規職員を対象に緊急の研修を実施しました。やはりそこで「こどもが大人から存在を認識されていなかったことが、こどもにとってどれほど悲しいことであるかを、こどもに関わる職業の人は当たり前に考えなければならない」と何度も繰り返し教えていただきました。
<この時期は特に>
新規入所児童がいてにぎやかなこの時期は、職員の新規採用や異動が重なればそれだけ職員側が個々の子どもの認識が薄くなる時期でもあります。「新1年生は、〇〇くんと〇〇さんと、〇〇さん」と1人1人のこどもの顔と名前が瞬時に頭に思い描けるようになるには、さすがの児童クラブ職員も少々時間が必要です。それだけに、「機械的に」こどもの所在確認と、所在確認につながる登所欠席確認には、万全の備えが必要です。
いまはICカード等で電子的に登所状況を把握できますが、そうであっても児童クラブ職員は「目視」でこどもの存在を把握する必要があるのは当然です。「機械的に」とわたくしが言うのはICカードによる出欠確認ではなくて「こどもの名前を呼んで返事を聴く。返事をしたこどもの顔を見る」ということです。それを必ず繰り返す。その行動そのものを機械的に、と表現しました。
こどもも職員もお互いの認識についてまだ不安があるこの時期だからこそ、カードによる出欠確認、アプリによる欠席連絡に頼ることなく、目視で機械的にこどもの顔と名前を確認することが欠かせません。こどもがいないなら欠席連絡を確認すること。欠席連絡がなくこどもがいないならすぐに所在確認作業に取り掛かること。その手順は当然ながら「業務マニュアル」に定められていることでしょう。学校に連絡、保護者に連絡、定められた手順通りに即座に職員は行動してください。
児童クラブ職員なら痛いほど理解しているはずですが、「こどもは予想外の行動をするのは予想の範囲内」です。登所する日なのにこどもが自分の判断で「オレ家に帰る」と下校グループに交じって帰宅してしまうことがあります。これもまた「児童クラブあるある」でしょうが、本当は児童クラブ、学童への登校班、登校グループに入る必要があってこどももそう思っているのに何か勘違いした学校の教職員が「きみは今日はこっちね」と下校グループ、下校班に連れて行ってしまって、こどもも「先生がそういうなら」と下校してしまうということも、たまにあるものです。教職員も4月は異動してまもない時期ですからミスは起きやすくなるものです。
人間ですからね、どうしてもミスはあるのです。そのミスを極力起こさないための何十もの工夫や強い意識が、この時期にはとりわけ必要だということです。そしてこどもの所在に関わるミスは、単にミスと片づけられなくなるほど重大な深刻な事態に発展する可能性が往々にしてある、ということです。
このことは、保護者さんにもぜひ、強く意識してもらいたいと運営支援からのお願いです。
<保護者に望みたいこと>
1 児童クラブの登所、欠席の連絡は必ず指定された方法で指定されている期限までに行ってください。欠席することが前日までにアプリで知らせること、と児童クラブのきまりや利用案内に記載されているなら、その通りに行ってください。緊急の場合の連絡についても、きまりや利用のルールを確認してください。
2 こどもとは、毎日しっかり話してください。「きょうは、学童に行く日だからね」と、同じことの繰り返しだからといって省略せず、手抜きせず、児童クラブに行く、行かないということを毎日、こどもにしっかり伝えてください。とりわけ「習い事」をしているお子さんの場合は徹底してください。習い事に行く曜日であっても例外的にクラブに登所する日があるときに、こどもが迷いがちです。クラブ側も「あれ、木曜日はいつも習い事では?」と勘違いする可能性がゼロではありません。誤った判断に傾きがちです。「今日は、クラブに行く日だからね!」と、こどもの目を見てしっかりと伝えましょう。
3 よほどの緊急事態に備えられる態勢をできる限り整えておきましょう。難しい人も多いでしょうが、「万が一、こどもがクラブにもいない、家にもいない」というときに、近所を見回ってくれる人の目星をつけておく、ということです。親類が身近に住んでいない場合は同じ小学校のクラスや保育所、こども園や幼稚園時代の、そして入所している児童クラブで知り合いになったママ友パパ友にも相談して、「いざというとき」、「たまたま仕事が休みなどで家にいたり近所にいたりするときには」、ちょっと自宅の前に様子を見に行ってもらえるように頼んでおきましょう。当然、逆に「自分が仕事休みの時は、何かあったら探しに行けるから」とギブアンドテイク、でいきましょう。GPSを使うなどそういう工夫もぜひ行っていきましょう。
<最後に事業者には>
こどもの所在確認、まして児童クラブ登校のはずが下校してしまった、というときには「小学校と児童クラブ側、どちらが探す?」ということで、話がうまくかみあわない、はっきり言えば「もめる」ことがあるかもしれません。これはまずは行政担当課にしっかり判断してもらってください。
理屈を言えば、小学校からすると下校、つまり校門の外に出ればあとはそのこどもの家庭の問題になります。学校の管理は学校敷地内で過ごす時間ですから下校のため校外に出てしまうと、あとは原則としてその子自身の問題、つまり家庭の問題です。なお、「けがをしたときの保障」については、登校下校ルートにいて通常のルートで帰宅や児童クラブへ登所する場合については学校で手配する傷害保険が対応となるはずです。いわゆる「保険管轄」においては帰宅や登所するまでですが、生命身体そのものの安全確保の義務が学校にあるかといえば、必ずしもそうではありません。
ここのところを押し出して「こどもが勝手に帰宅したのだから、小学校としては何の対応もしません」とする小学校も多いように聞きます。それでは児童クラブとしては困ります。決して多くない、というかはっきりいって少ない職員数で、所在確認のために職員を動かすのはクラブにおける業務に支障が生じます。ですので、児童クラブ事業者は行政担当課とうまく相談して「原則として保険対応のこともあるので小学校側に所在確認の労を費やしてもらう。児童クラブ側もできる限りにおいて協力する」という合意を取り付けることに尽力しましょう。本当のことを言えば「そんな縦割りにこだわらず、こどもの一大事なんだから全員で探せ!」ではあるのですし、実際にはそうなってもらわないと一刻も早くこどもを見つけ出さねばなりません。その間に事故や事件に巻き込まれてしまっては絶対にダメだからです。
ただ残念ながら現実的には「それはうちの役割?」ということがどうしても先に出てくるのがこの世の常です。まずが学校が探す、それにクラブも助力、協力する、ということで、行政とうまいこと話を付ける努力をしましょう。もちろんそういうことは現場職員ではなくて運営事業者の責任者、事業体の偉い人が頑張って交渉することです。
なお最初に取り上げた三重の事例は、児童クラブがこどもを帰宅させていますね。こういう場合は「学校が探してくれ」とは口が裂けても言えません。だれが、どの部門が最初にきっかけをつくったのかは、どんなことであっても何事においても、必ず確認しておく、第三者が見ても確認できる形態で記録しておくことが重要です。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
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「Wedge ONLINE(ウェッジオンライン)」にて2026年4月13日、「「こどもが学童に入れたから仕事も安泰!」なのか?小1、行き渋り、夏休み…いくつも存在する“学童保育の壁”とその対処法」という記事が公開、配信されました。(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40473)。わたくし萩原が編集部の依頼に応じて寄稿しました。ぜひご高覧ください。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

