「小1の壁」でも注目が高い「朝の壁」。今、困っている人を見捨ててはならない。理想追求と現状救済は両立する。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
小1の壁の中でもとりわけ世間の反応を集めやすい「朝の壁」についてわたくし萩原が思うところを投稿します。朝食を学校で提供するというニュースと、朝7時の学校校門開放に教職員が反発しているというニュースがSNSで大きな関心を集めています。わたくしは「将来的には子育て世帯の時短労働が当然の権利となるように」「子育て世帯の多様性に留意するべし」そして「いま、困っている子育て世帯を救済する措置は必要で批判を受けるいわれはない」という3点を強く訴えたい。
※当面、ブログ投稿をSNSで告知いたしません。外部URLをX(旧ツイッター)に投稿することを繰り返すとアカウントが凍結されるおそれがあるようです。凍結されたら一大事です。
※ブログ投稿ですが、最近は他の業務との兼ね合いで投稿ができない日が増えています。ご容赦くださいませ。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<話題になっている報道>
日本経済新聞の会員限定記事で2026年4月2日2時配信の「「小1の壁」解消へ、学校で朝食提供 共働き世帯支援で対策進む」の見出しの記事です。東京都品川区の公立小学校で2025年度、始業前に朝食を出す事業を実施した、とあります。
テレ朝NEWSの記事で2026年3月25日10時7分配信の「小学校「朝7時に開門」前倒しに賛否 教職員は反発 群馬・高崎市内の58校【詳細版】」の見出しの記事です。
いずれもSNSで大いに話題を集めているようです。X(旧ツイッター)では「こどもがかわいそう」「家でこどもが過ごせる時間を長くするべきなのに逆を推し進めてどうする」という趣旨の意見が圧倒的に多く見られます。そしてそれらの投稿はかなり多数の閲覧数を得ているようです。
それは当然でしょう。「こどもより大人の都合を優先するべきだ」なんて投稿しようものなら「こどもの敵!」とあらゆる批判を浴びるのは目に見えています。「こどもの立場に立つ」ことは批判を許さぬ善意、いわば錦の御旗として機能します。そもそも「こどもが大人の都合で家庭以外の場所で過ごす時間がどんどん長くなることは、こどもの安寧、家族とのつながりにおいて、なにも良いことはない」という意見は間違っていないでしょうし、わたくしも「そりゃそうだ」と同意します。
<将来的には子育て世帯の時短労働が当然の権利となるように>
将来的には政府国会で子育て世帯の働き方をしっかりと議論し、こどもの育ちにおいて必要なことは何か、ということを念頭に、子育て世帯のゆとりある暮らし方を実現する、というかさらに踏み込んで、ゆとりある暮らし方を基本的な暮らし方とする社会構造に、まずは法制度から実現させていただきたいというのが、わたくしの考えです。
しかしそれは数年間で実現できるものではないでしょう。中長期的で、完全に実現できるようになるには10年以上の期間を必要とするでしょう。そのゴールを目指して現状においても徐々に制度が整備されつつあるのです。こども家庭庁の公表資料によると、「育児期を通じた柔軟な働き方の推進」として「子が3歳以降小学校就学前までの柔軟な働き方を実現するための措置」や「時短勤務時の新たな給付」、「国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除措置」といった施策をすでに実施されたり、2026年度中に実施が決まったりしています。
これら施策の方向性を、こどもが小学生である間でも適用するように制度を拡大することで、仕事と育児の両立がゆとりをもって実現できるようになるでしょう。
「こどもを朝早くから学校に行かせて、そこで食事させる。朝7時から学校で過ごさせる。夜は夜で迎えの遅い家庭のこどもに施設で食事を提供する。家族と一緒に食事ができないこどもはかわいそうだ。そんな働き方がまかり通る社会はダメだ!」
そういう意見は誰しも賛同しがちになるでしょう。正論だからです。こういう意見は賛同を集めるのでSNSでは多くの閲覧数、反応を稼げるので収益につながります。Xではいわゆるバッジを付けているアカウントがしきりにこうした意見をしょっちゅう投稿しています。結局のところ、誰しも賛同しやすい意見を投稿して収益を得ているということです。そのうま味に気づいたアカウント主は何度も同じような意見を投稿してはきっと収益を稼いでいるのでしょう。
なおわたくしは、この手の収益狙いの投稿も制度内である以上別に構わないですし、「こどもが家で長く過ごせるような社会を」という趣旨の投稿はどんどんなされてよいと考えます。それが世論の柱となれば政治家も政府も、さらに子育て世帯のゆとりある暮らしの実現に取り組まざるを得なくなるからです。
ただし、威勢の良い正論は、少数の立場の者を押しつぶしがちです。そこに十分留意するのが、こども関係に関わる職業や有識者の大事な役割でしょう。それを忘れて正論をぶち上げるだけでは、わたくしは残念です。
<子育て世帯の多様性に留意するべし>
育児時短勤務が余裕をもって実現できるのは、ごく少数の大企業や公的な組織ぐらいでしょう。日本の企業のほとんどを占める中小企業やそれ以下の零細企業、個人事業主では、国の制度が整ってもなかなか子育て世帯に十分配慮した雇用を実施するのはおそらく難しいのであろうと私は予想します。ましてこの人手不足の時代、子育て世帯でゆとりある働き方をする労働者の労働力をカバーするための人材を確保するのは中小以下の事業者では予算的に余裕がないでしょう。すべての働き方をAIやロボットで代替できるわけでもない。放課後児童クラブも小さな事業者がとても多い業界ですが、クラブ職員の業務をAIやロボットで代替できるかといえばそれは不可能です。クラブ職員が育児時短勤務をするには他の職員を確保しなければなりません。そしてそれは今、非常に困難です。
この世の中で全ての企業、事業者が、子育てと仕事のゆとりある両立を可能とする働き方を提供できるのではありません。それは現状が示しています。いまだって、子育て世帯に配慮した働き方を実現している企業はあってメディアで取り上げられていますね。企業や事業者はそんなことができるなら、とっくにやっています。子育て中の社員に優しい会社、という評価が高まれば雇用面で有利だからです。
どうしても自分が勤めている企業や事業主では、とても子育て世帯の時短勤務など実現できる余裕がない。そういう会社や団体に勤めている人は、朝早くから出勤しなければならないでしょう。よほど政府から返す必要が無い補助金がじゃぶじゃぶ投入されるならともかく、そんなことはありえませんね。10年後になっても、朝7時台に出勤せざるを得ない子育て中の保護者はきっといるでしょう。そういう保護者が責められるような社会になってはいけません。
もちろん「できることなら子育て中はもっとゆっくり育児中心に働きたい」という中小企業等で働く労働者の願いを実現できるよう、政府国会でしっかりと方策を考えて実現していただきたいものです。
また、仕事が専門職である人、特別な技能を有していて代替の人がいない職に就いている人も、場合によっては朝早くから出勤しなければならないかもしれない。世の中には、「できることなら朝も夜も、家族でゆっくり食事を共にしたい」と思いながら、そうはできない人がいることを忘れてはなりません。
さらにいえば、価値観が「仕事第一!」という子育て中の保護者だっているでしょう。その価値観が違うとは誰も言えません。どのように生きるか、どのように家族で過ごすかを決めるのは最終的にはその個人です。それが違法な行為になることは当然許されませんが、「仕事をバリバリしたい」という生き方を「あなたのその考え方は間違っているので是正します」と外部から強制することはできません。そんな全体主義の国家社会を、「こどもは家族の中で過ごすべきだ」論者は認めるのですか。そうではないでしょう。なんでもそうですが極端に振れてはなりません。
(とはいえ、こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の考え方が広く社会に浸透し、企業や保護者がその考え方に共鳴するようになってほしいと、わたくしは願いますが。自分自身の判断で、ある価値観や考え方を取り入れること、そのような機会を選択できるように社会が準備することは当然にあってよいと考えます。)
子育て世帯ごとに、暮らしの在り方が存在します。人間は多種多様です。それもまた理解した上でないと、正論は時には特定の状況にある人たちを追いつめ、苦しめます。誰もが否定しようがない正論ほど、特定の立場にある人が反論を一切許されずに悩み苦しむのです。どうも、こども絶対主義者はその点を忘れがちではないでしょうか。
<いま、困っている子育て世帯を救済する措置は必要で批判を受けるいわれはない>
いまこの時点で、朝早く出勤しなければならずこどもを家に残して出かけねばならないという子育て世帯を、そのままにしてはいけません。「朝7時にこどもを学校に連れていくなんて、こどもの気持ちを全く考えていない。そんな社会ではいけない」と言うのは簡単。それでは、朝7時から自宅で留守番しているこどもの安全安心を考えないでいいのですか?
ではその批判に追いつめられて保護者が仕事を辞めたり給与額が少ない非正規職に代わったりした結果、子育てに使える所得が減った世帯の困りごとを、批判をする側はどう救済するのですか?
そもそも、こどもと親との関係性は一緒に過ごす時間の長短でその優劣が定義されるのですか。一緒に過ごす時間が長くても親もこどももスマホに夢中でコミュニケーションがない場合でも「こどもが家で過ごしているのだからこどもの育ちに有益だ」と言えるのでしょうか。
結局のところ、「こどもが朝早くから、夜遅くまで、保護者と切り離される社会はダメだ」と、「それだけ」しか訴えないのは、誰からの支持も集めやすいがゆえにSNSで稼ぎたいアカウントに利用されたり、「そうだそうだ」と賛同者を集めることで自分が人気者になってうれしいと思いたい人が利用する誘引看板のようなものです。もしくは、こどもの面倒を長時間見なければならない立場にいてそれによって稼ぎが増えることはない、困った立場に置かれている人の意見なのではないでしょうか。
いま現に困っている子育て世帯を助ける、支えるための施策は、それが理想的なこども施策とズレていようとも当座、実施しなければならないと、わたくしは強く言いたい。最初に紹介した報道でとりわけ高崎市の事例は世間から強い批判を受けているようですが、それは朝7時から受け入れる仕組みの設計がうまくいっていないからであって、「こどもとの関わり方をしっかりと学んだ人」にしっかりと報酬を支払って朝7時から小学校に配置すれば、おそらくは激しい批判を集めることはなかったでしょう。要は、カネをケチった? と思われたからです。ただでさえ過重労働で社会問題となっている教職員の善意を強制させようとしたと受け止められたからでしょう。
こどもが長い時間にわたって家庭から切り離されることには、こどもの育ちを支える職業に就いている立場の方からとりわけ強い批判の声が上がっているとわたくしの目には映ります。それは、こどものそだちをしっかり学んでいるがゆえの懸念であり、心配なのでしょう。
しかし、放課後児童支援員にしろ、保育士にしろ、こどもの育ちを支える専門家が「こどもがずっと家庭から切り離されるのはよくない」というのはわたくしにはすとんと腑に落ちないところがあります。「家庭から切り離される時間が長くなってしまう社会が問題ですね。こどもも親のあなたも不安でしょう。いつかこの社会が変わることを信じて、いまこの時間は、わたしたちがしっかりとお子さんに寄り添い、支えていきますね」と、胸を張って言いきってほしいのです。自分の職業の専門性を自分自身で高く評価してその専門性を発揮してほしいのです。
まして、子育てを支える側から「そんな子育てはこどもにかわいそう」という意見がでることによって、それだけ今子育てをしている側を追いつめることに気づかないのでいるなら、それはあまりにもひどい。かわいそうなのはこどもだけではなくて保護者もかわいそうなのです。「朝早くから、夜遅くまで、こどもを施設に託すなんて」ということばはそのまま保護者批判として受け止められることに、子育てを支える側の立場の者は十分に配慮するべきです。その点、あまりにも軽率で浅はかな意見や振る舞いをわたくしは目にします。残念ですし、そういう言動が「ああ、この人たちは1つの視点でしか物事を見て考えられないんだな。そんな程度の資格なのか」という社会からの低評価を招くとわたくしは懸念します。
なお、こどもは必ず家庭で過ごす、親元で過ごすことが幸せなのかということも考えていただきたい。絶対数はもちろん少ないながらも、保護者と切り離した方が良いこどもはいます。こどものためにも、親のためにも。わたくしはたった十数年の児童クラブ運営責任者でしたがその短い期間の中でも、親子分離がこどものため、親のために良かったというケースを何件も見てきました。直接に関わったこともあります。「こどもは家庭で親と過ごした方が良い」というのは、世間一般の方々が口にするのはまあいいとしても、こどもの育ちを指させる専門職や研究者が安易に口にするのは、わたくしには理解できません。(もっともSNSのような文字数制限がある表現の場では、単にそのような思想を発出できないだけなのでしょう。そう信じたい。)
<まとめ>
・政府国会は、子育て世帯のゆとりある子育て生活が実現できるような強力な施策を実現するべきです。こどもまんなか社会実現に、こども家庭庁の奮闘を期待します。
・朝早くから、また夜遅くまで、こどもが家庭と分離されることを余儀なくされる社会から、「希望に応じて、育児と仕事のゆとりある両立が可能となる社会」の実現を期待します。
・自らの意思で長時間働く保護者の考え方を否定することはできません。それもまた人の生き方です。
・いまこの時点で、子育てと仕事等の両立で困っている子育て世帯を助ける施策は、それが例え見かけ上、長時間のこどもと保護者の切り離しになろうとも、その施策は実施されるべきです。保護者を追いつめて何の得もありません。
・朝7時の開門も、朝食を学校で提供することも、その利用で子育て生活が助かるという世帯があるなら、どんどん実施するべきだ。利用したい人だけが利用すればいいだけのこと。その上で、「利用せざるを得ない」という世帯が「利用しなくても済むようになった」という社会になるよう政府国会は議論を進めて、子育て世帯にしわ寄せが集まる社会を変えていっていただきたい。
・子育て支援を職とする者は、長い時間、親元を離れるこどもをしかと支えていく仕事をぜひ頑張っていただきたい。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
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New! 日本版DBS制度について相談したい事業者さんにぜひともお勧めします。さいたま市南区の「エリーネ行政書士事務所」(https://www.eri-ne.com/)さんのご紹介です。行政書士の入澤えりな先生が、日本版DBS制度を中心に児童福祉施設や児童福祉の事業者様からのご相談に対応してくださいます。日本版DBS制度以外にも遺言作成・相続、介護タクシー等をメインにご相談に応じているとのことです。営業時間は平日9:30~17:00で、土日祝は応相談とのこと。ぜひ、困り事がありましたら頼ってくださいね。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

