不登校のこどもを放課後児童クラブ(学童保育所)で受け入れる。自治体がやる気になれば、やれるという可能性。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士でもあります。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
東京都板橋区が2026年度から、不登校のこどもを「あいキッズ」(放課後全児童対策事業)施設で受け入れる画期的な事業を始めるようです。詳細は不明ですが概要段階でも、運営支援は賛成です。板橋区にはその事業の詳細をぜひ公開して他地域の参考としていただきたいですし、事業を開始した後に定期的(できれば半期ごと)に実施内容を公開してください。
※2026年2月17日(火曜日)と21日(土曜日)の運営支援ブログは投稿を行いません。他、予告なく投稿を休む場合があります。ご承知おきください。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<不登校等の居場所事業>
東京都板橋区は、放課後児童健全育成事業と放課後子供教室の「校内交流型」を徹底させた形態の「放火か午前児童対策事業」を全小学校で実施していて、名称を「あいキッズ」としています。本日のブログでは放課後全児童対策事業(通称「全児童(対策)」)についての是か非かは問いません。わたくし萩原の持論は参考までに「職員の配置がこども10人に1人程度であり、専用区画における登録児童1人あたりのスペースが1.65平方メートルを上回っている。どのこどもに対しても運営側が育成支援計画を立てている」ならば賛成です。(なおあいキッズには、こどもへの盗撮疑い事案があったのとその対応について問題があると以前、ブログで投稿しました。日本版DBS制度時代をにらんで、臭いものにふた的な対応は、社会はもう許容しないであろうという認識は設置主体に必要でしょう。)
さて板橋区の「令和8年度あいキッズ利用登録・申請手続きのご案内」に、次のような記載がありました。27ページからです。「新たに開始を検討している事業について」とあり、2つの事業が紹介されています。最初に「小学生の朝の居場所事業」として、小学校の登校日に、あいキッズ室等で午前7時30分から、こどもの見守りを行うとしています。
そしてもう1つが「不登校児等の居場所事業」です。説明文を転載します。
「平日(学校休業日除く)のあいキッズ開所時間(通常は午後1時)まで、職員2名で学校と連携し、あ
いキッズ室で不登校児等の居場所を提供します。」(転載ここまで)
なお「令和8年度あいキッズ利用登録・申請手続きのご案内」では、上記2つの事業の紹介に続いて、「令和8年度の実施検討対象校」と「実施時期一覧」として、丁寧な情報提供がありますが、この令和8年度の対象校と実施時期一覧が、上記の「朝の居場所」なのか「不登校児等の居場所」なのかが明確になっていないので、迷います。上記2事業ともに、という解釈でいいのでしょうかね。
いずれにしても、「不登校児等の居場所事業」については、運営支援の解釈では以下のようなポイントを備えた事業になるのでしょう。
・実施は平日の、小学校にこどもが登校する日である。
・開所時間(通常午後1時まで)になるまで、不登校などのこどもを受け入れる。
・受け入れについては、あいキッズ職員2人が小学校と連携する。
<メリットは大きい>
上記3点の事業のポイントは実に有益です。不登校にあるこどもの居場所が増えること、その増える要素として放課後児童クラブを活用してほしいというのは、運営支援の持論です。なんどもこのブログで訴えてきたことです。不登校にあるこどもの全てが児童クラブで過ごすことを望んでいることでは全くありませんし、わたくし自身、こどもの不登校は別段、解消しなければならない絶対的な不利益状態とも考えていません。学校で過ごそうが家庭で過ごそうがどこの場所で過ごそうか、構わないと考えています。学力や社会規範といった、社会で過ごす上で欠かせない能力がどんな手段であれ経緯であれ、満足できる範囲で身につけられればいいと考えています。
ただ、不登校にあるこども自身がいずれは学校に行きたいという願いがある、あるいは家の中ではない外の場所で過ごしたいという願いがある中で、「学校には行けそうにないけれど、学童なら、クラブなら行ける。行ってもいい」というこどもにとっては、過ごす場所の選択肢が増えることになり、有益であるとわたくしは考えています。これも何度も書いていますがわたくしも児童クラブ運営責任者だったときに保護者や一部の現場職員から「不登校のこどもの受け入れはできないか?」という相談を受けた経験があります。行政は否定的でしたし、多くの職員も否定的でした。ですが、「学童なら行きたい。学童の先生とならいろいろ話せる」という不登校にあるこどもの希望がかなえられるなら、大人社会は「できないことを先に並べ立てるより、どうしたらできるのかを考えるべきでしょう」と、わたくしは思ってきました。
こどもが過ごせる場所が増えるなら、それは十分に大きなメリットです。
そして保護者の社会経済活動が一定程度、可能となることもまた重要です。不登校にあるこどもを家庭に留守番させて仕事に行ったり学校に行ったりする保護者は、常に不安を抱えています。メンタル面において不安定にあるこどもから目を離したくない、というのは親であれば当然です。わたくしも子育てにおいて同じ経験をしてきたので、よく分かりません。
結果的に、こどもが不登校状態で家庭で過ごすことになると、保護者の就労や就学にある程度の影響が出るのが避けられません。場合によっては正規職をあきらめてパートになる、あるいは就労そのものもあきらめざるを得なくなります。
それを児童クラブなどで一定の時間、こどもを受け入れてくれることになれば、保護者の社会経済活動に余裕が生じます。それは生計を立てる上でも重要です。
単純にこの2点だけでも、児童クラブなどの施設で不登校のこどもを受け入れるだけのメリットはあまりにも大きい。是が非でも一般化してほしいのです。ですから板橋区には事業の計画と実践に関して広く情報提供を期待したい。
<不安もあるので、解消していこう>
児童クラブなどによる不登校状態のこどもの受け入れには、もちろん不安もあります。難問ですが解決不可能な難問ではありません。運営支援が考える問題点は次の通りです。
1 児童クラブ職員が、不登校のこどもに対して適切な援助をできるにふさわしい技量や知識を有しているか。
→これは、別途、設置主体と運営主体が連携して、児童クラブ職員に対する教育研修を行う必要があります。まさか、ただ単に、午前中の施設に不登校にあるこどもを招き入れて、そのまま何も構わずに毎日過ごさせるわけではないでしょう。こどもの様子をみた職員の判断で「きょうは、そっとしておこう。こどものやりたいことをそのままさせておこう」というのと、連日、何もこどもに構わずに放置しているのでは、見た目は似ていても全く違います。不登校にあるこどもへの適切な援助、保護者との連携について、専門家に学ぶ機会を職員に用意しなければ、児童クラブ職員にとって単に労働の負荷が増えるだけです。
2 小学校と効果的な連携のもと、こどもの生活の援助ができるか。
→板橋区の説明では職員2人が小学校と連携、とあります。これはとても重要です。小学生のこどもの日々の生活に関して、小学校がしっかりと情報を把握していることが重要です。不登校にあるこどもを児童クラブ等の施設で受け入れるとした際は、クラブでどのように過ごしているか、こどもの気持ちはどうか、どういうことに希望があってどういう点に不安があるのかについて、小学校と保護者、そして児童クラブ等がしっかりと情報を共有して連携して対応することが必要です。こどもに拒否されなければ、児童クラブ等へ小学校から教職員を派遣してもらって短時間でもこどもと一緒に過ごすということも視野に入れるべきでしょう。小学校と、不登校のこどもを受け入れる児童クラブ等が密接に連携することが大切です。
ここは、板橋区のあいキッズ事業が教育委員会の管轄であることが有効な効果をもたらしていると考えられますね。これが首長部局ですと縦割りの壁で、クラブと学校の連携がなかなか難しいところはやっぱりあります。
3 職員の業務量の適正化。
→児童クラブ職員にとって、こどもが登所する前の時間は打ち合わせや育成支援討議に充てる重要な時間です。職員同士で、こどもの内面に踏み込んでの意見交換や討議をする時間です。その時間に不登校のこどもを受け入れるのですから、職員の業務をどう調整するかが問題です。もちろん単純に考えて、不登校のこどもを受け入れる分の業務は増えるわけですから、その分の労働に値する賃金を運営主体は支払うべきです。増える業務量については従事する職員数を増やす等の対応が必要です。
4 「開所時間」の見直し。
→板橋区の資料には、通常午後1時の開所時間まで、こどもを受け入れるとあります。つまり開所時間前に職員が施設に来ている「準備時間」(なお閉所した時刻後の後片付けの時間も準備時間です)に、不登校のこどもを受け入れるというのが、この事業なのでしょう。開所時間=職員の勤務時間ではない、のは当然のことで、児童クラブの職員の勤務時間(労働している時間)は、準備時間+開所時間です。
将来的に不登校のこどもを児童クラブ等で受け入れることを一般化することが児童福祉の観点、保護者の社会経済活動の柔軟性を与えるために必要であると運営支援は考えますが、そうなると、不登校ではないこどもが児童クラブに登所して過ごせる時間帯を「開所時間」と定義する国の考え方を変えるべきであると、運営支援は主張します。開所時間は職員が施設で過ごして準備も後片付けも会議も研修も、そして育成支援もする時間帯とすればいいだけの話です。現在の開所時間は「児童受入時間」という名称で呼べば良いだけです。
5 増加する経費の用意。
→不登校のこどもの受け入れに際して職員を増員する、配置する職員を増やすことに、自治体がしっかりと予算を付けることです。もちろん光熱水費もちょっとは増えるでしょうが、何よりも人件費です。研修に係る費用も考慮した予算の増額が必要です。
一番あかんのは、「不登校のこどもを受け入れるよ。保護者も議員も喜ぶからね。ついては、職員が来ている時間にこどもを受け入れて。あとはそっちでうまくやってね。もともと職員が施設にいる時間にこどもが来るだけだから増える経緯は無いはずだよ。だから特に予算増はしないから。ヨロシク」という、丸投げです。
こんな丸投げをするぐらいなら、不登校のこどもを受け入れる事業はしてはなりません。
<国のFAQはもしかしたらこれだったのか>
こども家庭庁が令和7年版として出したFAQに、不登校のこどもの受け入れに際しての質問と回答が掲載されていました。これは新たに登場した内容でもありました。引用して紹介しましょう。
「放課後児童クラブにおいて、不登校児を午前中に受け入れることを検討しているが、放課後児童健全育成事業として扱ってよいか。」
→「不登校児の受入を目的とすることは児童福祉法で定める放課後児童健全育成事業の定義を超えているため、放課後児童健全育成事業として扱うことはできない。ただし、不登校児童の居場所確保のために、平日の午前中等の放課後児童健全育成事業に差し支えのない時間帯において、事業所(クラブの施設設備)を利活用することまでは妨げておらず、児童の福祉の観点から有効活用されると考え、Q&A No.7から財産処分は不要である。」
(引用ここまで)
国側の回答は、不登校の受け入れは放課後児童健全育成事業ではないので、同事業への国の交付金を使うことはできないけれど、児童福祉の点で有益なので施設は使っていもいいですよ。特に手続きは不要ですよ。ただし経費分は適切に案分してね、という趣旨です。ですので、不登校のこどもの受け入れで必要な費用は児童クラブの補助金は使えないので自治体で用意さえしてくれれば、児童クラブとして使うからと整備した施設を活用するのは構いませんよ、ということです。
もしかすると板橋区の問い合わせがこのFAQに採用されたのかもしれませんね。
<今後さらに発展を!>
児童クラブ等の場所で不登校のこどもを受けいれられる可能性を、これから始める板橋区の事業は示しました。あとは具体的に、実際に事業を行いながら、問題点を1つ1つ、解消していってくれればと強く期待します。国も自治体も、不登校の総合的な対策として、すでに社会インフラとして存在する児童クラブをもっと活用する考え方を取り入れてほしいと期待します。
児童クラブ側にしてみれば「仕事を増やすな」という思いにとらわれる人がいるかもしれないですし、そう思う人は多いでしょう。しかしですね、児童クラブは、こどもの最善の利益を守りたい場所ですし、そういうことをしたい人が就いている職場でしょうに。こどもを支える仕事が増えるのですから、何が不満ですか? 不満なのは業務量が増えること、つまり業務量に応じた賃金単価が減ることならば、当然に理解できますから、国と自治体にはぜひ、不登校のこどもを児童クラブ等で受け入れる事業を展開するにあたっては、予算をしっかりと付けてください。
そして、こども、保護者、児童クラブ側(現場職員と運営側)、そして小学校側とで、常に意見を交換し、情報を共有する体制が、ルールとして整えることが義務付けられていることが必要です。児童クラブや学校の善意で行っている事業ではダメです。不登校のこどもを受け入れるという仕組みが、規程によって組み立てられて動かされているという形態にしなければなりません。板橋区にはその点、どういう仕組みで今後、居場所事業を動かしていくのか、ここが他の地域にとって知りたいところでしょうから、積極的に公開してもらいたいですね。
将来的には、不登校のこどもを受け入れることも含めて、児童クラブが総合的な子育て支援拠点となって、いろいろな状況にある小学生の子育て世帯を支える機能を付与するような制度に育てていってほしいと国には強く要望します。法改正して保護者の就労要件を外して児童クラブを必要とする、児童クラブが関与することが適切であると自治体が判断できるこどもの受け入れを児童クラブで実現することです。あと6、7年もすればやってくるこどもの人数70万人以下の超少数こども時代を前に、公費を投じて整備した児童クラブの有効活用について議論を進めるべきです。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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