シングル家庭なのに放課後児童クラブ(学童保育所)に入所できなかった? 利用したい人が利用できる制度であれ。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブの労務管理やじぎょ運営をサポートする社会保険労務士でもあります。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
毎年のことですが、SNSで「学童落ちた!」の投稿が目立つ時期になりました。先日、なんと「シングルなのに学童落ちた」という投稿がありました。ひとり親家庭でも放課後児童クラブに入れない現実、これはもう、絶対にあってはならないことです。国は本気でなんとかしましょうよ。
※わたくし萩原の都合により、2026年2月2日から6日のブログ投稿はありません。申し訳ありません。過去のブログ投稿をどうぞ閲覧ください。現在、運営支援ブログ投稿数は1,300記事を超えております。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<シングルで?>
X(旧ツイッター)に2026年1月24日に、シングル家庭なのに学童に落ちた、という趣旨のポスト(投稿)がありました。その後、削除されたようです。もとより、SNSへの投稿がすべて真実かどうかの証明はできないのですが、ひとり親家庭でも児童クラブに入所できないという世帯は、実際に存在しても不思議ではないのです。証拠があります。
こども家庭庁による、放課後児童クラブの実施状況に、優先利用の条件に関する調査項目があります。保護者の状況によって優先的に児童クラブに入所させる理由にはどのようなものがあるかを調べている項目です。令和7年(5月1日時点)の結果は次の通りです。実施状況の資料23ページに記載されています。(なお以前の投稿でも紹介しています)
利用に係る優先的な取扱いの状況
利用に係る優先的な取扱いを行っている 令和7年 833 (51.0%) 令和6年 833 (51.1%) 増減なし
(注:( )内はクラブ実施市町村数(令和7年:1,633、令和6年:1,631)に対する割合)
利用に係る優先的な取扱いの対象(複数回答)
ひとり親家庭 令和7年 659 (40.4%)[79.1%] 令和6年 669 (41.0%)[80.3%]
(10市町村減少)
注:( )内はクラブ実施市町村数(令和7年:1,633、令和6年:1,631)に対する割合、[ ]内は利用に係る優先的な取扱いを行っている市町村数(令和7年:833、令和6年:833)に対する割合
(引用以上)
つまり、児童クラブの入所に際して有利に取り扱いをする制度があるのは、児童クラブを実施している市区町村の半分程度しかなく、優先的に入所をさせる理由として、ひとり親家庭は有利な取り扱いの制度をしている市区町村のうちの8割弱の市区町村しかないのです。児童クラブを設置している市区町村で比べると、4割程度の自治体しか、ひとり親家庭の優先利用の配慮を講じていないのです。
これが児童福祉の世界にある放課後児童クラブの、保護者の就労支援を掲げる放課後児童クラブの、あまりにもお寒い現実です。
なお平成30年の同じ調査項目を参考のため紹介します。
594 (36.7%)[75.9%]/:( )内はクラブ実施市町村数(平成30年:1,619)に対する割合、[ ]内は利用に係る優先的な取扱いを行っている市町村数
(平成30年:783)に対する割合
平成30年より令和7年の方が、確かに状況は改善されていると言えるでしょう。4ポイント改善していますので。ですがね、「わが子を安全安心な場所で過ごさせることができることで、自身が生計を立てるために働く上で必要な仕組み」である児童クラブを、ひとり親家庭の保護者が利用できないことは、生活が成り立たなくなることを意味します。
<ひとり親家庭は入所させるべきだ>
ひとり親家庭は、何があっても児童クラブの優先的な利用が認められるべき状況と運営支援は考えます。シングル家庭が児童クラブに入れないというのは、あってはならない。たとえどんなに大規模で定員オーバーであっても、無理をしてでも入所させねばなりません。
ひとり親家庭であっても、例えば(こどもの)祖父母と同居しているなど、親類が同居や同一敷地内に居住しているという状況を鑑みて、優先順位を判定した結果、他の事情の入所希望世帯が優先されることがあるかもしれません。およそ入所判定には種々の状況に得点が付けられて判定されるため、そのような結果に至ることもありえます。
しかし運営支援は「ひとり親家庭は、児童クラブに入所させねばならない」と主張します。祖父母同居でも親類の助力が得られるのであっても、児童クラブで子育て支援をすることが保護者の生活を支える最善の道だと考えます。祖父母や親類は、しっかりこどもを監護してくれるようで、実はそうではない場合も案外と多く見受けられるのがわたくしの体感です。
<児童クラブは、こどもの人権を守る砦、であれ>
この調査では、他の項目についても興味深い結果が示されています。過去の運営支援ブログでも記しましたが、例えば「虐待又はDVの恐れがあることに該当する場合など、社会的養護が必要な場合」の、優先利用に関する取扱いです。そりゃもう、100%であってほしいですよね、だって、こどもが虐待されたり面前DVを受けている状況が考えられるのであれば、こどもにとって(本来は)安全地帯である児童クラブで、こどもを守る必要があるからです。では結果は?
460 (28.2%)[55.2%]
なんと、優先利用の制度をもうけている市区町村の55%しか、虐待やDVの恐れがある場合の優先利用を講じていません。全市区町村の3割に達していないんですよ。
信じられますか? 放課後児童クラブは、こどもの人権をがっちり守ってくれる場所には、まだまだ全然遠い位置にあるんですよ。「すでに入所している」こどもは守れても、「本来なら社会によって守られるべき」こどもは、守ることができていないのです。
これでは児童クラブは、その役割を十分に果たせません。さらに問題なのは、地域差が激しすぎるということ。これは、児童クラブの入所に関して市区町村の判断がバラバラであるので、定員を厳格に守る(それ自体は正しい)ことで待機児童が生じているとか、定員オーバーもちゅうちょせずに入所をさせていてもそもそも施設数が絶対的に足りていないのでこどもを全員入所させられない地域がたくさんある一方で、どんな状況でもこどもを全員入所させている地域や、いわゆる「放課後全児童対策事業」なのでそもそも待機児童が生じない地域もあって、児童クラブという児童福祉サービスを受けられるか、受けられないかが、地域によって正反対の状況にあることです。
例えば、わたくしが住んでいるのは上尾市ですが、上尾市は待機児童を市の方針として出さない施策ですので児童クラブの待機児童は0人です。一方、隣接するさいたま市は待機児童が全国でも相当多数に及ぶ地域です。近い距離にある自治体で極端に差があるのが児童クラブの運営の結果です。住んでいる場所がちょっと違うだけで、児童クラブの利用を希望する世帯がその希望をかなえられる、あるいはかなえられず待機児童になってしまうという、天国と地獄の状況が生じるのが、児童クラブの世界です。
小学生のこどもの成長と、こどもを育てる保護者の状況に応じた援助、支援が継続的に、こどもと保護者の双方同時に実施できる専門機関は放課後児童クラブしかありません。それほど重要な仕組みなのに、提供できるサービスの実施状況に地域差がありすぎるのは問題です。それもこれも「任意」の放課後児童健全育成事業だから、なのですね。保育所と同じ「児童福祉施設」として、放課後児童健全育成事業を必要とする世帯が居住している自治体には実施義務を課すことが必要です。
そうすることで、名実ともに、児童クラブは、こどもの人権を守る砦となれるのです。
児童クラブには、こどもの育ちや人権について学び、実践を重ねている専門職がいます。安全安心な環境で、こどもの成長を後押しできます。児童クラブに登所している短い時間(それでも、週6日利用であれば小学校で過ごすよりはるかに長い時間を児童クラブで過ごしますが)であっても、こどもを守ることができる場所、こどもの人権を守る砦となれるのです。(いわずもがな、こどもの人権を守ろうという意識をしっかり持った職員が児童クラブにて従事していなければなりません。こどもを怒鳴り散らすような、ひどい職員は児童クラブからとっとと去ってください。そういう職員がいることもまた児童クラブの根深い問題なのは事実です)
国は、児童クラブを必要とするすべての世帯が児童クラブを利用できるような状況になるまで、強力に、この分野に資金を投じてください。現状はとてもとてもお寒い状況です。まずは、ひとり親や虐待DVにある世帯の全員入所、次いで育児休業中の世帯のこどもの入所、そして速やかに児童クラブを利用したい世帯のこどもの全入を実現できるよう、施設整備と人材育成に多額の資金を投じるよう強く求めます。
どなたか、こういうことを訴える衆議院議員選挙の候補者がいても、いいんですけれどね。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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New! いわゆる日本版DBS制度を専門分野の1つとして事業者の取り組みを支えたいと事業活動を始めた新進気鋭の行政書士さんをご紹介します。「行政書士窪田法務事務所」の窪田洋之さんです。なんと、事務所がわたくしと同じ町内でして、わたくしの自宅から徒歩5分程度に事務所を構えられておられるという奇跡的なご縁です。窪田さんは、日本版DBS制度の認定支援とIT・AI活用サポートを中心に、幅広く事業所の活動を支えていくとのことです。「子どもを守り、あなあたの事業も守る。」と名刺に記載されていて、とても心強いです。ぜひ、ご相談されてみてはいかがでしょうか。お問い合わせは「日本版DBS導入支援センター | 行政書士窪田法務事務所」へどうぞ。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
