放課後児童クラブ(学童保育所)で働く人には避けられない「けが」。基礎知識シリーズその6は「けが」がテーマ。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンのみで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
放課後児童クラブで働くと、けがをすることがあります。児童クラブの業種が他の業種と比べてけがの発生の状況が多いかどうか、そういう調査はないので数字的なデータで提供することはできませんが、体を激しく動かすことが業務に含まれるだけに、職員のけがは避けられません。放課後児童クラブで働く人に伝えたい「基礎知識シリーズ」の第6回目は、児童クラブでの、けがについて取り上げます。なお、児童クラブで働いているときのけがは基本的に「労働災害」に該当する可能性がありますが、労災として認められるかどうかは法令上の要件を満たすかどうか個別具体的に国が判断します。このブログに書いてあるからといって直ちに労災として認められることは全くありません。労災に関する手続きや相談は社会保険労務士へ、勤め先が労災申請を嫌がる又は労災隠しを指示されたなどの労災に関わるトラブルは地元の労働局や労働問題を専門とする弁護士に相談してください。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<けがをしやすい場面と、どういうけがが目立つか>
〇こどもと遊んでいる場面=理解しやすいでしょう。外遊びでは、鬼ごっこなど走る場面で「足をくじいて捻挫」、「転倒による骨折」が多いでしょう。「アキレスけんの断裂」これは大変な大けがです。ボール遊びでは「突き指」や「手指の骨折」があります。また、室内遊びでも、けがは起こります。工作道具で手指を切る、というものがあります。案外と多いのは「目」に関するけがです。こどもが遊びの中で振り回す遊具や物が職員の顔先に向いてきて、目にぶつかってしまうということです。あるいは、折り紙や工作で使う紙が、目に入って角膜を傷つけるけががあります。こどもは、転倒したりぶつけたりして「歯」を折るけがが多いのですが、大人の職員は歯に関するけがはどうでしょうか、かなり少ないのではないでしょうか。代わりに「目」に関わるけがは、割と多いように私には感じられます。
職員が座っている、あるいはしゃがんでいて、こどもと遊んでいたり対応していたりするとき、こどもが「せんせーい!」と走ってきて、座っている又はしゃがんでいる職員の上にのしかかってくることもあります。また、立っている職員に飛びついてくるこどももいます。とても微笑ましい光景ですが、衝撃を受ける職員にはとても厳しいものがあります。重さ20キロ前後の物体が急に飛び乗ってきたら、腰や背骨、首を痛めます。この場合のけがは、後遺症を持たすこともあるので、恐ろしいのです。世間一般に気づかれていませんが、この首や背骨、首への打撃によるけがは、児童クラブの職員がなんとしても避けるべき、けがなのです。
切ったりぶつけたりして打撲や骨折というのが児童クラブの遊びに関して起きやすいけがですが、意外なけがもあります。私が直面した例では、職員の肩関節の「亜脱臼」がありました。こどもを抱えようとした際に何かの拍子で肩の関節がほぼ外れてしまったのです。ものすごい激痛で職員には痛い思いをさせてしまいました。他、遊具でこどもと一緒に遊んでいて、頭をぶつける、こどもと衝突するという打撲傷があります。
あそびは業務ですから、遊びの最中のけが基本的に労働災害となりますが、注意点があります。労災についてはのちほど触れします。
〇暴れるこどもの対応中=これには2つのパターンがありますね。1つは、こども同士のけんか、とっくみあいの仲裁の際に起こるけが。こどもが振り回す腕や足、または何らかの道具などが顔や体に当たって打撲、内出血をするものです。そしてもう1つが、こどもが職員に向かって行う暴力的な行動です。こどもといえども、興奮して力任せに道具を振り回す、あるいは殴ってきたり蹴ってきたりしたときの打撃の威力は極めて大きいのです。「こどものけんかぐらい、大人の職員ならすぐに引き離せるでしょう?」と、児童クラブの世界で働いたことのない人が簡単に口にしますが、全くそんなことはありません。大変です。興奮して我を忘れたこどもがひたすらに暴れているのを取り押さえるのは、覚悟が必要なぐらい大変です。
労働災害との関係では極めて難しい局面です。後者の、こどもが職員に対して行う暴力的な行為は「第三者行為災害」となるため、労災保険に関しては複雑な手続きが必要となります。健康保険も同様です。このことも後で触れます。
〇おやつや昼食の準備中=台所や調理施設での従事中におきるけがです。刃物で手指を切る、熱い調理器具や熱湯でやけどをする、ということがあります。飲料水のペットボトルが入った段ボール箱を運ぼうとして腰を痛める、というものがあります。また、高いところにある収納からものを取り出そうとして踏み台を使っていたところ踏み外して転倒する、というのもあります。古い施設ではガス爆発も注意です。
〇室内での、こどもと関わること以外の動作に伴うけが=転倒、足を滑らせる、ということが多いですね。児童クラブの中はとにかく物が多い、ちらばっているので、つまづいたり、物の上に足をのせてしまって滑ってしまう、ということがあります。転倒によって、腕を付く角度によって骨折したり肩を脱臼したり、腰や頭を打ち付ける打撲が多いです。こどもが使うテーブルを移動させようと持ち上げた時に腰を痛める、テーブルを積み上げるときに指を挟む、というけがも目立ちます。
雨の日などで濡れた床で転倒、というのはかなり多いです。これも私が直面した例ですが、雨の日にクラブ入り口のコンクリートの床で足を滑らせたかで転倒し、大腿骨骨折全治3か月の重傷を負った職員がいました。これほどの大けがになると、単に労災申請ではなくて警察の調べが入ります。現場検証をして業務上過失傷害にあたるかどうかを警察が捜査することになります。なお私の直面した先の場合は事業者に過失なしとなりましたが、労働基準監督署からは床を滑りにくくするような工夫をするようにとの注意を受けました。
〇通勤の最中のけが=「通勤災害」に該当する場合であれば、労働災害になります。自転車通勤でのけがが目立つでしょうか。交通事故は起こさないのは絶対ですが、巻き込まれるのも困ります。これも私の場合ですが、朝方、職員から電話が事務局にありました。最寄駅から自転車でクラブに向かう通勤経路の職員でした。「交通事故にあいました。車にはねられました」と聞いてこちらはもうびっくり。「だ、大丈夫か? けがはないか?」と聞くこちらに「自転車ごと宙に舞いました!」と答える職員。自転車は壊れましたが職員は軽い打撲で済みました。いまだに軽傷で済んだことが不思議です。児童クラブの職員は「頑丈」な人がわりかし多いですが、この時ほど職員の頑丈さに驚いたことはありませんでした。
つまり、児童クラブは基本的に体を使うので、けがが多いのです。「切り傷」と「打撲」が圧倒的ですが、「骨折(亀裂骨折が多い)」も珍しくありません。そして腰、背中、首への打撃によるけがです。亀裂骨折や脱臼、ヘルニアはなかなか完治しない場合があります。
<けがを防止するには>
〇安全衛生教育の徹底。児童クラブ事業者は、労働者を雇い入れ、又は作業の内容を変更したときは、その作業に就く労働者に対して、遅滞なく、業務に関する安全又は衛生のための必要な事項について教育を行分ければならない、と労働安全衛生法に定められています(第59条)。児童クラブで働く人が新たに増えた場合が該当します。夏休みだけのアルバイトやパートも当然に対象です。体をうごかして遊ぶことが業務になっているので、「どうすればけがを未然に防げるか、減らせるか」について事業者が新人職員に教えなければなりません。「けが防止マニュアル」を作って配布するのが良いでしょう。もちろん、マニュアルを渡しておしまいではなくて、事業者の本部担当者や現場の責任ある職員が、マニュアルに沿って説明することが必要です。また、児童クラブで働くことになった人は、「どうしたらけがを防げるか、減らせるか」について、しっかりと児童クラブ側に説明を求めましょう。
〇無理なことはしない。特に、高年齢、シルバー世代の職員が圧倒的に増えていますが、それらの人たちは「昔と違って体がついてこない」現実をふまえて、行動しましょう。激しく体を使うあそびにはもう対応できない、ということを冷静に自覚しましょう。ボール遊びは、動体視力の衰えで、飛んでくるボールを的確にキャッチすることが難しくなっています。ドッヂボールのボールを「顔面キャッチ」してメガネが壊れてしまって何万円もの出費になった、というのはよくある話です。(多くの保険は、直接的な行動に伴うメガネの破損に関する賠償保険は対象外です。他のこどもたちが遊んでいたボールが「想定外に」自分に飛んできて顔に当たってメガネが壊れた場合であれば容易に賠償保険の適用ができますが、自分がその行っていた行動に伴う破損については対象外とする保険が多いのです。職員は、自分が対象となっている保険の適用範囲について必ず確認しておきましょう)。この猛暑ですから、暑さで体力が減っていることも考えられます。体力が落ちれば動作にも俊敏さが無くなります。けがを招きやすい環境です。くれぐれも無理は禁物です。大学生のアルバイトであっても、「たった10年ぐらい前の小学生時代より、瞬発力は劣っている」ことを知っておきましょう。体力は向上していても、「小学生の時にできたあそびが、大学生の今はできなくなった」ということはよくある話ですよ。
〇事故やけがを引き起こしそうな状況であるかどうかを的確に把握する。例えば、長い棒を持って振り回して遊んでいるこどもがいるとしたら、児童クラブの職員であれば、そのあそびの状況とその後の展開の予想、いま棒を持っているこども、そばにいて一緒に遊んでいるこどもの性格や特徴、周囲にいてそのあそびに関わっていないこどもの様子などを瞬時に把握して判断し、「これはエスカレートしてけがを起こしそうだ」と判断したら、そのあそびに上手に介入して軌道修正する、あるいは直ちに危険が生じると思えば停止させるなどの判断と行動が必要です。アルバイトや短期パートで、その判断が難しいことはよくあるのでそのような場合には直ちにクラブの正規職員、常勤職員に報告して指示を仰ぎましょう。
〇準備運動をしましょう。運動を伴う遊びの前は、ストレッチやウォーミングアップなど、しっかりと体をほぐしてからにしましょう。突然走り出すと、アキレス腱が切れますよ。その後半年は歩けませんよ。とても痛いですよ。なお、事業者は高年齢者の労働災害防止のために対応する必要があります。準備運動の指示はその対応のひとつです。
〇育成支援の中で、あまりにも危険なあそびがこどもたちに流行っていたら、それは見直させる機会を与えましょう。遊びにはスリルやリスクがなければなりません。楽しくないですから。ハラハラドキドキが無くなったらそれはあそびではありません。特に「座ったり、普通に立っていたりする職員には、走ってきて飛びつかない、上から乗っからない」ということは徹底的に伝えて理解してもらいましょう。
かといって、けがの可能性が高すぎる遊びはこどもの育成支援においては不適切です。いまこどもたちが夢中になっているその遊びが、いまこのクラブにいるこども集団に適切かどうか、リスクを判断するのが児童クラブ職員の専門職としての業務です。こども個人に対しても、こども集団に対しても、あそびの効果とリスクを判断しておかないと、結局は職員自身がけがを負う事態を招きます。もちろん、こども自身が大けがをしたり後遺症を負ったりするようなけがを起こすことにもなります。それは児童クラブ事業者の失策であり、過失でもあります。
〇けがをもたらす可能性のある物や道具は片づけましょう。物が散らばることがないよう整理整頓する。
〇調理中は集中すること。おやつ調理や準備中は「女性パート同士の、おしゃべりタイム」ではありません。業務に集中しましょう。
〇重いものを上に置かない。重いものを運ぶときは道具を使うか、複数の職員で対応する。女性職員が多い職場です。重いものを運んで腰を痛める職員はとても多いです。高齢の男性職員が「よし、任せておけ」とばかりに重量のある荷物を取り出したり運んだりして、他の職員にカッコよいところを見せたいのかどうかわかりませんが、その結果、「ぎっくり腰になった」と本部事務局に泣きそうな声で連絡してくること、案外とあるものですよ。
〇急いで行動しても、あわてない。あわてると、転倒したり足を滑らせたりします。厚生労働省は労働災害について統計調査をしていますが、社会福祉施設における労災の死傷者数が全体で14,049件のうち、「転倒」は第2位の4,772件です。1位は「動作の反動・無理な動作」の4,870ですが2位とは僅差です。通勤も同じです。時間に余裕を持って出勤しましょう。急いでいると何かと事故の原因となります。
<児童クラブでのけがと労災>
非常に重要なテーマですのでいずれ機会を改めて詳しく考えたいのですが、まずは、児童クラブで起きたけがは基本的には労働災害つまり労災になります。しかしこの労災を認めない、あるいは労災申請に協力しない事業者が結構多いのが、児童クラブの残念な体質です。残念どころが最悪の業界です。
〇児童クラブの事業者側が労災申請に後ろ向きなのは「手続きが面倒」ということのほか、職員がけがをするのが圧倒的に多いので労災申請が多く、これがいわゆる「目を付けられる」ということを恐れるという面があるでしょう。実際に私がNPOにいたときは労基からたびたび電話の問い合わせがありました。
経営側にいた者としてこれだけは理解してほしいのは、「労災の後出し」だけはやめてほしいということです。クラブでけがをした、それを本部や事務局に報告しないまま後日に病院で診察を受けた。それでなかなか治らないので、数日もしくは数週間後に「実は業務中にけがをした。だから労災にしてほしい」という申し出です。これはもう、本当に大変で、おしかりを受けるのを承知で書かせてもらえば「なんてことしてくれたんだ、このたわけが!」と言いたいほど頭を抱えます。ましてそれが、労災指定外の医療機関や薬局で診察を受けたり薬の処方をされていたりしたらもう、どうしようもなくお手上げです。いや、時間がかかれば対応できますよ。1件1件、問い合わせて必要な書類を作成すればいいのですから。しかしその必要な「時間」というのは「賃金」です。コストが余計にかかるのです。労基署だって頭を抱えますよ。
しかし労働災害は強制加入ですから適用となる事業者は当然、労災対応しなければなりません。後出しで「労災お願いします」と言われたときのあの絶望感ほど悲しいものはないのです。
クラブでけがをした、通勤途中でけがをしたら、「即座に運営本部、事務局に連絡」です。これは絶対に守ってください。
〇クラブ事業者が労災を申請しようとしないとき、職員からの申し出を拒むとき。それは職員個人で解決できる事態ではありません。しかるべき機関に相談しましょう。「相談なんかしたら働きにくくなる。居づらくなる」と思いますか? 労災という当たり前のことをしようとしない事業者で働くことの方がリスクが高いですよ。職員を大事にしない事業者は、すぐに退職して他のクラブの事業者に転職してください。そうやって、悪徳児童クラブ事業者を追い込んで人手不足倒産に追い込むことが、業界の自浄能力のひとつです。労働局や労基署、または弁護士さんに相談してください。医療費、治療費は案外大きな金額ですから、何十万円もの補償になることだってあります。相談する手間ひまを余裕で取り戻すことができますよ。しかも悪徳事業者にはしっかりと労基の目が光る。
〇腰痛について。首の痛みも同様ですが、注意が必要です。こどもがのしかかってきて首や腰を痛める、重いテーブルを持ち上げて腰を痛める、というのは児童クラブによくあるけがですが、この腰や首、とりわけ腰は、労災としてなかなか認められにくい傾向があります。というのも、腰は普段の生活ですでに痛めている場合があるので、児童クラブで腰を痛めたといっても、その前から痛めていたのであれば、児童クラブでの業務における因果関係の見極めが難しいので、労災認定が下りにくい事情があります。首もそうですが、とりわけ腰痛、腰の痛みはシビアです。
例えば、クラブでテーブルを移動させる業務において腰を痛めて、労災指定病院に行きました。診察の時、職員が「もともと腰は痛かったんですよね。それがこども用テーブルを移動させたら本格的に痛くなっちゃって」と世間話のように話したとします。医師はそれをどうカルテで扱うか分かりませんが、仮に「以前から腰痛あり」とでも医師が労災申請に必要な診断書に記載でもしようものなら、職員が話したその何気ない世間話が後日、労災認定の場面で致命的な否定的効果を及ぼす可能性があるのです。
余計なことは言わないように。ただ「クラブでこうしたら、こうなって痛めました。けがをしました」だけでいいんです。
そして腰や首をクラブ勤務で痛めた場合は、極力、当日に必ず労災指定病院に行って受診してください。後日ではダメというぐらいの気持ちでいてください。痛めたのが閉所時刻の夜になっていても、診察してくれる労災指定病院を探してとにかく行ってください。というのは、一晩でも自宅で過ごすと、「腰痛は仕事だけではなかったんじゃないですか? 完全に因果関係が勤務にあると考えにくい」などと労基から言われる可能性がゼロではないからです。まして数日後に受診して労災申請したら、そうすんなりと労災申請が認められることがなく、なかなか苦労することは覚悟してください。
〇通勤について。途中で寄り道をしたらダメです。トイレに立ち寄るぐらいならともかく、通勤ルートを外れて長時間買い物をしていたときにけがをしたら、まずは労災と認められないと思ってください。あわてず、時間に余裕を持って通勤しましょう。駅の階段で転ばないように。
〇第三者行為について。これは児童クラブでは実に難しい問題です。きれいごとを抜きにして、暴力や乱暴行為におよぶこどもは珍しくありません。職員に暴力行為を及ぶこどもはいます。「うちのクラブにはそんなこどもはいない」というのは、たまたまストレスを強度に抱えたこどもが在籍していないだけか、あるいは別の手段で抑え込んでいるだけです。例えば強力な報復行為をクラブ側が用意していればこどもは意図的に暴力行為をしません。直ちに退所退会させるのも報復行為のひとつでしょう。ただし職員の目につかないところで問題行動に及ぶことは普通にあります。
当たり前ですが人間ですから、怒ったり、カッとなって衝動的な行為に出たります。内面的なコントロールがまだまだ未熟なこどもであればなおさらです。また残念ながら、それが許されないと知りながらあえて職員に暴力的な行為に及ぶこどももいます。本来それは児童精神医療での治療が必要な状態ですが。そしてこどもから暴力行為をうけて傷ついた職員は、それを我慢して自然治癒に任せたり、あるいは自分の過失によるけがとして治療を受けることが圧倒的に多いのです。
正しい対応は、こどもからの暴力行為であればそれをそのまま第三者行為として処理し、治療についてはこどもの家庭側とのやりとりとすることです。しかし実に大変です。クラブを利用している世帯と対立関係に陥ることにもなります。よって、職員が我慢する、泣き寝入りすることになりがちです。わたし(萩原)は、もうそこは割り切って、しっかりと運営本部側が対応することで第三者行為で対応するしかなかろうと考えます。
単なるハプニングであることが現場職員が容易に判断できるなら、つまり「いつもはそんなことをする子ではないが、この時は本当に例外的だった。二度とは無いと考えられる」というのであれば、その職員が自身の被害を受容して自分で処理することは、私は反対しません。その場合は運営本部や経営責任者の耳に入らないようにするべきです。後日であっても、「実はあのとき、こういうことがあって。でもその子のためでもあるから」と話をされても困ります。「これは労災にしない。たまたまその子も意図しないで起きたことだから」と、けがをした職員が飲み込むのであれば、絶対に内緒にしてご自身の墓場まで持っていってください。それができないなら堂々と運営本部に連絡して労災の手続きをするよう求めてください。というか運営本部側は労災と考えられる事態を把握したなら対応せねばなりませんからね。
夏休みの短期アルバイトの場合でも、業務中にけがをしたら当然に労災の対応です。遠慮なくクラブ側に話をして手続きをしてもらってください。そこですんなりと「大丈夫ですよ。心配いりませんよ」とクラブ事業者に言われたら、当たりです。そこはいい事業者ですから、引き続きバイトやパートを続けてください。「うちは短期のバイトやパートには労災、しないから」と言われたらすぐに関係機関に通知して、その事業者でのバイトやパートの雇用契約は即時に解除して構いませんよ。契約解除に足る理由になりますから責任を追及されることもありません。
「けが」は、無いに越したことはありませんが、けががゼロの児童クラブは、こどもの成長を促す刺激がゼロの、とてもつまらないクラブである可能性があります。こどもがいきいきと、職員もいきいきとしているクラブは、ちいさなけがは、つきものです。もちろん死亡事故や、後遺症の残るおおきなけがは絶対に起こさない準備と態勢が必要。それ以外の、一晩で治るか痛みが減るようなけがは、児童クラブには、あたり前田のクラッカー、というぐらいに思っていただきたいと運営支援は訴えます。
(お知らせ)
<新着情報!> 2025年6月から放課後児童クラブ(学童保育所)の新規設立と日本版DBS制度への対応に際してご相談者様、ご依頼者様からのニーズに万全対応を期すべく「イオリツ行政書士事務所」(佐久間彩子代表)と、業務上において連携することと致しました。
弊会に寄せられた児童クラブ新規設立のご相談、ご要望に際しては、児童クラブ全般の説明や業務設定の支援を弊会にて行い、クラブ設立に関する具体的な相談や手続きにつきましては、イオリツ行政書士事務所にて対応となります。また、日本版DBS制度につきましては、弊会は事業者の労務関係面の対応助言や必要規程の整備を担当し、イオリツ行政書士事務所が制度の説明や、認定事業者を得るための具体的な手続きの説明や代行面を担当いたします。
佐久間氏は、「日本一、学童保育に詳しい行政書士を目指す」として2025年度から事業を開始された気鋭の行政書士です。児童クラブに関しても豊富な知識を有しており、また実際に保護者運営系の児童クラブの利用者であり運営にも関わっておられるので、児童クラブに関する業務についてはまさに最適任です。
児童クラブの新規設立や運営主体の変更の手続き、また日本版DBS制度の全般的な相談には、ぜひとも「イオリツ行政書士事務所」まで、お問い合わせいただけますと幸いです。
「イオリツ行政書士事務所」(https://office-iolite.com/)
代表者:佐久間 彩子(さくま あやこ)
所在地:〒231-0048 神奈川県横浜市中区蓬莱町2-6-3 KOYO関内ビル406
もちろん、イオリツ行政書士事務所は日本版DBS制度についてきめ細やかな事業者様のサポートが可能です。
・認定取得に向けた申請書類の整備/相談
・導入/管理体制の構築、運用のサポート
・職員/保護者向けの説明サポート
・制度や法令に関する最新情報の提供
・就業規則等の整備、労務関係面の対応助言(弊会も連携して対応いたします)
日本版DBS制度についてのご相談は、弊会並びにイオリツ行政書士事務所まで、ぜひご相談ください。(https://dbs.office-iolite.com/)
※新着情報はここまで。「お得情報」が下にあります!
〇弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない、あらゆる児童クラブを応援しています。
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弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイス、メディア対応が可能です。ぜひご連絡ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。
さらに運営支援からの書籍第2弾として、放課後児童クラブを舞台にした小説「がくどう、序」を発売しました。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。もちろんフィクションですが、リアリティを越えたフィクションと、自信を持って送り出す作品です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いたハートフルな作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説です。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。
この2冊で、放課後児童クラブの世界をかなり知ることができると運営支援は自負しています。いわゆる日本版DBS制度において、放課後児童クラブと関わりができるであろう弁護士や社会保険労務士、行政書士といった各士業の方々には、放課後児童クラブの世界を知るにはうってつけの書籍となっています。他の業種、業態とかなり異なる、ある意味で異質の業界である児童クラブについて知ることができる、運営支援からの2冊を士業の方々には、ぜひご活用ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆(お得情報!)
(放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。埼玉県や上尾市に比較的近い地域であれば県外でもお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!)
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)