<運営支援ブログ・ミニその11> 夏の不思議! 放課後児童クラブ(学童保育所)の「夏休み料金」の設定はなんでバラバラなの?

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンのみで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
 ちょっとしたテーマを(なるべく)短く紹介するミニシリーズ。11回目は、児童クラブにときたま見られる夏休み料金です。地域によって、7月や8月の利用料が高くなる場合があります。その高くなる具合が、本当に各地でバラバラなんですよ。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<夏休み料金の、あるなし>
 児童クラブの利用料(保護者負担金、保育料、いろいろな呼び方がされています)は、全国各地で、または児童クラブの事業者によって任意に設定されています。隣の市区町村のクラブと利用料が違うのは当然です。同じ市区町村内にあるクラブでも運営する事業者が違うと利用料が違うということも珍しくないんですよ。特に保護者運営、運営委員会運営において顕著です。(運営支援の立場からは、同じ市区町村内にある児童クラブの利用料、とりわけ基本的な利用料は統一されるべきだと考えますが、またそれは今度)

 それでですよ、いわゆる通年利用(年間とか、長い期間を利用する)の場合は毎月何円と設定されていることが多いのですが、長期休業期間中においては追加料金が上乗せされる場合があります。普段は5,000円だけれど8月はプラス数千円、ということです。また、長期休業期間中の月はそれぞれ利用料が設定されている場合もあります。5月は5,000円だけど4月は6,000円、7月は7,000円、8月は8,000円、というパターンですね。

 夏休みが代表的で、長期休業期間中になると利用料が高くなる。どうしてでしょうか。それは単純な理由で、朝から夜までこどもを受け入れているので人件費がものすごく増えますし、光熱水費も増えます。つまり経費が爆増するのでそれだけ収入も増やしたいからです。児童クラブも「ビジネス」ですよ。収入を元手にサービスを提供(=販売)するのはれっきとしたサービス業です。児童福祉のサービス業ですね。(なお、夏休みだけ利用する、冬休みだけ利用する、という季節利用や短期利用の場合は、通年利用より料金が高くなることが通例です)

 なので、夏休みの上乗せ料金があること自体はまったく不思議ではありません。かつて何十もの施設数におよぶ児童クラブを経営していた私からすれば、8月は5月より5割増しぐらい人件費が違うと思えます。5月は大型連休がありますが8月は一日開所の日々がずらっとそろっていますからね。

<こんなに差がある!>
 では夏休み料金がある月と、普通の月はどれぐらい差があるのか、市区町村データーベースのまとめからピックアップしてみましょう。

滋賀県守山市は通常10,000円、8月は13,000円(130%)
千葉県茂原市は通常8,000円、8月は12,000円(150%)
岐阜県本巣市は通常4,000円、8月は9,000円(225%)
愛知県みよし市は通常5,200円、8月は9,500円(約182%)

 8月の利用料が増えること自体は支出も増えるので、それは別に不思議な事ではありませんが、各地域によってどれだけ増えるのかは、もう千差万別です。

 もちろん、8月だろうが5月だろうが差が無い地域も当然あり、しかもごく普通にあります。私(萩原)の印象では、大都市や人口が大変多い地域では、月による差が生じることは大変少ないように感じます。ですので、8月や7月、3月など長期休業期間中なら必ず利用料が増える、ということでは全くありません。

 本当にもう、地域によって全く異なっているのが、児童クラブの事業形態です。しかし、3割増しの地域があれば2倍を超える地域もある。朝から夜まで児童クラブを開所するという、大幅な事業形態の変化のため、安定した事業運営を続けるために必要な徴収額の変化なのでしょうが、地域ごとにこんなに差があるのはやっぱり不思議です。児童クラブの運営の複雑怪奇さが、事実としてありますね。

<理解を得ることは大事>
 支出が多い月だからといって保護者からむやみに増額した利用料を徴収することは、私は好ましくないとは思います。必要最小限の増額にとどめるべきですし、理想を申せば、年間通じてどの額も一定額としたほうが良いとも考えます。それが絶対正しいから、ということではなくて、運営実務上の事務作業の簡略化には役立ちます。引き落とし額のミスや、振込額の勘違いによる過不足が生じないからです。

 一方で、支払う側つまり保護者からすると、コストパフォーマンスを気にする人がいるでしょう。「利用した時間に応じて料金が変わる」ことがすんなりと受け入れやすいこともあるでしょう。逆に言えばこれは事業者側からすると増収が比較的容易な手法である、ともいえますね。

 私は、長期休業期間中であろうがなかろうが、収入と支出がそれぞれどのような割合なのかを常に利用者つまり保護者に示しておくことが必要だと考えてきました。たとえば収入分の何パーセントがこういう補助金だ、何パーセントは保護者から徴収する額だ、と示す事であり、支出分のこれだけの割合が人件費のうち定期的な給与であり、賞与であり、クラブの電気料金であり、おやつ代であり、と使い道、使途を占めることが必要だと考えています。
 保護者から徴収する額が1万円だとしたら、7,200円が職員人件費ですよ、1,000円が光熱水費ですよ、1,800円がおやつ代ですよ、と示すことです。それが8月になると1万5000円の徴収ですが、1万円が人件費(さらにそのうち3,000円は夏休みのみ雇用する非常勤職員の人件費分に相当しますよ)に使われますよ、と具体的に示すことです。

 よく、市区町村の広報で、5月号になると「予算はこう使われています」とグラフで示している記事が掲載されますが、それと同じようなものですね。

 私は、国庫補助や自治体単独補助を受けて運営している、つまり公の事業を営む児童クラブは、その収入は「すべて」公のお金に該当するという理解をしています。補助金は間違いなく税金からなるので公金そのもの。保護者から徴収する利用料も、子育て世帯の保護者にとってみれば、児童クラブという公的な児童福祉サービスを利用しないと、こどもの安全安心を確保しつつ生計を営む暮らしが成り立たないので、つまりは児童クラブを利用「せざるをえない」状態にあって、その利用せざるを得ない児童クラブに支払う利用料は、まさに「子育て税」に等しいと考えています。支払わなければならないというお金です。

 ですから、市区町村や児童クラブ事業者は、得たお金の出どころはこういう割合になっていて、使ったお金の割合はこうなっている、というのを完全に納税者たる国民たる保護者に開示するべきだというのが、運営支援の基本的なスタンスです。それは夏休み期間に利用料を増額するのであれば、増額しなければ運営ができないという合理的な理由があることを、国民に示すことが必要だ、ということです。

 今の児童クラブは、児童クラブごとの収支、お金の使い道をほとんど公表していません。自治体の担当課は知っているでしょうがそれでは意味がありません。税金も、利用料も、ともに支払う保護者に開示されるべきだと運営支援は考えているのです。保護者運営だろうが広域展開事業者であろうが社会福祉法人だろうが、みんな同じです。

 そうして、お金がどこからやってくるか、どこに使われているか、収支の明細が明らかになれば、地域ごとに非常に差がある8月の夏休み料金の違いもまた、その理由がおのずと明らかになるでしょう。増額分が少ない地域は自治体が一般財源で手当てをしている、増額分が多い地域は保護者から得るお金で運営を支えている、などということが分かるでしょう。そうすれば夏の料金の差の不思議もすべて解明されますね。

 国にはぜひとも、市区町村にクラブごとの収支の明細をガラス張りにするような指導をしてほしいのですが、まったくその気配もありませんし、業界団体が求めている気配もありません。私にとってはそれこそ解せない、奇怪な怪談もどきの話なんですけれど。

 最後に、かつて運営責任者であった者からのたってのお願いです。「くれぐれも、利用料の未払い、滞納をしないように、納付日にしっかり納めましょう。口座引き落としの日に預金残高がちゃんとあるように注意してくださいね。未納や滞納があるとその対応で運営コストがさらに増えてしまいますから」 

(お知らせ)
<新着情報!> 2025年6月から放課後児童クラブ(学童保育所)の新規設立と日本版DBS制度への対応に際してご相談者様、ご依頼者様からのニーズに万全対応を期すべく「イオリツ行政書士事務所」(佐久間彩子代表)と、業務上において連携することと致しました。
 弊会に寄せられた児童クラブ新規設立のご相談、ご要望に際しては、児童クラブ全般の説明や業務設定の支援を弊会にて行い、クラブ設立に関する具体的な相談や手続きにつきましては、イオリツ行政書士事務所にて対応となります。また、日本版DBS制度につきましては、弊会は事業者の労務関係面の対応助言や必要規程の整備を担当し、イオリツ行政書士事務所が制度の説明や、認定事業者を得るための具体的な手続きの説明や代行面を担当いたします。
 佐久間氏は、「日本一、学童保育に詳しい行政書士を目指す」として2025年度から事業を開始された気鋭の行政書士です。児童クラブに関しても豊富な知識を有しており、また実際に保護者運営系の児童クラブの利用者であり運営にも関わっておられるので、児童クラブに関する業務についてはまさに最適任です。
 児童クラブの新規設立や運営主体の変更の手続き、また日本版DBS制度の全般的な相談には、ぜひとも「イオリツ行政書士事務所」まで、お問い合わせいただけますと幸いです。
「イオリツ行政書士事務所」(https://office-iolite.com/
代表者:佐久間 彩子(さくま あやこ)
所在地:〒231-0048 神奈川県横浜市中区蓬莱町2-6-3 KOYO関内ビル406
 もちろん、イオリツ行政書士事務所は日本版DBS制度についてきめ細やかな事業者様のサポートが可能です。
・認定取得に向けた申請書類の整備/相談
・導入/管理体制の構築、運用のサポート
・職員/保護者向けの説明サポート
・制度や法令に関する最新情報の提供
・就業規則等の整備、労務関係面の対応助言(弊会も連携して対応いたします)
日本版DBS制度についてのご相談は、弊会並びにイオリツ行政書士事務所まで、ぜひご相談ください。(https://dbs.office-iolite.com/)

※新着情報はここまで。「お得情報」が下にあります!

〇弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない、あらゆる児童クラブを応援しています。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイス、メディア対応が可能です。ぜひご連絡ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。
 さらに運営支援からの書籍第2弾として、放課後児童クラブを舞台にした小説「がくどう、序」を発売しました。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。もちろんフィクションですが、リアリティを越えたフィクションと、自信を持って送り出す作品です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いたハートフルな作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説です。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。
 この2冊で、放課後児童クラブの世界をかなり知ることができると運営支援は自負しています。いわゆる日本版DBS制度において、放課後児童クラブと関わりができるであろう弁護士や社会保険労務士、行政書士といった各士業の方々には、放課後児童クラブの世界を知るにはうってつけの書籍となっています。他の業種、業態とかなり異なる、ある意味で異質の業界である児童クラブについて知ることができる、運営支援からの2冊を士業の方々には、ぜひご活用ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆(お得情報!)
放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。埼玉県や上尾市に比較的近い地域であれば県外でもお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)