ゴールデンウイーク(大型連休・GW)特別版・下 「こんな放課後児童クラブが、地域にあったらいいな!」
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたらSNSに投稿してください! 口コミ、拡散だけが頼みです!
大型連休もとうとう最終日。雨模様の地域も多いようですね。自宅でのんびりリラックスしている方もいるでしょうし、連休最終日の大混雑を無事に乗り越えた人も、ずっと仕事で忙しかった人もいるでしょう。運営支援ブログは特別版として、「こんな放課後児童クラブが、地域にあったらいいな!」と、わたくし萩原が考える理想的な事業内容の放課後児童クラブを挙げてみます。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
こんな放課後児童クラブがあったらいいな、というのは、こどもたちの「楽しい」と「落ち着ける」と「また明日も来たい」がたくさんあふれている児童クラブですし、働く職員、支援員さんたち、補助員さんたちが、働き出したら長い間ずっと仕事を続けたいと思える児童クラブです。仕事は難しいし大変だけれどもそのやりがいを支えられるだけの報酬があり、仕事が続けられるだけに十分な休息や休日もあり、何より、社会から専門性を評価されている時間が得られる状況にある児童クラブです。大規模状態ではないし、職員も十分な人数がそろっているクラブ。利用したいと思っている子育て世帯が必要な期間において利用できる児童クラブ。これがまさに、私の考える「こんな児童クラブが、あったらいいな!」なのですが、もうちょっと書いてみます。
<こどもが「解放」される時間がある、児童クラブ>
読者の方が大人でしたら、ご自身のこども時代、小学生時代を思い出して、当時の自分自身になりきってみて考えてみてください。学校が終わったら、どんな気持ちになったことが多かったですか? 十人十色なのは間違いないとしても、学校で過ごしていた時間とは違う時間の過ごし方を楽しみにしていた方は、多かったでしょう。学校は、(いろいろ問題はあるとしても)社会に出て活動できるために必要な知識や技能を習得する場所。学習したり指導を受けたり、また社会的な規範や常識も学びます。それは必要なことですが、大変です。疲れますよね。大雑把に言えば「大人になるためにいろいろなことを学ぶために、いい子でいることが求められる場所」です。疲れますよそりゃ。
その、お行儀のよい学校という場所で朝から昼過ぎまで過ごしたこどもが、「わーい!」と、規律的な時間の過ごし方から解放される時間が放課後であり、休日であり、長期休業期間ですね。その「わーい!」で過ごせるはずの時間を、保護者の方針でこどもが児童クラブで過ごすことになる場合、つまりこどもが(おおむね、自らの意思に反して)児童クラブで過ごさざるを得ないことになった、というのがおよそたいていの児童クラブで過ごすこどもの境遇でしょう。(高学年になって自分の意志で児童クラブにて過ごすことを選ぶこどももいます。本当にすごい!)
だからこそ、児童クラブは、「解放」の要素をしっかりともっていてほしいな、と私は願うのです。それは次に述べるいろいろな事業内容をアピールする児童クラブにおいても、それなりに重要にしてもらいたいと願うのです。日々のうち30分でも、1週間のうち数日でもいいので、「思いのままで過ごせる時間」がある児童クラブが、私は大好きです。
<「食べる」と「学ぶ」が保障されている児童クラブ>
これは、個々の家庭によって違い、格差がある「食」と「学習」の2つの機会を、児童クラブで最低限の保障ができるようになってほしいという私の願いです。こども食堂の激増は、「こどもを中心とした地域社会の人々の居場所」が求められている結果でもあると私は考えていますが、やはり根底には「食事の機会の不安」があるのではないでしょうか。給食が無い夏休み期間など、所得が少ない世帯のこどものカロリー摂取や栄養バランスに不安があるという指摘はすでに多くなされています。そもそも「おやつ」は児童の健全育成において必要です。そのうえで、長期休業期間中の昼食の提供も用意されている児童クラブが増えてほしいですね。自宅でお弁当を用意できる世帯はそれでいいです。保護者が気軽に利用できるように自治体が昼食代の一定の補助を出す仕組みも備えてほしいですね。
そして学びの機会です。これも、世帯によっては児童クラブから帰宅するととても勉強、学習の時間を持てないということが伝えられています。ヤングケアラー問題もそうですが、学ぶ機会を十分に得られないとその後の人生において不利益を受けざるを得ない状態に追い込まれるという恐れがあります。児童クラブは「家庭の延長」「家庭の代わり」として宿題の時間を確保することがほとんどですが、それ以上については職員数の問題、施設の問題などで、なかなか学習の時間を確保するまでに至っていない状況が多いのが、今の児童クラブです。ここを私は変えていきたいと考えています。育成支援の基本をしっかりと踏まえつつ、1週間のうちに数日は学習や勉強に取り組む時間を、保護者との相談のうえで希望する世帯に確保できるようになればいいなと、私は考えています。
児童クラブは、実のところ、自治体の考え方や事業者の考え方次第で、幅広い事業内容を実施できます。良い面も悪い面もありますが、良い面でいえば、食や学習の機会の確保を理念として打ち出す事業内容の児童クラブもまた児童クラブとしてサービスを提供できるということです。イメージで申せば、「育成支援が8割、学習が2割」の比重のクラブも「育成支援が2割、学習が8割」のクラブも、自治体から特にあれこれ言われない限りは補助金を受けられる可能性があります。そういう、構造の緩さを、工夫次第でこどもも保護者も充実できる放課後や長期休業期間における1日の過ごし方を柔軟に実現できるという、挑戦的な姿勢が必要だと私は思うのですね。学校から歩いて通える範囲内にいろいろな特色の児童クラブがあってそれを選択できればいいのですが現実的にはなかなか難しいので、事業者が複数のサービス内容を提供できる態勢に近づけると、私は良いと考えます。そのためにも、事業規模を大きくして経営運営体制をより強固とすることが必要ですよ!
<地域も育つ児童クラブ>
これは児童クラブだけではなく児童館も、こども食堂やこどもの居場所にも欠かせない大切な要素だと私は考えています。「ただ、利用者だけが出入りする施設で、地域の人との普段の交流が無い」施設にならないでほしい、ということです。児童クラブは、その施設を利用する人を事前に確定させ、利用しているこどもと保護者への個別的な支援を重視する仕組みであると私は考えているので、地域の人がいつでも気軽に出入りするということは施設の目的ではないと考えますが、特定の日や一定の期日で地域と交流することは、ぜひともやっていくべきだと考えています。まして、児童館やこども食堂の場合は、より積極的に地域の人々の活動を取り入れて自身の事業を活発化させていくことがいいのだろうと考えています。
児童クラブはそのほとんどが補助金を交付されていますが(放課後児童健全育成事業を手掛けているにも関わらず補助金を自治体の裁量で交付しないのは、私は大問題だと常々訴えています。そういう事例が無くなりますように)、このことを「自治体が子育て支援にとって必要なカネを出すのは当然」という考えだけで終わってしまうのは、私はいかがなものかと考えています。確かに子育て支援は国や行政が予算をしっかりと必要十分なだけ拠出するのが当然だと思いますが、その補助金は税金ですから、税金の有効な使い方を考えて実践するのは、補助金を受けて事業を行う側にとって必要な姿勢でもあると私は信じて疑いません。その考えから導かれるのは、その地域もまた一緒に栄えていく必要がある、ということです。自治体が必要な補助金を出す、児童クラブの事業者は必要十分な予算を得て質の高い児童クラブ事業を行う。それがその地域への高い評判となって子育て世帯が安心して住み続けられますし、他地域からの転入も増やしてくいく。このサイクルを確立したいのですね。
児童クラブを充実させ、地域の魅力とする。口だけでは多くの地域がそうしています。実際はどうですか? 実際に児童クラブの世界にいる人たちの話を行政パーソンや議会の人は聞いてみてください。子育て支援を高らかにうたっている地域で、民間事業者に運営丸投げで常に職員の求人広告を出している、しかも待機児童もいる、という地域は、「子育て支援サギ」ですよ。
余談ですが、この大型連休で私は家族3人で奈良県へ1泊2日の弾丸旅行を楽しみました。5日に、奈良市にある国立博物館(ナラハク)を堪能したのですが、入場料が高いと、率直に感じました。国立ですよ。くにたちではなくて、こくりつ。国民のためにある文化施設に、この国はカネを出そうとしないという現実が顔をのぞかせているのが高い入場料だと私は感じました。タダにしろ、とは言いませんが、国が博物館の機能の充実にしっかりと予算を出せば入場料も下げられるでしょう。かつて国立科学博物館がクラウドファンディングをして資金を集めねばならなかったことが話題になりましたが、それがおかしい。日本は博物館、図書館、大学など、文化や研究を支える仕組みにあまりにもカネを出さなすぎます。研究にも、運営にも、人を雇うにも、必要な資金を用意しないのが本当に残念。第一線で施設を支える人たちが会計年度任用職員や有期雇用スタッフだらけというのは、情けないを通り越して許しがたい事態ですよ。福祉の世界にもカネを出さなすぎます。私立高校を無償にする前に、もっとやることがあるでしょうに。
「児童クラブは、こうでなければならない」というのは、当然ながらおろそかにできないこどもの安全安心を確保する、こどもの権利を保障するという点において曲げてはならないのですが、それを大前提としているのであれば、いろいろな児童クラブがあっていいはずです。あえて言えば、「児童クラブは、いろいろな特色を持っていなければならない」とでもなるでしょうか。個々の事業者も地域も、「自分たちにはどのような児童クラブの存在が求められるだろうか」ということをぜひ、いろいろな人を交えて話していって作り上げていってほしいと期待しています。やりようによっては、面白くて楽しい児童クラブができるはずなんです。(そのためにも、国は、存分に補助金を活用するよう自治体をしっかりと指導してくださいよ)
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弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。
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放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、群像劇であり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。
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弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
(宣伝です:放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。上尾市に比較的近い地域であればお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!)