「保護者会って、なんであるの?」 放課後児童クラブをこれから利用する人へ、2025年度版をお届けします。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブに関する運営支援ブログですが、3月になると、保護者会をテーマにした過去の投稿がよく閲覧されているようです。そこで、2024年4月13日に掲載した「聞きたくても聞けない「学童のこと」。「保護者会って、なんであるの?」など、「保護者と学童保育」編です。」を2025年度版としてバージョンアップして掲載いたします。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<保護者会とは>
 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)をこれから利用しようとする保護者さんにとって「あまり歓迎したくないもの」のひとつが、「保護者会(父母会と呼ぶ地域も多いです)」かもしれません。「夜に開かれるのに、絶対に出席しないとならない」「沈黙の時間が多くて我慢が必要」など、もしかするといろいろな「厳しいうわさ」を耳にしたことのある新人の、学童保護者さんがいるかもしれません。今の時代、保護者会の存在が「小1の壁」を構成する1つの要素とみなされることもあります。
 一方で、保護者会が無い児童クラブもあります。また、「保護者会が大好き!」という人も実はいます。
 そうです、保護者会と児童クラブの関係は、結構ややこしいのです。すべての児童クラブに保護者会は必須の存在ではないですが、その仕組みによっては保護者会が必ず存在し、必ず入会しなければならない仕組みとなっている場合の児童クラブが設置されている地域もあります。

 なお、きょうのブログで取り上げる「保護者会」とは、「児童クラブに子どもが入所している世帯の保護者が加入し、継続的に、何らかの活動をしている組織のこと」を指します。また、保護者が地域の住民と一緒に児童クラブを運営する「(地域)運営委員会」という形式の児童クラブもありますが、保護者会運営と共通する点が多いので、保護者運営の児童クラブには運営委員会形式の児童クラブも、当ブログでは基本的に同じとして考えていきます。さらに、保護者会や運営委員会を法人化して児童クラブを運営している事業者も多いですが、その構成メンバーが現役保護者またはOBOG保護者である場合も、基本的に同じとして考えていきます。ひっくるめて「保護者運営系児童クラブ」というくくりになりますね。

 単に、年に数回、保護者が集まって、クラブの職員やクラブ運営事業者から情報の提供を受ける、あるいは状況の説明を聞くという「集会、会合」のことも保護者会と呼ぶ場合もありますが、そのような集会や会合の「保護者会」のことではありません。それらは「保護者懇談会」と呼ぶべきものでしょう。

 保護者が加入し、継続的に活動をしている組織である保護者会ですが、本来は、存在する理由がちゃんとあって誕生し、存在理由を実現することを目的として、活動をしているはずです。では、どういう理由や目的が考えらえるのでしょう。 表にしてみました。

公設公営(市区町村が設置して、運営も行う)(A)公設民営・保護者会運営又は保護者主体の法人による運営(B)公設民営(児童クラブ運営を事業とする企業運営)(C)民設民営(児童クラブ運営を事業とする企業企業運営)(D)
保護者会設置の必然性 (1)設置は任意。地域による設置が必要(運営主体であるから)義務ではない義務ではない
保護者会に保護者が加入する必然性(2)設置されている場合は、必ず加入確実に加入は義務設置されている場合、たいていは加入は義務設置されている場合、たいていは加入は義務
保護者会の役割(3)設置されている場合は、運営業務の一部を代行する児童クラブの経営、運営の全てを担う設置されている場合は、運営業務の一部を代行する場合がある設置されている場合は、運営業務の一部を代行する場合もある

<保護者会は、なんであるの?>
 おおむね次のような目的や機能があるから、あるいは求められているから、ですね。
・放課後児童クラブの「事業運営」そのものを担っている場合。この場合、保護者会の存在は必然となり、保護者の加入は強制となります。事業運営を行うのは保護者会、事業運営の責任を担うのも保護者会となります。(上の表では、Bに該当します)。この場合、保護者1人1人は、「児童クラブの利用者」でありつつも、「児童クラブというビジネス、事業の経営、運営に責任を持つ経営者の1人」ということが言えます。もっとも、普段のクラブ運営は役員会や役員、職員が行っているのであれば、感覚的には「役員ではない保護者は株主のような存在、役員である保護者は取締役だったり社長だったりしていて、児童クラブ職員は従業員」というイメージで間違いないでしょう。レストランに例えれば、そのレストランを利用する人が実はレストランの経営者でもあり、利用者たちの中で選ばれた人たちが、レストランの事業運営や事業計画を立てていて、実際にレストランで働いているコックや店員たちが職員に相当する、ということになります。
(注:事業運営とは、サービスを提供するにあたって対価を得る活動を継続して行っているということです。それを一般的にはビジネスと呼びます。児童クラブでいえば、施設があってそこで子どもたちが過ごしている、職員はその子どもたちを支援している、そのことが連日行われていて、そのことを行うために保護者から利用料を得たり行政から補助金をもらったりしているということ。それが、児童クラブの運営事業です。ですから児童クラブも、ごく普通のビジネスです。)

・放課後児童クラブの「事業運営」の一部を担っている場合、保護者会の存在が必要となります。例えば、費用の一部徴収、おやつ購入、行事やイベントの企画や実施。この場合も、保護者会の存在は必然で、保護者の加入は強制となります。強制である理由は、事業運営の一部をになっているため、すべての利用者が参加することで「運営に関する負担が全員に均等に及ぶ」ことにするためで、そうしないと、負担を追わない人が生じるためです。上記の表でいえば、AやC、Dの運営形態のクラブで、保護者会が「存在している」場合に該当します。

・児童クラブの事業運営を担わない場合でも、保護者会が存在することがあります。これは、「昔から存在している」という惰性の場合がほとんどです。多いのが、以前は保護者運営だった児童クラブが、保護者が参加する非営利法人に発展したり、あるいは企業運営に切り替わったりと、いずれにしても保護者会の運営では無くなったとしても、保護者会の存廃に関して議論をしなかったので、保護者会が残っている図式です。この場合の保護者会は、「クラブの職員から定期的にクラブの様子に関して説明を受ける」「季節ごとのイベントを保護者会が主体、あるいは主催して行っている」という目的で存在していることがほとんどです。つまり、「利用者として事業の運営側から、事業内容に関して定期的に情報提供を受ける場合に、保護者のまとまった集団として存在」しているか、「保護者たちがまとまった集団で、自主事業を行うための存在」であるということです。

<保護者会は、何が目的なの?>
 かつて、保護者たちが集まって自らの手で子どもの居場所を確保していた時代がありました。その場合、保護者会の目的はずばり「児童クラブの設置、開設、そして運営」でした。保護者会が企業そのものであった、と言えるでしょう。つまり、目的の1つ目は「児童クラブの経営、運営」です。設置の目的は、児童クラブを開設させること。事業の目的は、児童クラブを継続的に開設して運営していくこと、になるでしょう。

 その他にも、保護者会の設置の目的と、事業の目的があります。
・2つ目は、放課後児童クラブで行われている育成支援(子どもの育ちを職員が支えること。児童クラブで行われる事業、サービスの中核)に関して、「定期的に保護者が集まって、業務に従事している職員から状況の説明を受け、今後の方向を共に考えること」です。児童クラブに在籍している子どもの養育、監護に責任を持っている保護者に対して、子どもの様子を伝えて情報の共有を図ることは必要なことですが、子どもの様子を児童クラブ側が保護者に伝えるにあたって保護者会という組織が必ず必要となるかどうかは別問題です。
 学習塾や小学校のように、保護者を指定期日に招集して、子どもの様子を伝えたり、保護者から質問を受けたりする会合や集会のことも「保護者会」と呼ぶことが多いですが、「保護者懇談会」「保護者説明会」の単語の方が、ふさわしいでしょう。

・3つ目は、放課後児童クラブに在籍している子どものために実施する行事やイベントを、保護者会が実施者として実施する場合です。また、職員など児童クラブの運営事業者が行うにあたって、その協力を保護者達たちが行うために存在する場合。このような場合でも、おおむね、保護者会の加入は強制なことが多いでしょう。

・4つ目は、「残念ながら、惰性で存在しているだけで、確たる目的を見失っている。過去に行ってきた行事をそのまま繰り返している」という場合です。これは、結構、多いのではないでしょうか。過去十数年、何十年も保護者会があって、毎年、決まったような行事をやってはいるものの、前年の例をそのままなぞっているだけ。この場合、すでに「保護者会が存在し続けることが目的」となっています。もちろん、保護者が単に集まった状況を「保護者会」と呼んでいるだけです。 

 ご自身が通うことになる、あるいは通いだしたクラブに保護者会があるとしたら、上記のどのパターンに近いでしょうか。

<PTAとは違う、複雑さがある>
 放課後児童クラブと保護者会の関係は、案外とややこしいです。よく、学校とPTAのような関係と例えられますが、決定的に違うことがあります。PTAは純然たる任意団体で会員にならなくても小学校で(本来なら)不利益を被ることは(建前では)ありません。児童クラブの保護者会も任意団体で、その点はPTAと同じです。

 PTAと違うのは、児童クラブの保護者会の場合、「実際に事業を営んでいる」ケースがあり、そのような児童クラブの保護者会に加入しないことは児童クラブの利用ができなくなる、という現実的な不利益が生じる、ということです。

 PTAの場合は(今も強制加入の地域がまだまだあるようですが)、保護者がPTAに入らずとも、小学校における義務教育を受ける地位そのものに影響はありません。仮にその活動を全部取りやめたところで、子どもが学校で義務教育を受けられなくなることはありません。
 ですが、児童クラブを運営しているのが保護者会の場合、「うちは、PTAと同じように保護者会には入りません」という選択を保護者が行った場合、通常は、児童クラブへの入所そのものが不可となります。児童クラブは義務教育である小学校と異なって、必ず存在している仕組みではありません。保護者運営の児童クラブは、保護者が必要としているから保護者たちが応分の負担を(しんどいながらも)背負って児童クラブを設置、開設、運営の継続に取り組んでいます。児童クラブのサービスを提供するために児童クラブそのものの設置運営にかかわっているので、設置運営を行う保護者会に入らない場合は、児童クラブのサービス提供を受けられないことは、問題になりません。
 まして、保護者の負担が大きいからといって、運営の負担を避けようと保護者たちが相次いで保護者会を辞める、通常は児童クラブを退所、退会することになりますが、仮に圧倒的多くの保護者が保護者会から抜けると、その児童クラブは閉所に追い込まれます。保護者会運営の児童クラブの場合は、保護者会が「事業者」ですから、事業を担う人が少なくなれば「人手不足による倒産」と同じような状態になるのです。

 このような、保護者会運営の児童クラブは、まだまだ全国各地に残っています。また、事業運営の全部ではなくても一部を運営していることは珍しくないことです。全部であろうが一部であろうが、事業を営む側に保護者も入っている、という場合、保護者は、クラブを利用する立場ですから利用者、ユーザー、もっといえば「客」ですが、もう一方の面においては、クラブで行っている事業を運営する「経営者の一員」となるのです。その場合は、「保護者会に入りません!」と拒否できないことが通常です。この場合は、最悪だろうがなんだろうが、そのような仕組みである以上、保護者会に入るしかありません。

 保護者運営の児童クラブは、どうしても、保護者の労働力による貢献を、児童クラブ運営に求めます。それは運営費用のコストの肩代わりを保護者にやってもらうから必要なのだ、ということです。運営に従事する専門的な職員を雇う経費を集めずに、保護者に集まってもらって事業運営に必要な作業をやってもらえば、職員を雇わず人件費を使わずとも、児童クラブは事業を続けられます。この場合、児童クラブの保護者にしてみれば、利用者として利用料を払っているし、児童クラブ運営のために必要な作業を実施する際に、無償で自分の知恵、スキルを提供している。本来は、賃金をもらって当然のことを逆に保護者がコストを負担している(時間的なコストを提供、ノウハウを提供)のです。これは、児童クラブを設置する側や運営する側にとっては非常に大きなアドバンテージです。だって、人件費を用意せずに事業運営に必要な業務を、いわば「お客さん」である利用者たる保護者が、担ってくれるのですから。このことは、児童クラブの設置運営に必要な全体的なコストが少なくて済む、ということを意味します。
 実際には、「児童クラブに必要なコストを国も行政も十分に出してくれなかった」という過去の歴史(そして今もまだまだ足りていない!)から、児童クラブを利用したい保護者が追い込まれてやむなく編み出した苦肉の方策、ということが言えるでしょう。 

 保護者会が手掛ける事業運営の範囲は様々です。保護者から毎月の利用料を徴収し、補助金の申請書類を作成して市区町村に提出し、毎月支払う職員の給料、社会保険料を計算して給料振込の手続きをし、経費を支払い、おやつ代や延長利用料も徴収し、と、経理会計や労務までありとあらゆることをやっている保護者会がありますし、保護者会が担当するのはおやつ代の徴収や延長利用料だけ、と限定された運営業務のみ手掛ける保護者会があります。
 いずれにせよ、運営業務の全部又は一部を担っている保護者会があるクラブに入所した場合、保護者会に入らないということは受け入れられないでしょう。

 実際に「児童クラブの設置、開設、事業の継続的な実施、運営」という活動、これはビジネスそのものですが、そのビジネスを行っている保護者会が、まだまだ全国に残っています。また、保護者会が事業の活動の一部を担っているのであれば、その数はもっと多くなるでしょう。

<これからの、児童クラブの保護者会は?>
 以前からの学童保育の世界では、こうした保護者運営のクラブをとても重要視していました。(もともと、このような保護者が運営する形で学童保育は自然に発生した、いわば本来の形でもあります)そしてそれは、今なお、神話のように大事にされています。「保護者が運営に関わるから、子どもにとって理想的なクラブが実現できる」という理由です。
 私は違う考え方に立っています。詳細は避けますが、保護者が運営にまつわる責任(管理責任、善管注意義務、使用者責任)を負うことは好ましくないという考えを取っているからです。ですので、ゆくゆくは、保護者が運営に関わる児童クラブは解消していくべきだという主張をしています。(なぜなら、万が一の事故や事件で被害が発生した場合、運営者でもある保護者が民事上の責任を負わねばならない可能性を排除できないからです。また、運営責任が不明瞭になり結果として雇用されている職員に影響を及ぼす可能性があるからです)
 ぜひ行政に掛け合って、違う運営の形式を採用するよう働きかけていくべきだと私は考えています。時間はたいそうかかるでしょうが、必要な作業です。

 保護者会運営の保護者会であっても、現状ではクラブの運営を行うのは保護者会役員とし、それ以外の保護者会メンバーは運営業務を担わないということが通常です。とはいえ、保護者会全体としてクラブ運営の事業者であるのですから、保護者会に入らないという選択肢は持てません。そこを変えるのです。保護者会が自ら定める規約や規程で、「保護者会会員でないものの児童クラブ利用を妨げてはならない」と決めているのであれば、状況を変えることができるはずだと、私は考えています。これには、「任意性」と、「志願して業務を担う人の責任」について、今よりもっと深い理解が必要となりますが、不可能なことではないと、私は考えています。

 一方で、保護者は子育てに当然、関わらねばならない立場です。児童クラブで子どもが育っていくことについても、保護者は子育ての責任を果たすべきであると私は考えます。つまりそれは、児童クラブの職員が行っている子育て支援(=育成支援)について、子どもたちと子どもたちに対して行われる育成支援がどのような状況にあるのか、どのような方針で、どのような支援が行われているのか、将来に向かってどのような支援を行っていくべきかということを、保護者は児童クラブ職員と、情報と認識を共有し、意見を交わし、一緒に考えて決めていくことは、私は大事な事だと考えます。そのための会合や集まりを「保護者会は嫌」と忌避することは、どうしてもやむをえない事情があるのならいざ知らず、単に「面倒くさい」というだけで参加しないということは、あってはならないと私は考えます。

 もちろん、児童クラブの運営者が、「保護者が、児童クラブにおける子どもの生活の実態、成長していく過程の様子を、事業の一環として保護者に伝えることが必要だ」という理解を持たねばなりません。児童クラブ職員の側は、保護者との情報共有や意見交換の場を、単に情報の一方通行で終わらせず、多くの人が発言できるような雰囲気作りを業務として実施しなければなりません。

 私は、児童クラブという場は、保護者が期せずして関わりあうことができる場だと考えています。児童クラブを同じ時期に利用することになった保護者同士が、児童クラブを利用するというきっかけを端緒にして、仲良くなれればいいと素直に考えています。そこには、運営上の負担や義務、負担を追わず、子どもがどう過ごすのか本来の保護者としての責務だけを意識した保護者同士で、仲良く、親しく、互いに助け合い支えあうことができる仲間の輪が、児童クラブをきっかけにして広がっていけばいいと、考えています。それはやがて、いろいろな局面でお互いに安心したり助かったりすることになるでしょう。大地震や台風など親善災害の時の支えあい、助けあい、あるいは個人的な問題で悩んだりピンチに陥ったときの相談相手や支え励ましてくれる仲間が、増えていくことになるでしょう。

 児童クラブの保護者会は、「保護者同士がつながっていく場」として機能できれば、私はそれで充分だと考えています。もちろん、希望しない人がむりやり仲間扱いされることがないように。

<保護者会の運営や取り組みで、心がけてほしいこと>
 児童クラブの運営が保護者会ではなく運営事業者が別に存在する場合においては、保護者会の設置が絶対的に欠かせないことなのかどうかを確認しましょう。先に述べたように、市区町村や事業者から、事業運営の一部でも引き受けているのかどうか。事業運営以外の理由で、保護者会が何らかの役割を担っているために強制的に加入しているということは普通にあることです。例えば、「子どもの育ちを職員(支援員、補助員)と一緒に考えて実行する形式」(共同保育、と呼ばれます)の場合が相当します。また、年に数回行っている行事やイベントの計画や運営に関わっていることが保護者会設置の理由であることもあります。

 つまり、「いま保護者会で行っていることは、保護者会という組織である必然性があるのか」ということを全員で検討するべきです。会長がいて、副会長がいて、お金を集めるなら会計がいて、というように役職者がそろっているのが団体のあるべき形ですが、そういう役職者をそろえた組織と言う形で存在しなければ、「今ある保護者会がやっていること」を本当に実行、実現できないものかを改めて点検しましょう。場合によっては、その都度、担当者を保護者から募る、事前に指名する、あるいは実行委員会を組織して対応するなどして、恒常的に設置する保護者会という組織までは必要ない、ということになるかもしれません。

 また、任意の加入制度を検討することもよいでしょう。任意の希望者で構成する団体として立て直し、必要な活動を厳選して少数精鋭で活動するという方法は効果的だと私は考えています。この場合、参加しない人に対して差別的な行為がないことを心がけてください。自発的に参加する人のことをボランティアといいます。本来、ボランティアは志願者のことです。志願して、責任を負って活動する人の事です。自らの希望で活動を行うと決めて参加した人は本来のボランティアよろしく、参加していない人のことも全部含めて面倒を見る、権利の実現に助力する、という考えで無ければなりません。絶対に「参加している自分たちが偉くて、参加していない保護者たちはずるい」と思ってはダメです。そもそもそういう考えは任意による活動にそぐわないのです。

 すでにある保護者会が強制加入の場合で、しかも何らかの活動を係や担当を設けて行っている場合において、保護者会の運営において心がけなければならないのは、「できる人が、できることをやる。できない人に、おしつけない。これは、誰かが得をする、誰かが不公平になるということとは全く違う」という考え方を、入会している人たちの共通理解とすることです。
 児童クラブにはいろいろな境遇の人が集まります。家庭環境も、仕事との両立の環境も、個々の人の性格や得意分野もまったく違う人たちが集まるのが、児童クラブの親たちです。それぞれに得手不得手があり、それぞれに家庭性格以外に確保できる時間に差があります。車を自在に扱える家庭があれば、自転車で保育所と児童クラブを並行して利用していて家とクラブの往復もままならないという人がいます。計算が得意な人がいれば、他者と関わるのが苦手な人がいます。
 苦手な人、余裕がない人に、機械的に役職を押し付ける、任務を押し付けることは、ムダです。非合理的です。得意な人、やれる人、苦にならない人が、やればいいだけの話です。やりたい人がいないのであれば、「皆が望んでいない」のですから、廃止しましょう。設置が事実上の義務となっている保護者会で、役員や係になりたくない人ばかりというのであれば、事実上、そのやり方はもう無理なのです。違う運営の手法を取るべきなのです。
 でも、どうしても役員を置かねばならない。保護者会運営だから会長がいなければならない。でもやってくれる人がいない。だれも立候補しない。そういう状況なら、その役を引き受けて負うことになる責任感、負担感を帳消しにするだけの利益を与えることにするべきです。私なら、利用料は任期中無料が良いと考えます。運営業務を担う重要な責任ある仕事をするわけですから、クラブや事業者の運営に関する規程を変えて、会長なら任期のすべての間は無料、副会長なら任期期間中は5割減とするなど、責任に見合う報酬、メリットを考えるべきです。
 そして、やれない人、できない人には、「これならできるはず」という任務をやってもらうのです。どんなに小さなことでも言い。例えば、数か月に1回集まる保護者会、父母会で、一番最後の時間の例えば質問タイムがあったとして、その部分の仕切りをお願いするなど、なにかしらは、担ってもらう。あるいは資料を配布する担当など、なんでもいいのです。無理なことは、おしつけない。やれる人が、やれることをやる。頑張ってやってくれる人には、恩恵を与えよう。どんなにちいさな、簡単そうなことでも、やれることができる人にやってもらいましょう。

<一度、無くしてしまっていいんじゃないかな>
 保護者会運営ではなく、市区町村からも特に業務を依頼されているわけではない場合、保護者会は外的な要因で存在を求められている訳ではありません。つまり、保護者会を置くか置かないか、それは事業者の判断です。事業者ももしかしたら、本当に保護者会が必要なのかどうかを検討したことがないかもしれませんし、クラブの保護者に設置の有無を委ねているかもしれません。

 改めて考えてみましょう。「本当に必要なのか、どうか」を。先に述べたように、行事やイベントのための存在であれば、都度、希望者を募って組織したチームで担えばいい。定期的に集まって職員から子どもたちの様子を聞く会合の仕切りは、別に保護者会でなくてもいい。だれか司会役の者を保護者みんなで選んでおけばいいし、その都度、だれかに任せてもいいし、職員が担ってもいいのです。
 この任務が、この役職が存在しないと、児童クラブの運営が絶対的に不可能になるかどうか、の観点で、改めて存在意義、存在理由を確認していけばいいのです。その上で、「保護者会が無くてもやっていけそう」であるなら、無くしてしまっても問題ないはずです。そうしてやっていって、あれを決めたい、これを決めたい、相談したい、やっぱり定期的に興味関心がある人が集まって相談していけば事がすんなり進むというのであればその時点で改めて「会」として立ち上げればいいだけです。それも、任意の参加者を募って。
 私はこれからの時代、クラブ職員が率先して保護者のつながり、保護者連携組織を上手に形作っていくことが理想だと考えています。クラブ職員の支援を受けた保護者が自ら立ち上げて運営を行う組織が誕生すれば、その後はきっと充実した保護者とクラブとの連携が果たせる組織になるでしょうから、賛成です。

<保護者運営の児童クラブでは、「日本版DBS」について対応を考えねばなりませんよ>
 難しい話ですが、簡潔に紹介するならば、「過去に特定の性犯罪を起こした人を雇わない、もし今働いている人の中で、特定の性犯罪の前科がある人は、子どもと一緒に働く場にて勤務を続けていいのかどうかを事業者がしっかりとかんがえねばならない」ということです。これは、保護者たちが今まで、無償で、時間とノウハウを提供して運営ができていた児童クラブの世界において、これまでの流儀、やり方がまったく通用しない世界に児童クラブが入る可能性がある、ということです。
 「保護者がボランティア活動で、対応できる制度の範囲を超えている」ということです。日本版DBSについて児童クラブは、その制度の対象になる、ならないを選ぶことができます。選ばなければもちろん何もしないでいいのですが、選んだ場合(認定事業者になる、ということ)は、「うちのクラブは過去に特定の性犯罪の前科がある人は0人ですよ」という、保護者への安心と信頼をアピールすることができます。選んだ児童クラブと、選ばなかった児童クラブでは、社会や保護者に与える安心感の差は歴然としています。そもそも、制度の適用を選ばなかった児童クラブは、市区町村から児童クラブの運営を任されなくなる可能性が高くなるだろうと、私は予想すらしています。

 制度の適用はなかば児童クラブを運営する以上、必然性があるのですが、その制度の適用を受けるために必要な事務作業量が、とても保護者会の手には負えないだろうというのが、私の予想であり、これはまず間違わないでしょう。もちろん、お金を出して専門家に手続きをやってもらうことができるようになるでしょう。それはいいのですが、そういう費用を負担できるかどうかは別問題です。数万円では、すまないでしょう。よほど小さな児童クラブでもない限り、最低でも十数万円は覚悟しておくことになるでしょう。その費用は毎年必要ではないですが、数年おきに必要となるでしょう。補助金で担えるようになるといいのですが、なんとも言えません。

 日本版DBS時代に、保護者たちは、あるいは事実上、保護者が運営していると言える保護者運営由来の非営利法人では、この問題を今すぐにでも真剣に話し合っておくべきです。まして、2025年に学童デビューする、保護者会デビューする保護者さんは、来年度、いよいよこの制度の適用が始まるというときに、この問題に直面するでしょう。今はまだ限られた情報しかありませんが、制度の概要や目指すべき地点はすでにいろいろネット上でも公開されていますので、保護者会が運営する系統の児童クラブに入った保護者さんは、今から知識を得ておく努力はしておいてください。

<おわりに:PR>
 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 放課後児童クラブを舞台にした小説「がくどう、序」を出版します。3月10日の発売を予定しています。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。ご期待ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)