選挙のこと、放課後児童クラブの職員は興味関心、ありましたか?子ども達に、選挙を題材にして話をしてみよう。
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。昨日2024年10月27日は衆議院議員選挙の投開票日でしたね。放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所もおおむね該当します)で働いているみなさんは、選挙に関心がありましたか?
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<選挙のみならず、社会の動きに興味関心をもとう>
放課後児童クラブで働く人たちは、ふだん、どんな話をしていますか。もちろんいろいろな話をしていることでしょう。私は子どもの支援、援助に関することならいくらでも話が続けられる人たちに多く出会ってきました。とりわけ、クラブの現場で働く人たちです。子どものことになると夢中になるという、子どもの成長に関わって支えていきたいという情熱には頭が下がります。一方で、政治や経済、外交に関する社会事象については、それほど話がはずむことはなかなかなかったように記憶しています。そもそも、生活や思考の中心が「子ども(の支援、援助)」なので、直接の接点がない事象や、知識があまりないことで理解が薄いことに興味を持てないということですね。
でも、児童クラブの現状も、今後どうなっていくかについては、すべては政治の動き次第です。児童クラブの置かれている現状は多くの立場の人にとってなかなか満足できる状態ではないでしょう。それを変えていくのは政治のチカラでしかありえません。まずは、児童クラブに関わる人がもっともっと政治に関心を持っていきましょう。
かといって、あの政党の公約はこうだから良い又はダメとか、あの候補者はこうだとか、そういう具体的な論評を交えて意見を交わすことを無理やり行う必要は、ないですよ。人それぞれに政治信条があって当然で、その政治信条について他者から「間違っている」と判別される必要はないものです。雑談レベルでいいのです。雑談すらなかなか行われない職場の風土より、政治や経済、外交の動きが雑談程度でいいので話題になるほどの、社会の動きに興味関心を持つ人たちであってほしいのです。児童クラブに関わる人には、豊かな人間性と倫理観が求められると、厚生労働省の省令基準に記されていますが、社会の動きに興味関心を持つ人はおよそいわゆる常識を兼ね備えているものでしょう。社会の動きに何も興味関心がない人に、子どもたちの健全育成の仕事が務まるでしょうか。事業運営をまっとうにできるでしょうか。できるはずはありませんよ。
<子どもたちに語ろう>
私はこのタイミング、つまり、子どもたちが選挙の話題を聞いたり、あるいは視覚的にポスターや番組を見かけたりしてきたこの時期こそ、選挙を題材とした話を職員がする上で絶好のチャンスだと考えています。ここで私がいうところの、子どもたちに語る内容は選挙の結果や、その結果をもたらした事象のことではありません。つまり個別的、具体的なことではありません。むしろ、それはするべきではありません。〇〇党はこれだからダメだった、というような話はするべきではありません。
私がクラブにおいて子どもたちに語ってほしい、そして子どもたち同士で話をする時間、考える時間を作ってほしいのは、「選挙」という仕組みと、「自分の意思を表明することの大切さ」に関することです。
選挙は小学校の高学年ともなれば、10年たたずして投票権を行使できる年齢になります。低学年には衆議院選挙や首長選挙のことを理解するには難しいとしても、「こういう人に頑張ってほしい、と思える人を選ぶこと」という理解ならできるでしょう。選挙は、ずっと昔から普通に暮らす人たちが当たり前にできていたことではなかったということもあわせて、児童クラブにおいて、職員たちから、選挙のことについて、簡単にでもいいので、話をしてほしいです。そういう話をすることが大切だと思えるクラブ運営陣であってほしいです。
そして、むしろその先です。選挙というのも結局は、意思を表明することの1つの形態であって、つまりは「1人の人間として、意思を表明することは、当たり前にやっていいことなんだ」ということを、子どもたちに、これはしっかりじっくりと、話をして、子どもたち同士で考える機会、時間を設けてほしいのですね。人は、誰かと交わる限り、自らの意思を表明していくことで活動ができます。それは無意識でも意識的でも常に意思を表明する行動を積み重ねていくことでしか、生きられません。よって、意思を表明しなかったり間違って理解されてしまったりすると、自分自身にとって不本意な結果となることになります。
それがもし、子ども自身への権利を侵害することを企図している者に悪用されてしまったら?残念ながら支援員、職員としての資質がそれほどでもない者が、子どもからの意思表明、サインが明瞭でなかったがゆえに子どもの意思に気づかずに子どもの意に反することを強制してしまったら? 意思の表明が自分自身の存在や権利を守ることになる理解を着実に子どもたちに身につけさせることが、児童クラブの事業者にとって重要なことだと私は考えています。
他にもいろいろなことを一緒に考える機会にもなりますね。例えば、決まり、ルールを守ること。そして決まりを作る過程において大事にしたいこと。一人の意見や主張だけで決まりやルールを決めてよいものではないこと。みんなで決めたことは守っていくことが必要なことも。このあたり、どうも児童クラブの職員の中には、「こどもが最優先」ということを誤解、勘違いして、「自分の意にそぐわないことは従わなくていいのよ」と教えたり説明したりする向きがあります。性加害など人権侵害についてはそうですが、児童クラブにおける生活、過ごし方や遊びの決まり、ルールを子ども達で話したり投票したりして決めたことについても、その「気に入らないときは従わなくていい」というのは、それは間違っていますから。「合理的であることがいかに重要であるか」ということをぜひ、児童クラブの方々は子どもたちにいろいろな機会を利用して伝えて理解を求めていってほしいと、私は期待しています。
そのためにも、普段から、社会の動きに興味関心を持っていきましょう。
<さて今後はどうなる?>
衆議院議員選挙の結果は読者のみなさんが目にした通りです。私は、解散時において、自公の与党が過半数を割り込むだろうとは思っていましたが、例の自民党の政党交付金2,000万円の報道でしょう、ここまで割り込むとは当時は想像していませんでした。
さて今後です。政治は流動的な局面を迎えるでしょう。これは決して悪いことではありません。今後の国会運営、つまり政治は、与野党が政策ごとに妥協をしながら進めていくことになります。今までは議席の多数を握っていた与党に理解されなければ、何かを変えていくことはできませんでした。しかし今後しばらくの間は、政治の流れを変えることが与野党問わずに多くの政党や議員の行動しだいで可能となります。放課後児童クラブの世界に関して、もっとこうしてほしい、こうならないと事態が良くならないということを社会に、議員に向けて発信を重ねていけば、これまでとは違った展開に流れていく可能性があるのです。
運営費を中心とした補助金の増額や、夏の猛暑対策としての施設改善費用、物価上昇や最低賃金上昇に対応する機動的な補助金、待機児童を解消するため民間企業がクラブの建物を最初から造る際にも使える補助金の創設など、児童クラブの世界が必要とする補助金について、その重要性をいろいろな政党や議員に向けて訴えていけば、これまでよりもっと真剣に取り合っていただける可能性がごくわずかであっても増したと私は考えています。
補助金だけではなく、児童クラブの運絵に関して公募や指定管理者による選定を行う際に自治体が単に事業規模の大きさだけではなく地域において実践してきた事業の質の内容を重視、配慮すべき審査基準とすることを国が示すこと、児童クラブを運営する企業団体が補助金のうち利益計上に回せる割合の上限を定めることなど、運用の仕組みを現場の事業の質の充実に寄与できる内容に変えることも必要です。何より、放課後児童クラブが、「事業」ではなくて、その仕組みが存在することを地域に義務づける「施設」と昇格させるための法改正だったり、児童クラブに有資格者の配置が義務とされるとか、資格を国家資格とするとか、いろいろな要望があります。それらのことを「ある程度、その数を備えたまとまった勢力の声として」訴えていけば、それに理解を示した政党や議員の動きで、国全体の施策として反映させられる可能性は、わずかであっても上昇したといえるでしょう。
政治が不安定になることは国家経営として不利な点が多く心配ではあるのですが、児童クラブの世界は積極的に政治に働きかけていくことが肝要です。それにはまず、1人1人が、声を上げることから始まりますよ。
<おわりに:PR>
弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文は出版社「寿郎社」さんへ直接メールで、または書店、ネット、または萩原まで直接お寄せください。お近くに書店がない方は、アマゾンや楽天ブックスが便利です。寿郎社さんへメールで注文の方は「萩原から勧められた」とメールにぜひご記載ください。
(関東の方は萩原から直接お渡しでも大丈夫です。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください!事業運営資金に困っている非営利の児童クラブ運営事業者さんはぜひご相談ください。運営支援として、この書籍を活用したご提案ができます。)
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現在、放課後児童クラブを舞台にした小説を執筆中です。とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説になりそうです。放課後児童クラブを舞台にした小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。出版にご興味、ご関心ある方はぜひ弊会までご連絡ください。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。ぜひご連絡、お待ちしております。
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)