SNS界隈で目立つ「NPOは無くせ」の暴論。NPO運営の放課後児童クラブ(学童保育所)も無くせってか?

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。ぜひ手に取ってみてください! 「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く成長ストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
 NPOへの批判がSNSでは鉄板ネタとなっています。旧ツイッター(X)などでしょっちゅうみられるNPO批判を発信している人の人数そのものは決して多くはないでしょう。しかし賛同を示す「いいね」にはたくさんの数が表示されています。どんなことでもそうですが、「ネット、SNSでの少数の偏った者の意見や発信など現実社会において影響力はない」と軽視してはなりません。NPOは数多くの児童クラブを運営していますから、NPOに対する偏見が広まってしまうことは好ましくありません。児童クラブを運営するNPOも、しっかりした運営をしてNPO批判をする側に隙を見せてはなりません。
 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)

<NPOと、NPO運営クラブの数>
 NPOについてその定義をインターネット検索で調べましょう。「内閣府NPOホームページ」には次のように説明されています。
<「NPO」とは「Non-Profit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略称で、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない団体の総称です。>
<特定非営利活動促進法は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成10年12月に施行されました。法人格を持つことによって、法人の名の下に取引等を行うことができるようになり、団体に対する信頼性が高まるというメリットが生じます。>
 上記の説明にある「特定非営利活動」に注目しましょう。同ホームページには特定非営利活動として20種類の分野に該当する活動が紹介されています。その13番目に「子どもの健全育成を図る活動」とあります。児童クラブはまさにここに該当しますね。

 では児童クラブを運営しているNPO法人はどのくらいあるのか、こども家庭庁等の調査で見てみましょう。「令和6年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」では次の通りです。
公立民営クラブ(全体で13,076クラブ)のうち、NPO運営は1,713(6.7%)
民立民営クラブ(全体で6,383クラブ)のうち、NPO運営は1,176(4.6%)
比較のため「令和元年(2019年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」も見てみましょう。
公立民営クラブ(全体で11,970クラブ)のうち、NPO運営は1,707(6.6%)
民立民営クラブ(全体で5,319クラブ)のうち、NPO運営は886(3.4%)

 圧倒的多数の存在ではないですが、民営クラブのおよそ1割をNPO法人が運営しています。「NPOを無くせ!」とSNSで叫んでいる人たちは、毎日、こどもと働く保護者の支えとなっているNPO運営の児童クラブを無くしてもいいのでしょうか。わたくし萩原の想像ですが、それら馬鹿げたNPO廃止論を叫ぶ方々は、NPOが放課後児童クラブという地道であり、かつ重要な社会インフラであるこの事業においてどれだけ社会機能維持に貢献しているのか、知らないか、知ろうとしていないでしょう。

<公金チューチュー?>
 NPO廃止を叫ぶ方々は、NPOが公金を吸い上げて自分たちの利益しているからだ、と主張しているようですね。いわゆる公金チューチューです。下品な言い方ですねぇ。児童クラブにおけるNPOは果たして他の事業形態より儲けているかどうか、運営支援ブログが大好きな例の調査結果「令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 放課後児童クラブの運営状況及び職員の処遇に関する調査」をみてみましょう。
 公立民営のクラブの年間の「損益差額」を比較しましょう。収益から費用を差し引いた額です。
NPO法人 94万円 社会福祉法人 144万3千円 保護者会 100万3千円
その他の法人(株式会社など) 285万円

 放課後児童クラブの運営経費について、国は「半分を利用者が、半分を補助金で」との方針を示しています。こども家庭庁が示す概算予算の説明資料の冒頭に必ずと言っていいほど掲げられています。現実的には、保護者が支払う利用料を低く抑えたいために児童クラブ全体の収入の6~7割が補助金(つまり、公金)となっている事業者が多いようです。この方針は、保護者が支払う利用料を引き上げるときの根拠としてよく使われるので覚えておきましょう。法令に基づく方針ではまったくありません。運営支援はこの方針の撤廃を訴えています。

 SNSでは「収入の半分を公金に頼るNPOに存在意味はない」という意見も時々投稿されます。児童クラブという世界だけですが、収入の5割どころか6割、7割を補助金、つまり公金頼みのNPOが多い中で、SNSの意見が、こと児童クラブの世界に関しては、いかに現実離れしているかお判りでしょう。もともと、公の事業である放課後児童健全育成事業ですから公のお金がもっと投入されても良いのですが、むしろ民の方に資金を出してもらっているとも言えるでしょう。
 まして、児童クラブの運営をするNPOが年間に手にする損益差額は他の事業形態より低い額との調査結果があります。「いやいや、94万円だってダメだろう」という人は、現実に事業運営をしたことがない人でしょうか。児童クラブも「事業」です、事業運営においては「手元の資金」がいかにあるかが重要です。急に入金が遅れたら各種支払いが間に合いませんから、手元の資金つまり運転資金はそれなりに必要です。人件費3か月分が良いとも言われますが、児童クラブの94万円はおそらく人件費1か月分程度でしょう。それほど多くありません。良心的な額です。むしろ、「その他法人」の285万円は多すぎます。それこそまさに「公金チューチュー」ですよ。その損益差額は事業者の懐に入るんですからね。

 児童クラブの世界においてですが、NPOは全く公金チューチューなどしていません。児童クラブを運営するNPO法人の収入の5割以上が公金なのはむしろ当然です。収入に占める補助金の割合を減らそうと思ったら、保護者から毎月いただくお金を数万円にするとか、職員を少なくするとか、こどもを受け入れる時間を極端に短くして経費を浮かすことになります。そんなことでは、まともな児童クラブになりませんよ。
 いいですか、世間のみなさん、NPOに対する批判は児童クラブに関する限り、まったく的外れですから、誤解しないでくださいね。(おそらくは世間で活動している圧倒的多くのNPOもまた同じように地道に、まじめに事業活動を重ねているものだとわたくしは信じていますが)

 さて、NPOに向けられるSNSでの批判のうち、児童クラブを運営するNPOについてはまったく的外れであるということを述べました。以下は、視点を変えて、児童クラブとNPOについてわたくし萩原が考えていることを延々と書き連ねます。何もすることが無いときなどお時間のある時にでも、お読みいただけれると嬉しいです。

<放課後児童クラブとNPO>
 わたくしの完全な私見を紹介します。児童クラブにおいてNPOは一時期、完全にブーム(流行)だったと感じます。どうして児童クラブを運営するNPOがあるのでしょうか。
 児童クラブのルーツは、「こどもの安全安心な居場所が欲しい」と願った親、保護者の自発的な運動でした。それを基に、保護者たちが自分たちでお金と時間を出し合って児童クラブを設置運営したり、そうした保護者の運動を行政が引き継いだりして、民設や公設の児童クラブが全国に誕生していきました。
 その中で、保護者たち、つまり利用するこどもの親たちが集まって児童クラブを設置運営する、いわゆる「保護者会・父母会運営」のクラブは、児童クラブの事業形態の中心的存在でした。保護者会や父母会、また保護者たちが中心をなす運営委員会による運営もそうですが、児童クラブを運営する団体としては「任意団体」となります。法律によって権利を与えられた「法人」ではない団体です。登記していない団体ですね。昔(だいたい2000年以前)はそれでもさして問題はなかったのですが、児童クラブへの補助金が整って額も徐々に増えて億円単位になったり、自治体と保護者運営の児童クラブとの関係を法的に精査したり、あるいは銀行口座の開設がマネーロンダリング関係で容易にならなくなったりと、いろいろな事情があるなかで、「児童クラブも、任意団体ではなくて、法人格をもった団体に運営してもらいたい」という自治体側の要望が強くなります。2003年秋から始まった指定管理者制度はその大きな背景となったと運営支援は考えています。指定管理者は個人はダメで団体では法人格は必ずしも必須ではないのですが、児童クラブが相次いで指定管理者制度によって運営されるようになると、法人格を取っておくようにという行政の意向は無視できなくなってきたでしょう。上尾市もそうですが、行政側が「児童クラブも法人格を取得すること。その有力な選択肢はNPOだ」という見解をまとめ、その方針に沿って保護者側がNPO法人となって一括運営に踏み切る、という流れは各地であったようです。
 他には、保護者運営の場合の「委託金再分配」の問題も数は少ないながらも、各地であったようです。保護者運営は1つ1つのクラブが1つ1つの独立した事業者です。それでは運営が大変なので、地域の保護者運営クラブが連携、協力して運営に取り組む動きがありました。今でも「連絡協議会」という形態でその動きはところどころで残っています。一般的に連絡協議会は「情報共有や制度の勉強、制度改善の運動の連帯」が目的ですが、地域によっては各クラブがあつまって作った団体が、各クラブに交付される補助金(それは委託料だったり事業補助金だったりしますが)を、団体の口座に全部まとめて入金(あるいは個々のクラブから送金を受ける)し、それを各クラブに再分配していたということが行われていたようです。その理由は、クラブの規模に差異があると、利用料収入に大きな差が生じてしまい、児童数が多いクラブの毎月の利用料は1万円でも児童数が少なければ1万5千円になるなど、クラブごとに事業内容の差があり、それがよく議会等で問題となっていたからです。つまりサービスの平準化が求められていたところを、各クラブでの努力が限界があったので、1つの「運営団体」を作って補助金を全部まとめてプールし、児童クラブの規模に応じて予算を分配していたという仕組みです。ところがその仕組みは行政が禁ずる再委託になるという指摘も当然にあり、そのような地域は補助金分配の仕組みを取りやめざるを得なかった、ということがあったようです。

 とまあ、いろいろな事情があって、任意団体の児童クラブが法人格を取得しようという機運が高まった2000年以降、注目を集めたのがNPO法人、ということです。確か児童クラブでNPO法人格を取得したのは、埼玉県の所沢市のNPO法人だったと運営支援は記憶しています。
 児童クラブの保護者運営とNPO法人は、わたくしに言わせれば親和性が高いのです。NPO法人は、共通の理念の実現を目指す人たちが構成する団体です。児童クラブもまさに同じ。こどもの居場所を必要とする人たちが、児童クラブでこどもが無事に健やかに育ってほしいという願いを同じくして活動をしているのです。そして非営利です。児童クラブを運営する保護者たちは自分たちが儲けようとまったく思っていません。その点、NPO法人との親和性がありました。(ただし誤解も招きやすい点でした。)
 そんなこんなで、あちこちで児童クラブの保護者会や父母会がNPO法人になりました。今もまだNPO法人となる任意団体の児童クラブがあるようです。最近は、設立がうんと容易になった一般社団法人や株式会社を法人格として選ぶケースも増えているようですね。

<児童クラブにおけるNPOの不安点>
 NPOの活動して国が定めている20種類に、こどもの健全育成が含まれていると紹介しました。わたくしはこの点に今の児童クラブ運営NPO法人に問題を及ぼしていると考えている者です。
 それは「理念重視型」「全員参加型」の運営では限界があることであり、「運営責任」の問題からです。児童クラブが1つや2つであれば、保護者みんなで役割を分担しつつ児童クラブを運営していればよかった。規模が大きくないだけに、運営担当の保護者が背負う業務負担もさほどではなかったからです。

 それが、運営するクラブが10を超え、20や30を超えるほどになると、保護者みんなで運営するというNPO型の運営では限界を迎えます。1クラブに常勤非常勤含めて8人の職員がいるとすると30クラブなら240人の職員です。1クラブの予算が2500万円なら30クラブでは7億5000万円の予算となります。それだけの職員と予算を管理するには、NPO法人であってもその事業運営はボランティアには任せられません。専任の職員や役員が常時、事業に従事して事業を管理監督していなければ、とても安定した事業を継続できません。それだけの人を雇う上での「使用者責任」も軽視できません。各種の法令上の義務(ストレスチェックや高齢者、障碍者雇用など)も失態が無いようにしながら事業を実施しなければなりません。
 つまり、理念重視の組織よりも、日々の事業を無事に遂行できる「事業実施型」の組織にならなければなりません。NPO法人への「ある種のこだわり」がある人たちが多数派の場合、なかなか事業実施型へのNPO法人への切り替えが難しいのです。「みんなで参加して、みんなで決める」ことにこだわると、機動的な事業運営ができません。事業運営において直面する種々の課題や問題を協議解決するとしても、理事会や専門の委員会は保護者が参加しているので月に1回が限度、では理事長や代表理事の専決処分といっても組織の代表者も保護者や保護者OBで非常勤である、というのでは、刻々と移り変わる事態への対応が手遅れになります。数十クラブを運営するほどのNPO法人であれば、事業執行に責任を持つ役員はそれこそ週に何回も、必要なら連日、理事会や執行会議を開いて事態に協議対応するのが当然です。それぐらい、いろいろな出来事が起きるのです。それを、各クラブから1人ずつ理事を選出してもらって(それも嫌々、やる気のない人が無理やり選ばれることが多い)、月に1回の理事会は結局は日常の業務を差配している運営本部や事務局側の説明をただ聞いて議決の時にはなんだかよく分からないまま挙手して賛成、ということが行われがちなのが、児童クラブを運営するNPOのよくある姿です。
 「保護者みんなが児童クラブ運営に責任を持つのがNPOです」とすると、多くの保護者からの理解を得ることも難しくなります。「児童クラブは利用したい。でも児童クラブの運営にまで興味はないし、参加したくもない」という人が多数派の中で、「いやいや、決まりですから」として運営参加を押し付けることで、逆に運営母体への反感を募らせることにもなります。それは事業体の不安定要素を増すことになります。

 結局のところ、事業実施型、事業本位型の組織を構えるNPO法人にならないと、複数の児童クラブ運営は難しいのです。それは形態としてNPOながら、実態は他の法人形態と何ら違いはありません。法人に雇われる人が「従業員」と呼ばれるか「団体職員」と呼ばれるかの違いですね。代表取締役社長なのか、理事長か代表理事かの違いですね。(余談ですがNPO法人の社員は株式会社の社員とは違います。NPOの社員は、株式会社の株主に近い立場です。総会での議決権があるのがNPOの社員ですから)

<一番の問題は「利益」>
 児童クラブを営むNPO法人に向けられる最大の不運は「NPOだから、お金を儲けてはならないんだよね。好きだからNPOで働いているんだよね。だったらとても安い給料でいいよね。だって好きで働いているんでしょう?」という世間の無理解が根付いていることです。NPO=非営利=利益を求めないという、誤った理解が根付いてしまっています。違いますから、それは。
 NPOも事業でしっかりと収入を得て、得た収益を事業に使うことが重要です。それが持続可能性そのものです。ただその収入は、児童クラブの場合はどうしても補助金(公金)が多くなります。公の事業である児童クラブである限り、利用する保護者から何万円も徴収することはできませんからね。それをもって公金チューチューと下品な批判を受けたくはありませんし、児童クラブを運営するNPOは多額の公金を受け取って事業運営している以上、適切にそのお金を使って事業運営を行うこと、どのようにお金を使ったのかについて説明責任を果たすことが限りなく重要となってきます。そのためには、徹底した情報公開は当然に必要でしょう。

 (なお、NPO運営クラブが徴収する利用料は他の事業形態から高いのでは?という意見はよく聞きます。NPOだからというよりも、職員の賃金体系の充実度の度合いと、人件費にどれだけ予算を割り当てているかによって、必要な予算額が異なるということです。NPO運営児童クラブでも職員は全員が有期雇用スタッフであれば徴収する額はそれなりに低くなります。近隣自治体の児童クラブより利用料が高いNPO児童クラブは、おそらく、職員の賃金体系を充実させることで職員が早期に退職せず長く仕事を続けられる配慮をしている良心的な運営をしているとみておおむね間違いはないでしょう)

 児童クラブを運営するNPOも都道府県の監督下にあって、どのように事業を運営したのか計算書類(活動計算書など)を公開することが義務となっています。市区町村データーベースの作業のために、都道府県によって公開されているNPOの書類、例えば事業活動報告書や活動計算書を見ることがわたくしには多いのですが、複数のクラブを運営しているNPOであっても、他の事業と一緒にされていたり、補助金や保護者からの利用料が区別できなかったりというずさんな書類のNPOを見かけることがあります。これは制度の問題ですが、こと、多額の補助金を交付しているのですから国は児童クラブを運営するNPOには、1つの支援の単位ごとの収支報告を添付資料でいいので公開を義務付けるなど、情報公開をもっと徹底させるべきでしょう。そうすれば、望ましくないお金の使い方をしている児童クラブ運営NPOも見つけやすくなります。逆に言えば、補助金と利用料を確実に事業に使っているということを世間に堂々と見せつけているわけですから、SNSで見かけるばからしい批判がどれほど根拠のないことかを証明することにもなります。

 東日本大震災後の補助金でNPOが不正に補助金を使用して豪遊していたという報道があって、世間のNPOに対する見方はかなり辛らつになったのは間違いないでしょう。最近では特定の中央官庁と「距離が近い」NPOにも批判が集まっています。特に子育て支援や福祉関係など、もともとNPOが、弱い公助をフォローする共助の役割を果たしてきた分野です。特定の官庁、行政機構に癒着しているNPOがあるかどうか、わたくしにはさっぱり分かりません。もし距離が近いことを問題とするのであれば、先にも記したように予算の半分以上を自治体から受け取っている児童クラブ運営NPOなど癒着そのものです。しかしそれは「協働」です。協働と癒着の区別がつかない社会であっては困るのですが、それはNPOや行政側のしっかりとした説明も必要でしょう。そこが弱いから「NPOは税金をチューチューしている」という陰謀論が世間に広まってしまう余地を生むのです。

 一方で、最後にわたくしが申し上げたいのは、「ひどい、ずさんな運営」をしている児童クラブNPOは、残念ながらごく少数でしょうが存在することは間違いなかろう、ということです。わたくしのもとには、広域展開事業者と運営支援が称する大規模なNPO運営クラブで働く職員からの情報提供が時々届きます。全国各地でクラブを運営している規模の大きなNPO法人で働く複数の人からは、時間外労働に対する賃金を一切支払ってもらえないとか、労災申請の手続き助力を拒否されたとか、職員が起こしたと思われる不祥事の解明に非協力的でそれを行政に告発したら解雇されたとか、いろいろと問題がありそうなことを平気で行っているNPOの振る舞いが、わたくしのところに情報として寄せられてきています。もっといえば、理事会で勝手に決めたことを法人の総意として行政に偽りの報告をして信じ込ませるというガバナンスを到底無視した振る舞いを平然と行ったNPOだってありますからね。
 そうった問題行為を重ねているごく少数のNPO法人の振る舞いは、いつか、世間様にバレるでしょう。コンプライアンスがあまりにも軽視されている運営を続けていれば、そのうち、提訴したり、あるいはSNSや報道機関に具体的事実を公表する人が現れても不思議ではありません。そうなったとき、児童クラブという世界に対しても、またNPOというあり方に対しても、児童クラブを運営するNPOに対しても、世間や社会からの厳しい批判を受けるのは当然です。それでは児童クラブは困るのです。圧倒的多くの善良な児童クラブNPO法人とその関係者を追いつめることになります。
 法令や社会のルール、良識に従った児童クラブ運営をしていただきたい。そのことをNPOでもそれ以外でも、すべての児童クラブ運営事業者に対して、わたくしは切に願います。

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

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萩原和也