NPOが運営する放課後児童クラブは料金が高くなりませんか?NPOが稼ぐのはダメですよね?

 放課後児童クラブ(学童保育所を含む場合があります)を運営する事業者(=運営主体)には多くの形態がありますが、NPO法人(特定非営利活動法人)も、児童クラブの運営主体として一般的です。NPOが運営する児童クラブの利用料金は「高い」という評判が根強いです。どうしてでしょうか。

 それは職員の雇用形態によるものが一番大きいのです。児童クラブの運営主体におけるNPO法人は、保護者会を由来として発展的に成立した場合や、いくつかの保護者運営の児童クラブを統一して運営するために設立された場合がほとんどです。そして保護者が運営に関わってきた児童クラブでは通常、職員の雇用を重視していました。退職されては大変なのですが、それ以上に、子どもの児童クラブにおける育ちを重視することは職員の継続雇用を重視することになり、それが職員待遇をできるだけ向上させようという動機になっているからです。

 そのため、NPO法人が運営する児童クラブにおいては、予算の多くを人件費に割くことで、職員の報酬をできるだけ引き上げたり、あるいは雇用する職員数を増やすことで、1人あたりの報酬は少なくなっても従事する職員数を増やすことで1人あたりの業務量が過大にならないよう配慮をしていることが、多いのです。

 そのために人件費が予算全体の8割近くに達することもあります。とにかく、人件費を確保するために予算が必要だ。それが、保護者が支払う利用料の高さとして反映されているのです。例えるならば、NPO法人のクラブでは手取り20万円の正規職員1人と手取り18万円の正規職員1人を雇っているとしたら、公営のクラブでは手取り15万円の職員2人を雇うというイメージです。NPOは人件費38万円ですが、公営は30万円です。その差の8万円を、保護者の負担として求めているという感覚になるでしょうか。

 なお、NPO法人は稼いではダメ、儲けてはダメというのはよくある基本的な誤解です。法人活動として利益を上げることはまったく問題がありませんし、事業継続のために、事業によって稼ぐこと、儲けることはむしろ推奨されます。ダメなのは「得た利益を役員で分配すること」です。得られた利益、稼ぎを、事業活動に投下することがむしろ期待されています。「NPOで働く職員は、出来る限りの低賃金で良い。それを承知で働いているはずだから」という考え方は全くの誤りですから、注意してください。NPOで働く人も株式会社で働く人も、同じです。何ら変わりがありません。違うのは、役員が得られる、利益によって発生する役員報酬の有無だけです。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)