<運営支援ブログ・ミニ>建前ではダメ。放課後児童クラブ(学童保育所)の運営主体変更に、こどもの意見反映を。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士でもあります。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
建国記念という祝日ですので運営支援ブログはミニ。時事通信社が気になる記事を配信しましたので、ちょっと言わせていただきます。放課後児童クラブの世界において、運営する事業者が替わる際に、こどもの意見表明、意見反映がどれだけ反映されているというのか、いささか怒っております。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<報道>
時事通信社が2026年2月11日8時55分に配信した「6割超の自治体で「子どもの声」 政策反映へ聴取―こども家庭庁調査」の見出しの記事が、気になりました。一部を引用して紹介します。
「子どもや若者の声を自治体の政策に反映させるため、47都道府県と1111市区町村が実際に意見聴取を行ったことが、こども家庭庁の調査で分かった。2024年の実施状況を調べたもので、全国の自治体の6割を超えた。」
「意見聴取は、対面のほか、アンケートやチャットなどで行われている。子ども・子育て施策の検討過程で実施する自治体が多かった。障害児や不登校児ら、声を上げにくい子どもの意見を聞き取った自治体も341団体あった。」
(引用ここまで)
2024年度ですから、いま(2026年2月)からすると前年度ですね。全国の市区町村は1741ですから、確かに多くの自治体で、こどもや若者から意見聴取を行ったということは、喜ぶべきことでしょう。2025年度はもっと増えているのではないでしょうか。
しかしですね、放課後児童クラブの世界に限ってはどうでしょう。心もとないというか、こどもの声を受け止める、反映させるというポーズすら実施してないように見えますね、わたくし萩原には。
<放課後児童クラブ運営指針には>
「第4章 放課後児童クラブの運営」の「5.運営主体」の「(2)放課後児童クラブの運営主体は、次の点に留意して運営する必要がある。」に、こうあります。
「放課後児童クラブの運営主体に変更が生じる場合には、こどもの心情に十分配慮した上で、こどもへの丁寧な説明や意見聴取、意見反映が求められる。また、育成支援の継続性が保障され、こどもへの影響が最小限に抑えられるように努めるとともに、保護者の理解が得られるように努める必要がある。」
こどもの要求通りにしなさい、ということでは決してありませんが、こどもの意見、声を聞いて運営主体の変更に向き合うようにしましょうということです。保護者にも理解を得られるように努力しましょう、ということです。なおここでいう運営主体は、公設民営での運営主体である民間の事業者ということではなく設置主体である市区町村を含んでいるというのが正しい解釈でしょう。放課後児童クラブ運営指針解説書のDL版80ページにはこうありますから。長いですが重要なので引用します。
「放課後児童クラブの運営主体に変更が生じる場合には、市町村及び運営主体は、こどもの心情に十分配慮しながらこどもへの説明・意見聴取を行うとともに、育成支援の継続性が保障され、こどもへの影響が最小限に抑えられるようにするとともに、保護者の理解が得られるように努める必要があります。
市町村は、事業の実施主体として、運営主体の変更がこどもに与える影響を最小限に抑えられるように、急激な変化を抑制するための必要な手立てやこどもと保護者への説明を行う必要があります。特にこどもに対しては、わかりやすく丁寧に説明を行い、こどもの思いや意見、要望を聴き取った上で今後の対応方法を検討することが求められます。また、放課後児童クラブの運営主体は、年度途中の急な運営の中止等は極力行わないようにする、運営主体に変更が生じる場合には事前にこどもや保護者に説明するなど、こどもへの影響を最小限に抑えられるように努めることが必要です。」
市町村とありますね。運営主体だけではなく市町村も、児童クラブの運営事業者を変更するにあたっては、こどもに説明する、こどもの意見を聴く、保護者の理解を得るように努めるのです。それは「育成支援の継続性が保障されること」が目的なのです。
全国各地で運営主体の変更が行われています。公募型プロポーザルによる複数年度の業務委託や指定管理者制度があまりにもごく普通に行われているので、3年や5年間隔で運営主体の変更が起こりうる可能性があります。今時点でも埼玉県富士見市での運営主体変更によって保護者や職員から不安の声が上がっていることはSNSでの発信をみれば明らかです。この富士見市の件では、運営主体が替わってから、こどもに意見を聴くと行政側が示したということですが、それが事実なら、この運営指針の趣旨をなんと心得ているのでしょうか、残念です。これは行政側に「どういう事業者を選ぶのか、どういう過程で事業者選定を進めていくのか、すべて実施主体であり設置主体である行政執行部の判断によるものだ」という考えが染みついているのではないでしょうか。
別段、こどもや保護者が望む事業者だけしか児童クラブ運営を任せてはいけない、ということではありません。こどもや保護者に人気でも、事業者の財政基盤が貧弱で継続的に事業運営を実施することが難しいという事業者に、公の事業を任せるわけにはいきません。途中で事業が破綻したら、こどもも保護者も職員も、苦境に陥ります。それに、これは保護者側から注目されませんが、単年度ごとに委託契約を繰り返す、単年度の指定管理者選定は事務作業量が多くなるので複数年度での契約、指定管理者にすることも行政の立場での業務削減の合理性からすると決してその意義は否定できません。
運営支援が言いたいことは、ただ単純なことです。その時々において運営主体の変更に関する情報は適切にこども、保護者に伝えていきましょうよ、常にこどもと保護者からの意見を聴いておきましょうよ。もし仮に、今の運営主体の変更を望まないという声が強いのであればその理由をしっかりと確認して対応しましょうよ、ということです。その結果、随意契約にして今までの事業者との契約を続けるとしても、あるいは公募に参加したどの事業者にも、こどもと保護者が望む事業運営を実施することを義務付ける、という工夫をこらせば良いのです。
とりわけ、職員の継続雇用に関する保護者の心配、懸念には丁寧に応じる必要があります。運営主体が替わるにあたっては雇用主(使用者)が替わるので雇用契約は新たに結び直すことになるのは当然として、「年次有給休暇の引継ぎ」は必ず、「給与水準の引継ぎ」は十分に配慮して、そして「退職金算定の引継ぎ」も丁寧にを行えばよいのです。なお退職金は事業者積み立てではなくて企業型確定拠出年金を導入していることを運営主体を決める公募の参加要件とすれば運営主体の変更による影響は避けられますし、個人型確定拠出年金を利用させるようにすることでも良いでしょう。
運営主体を替える必要がそもそもない、ということまではさすがに断言できません。良い事業者ばかりではないからです。事業運営、組織の経営の責任が問われる機会がなければ、およそ組織というのは疲弊し腐敗します。まして、公のお金が投下されている事業です。運営主体を替えるというのは究極の「チェック機能の行使」ですから、運営主体を替える機会を持つことは必要です。ただし、運営主体を替えるには替えることで利益が得られるということがなければなりません。その利益をどこに求めるか。基本は、こどもへの育成支援の質の向上ですし、従事する職員の雇用待遇が向上することですし、保護者に関しては利便性の向上です。ただ単に、経費が削減できるというもので判断されてはなりません。それらに配慮がない運営主体の変更は疑問ですし、その疑問の最たるものが「しっかり、こどもと保護者に説明をして意見を聴いてから、運営主体の選定にとりかかっていますか?」ということです。運営主体を替える決定をした後で説明するとしている富士見市の姿勢は、その点においては失敗したといえるでしょう。
児童クラブに対して定期的な利用者アンケートを実施してその結果を公表する自治体がいくつかあります。それはもうすべての自治体が実施するとして、これからは、児童クラブの運営主体変更の際にどのような説明をこどもと保護者、そして職員に行ってきたのか、それに対するこどもと利用者の反応もまた、公表していただきたい。運営主体変更に伴う資料を市町村と運営事業者それぞれがHPで公表するように、国はしっかり指導してくださいね。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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New! いわゆる日本版DBS制度を専門分野の1つとして事業者の取り組みを支えたいと事業活動を始めた新進気鋭の行政書士さんをご紹介します。「行政書士窪田法務事務所」の窪田洋之さんです。なんと、事務所がわたくしと同じ町内でして、わたくしの自宅から徒歩5分程度に事務所を構えられておられるという奇跡的なご縁です。窪田さんは、日本版DBS制度の認定支援とIT・AI活用サポートを中心に、幅広く事業所の活動を支えていくとのことです。「子どもを守り、あなあたの事業も守る。」と名刺に記載されていて、とても心強いです。ぜひ、ご相談されてみてはいかがでしょうか。お問い合わせは「日本版DBS導入支援センター | 行政書士窪田法務事務所」へどうぞ。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
