<運営支援ブログ・ミニその8> がくどう思い出話 その3。本気で挑んだ、チェス

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたらSNSに投稿してください! 目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願い。口コミ、拡散だけが頼みです!
 わたくし(萩原)が、過去を勝手に懐かしむ「思い出話」その3回目(1回目は2024年5月25日付、2回目は2025年5月22日)です。ある日、クラブでこどもと、チェスで遊んだ話。ただそれだけのことですが、懐かしいのです。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。) 

<本気のチェス>
 たしか2016年か2017年だったかな。とある小規模の児童クラブ(当地では「学童保育所」と呼称していますが)に向かいました。当時はまだ組織改編前で事務局長だったころでしたね。正規職員との打ち合わせが閉所後にあったので、午後6時半ちょっと前にクラブに就きました。残っていたこどもは1人。小学3年生の男の子でした。見知らぬ男性がやってきたので興味津々。いつもと違う日常の到来というのは、学童のこどもにはちょっとしたドラマでも、わくわくするものですね。

 当時の私は名札をいつもぶら下げていて、誰だかすぐにわかるようにしていました。その子が「おじさんは局長さんだね。先生と話し合いがあるの?」「うん、そうだよ。学童が閉まったらちょっと話し合いがあるんだ」。こどもと私がやり取りをしているのを見て、クラブの先生(キャリア30年超の大ベテラン)は「わたし、準備があるので〇〇くんと遊んでもらっていいですか? いつも7時ぎりぎりのお迎えなんですよ」と頼んできたので、もちろんOKしました。
 するとその子は「おじさん、チェスしよう。オレ、チェス大好きなんだ」といって、おもちゃを片づけてある棚からチェスのボードと駒をいそいそと持ってきました。私はほんの数度しかチェスをやったことが無くてルールもうろおぼえでしたが、その子の楽しそうな表情を見てとても断れないと思ったので、「いいよ、お迎えがくるまでやろう。ただ、こちらはルールがあまりよく分からないので、勝負にならなかったらごめんね。それでも本気でやるからね」と言いました。チェスや将棋はこどもであろうが大人であろうが、好きな人にはとてもかないません。

 そもそも、児童クラブで、おとながこどもと遊ぶとき、「手加減はしてはならない」というのが私の信念でした。力加減、ではありません。ドッジボールで大人が思いきり力を込めて低学年女子にぶつけるなんて、それは許されないこと。一方で、ボートゲームや将棋、オセロ、マンカラといった遊びでおとなが手抜き、いい加減にやっていると、こどもはすぐにそれを見抜きます。(負けるとかんしゃくをおこすような特別な事情があるというような場合はまた別の対応が必要ですけれどね)

 よって、この子とのチェスも、当然本気です。「本気でやる」という私の言葉が、その子にはとてもうれしかったのでしょう。ゲームを始めてあっという間に私はじわじわと形勢が不利になりつつありました。駒を動かしながら「学童ではチェス、よくやってるの?」と聞きました。するとその子は「ううん。チェスで遊んでくれる人があまりいないんだ。時々、先生と遊ぶぐらいだよ」と言いました。ああ、だからこんなにうれしそうなんだなと私は理解しました。

 中盤に入ったころかな、それまで「うわぁ、とてもかなわないなあ」と内心、もう負けた気分でいたのですが、なぜかふと、その子の攻めが鈍った気が私にはしたのです。でもその子はとても楽しそう。「ねぇ、きょくちょーの番だよ。どうする?」とニコニコしていました。そこから何手か進むうちに、明らかに自分のゲームの進め方がうまくいきはじめたのですね。不思議でした。

 結局、私が勝ちました。その子は「あーあ、負けちゃったよー。オレって弱いなー」と言いながらとても嬉しそうでした。もうそのころは午後7時近くになっていて、間もなくその子のおかあさんがお迎えに来ました。「きょくちょー、またチェスやろうね!」と言って手を振りながらその子は帰っていきました。

 私は確信していました。「こっちは本気。でもあの子は、きっと途中から手加減してくれたんだなあ」と。次にやるときはたぶん、最後まで本気で攻め続けてくるだろうと。わたしには、手加減をしたかもしれないその子を非難する気持ちは毛頭なくて、むしろ、「おとなにそうやって配慮もできるように情緒豊かに育っているんだ。すごいなあ」としみじみ感じたのでした。

 残念ながら、その子とチェスを再戦する機会はありませんでした。2016年に3年生だとしたら、もう成人していますよね。どんな人生を歩み、そして今、何を感じて生きているのでしょうか。きっと、コミュニケーション上手で人のあたりの素晴らしい人になって活躍していることでしょう。

 やっぱり、学童で、児童クラブで、こどもが育つことは、とてもいいことだなぁ。だからこそ、児童クラブを営む事業者は健全経営を実行しつつ、しっかりと運営を続けていかねばならないのですよ。

(お知らせ)
<新着情報!> 2025年6月から放課後児童クラブ(学童保育所)の新規設立と日本版DBS制度への対応に際してご相談者様、ご依頼者様からのニーズに万全対応を期すべく「イオリツ行政書士事務所」(佐久間彩子代表)と、業務上において連携することと致しました。
 弊会に寄せられた児童クラブ新規設立のご相談、ご要望に際しては、児童クラブ全般の説明や業務設定の支援を弊会にて行い、クラブ設立に関する具体的な相談や手続きにつきましては、イオリツ行政書士事務所にて対応となります。また、日本版DBS制度につきましては、弊会は事業者の労務関係面の対応助言や必要規程の整備を担当し、イオリツ行政書士事務所が制度の説明や、認定事業者を得るための具体的な手続きの説明や代行面を担当いたします。
 佐久間氏は、「日本一、学童保育に詳しい行政書士を目指す」として2025年度から事業を開始された気鋭の行政書士です。児童クラブに関しても豊富な知識を有しており、また実際に保護者運営系の児童クラブの利用者であり運営にも関わっておられるので、児童クラブに関する業務についてはまさに最適任です。
 児童クラブの新規設立や運営主体の変更の手続き、また日本版DBS制度の全般的な相談には、ぜひとも「イオリツ行政書士事務所」まで、お問い合わせいただけますと幸いです。
「イオリツ行政書士事務所」(https://office-iolite.com/
代表者:佐久間 彩子(さくま あやこ)
所在地:〒231-0048 神奈川県横浜市中区蓬莱町2-6-3 KOYO関内ビル406
 もちろん、イオリツ行政書士事務所は日本版DBS制度についてきめ細やかな事業者様のサポートが可能です。
・認定取得に向けた申請書類の整備/相談
・導入/管理体制の構築、運用のサポート
・職員/保護者向けの説明サポート
・制度や法令に関する最新情報の提供
・就業規則等の整備、労務関係面の対応助言(弊会も連携して対応いたします)
日本版DBS制度についてのご相談は、弊会並びにイオリツ行政書士事務所まで、ぜひご相談ください。(https://dbs.office-iolite.com/)

※新着情報はここまで。「お得情報」が下にあります!

〇弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない、あらゆる児童クラブを応援しています。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイス、メディア対応が可能です。ぜひご連絡ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。
 さらに運営支援からの書籍第2弾として、放課後児童クラブを舞台にした小説「がくどう、序」を発売しました。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。もちろんフィクションですが、リアリティを越えたフィクションと、自信を持って送り出す作品です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いたハートフルな作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説です。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。
 この2冊で、放課後児童クラブの世界をかなり知ることができると運営支援は自負しています。いわゆる日本版DBS制度において、放課後児童クラブと関わりができるであろう弁護士や社会保険労務士、行政書士といった各士業の方々には、放課後児童クラブの世界を知るにはうってつけの書籍となっています。他の業種、業態とかなり異なる、ある意味で異質の業界である児童クラブについて知ることができる、運営支援からの2冊を士業の方々には、ぜひご活用ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆(お得情報!)
放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。埼玉県や上尾市に比較的近い地域であれば県外でもお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)