<運営支援ブログミニ・23>がくどう思い出話その5 リサイクルで資金稼ぎをした日々のこと。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。ぜひ手に取ってみてください! 「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く成長ストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!

 ときどき投稿している「がくどう思い出話」です。わたくし萩原の住んでいる地域では、毎月第2土曜日が「地域リサイクルの日」。段ボールやアルミ缶、古紙などを集積所に出すと、地域の収入になります。けさもいろいろと置いてきました。わたくしが現役の学童保護者だったころ、クラブを挙げて推進していたのがアルミ缶集め。保護者会で開くイベントの活動資金の足しにするためですが、それだけが目的ではなかったのですね。その思い出を振り返ります。
 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
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<アルミ缶つぶし>
 わたくしと奥方は一人息子が小学2年生になったときに、尾山台学童保育所つくしクラブの保護者会会長になりました。2010年度です。それなりの額の保護者会費を集めていたので、保護者会主催のイベントに関して予算が絶対的に不足ということではなかったのですが、少しでも余裕が欲しいのは世の常、人の常。季節ごとのイベントも充実できますから、独自の資金があるに越したことはないよね、ということでいろいろ考えました。
 学童では「バザー」がかつて主流でした。あるいは夏祭りや秋祭りに店を出して焼きそば等を売って資金を稼ぐことは、保護者運営の児童クラブに関わったことがある人にはおなじみかもしれません。とはいえバザーも出店も大変。保護者の負担を少なく、かつ実入りの良いカネ稼ぎはないかな、と保護者役員会で話して考え出したのが、アルミ缶リサイクルでした。家庭で飲んだ飲料のアルミ缶を児童クラブに持ってきてもらって、それを業者に持っていけば売れますからね。
 (実のところ、アルミ缶は市の回収に出すほか、冒頭に記したように地域のリサイクルに出すことで地域が潤うのですが、児童クラブで集めてしまうと地域の稼ぎが減ってしまいます。でもまあ、児童クラブの利用者だけですから決定的に重大な影響は及ぼさないでしょう、ということで踏み切りました)

 月に1回のペースで保護者会を開いていたので、その時はもちろん、いつでもアルミ缶を自宅から持ってきてくださいね、と入所世帯に呼びかけました。児童クラブは小学校の敷地内に別棟で建っていて、なかなか広いスペースがありましたから、児童クラブが仕える敷地の隅っこに、袋に入れたアルミ缶を野積みして、数か月に1回、「アルミ缶潰し」を行いようにしました。その当時は土曜日の夕方に保護者会を開催していたので、保護者会を始める前に、大人もこどもも、一緒になってアルミ缶を踏んづけて潰して、袋に入れなおしました。「踏めばアルミ缶がつぶれる」道具も購入しましてね。

 義務でやれば飽きますし、面倒くさくなります。でも、子どもたちと一緒に「アルミ缶潰して遊ぼうぜ!」とやれば、みんなでワイワイガヤガヤ、あっという間に山積みだったアルミ缶が押しつぶされていきました。

 話のネタも生まれたものです。ゴミ袋にたくさんはいった、とある有名ビールのアルミ缶。それもロング。実に大量のロング缶が供出されてそれはそれは稼ぎとしてはありがたいのですが、当然ながら「ものすごいビール好きな人がいるね」と話題にもなりました。「はいはい、それ私です!」と豪快な保護者さんが名乗り出て、「うちで飲むときはみなさん、このビールをよろしくね!」となりました。もちろん、その後、ロング缶を持ってその家で歓談すること、しばしばでした。クラブの先生たちには日常的にアルミ缶保管の様子を確認してもらって、散らかってきたときには連絡をしてもらい、わたくしや都合の合う保護者が臨時で集まって整理整頓もしていました。

 潰したアルミ缶は数か月に一度、萩原家のミニバンに詰め込んで、埼玉県杉戸町にある金属回収業者まで持っていきました。だいたい7、8万円ほどになりました。それを保護者会費に計上して、イベントでこどもたちに提供するお菓子を買ったり、こどもたちが所外活動するときに持たせる小物を買ったりしていました。

 何より良かったのが、保護者たちの連帯感や連携が生まれたことです。一緒に(遊びながら)作業をしていけば会話も弾む。作業して一汗かいたところで乾杯(もちろんノンアルでっせ)。「うまくいったね」と、当時は思ったものでした。アルミ缶潰しをして保護者会をして、それが終わるころにはすっかり夜になるので学童カレーパーティー(または焼きそばパーティー)というのが、一連の流れでした。カレーも萩原家で大量に作ってクラブに持っていったものでした。ご飯(ライス)だけは各家庭で持参してもらって。カレーはそれなりに好評でしたのよ。

<とはいえ、ずっと続くわけもなし>
 こう書けば良いことづくめなのですが、現実はなかなか、全てがバラ色ではありません。それもまた当然です。こういう試みは当初のうちは目新しいですし、「みんなで協力した結果、これだけの収入がありました」と会計報告をすれば最初のしばらくのうちは「すごい!」とうれしくなります。

 でもそれは最初のうちだけ。それが1年も過ぎれば、つまり「組み込まれて当たり前の作業」に化してしまうと、義務感が先に立ってしまい、「なんか面倒くさいよね」となるものですし、実際にそうなりました。保護者会が金曜日の夜が定例となったことも大きかったですね。職員の休日を確保するために金曜日開催に変更したのです。土曜日の保護者会では、土曜日が休日の職員が保護者会のために出勤することになってしまいますからね。わたくしが会長だったのは2010年度ですが、2014年度下期から児童クラブ運営法人代表理事を専従として務めることになったことで、特定のクラブの事業活動に深入りすることを遠慮したこともあります。えこひいきしているとは思われたくなかったので。

 ともあれ、2014年度にはアルミ缶回収はひっそりとその使命を終えました。そのころには、回収を始めた当初の熱気を知る人も少なくなっていました。児童クラブはどんどん人が辞めていくので仕方がないですが。新しく入所した保護者には「えっ、アルミ缶を学童に持っていくの? そんな面倒くさい義務は止めてほしい」ともなっていましたし。

 なんでもそうですが、「伝え続ける」ことほど難しいものはないですね。よく言いますよね、事業は三代目で潰れると。新規事業、イベントをゼロからスタートする、立ち上げるのはものすごい熱量が必要だ、でもそれを乗り越えてスタートさせたのだから強固な思い入れ、「ぜひともやりたい!」という熱い気持ちがあります。初代はそれがある。それを見ていた二代目も、まあ、引き継ごうとする。しかしその先はもう、立ち上げ時代の熱気、いや狂気に近い夢中ぶり、モチベーションを持続することは至難の業ということです。

 でも、あのいっときの時代は確かに盛り上がったし、役に立った。「いいじゃないか、それで十分」だと確信しています。いつの時代にもその時代に適した保護者会運営や活動をしていけばいい。アルミ缶による資金調達の試みは続きませんでしたが、学童キャンプや学童まつり、卒所式といった保護者参加型のイベントを続けている児童クラブはまだまだ各地に残っています。
 手探りの非効率な運営が保護者による児童クラブ運営の困ったところですが、そういう児童クラブには非効率な面を補うように保護者と職員との間に「話」と「輪」と「和」がありました。もっとも保護者運営の問題点である法的な責任についてはどうにも困ったものですが、こと、保護者が関わる児童クラブには、いろいろな形で受け継がれてきた風潮、それはもしかすると「文化」と呼んでいいのでしょうが、保護者と職員による協働の文化は、わたくしは、後世に伝えていってほしいものだと望んでいます。

 しかし、これから始まる日本版DBS制度の時代、児童クラブ運営事業者を公募による競争で決めていく時代には、学童文化を残す事業者が果たして事業を継続できるかどうか疑問です。正直なところ、現状のままでは生き残れないだろうと、わたくしは悲観的です。だから今のうちになんとかしましょうよ、と言っているのです。こどもの育ちを一緒に考えていく機会でもある児童クラブ、なんとか残していきたいと考えてくださる方が一人でも増えてほしいのです。

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

投稿者プロフィール

萩原和也