2024年(令和6年)も、きょうでおしまいです。今年も、ありがとうございました。

 放課後児童クラブ(学童保育)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所の中核的存在)の健全な発展を願い、とりわけ児童クラブで働く人たちが安心して一生続けられる仕事となるように雇用労働条件の向上の必要性を訴えている、児童クラブの運営支援です。2024年も本日が最後となりました。皆様にお礼と感謝を申し上げます。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

 2024年は、放課後児童クラブの世界にとって、一部ですが重要な進展が見られたと私は感じています。それは常勤職員2人配置の場合の補助金が新設されたことです。子どもと保護者の支援を丁寧に行いたいとする事業者、とりわけ地域に根差したクラブ事業者はずっと以前から常勤職員2人配置で児童クラブを運営してきています。そのような事業者にとっては、大きな恩恵をもたらす補助金であると評価しています。

 6月に成立した、こども性暴力防止法、いわゆる日本版DBSは、放課後児童クラブの世界を激変させるに違いないと私は考えています。児童クラブは認定事業者ですが、「潔白の証明」を求める保護者の声は当然に強いでしょうから結果的に認定事業者ではない児童クラブは淘汰されると考えています。ということは、児童クラブは日本版DBSに対応することを余儀なくさせるということです。私がひそかに懸念しているのは、特定性犯罪の前科前歴がある方でしっかりと更生した方が地道に児童クラブで頑張っているとして、この制度を導入した結果として過去の経緯が明らかになった場合、事業者はどのような対応をとるべきなのかということです。世間一般の声は「今がどんなに立派であっても過去に許されないことをした者は絶対にアウト」という方向に必ずなります。それは、刑期を終えた、罪を償った方が今はしっかりと働いている場合であっても過去の理由だけで職を奪ってしまうということを意味します。これが心配なのは、児童クラブの世界は過去の失敗を隠して働いている人がそれなりにいるのではないかと体感として私は感じているからです。この問題の整理は児童クラブの業界の健全な発展のために確実に行われる必要があります。児童クラブへの信頼性を向上させることへの期待と業界の大混乱への不安を、同じぐらいに私は感じています。

 一方で、放課後児童健全育成事業が相対的に軽視されていくような流れを感じる1年でもありました。それは、「単なる子どもの居場所」という概念の中に放課後児童クラブを組み入れようとするのではないか?という恐れです。象徴が、いわゆるサマー学童の設置強化の動きです。
 もちろん運営支援は、子育て中の保護者が絶対的に困難な状況に置かれる「待機児童」こそ絶対的に発生を避けねばならない最重要な問題として捉えておりますから、待機児童解消のためのサマー学童については、やむを得ないという立場をとっています。また、子育てのスタイルは100の家庭があれば100通りですから、「うちは、夏休みだけの短期の受け入れで十分」という家庭のニーズを満たすための選択肢として、サマー学童のようなスポット利用、期間限定利用についても十分に社会のニーズを満たせるだけの整備を進めることが重要だと考えます。

 広域展開事業者がますます運営するクラブ数を増やした1年でした。多くが公営クラブの民営化ですが、広域展開事業者同士の交代劇、保護者会などからの転換という形態もあります。そういえば愛知県津島市の「津島の奇跡」は今年のことでした。

 こども家庭庁の2025年度の放課後児童クラブ関連予算は微減のようです。これはこれまでの実績を反映しているとするならばやむを得ませんが、市区町村がもっと児童クラブの補助金を活用して国の予算では足りないという状況になっていれば、補助金の天井がどんどん上がったのではないかと思うと、残念です。とはいえ、23区を除く市町村の多くは残念ながら財政状況が厳しく、その中で小学生児童への予算はどうしても優先順位が高くなってきません。そういう現状であることを踏まえ、市町村が放課後児童クラブに関する事業をもっと行いやすくなるようにすることが必要でしょう。

 運営支援としてのこの1年ですが、前年(2023年)より、半歩ほど進むことができたかな、という印象です。とはいえ、事業として成り立っていないのはまだまだ変わりません。そうであっても、いくつかのわずかな進歩がありました。列記しましょう。
・児童クラブの保護者さん、職員さんからの相談が増えてきました。ほとんどが、絶望の淵に追い込まれた状況での大変悲痛な訴えです。その中でも印象的だったご相談は、車いす利用であるたったそのことだけで児童クラブの入所を大手広域展開事業者と自治体から拒否された事案がありました。断続的に現在、世間に呼びかけている滋賀県栗東市内の児童クラブの人権侵害疑惑もあります。児童クラブで提供された弁当を食べてアレルギー症状が出てしまったという問題も忘れがたい事案です。昼食提供事業者のずさんな事業が浮き彫りになりました。職員の側からも、「組織から仲間外れにされている」「子どもへの育成支援に対する理解が全くない」「パワハラを受けている」「対応が厳しい保護者に苦しめられている」という現場ならではの相談が寄せられています。
・愛知県津島市の児童クラブ運営事業者とご縁をいただき、今年度の非常勤理事を拝命しました。当地では、学童保育のために全身全霊を尽くしている多くの保護者さんたちとお知り合いになることができました。本当にみなさん、素晴らしい人たちです。また、児童クラブの現場で毎日、子どもと保護者と向き合っている職員の方々とお話をする機会を得ました。子育て支援のためにご尽力されている津島市役所の方々ともお話をする機会を何度もいただきました。皆、それぞれの立場で子育て支援、放課後児童クラブのために頑張っておられるのは間違いありません。その方向性が多少ずれて見えることはあっても最終目的地は同一のはずだと感じている日々です。
・初の著書を世に送り出すことができました。「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」(寿郎社)です。微々たるものですが地道に売れているようです。
・萩原ですが、夏に実施された第56回社会保険労務士試験に合格しました。よかったです。これで運営支援の信頼性を増すことができます。
・メディアから声がかかる機会が増えてきました。8月にはフジテレビの番組に出演し、スタジオで放課後児童クラブに関する問題点を解説する機会もいただきました。毎日新聞北海道版には、大きなスペースでインタビュー記事を掲載していただきました。1ページの記事を掲載してくださった古巣の夕刊フジには感謝です。
・講演やセミナーも、回数は少ないですがお声がけをいただきました。石巻市での講演の大役は、とても楽しかったです。

番外編として、3月に新型コロナウイルスに罹患しました。2回目です。前回(2022年8月)は軽症で済みましたがこの3月は、かなりつらかったです。頭が割れたかと思う頭痛に40度超の発熱は、しんどいですね。体力が落ちている方には致命的である病気であることがよく分かりました。
 それと、これは本当につい最近のあくまで個人的な事例を紹介しましょう。この11月からずっと左の下の奥歯を中心にあごの骨まで痛む日々が続いていたのです。以前、ひどい虫歯があったので神経を抜いている歯だらけなので単純な歯痛ではないのは分かります。どうしたものかと、丁寧に歯間ブラシも活用しながら過ごしてきたのですが1か月たっても収まらないし、痛みがひどくなっている。いよいよ歯医者さんか、お金かかるだろうなと落ち込んでいたのですが、旧ツイッターで「はちみつと大根」の投稿を沢山見かけましてね、ふとひらめいたんです。「はちみつは確かに体に良いと聞く。そういえば我が家には、とうに結晶化した古いはちみつがあった」。で、それを結構な頻度で、舐めていました。スプーンにすくって、ただ味わっていました。時にはホットケーキにかけもしました。するとですね、あれほどしつこかった、いや悪化しかけていた?あの左奥歯の奥の方の痛みがどんどん消えていったんですね。今はもう8割9割ほどは減った気がします。もっと悪化して神経そのものがやられた、ということではなさそうです。微熱気味だった体温も下がっていますし。いやはや、はちみつはすごいと思った冬でした。なお、はちみつは、1歳未満のお子さんには、絶対に食べさせないでくださいね。ボツリヌス菌で死にます。

 わたしが挑んでいるこの運営支援は、いまもなお圧倒的に知名度も必要性も感じられていない事業です。ですが、私は必ずこの運営支援が児童クラブの世界の発展に資することができるはずだと信じています。それを信じて、私ができるたった1つのこと、「ゆっくりでも、前を向いて歩く」ことを重ねてきた日々の2024年でした。振り返ればあっという間だったのかもしれません。みなさまにおかれましては、どんな1年だったでしょうか。たくさんの幸せでみたされたことだと信じております。

 この運営支援ブログをいつもご覧くださっているみなさまに、心より感謝申し上げます。とくに、旧ツイッターとフェイスブックで萩原と関わってくださった方、1人1人が私の支えとなっています。本当にありがとうございました。ぜひ、良いお年をお迎えください。寒さ厳しい年末年始です、どうかご自愛ください。

<おわりに:PR>
 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 放課後児童クラブを舞台にした小説を完成させました。いまのところ、「おとなの、がくどうものがたり。序」と仮のタイトルを付けています。これは、埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子ども達の生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。ご期待ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)