給料を上げればすべて解決!という保育関係者の投稿。その投稿、残念ながら専門性の放棄を自ら暴露するだけ。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性、学童保育のあらゆる問題の解決を訴えています。

 SNSには連日、保育関係者を名乗る人からの大量の投稿があります。その中には、低すぎる給料への不満や批判を書き込む内容が相当数あります。保育士や、学童保育の世界、放課後等デイサービスの職員など、いずれの業界でも全般的に賃金が低いので、おのずと給料に対する不満は共通して当然です。

 私も確かに、子どもの保育、育成支援、療育に従事する人たちへの賃金、報酬は、もっと改善されて当然だと思います。そのために、国がもっと補助金を増やすことが必要です。働いている人に支払うことが必要など、職員の賃金アップが確実に可能となるタイプの補助金や、雇用者数を増やせるように運営側も助かる補助金など、とにかく、補助金の増額が必要でしょう。

 保育士や放課後児童支援員などの賃金が低いのは大至急、改善が必要なのは当然として、私が残念に思うのは、「給料を上げればすべて解決!」と、繰り返し投稿されることです。何が残念なのか。それは、「給料を上げても、すべて解決しない。そんなことは、世間の人の多くが分かっているのに、保育関係者の世界はそんなことすら分からない?程度が低いね」と、思われることが明白だからです。

 低すぎる給料を上げることは、当然大事です。

 ですが、給料というものは、上がっても上がっても、受け取る立場の人は、決して満足しないのです。手取り15万円の人が手取り20万円になっても、初めはうれしいでしょう。同じ業務量で、5万円も多くもらえるのですから。

 しかし、そんな気持ちは数か月もしたら、薄れてくるのです。「20万円でも安いよなあ」と、なるのです。それが22万円の手取りになっても、25万円の手取りになっても、同じことの繰り返しでしょう。もちろん、収入構造が劇的に変わらない限り、賃金として分配できる予算には限りがありますから、事業主が給料を引き上げられる額には限度があります。よって、給料のアップによる職員のモチベーションアップにも、限界があるということです。

 これは、多くの企業で管理職として働くようになった人ならばすぐに理解できることです。マネジメントや、労働生産性について考える立場になると、真っ先に理解するようになることです。

 よって、多くの保育関係者が「給料が上がればすぐ解決!」と叫べば叫ぶほど、世間において事業を動かす立場にそれなりに関わっている人たちからは、「カネですべて解決という考えしかないのは、とてもじゃないが専門職ではない。単なる単純労働の人の考え方。保育関係は、結局は単純労働ということだな」と、理解されておしまいです。

 そんな保育関係者が、いくら保育の仕事は専門性が高いといっても、説得力はないですね。給料が上がればすべて解決!と叫べば叫ぶほど、単純労働であることを自ら示しているだけですから。

 私はブログで何度もつづっています。働く人のモチベーションアップには何が重要なのか。その繰り返しになりますが、給料や労働時間というのはあくまで「衛生要因」であって、要望が満たされても、その要望はすぐに新たな上限を求めていくのです。働く人が本当にモチベーションをアップできるのは、責任感や業務を達成したときの満足感、社会からの高評価、自ら「取り組みたい」と思う意欲など、つまり「やりがい」を感じられたときなのです。そのやりがいを増やす仕組み、例えば、その人の仕事の内容を正当に評価して仕事の能力に応じた地位や権限を与える、ということです。

 仕事、とりわけ、専門職と呼ばれる業務は、単に、給料をアップすればすべて解決、というような、底が浅いものではないのですよ。給料が上がればすぐに解決という保育関係者の投稿がたくさんなされる限り、保育の仕事は単純労働とみなされ続ける、ということでもあるのですよ。保育関係者が、もし自分たちの仕事を専門職と誇りをもって言いたいのであれば、今の安すぎる賃金改善は別として、もっと大事なことを訴えるべきでしょう。専門性への評価を求めること、です。

 もっとも、SNSで、給料アップですべて解決!と繰り返し投稿している人は、個人のブログに誘導して、転職を勧めることで何らかの報酬が得らえる仕組みでも、あるのでしょうね。 

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の社会的評価の向上のために活動しています。現場における生産性向上について提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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