第三者委員会がニュースワードで取りざたされています。放課後児童クラブの世界も第三者委員会が必要な事案がある!
放課後児童クラブ(学童保育)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。メディアでは、フジテレビの問題でもちきりです。27日午後4時に始まった会見は日付を超えて午前2時すぎまで続いたとか。それだけ極めて深刻で重大な問題ということですね。このフジテレビの一連の問題では「第三者委員会」という単語が非常に多く飛び交っています。この第三者委員会、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の世界で起きた、滋賀県栗東市の民営児童クラブで起きた児童虐待疑惑事案でも必要であると運営支援は考えます。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
※この問題は、これまで以下のブログで取り上げています。ぜひあわせてご覧ください。また、事案の詳細についてはぜひ、滋賀報知新聞社のウェブサイトをご覧ください。(滋賀報知新聞)
2024年11月30日 「放課後児童クラブの責任者が、子どもに土下座を強要?子どもが急性ストレス障害で治療を余儀なくされた事案に思う」
2024年12月13日 「放課後児童クラブ内での人権侵害疑惑。あまりにも遅い対応と被害児童に寄り添えない姿勢。大メディアは無視ですか?」
2024年12月27日 「滋賀県栗東市市内の放課後児童クラブで起きた子どもへの虐待疑惑問題。子どもの心の叫びを社会は無視してはならない」
<第三者委員会とは>
まず第三者委員会について、ウィキペディアではこのように説明されています。
「第三者委員会(だいさんしゃいいんかい)とは、何らかの問題が起きたときに、当事者以外の外部の有識者によって危機管理体制の再構築を迅速、確実に行うなどの目的で問題を検証をする委員会」
日本弁護士連合会のホームページでは、次のように記載があります。
「企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会(以下、「第三者委員会」という)である。すなわち、経営者等自身のためではなく、すべてのステーク・ホルダーのために調査を実施し、それを対外公表することで、最終的には企業等の信頼と持続可能性を回復することを目的とするのが、この第三者委員会の使命である。」
(「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」の策定にあたって より引用)
簡単にまとめると、何か問題が起きた、問題を起こしてしまった組織や企業、事業者とは利害関係がない専門家が、その問題の調査と検証を行い、再発防止策を作って提出する、ということです。フジテレビの場合、取りざたされている種々の問題について、当初は自社と関係のある専門家(顧問弁護士など)に問題の調査を任せる方針を明らかにしていましたが、それが社会から猛烈な批判を受け、結局は日弁連のガイドラインに準じた第三者委員会による調査に切り替えることにしたと、報道が伝えています。
<なぜ第三者委員会が必要か>
フジテレビは、公共の電波を利用して情報を発信している巨大なマスメディアです。また、報道機関として社会の公正な発展を実現することを支える使命を負っています。それゆえ、公共の電波の利用を許可されているともいえます。その巨大な発信力は、世論の形成にも大いに影響します。それだけ、公の利益に強い影響力を及ぼしうる企業であるがゆえ、不祥事については徹底的に解明して世論に、つまびらかにすることが必要です。
公共の利益に資する存在ゆえ、不祥事やトラブル、深刻な問題が起きた時は、自らとは利害関係を持っておらず、公正で、物事への深い知見、見識を備えた人物に、事態の解明と今後に進むべき道筋を示してもらうことが必要なのです。世間には「フジテレビだから」これほど大騒ぎになったという印象を持たれがちでしょうが、正確には「世論に強い影響力(それを権力と言い換えられるかもしれませんが)を持つ公共のマスメディアが、身内だけの調査でお茶を濁そうとした」という、そのずさんな姿勢に、あれほどの強い批判、反発をもたらしたのだと私は考えています。
フジテレビと規模は相当異なりますが、私は、放課後児童クラブにおいても、重大な事案が起きた時には、第三者委員会による調査と検証を実施することが必要であると考えます。重大な事案とは、子どもの生命身体に重大な結果をもたらした、あるいはもたらしかねなかった事案であって、死亡事故・事件、重大な後遺症がみられる事故・事件、刑事事件や民事でも多額の横領や窃盗などの事件です。なぜなら、児童クラブは、公の福祉のために存在する仕組みです。よって税金からなる補助金が交付されていることがほとんどです。公設民営の児童クラブであれば、仕組みそのものは公の財産であって、運営だけが民間に任されているだけですから、まさしく公の事業です。公の存在である以上、何か問題やトラブルが起きたときは、「なぜ、どうして、そんなことが起こったのか。そういうことを繰り返さないために、こういうことをやってください」と事業者に示すことができる仕組み、つまりそれが第三者委員会ですが、まさに必要だと運営支援は考えます。
<いま、第三者委員会が必要な放課後児童クラブの問題とは>
直ちに第三者委員会の設置を行って事態の解明に尽くすべきなのが、当ブログでもたびたび取り上げている、滋賀県栗東市の民営児童クラブにおける、子どもへの不適切な対応事案、はっきり言えば児童虐待の疑いが濃厚な事案です。児童が児童クラブ管理者の厳しい叱責(土下座を強要されたと被害者側は主張しています)で、心的外傷後ストレス障害を発症して今なお苦しんでいるという事案です。原因は不明ですが、被害を受けた児童が存在している以上、子どもへの人権侵害が児童クラブ内で行われた可能性が極めて高いと言わざるを得ません。
その人権侵害の態様について、被害者側と児童クラブ側の意見が厳しく対立しています。そして児童クラブの設置者で事業に責任を負うべき栗東市役所は、この事態の解明に後手後手の対応ばかり続き、滋賀報知新聞社の記事で何度も厳しく批判を受けています。2025年1月23日(木曜日)に掲載された記事では、被害児童の母親が第三者委員会を求めるコメントを寄せています。この部分の記事を引用します。
「「娘が虐待にあったことを知っているのは栗東市議の3分の1ぐらいだが、知らない人も含めて誰も動いてくれない。市選出の県議2人も同様で、まさに“見て見ぬ振り”ばかりだ。市議会にはもっと関心を持ってもらい、第3者委員会の設置がされるよう働きかけて真相解明を進めてほしい」と市議会に一抹の期待を寄せる。」
母親が嘆くのももっともな、なんとも残念な内容です。市民の負託を受けて選ばれている公人の議員が、児童虐待の疑惑事案に無関心というのは、本当に残念です。議員バッジをよくつけていられますね、と私は言いたい。別に、被害者側の味方をしなさいと言っているのではありません。密室で行われた今回の児童クラブに置ける不適切な事案の疑いについて、公正な、見識ある人物による調査を行うことへの理解が足りない、と言いたいのです。公正な調査の結果、仮に、不適切な行動は確認できなかったとなったら、それはそれで一つの結論です。ただ、現実に児童クラブを利用していて心的外傷後ストレス障害を発症した児童がいるということは、その原因が必ずあるはずです。因果関係の解明の調査は、丁寧に行ってほしいだけです。
その第三者委員会にも後ろ向きというのは、議員も、そして行政執行部も本当に残念です。次世代を担うこどもを健やかに育てるのは社会の責任です。議員や行政執行部が、その意味について理解していないわけはないでしょうが、現実に、事案の調査解明に後ろ向きという現状からは、子どもの健全育成に尽くすべき立場を理解していないと指摘せざるを得ません。残念です。今からでもいいので、直ちに第三者委員会を設置して、何が起きたのか、事実の解明に尽くしていただきたい。
「そんなのとても大変だ。口で言うだけなら楽でいいな」と陰口が伊吹山を越えてこちらにも聞こえてきそうですが、最後に申し上げます。決して誇れる内容ではありません。私が以前、運営の最高責任者として勤めていた児童クラブの運営法人では、大変遺憾なことに正規職員が児童への重大な人権侵害を行いました。報告を受けた当日をゼロ日とすると、私は「1日目」に、外部による調査検証委員会(つまり第三者委員会)の設置が必要だと判断し、職権をもって調査検証委員会の設置を決めて直ちに人選に取り掛かりました。当然、私の知り合いではない、運営法人とまったく利害関係のない方をまず1人、委嘱しました。その方は公営保育所における不祥事における第三者委員会でもトップとして調査検証に関わった大変すばらしい方です。その方の推薦も参考に、都内の弁護士事務所から児童の人権にとてもお詳しい弁護士と、児童の健全育成の専門家として大学教授にも委員に加わっていただきました。
やろうと思えば、地方都市の小さな児童クラブの運営事業者であっても、優れた見識をお持ちの方々による強力な調査検証委員会、第三者委員会の設置と活動の保障が可能です。行政でできないはずがありませんよ。この委員会からは、当然ながら私も事業の最高責任者として(厳しい)聴取を受けました。当たり前ですが誠実に包み隠さずすべてをお知らせし、組織が持っている情報をすべて提供しました。それが、事案によって被蓋を受けた子どもと保護者への謝罪と償いとなるからです。過去の失政、失敗を認めることが行政組織の威厳に関わると考えているのであれば、そんなことは世論は気にしません。むしろ、積極的に事態解明に向き合う姿勢に転換したことを世間は評価します。そういうものです。
栗東市の関係者にはぜひ、今も毎日、苦しみながら過ごしている親子のために、第三者調査委員会の設置と稼働を進めていただきたいと、運営支援は強く求めるものです。
<おわりに:PR>
弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。
☆
弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。
☆
放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。
☆
放課後児童クラブを舞台にした小説を完成させました。いまのところ、「がくどう、序」とタイトルを付けています。これは、埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子ども達の生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。ご期待ください。
☆
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆
(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)