異次元の少子化対策に期待します!学童保育にも、ぜひ異次元の拡充を!!

(代表萩原のブログ・オピニオン)学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」萩原和也です。「学童で働いた、こどもをあきらめた」の悲劇が起きないように全力で訴え続けます。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 岸田文雄首相は1月4日の年頭会見で、「異次元の少子化対策」を打ち出しました。児童手当の拡充などが柱になるようですが、保育所や学童保育にも重点が置かれるようです。歓迎します。財源の問題はあるようですが、早く調整していただき、6月に取りまとめられるという「骨太の方針」を待ちたいと思います。

 弊会は、学童保育にはぜひ、以下のことを政府が行うように期待します。

 1つ目 運営費の大幅増額による「支援員の処遇改善」。
 現在の国の補助金は、常勤1人(年額約310万円)と非常勤2人(年額1人あたり約181万円)をベースに算定されています。この額では、ワーキングプア状態です。常勤の年額を400万円程度まで引き上げてください。非常勤も200万円程度まで引き上げてください。

 2つ目 運営費の大幅増額による「支援員の増員」。 
 上記にありますように、国の補助金は常勤と非常勤合わせて3人を想定しています。これを6人にしていただきたい。常勤2人と非常勤4人でも当面は構わないと考えます。

 3つ目 運営費の国庫負担の拡大
 現在、主な学童保育にかかる補助金は、国、都道府県、市町村がそれぞれ3分の1となっています。これを、国が2分の1、都道府県と市町村がそれぞれ4分の1としていただきたい。なぜなら、3分の1の負担であっても、財政事情が厳しい市町村は、処遇改善等補助金の実施に及び腰になってしまうからです。負担割合の見直しはぜひとも早急に行っていただきたいと考えます。

 4つ目 学童保育所運営組織の事務作業担当者への補助拡大
 最近、補助金で会計事務などの担当者への補助制度が設けられましたが、不十分です。複数単位を運営している事業者は、本部機能(事務局機能)を備えて一元的な組織運営をしていますが、その本部機能に従事する者への補助が圧倒的に不足しています。支援員と同様の補助金が必要です。

 5つ目 保護者負担の軽減
 現在、国の学童保育に対する考え方は、公費負担と受益者負担(保護者負担)が50対50、つまり半分ずつです。これを見直し、公費と受益者負担がせめて75対25ぐらいになるように、異次元の資金投入を検討していただきたいのです。

 6つ目 民間学童保育所への一部補助
 都市部を中心に、育成支援とは異なり、学習補助を中心にした子どもの受け入れ事業が急展開しています。弊会は独自に「支援多機能型児童育成事業」と呼称していますが、英語やプログラミング、各種アクティビティを行う事業です。放課後児童健全育成事業ではないので補助金対象ではないのですが、子どもの居場所づくりという点では共通しています。公設民営の学童保育所など自治体が手掛ける育成支援型学童保育所は、年末年始や日曜日はおおむね、閉所しています。しかし、それらの閉所日であっても社会は当然、機能しているのであり、働き手が必要ですし、働きたいという子育て世帯も相応数存在すると見込まれます。そうしたとき、民間学童として機能する、支援多機能型の事業所を利用した場合について、公費で利用料を補助するという、新たな試みが必要だと弊会は考えます。具体的には、利用料の一部または全額を、利用者が勤める企業が手当等で支払い、行政がその企業に補助する、という仕組みです。当然、民間学童側にも、そうした期間に開所した際にかかった経費を行政が補助することが必要です。
 
 以上、弊会は、ぜひとも政府に、「異次元の学童保育所拡充対策」を希望します。

 なお、大事なことがあります。
 少子化対策として打ち出される異次元の対策ですが、少子化対策は、学童保育所や保育所を整備したとか、待機児童を出さなくなったとか、そういうシステムだけで解消されるものではないと、弊会は考えています。学童保育所に入れるから子どもを作ろう、という人はめったにいないのではないでしょうか。
 そもそもの問題として、生活に不安があるから、子育てをしながら暮らしていける見込みが立たないから、というのが大きな理由ではないでしょうか。それは、今この国に定着している、正規雇用より非正規雇用で経済活動を回していくという考え方のもと、安定した収入がずっと得られる見込みが立たないから、ではないでしょうか。非正規雇用のワーキングプア状態で、または正規雇用であっても今の学童保育所支援員のようなワーキングプア状態では、子どもを産み育てることに悲観的にならざるを得ません。
 さらには、将来の年金制度の不確実な状態があります。病気などで失業した場合の公的補助が不十分という実態もあります。子どもを育てながら暮らしていけるのか、まったく見通しが立たない、安心できないからこそ、子どもをもうけることに躊躇せざるを得ないという現実が確実に存在している。だからこその少子化進行と弊会は考えています。

 もっと重要なことは、子どもをもうける、もうけないは、最終的にはその人(または夫婦)の考え方、価値観に基づくものです。人口を維持すること、人口増の傾向に持っていくことは国家社会の維持において基礎的で重要な考え方ですが、だからといって、「どんどん子どもを産んでください」というのは、個人の価値観にまで一定の考え方を押し付けかねないことだと考えます。ましてや、子どもにめぐまれない夫婦も多いのです。
 「子どもをもうけない夫婦は少子化対策に逆行している」といった差別を助長するようなあらぬ偏見が起こらないよう、個人や夫婦の考え方は何よりも尊重されるという当たり前のことを丁寧に社会に対して伝えて理解を求めつつ、国家社会を維持するに必要な少子化対策を着実に進めていってほしいのです。それはすなわち、わたしたちの社会は、「子どもの育ちに対してどう向き合っているか」「子育て世帯のことをどう考えているのかという」社会全体としての考え方をもう一度、根本から問い直す必要にまさに今、直面しているのだと、弊会は考えます。

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