民営の学童保育のデメリットは?

 民営の学童保育所(放課後児童クラブのことを指している場合がほとんどです)については2つの形態がありますが、それが混同されてインターネットのサイトや記事で説明されていることが多いようです。2つの形態は内容が全く違いますから、インターネットで得られる学童保育の情報には注意が必要です。

(1)民営の学童保育所であって、「放課後児童健全育成事業」を行っている施設の場合
 児童福祉法に定められた「放課後児童健全育成事業」を行っている場所は放課後児童クラブになります。そのことを学童保育所と呼ぶことも多いのですが、放課後児童健全育成事業については市区町村が管轄しています。放課後児童健全育成事業を行う事業者は、市区町村に届けを出すことになります。届を出した事業者が民間の組織である場合、その児童クラブはすべて民営のクラブとなります。狭義の意味での民営の児童クラブ、民営の学童保育所であるといえるでしょう。

 デメリットとしては次のような点が考えられます。
・非営利法人による運営の場合、財務基盤がぜい弱なため事業継続に関するリスクがある。
・保護者会や運営委員会という任五段台での運営の場合、運営の業務に保護者が従事することになり、負担が大きい。
・株式会社による運営の場合、企業本社の経営戦略によって突然の閉鎖、事業停止がありうる。
・公営クラブと比べると、やや利用料金(保育料や保護者負担金とよばれるもの)が高い。1万数千円台が通常。

(2)民営の学童保育所であって、「放課後児童健全育成事業」を行っていない施設の場合
 この場合、法令に基づく事業を行っていないので、市区町村への届け出は不要です。つまり、国から交付される補助金の対象外となります。放課後児童健全育成事業については、児童の育成支援と保護者の子育て支援を事業者は実施しなければなりませんが、放課後児童健全育成事業を行わない民営の施設は、そのような制約がありません。事業者の方針によって、英語力を強化したり学力向上を目指したりと、自由な事業を行うことができます。つまり、学習塾やスポーツクラブの延長線上、事業の拡大系といえます。このような施設のことを「民間学童保育所」と呼ぶことが多く、その業界団体も発足しています。いわば広義の民営クラブといえます。この、民間学童保育所に関するデメリットとしては次のような点が考えられます。
・毎月の利用料が高額なため、どの家庭でも気軽に利用できるものではない。
・利用料負担に耐えられるだけの世帯は限られるので、人口が少ない地域には進出が乏しい。
・従事する職員や従業員、スタッフについても何ら規制がないので、職員等の資質は事業者の教育研修次第。

 この両者はまったく違いますから、混同しないように注意が必要です。一方で、児童クラブ、学童保育所は各地でその施設数が足りなくなっており、小1の壁や小4の壁が問題となっています。民間活力を得て施設を増やそうとしている自治体も増えており、学習能力向上や英会話、スポーツを重視しながらも放課後児童健全育成事業にも配慮する、いわば「混合系」の様式で事業を展開する事業者も続々と現れており、都市部において施設数を増やしています。利用料は狭義の民営クラブより1~2万円ほど高い設定が多いようですが、従来型の放課後児童健全育成事業に物足りなさを感じている保護者世帯のニーズに合致するため、今後の発展が予想されます。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)