東京都立川市の小学校で起きた教員等への傷害事件。放課後児童クラブは同種事案に対して、どのような対応ができるだろうか。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたらSNSに投稿してください! 口コミ、拡散だけが頼みです!
小学生が巻き込まれる、またしても衝撃的な事案が発生しました。東京都立川市内の小学校に不法に侵入した男性2人が、こともあろうに児童たちの目の前で教職員たちに暴力をふるってけがをさせたという、極めて深刻な事態です。放課後児童クラブも多数の児童が過ごす場所です。このような事案への対応は、どのようなことが考えられるのでしょうか。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<極めて重大な事案>
小学生児童が在校中に、児童たちの目の前で繰り広げられた惨劇。面前DVがこどもの心に重大な傷を与えるのと同様に、教職員が凶器でけがを負わせられる事態を目撃した児童が受けた心の傷の深さは深刻なものがあるのではないでしょうか。行政、政治は、子どもたちのケアに全力を尽くしてください。
事案がなぜ起こったのか、背景事情などは気になるところですが報道で伝えられる範囲のみしか存じません。報道記事を一部、引用して紹介します。ヤフーニュース配信の毎日新聞の報道で、2025年5月10日9時48分配信の「東京・立川の小学校侵入 傷害容疑に切り替え送検 鼻を骨折の教諭も」の見出しの記事です。
「警視庁は9日、暴行容疑で逮捕した40代と20代の男性2人の容疑を傷害と建造物侵入容疑などに切り替えて東京地検立川支部に送検した。」
「関係者によると、同校に通う児童の30代母親が8日朝、いじめ被害の相談で来校したが学校側と話がまとまらず、帰宅後に知人の40代の容疑者ら2人を連れて再訪したという。いじめ対応を巡る母親と学校側とのトラブルが事件の背景にあったとみられる。警視庁は児童の特定につながる恐れがあるとして両容疑者の氏名を公表していない。」
(引用ここまで)
もう1つ、同じくヤフーニュース配信のデイリー新潮の報道で、5月9日15時27分配信の、「東京・立川市の小学校侵入事件は「女児2人の前日のケンカ」が原因? “酔った”男2人は「B子はいるか?」と叫びながら教室に乱入「担任に椅子で殴りかかった」」の見出しの記事です。
「事件は5月8日午前11時前、東京都立川市の市立第三小学校で発生した。同校に女児を通わせている母親の知人である40代と20代の男2人が校内に乱入。教職員5名に顔面打撲などの怪我を負わせたという前代未聞の暴行事件である。駆けつけた警官によって2人の男は現行犯逮捕されたが、警視庁は男2人の氏名を「女児の特定につながる恐れがある」として発表していない。」
「担任との面談後、一度校外に出た母親は、しばらくすると男2人を連れて学校に戻ってきた。そして、2年1組の教室に直行した。「男2人は『B子はいるか?』とフルネームでB子さんの名前を叫びながら、教室に入ってきた。一人は酒瓶を手に持っていて、酒を飲んでいたようだ」」(引用ここまで)
この事案の結果だけでも重大ですが、仮に、不法に侵入した2人の被疑者が、明らかに児童へ危害を加えることを目的としていたとしたら、その狙いは容易に実現されたでしょう。それが本当に恐ろしい。あの大阪・附属池田小児童殺傷事件(2001年)の大惨劇が再び繰り広げられていた可能性があったことが目の前に突きつけられたということです。
しかも事態が複雑なのは、学校に在籍している児童の保護者が、被疑者2人を連れてきたという状況です。SNSの反応では、学校側の対応が不十分だったことを事案の責任に帰する意見がかなり目立つことに私は驚きました。「学校が、ちゃんと児童同士のトラブルの対応をしなかったからだ」という論調です。私に言わせれば、学校側の対応のまずさが、この事案がもたらした結果を免責するものではないと考えます。「学校側が悪かったから、保護者の行動は仕方ない」という論調には全く同意しません。たとえ学校側の対応がひどいものであっても、他者の権利を侵害する自力救済は許されません。学校側の対応がひどいという事実が仮にあるなら、それはそれで当然、学校側は責を負わねばなりませんが、学校側の対応の不完全さをもって教職員が傷害を負わされてよい、ということには断じてならないものだと私は考えます。
またこの立川市の事案で私は過去に自分が体験したケースを思い出しました。(後で記します)
<放課後児童クラブは、外部からの悪意ある侵入者を完全に防げるか?>
池田小学校の事件でも、そしてこの立川市立小学校の事件でも、「悪意を持った人物が容易に校内に侵入できる仕組みが問題だ」という指摘が相次ぎました。これはなかなか難しい。いずれ、そのような状況を改善するために必要な整備を義務化することを求める社会的な風潮が醸成されるかもしれませんが、それには応分のコストがかかります。地方の小中学校はそもそもフェンスや壁で完全に分断されていない建物もよくあります。都市部、住宅地にある学校は完全にフェンスで囲い、出入りを確認する監視カメラを付けて身分証を提示しなければ校内に入れない、という仕組みを整えるけれども地方の小中学校はそこまで予算が無いのでゴメンナサイ、ということはありえません。
社会全体として、学校における人物の出入りを確実の管理する仕組みを備えることが必要だという理解を持てるのかどうか。悪意を持っている第三者の侵入を防ぐために効果的な仕組みを構築するためのコストを優先的に用意する、という合意が形成されるのかどうか。その合意を得られるまでに児童や教職員の生命身体に被害が及ばされることが繰り返されることはあまりにも悲しい。壁やフェンスや防犯カメラ、識別装置だけではなく、学校に警察官や警備員が常駐する、いわゆる「スクールポリス」の仕組みも含めて、「防ごうと思えば防げる、取り返しのつかない悲劇」を防ぐためのコストを惜しまない、という考え方が広く社会に根付いてほしいと、私は考えます。
というのも、放課後児童クラブに関しては、外部からやってくる悪意のある第三者の侵入防止について、あまりにも手の打ちようがない状態だからです。もちろん、個々のクラブにおいて設置主体、運営主体(つまり市区町村や、クラブ運営事業者)が防犯カメラやカメラ付インターフォンを設置していたり、小学校内に設置されているクラブは警備会社の侵入検知システムを取り入れていることはあるでしょうが、それは「何かあったときの状況を確認すること」や「訪問者の識別」、また夜間などの不在時における空き巣など侵入者の発見と、空き巣被害の抑止を狙っているものです。より明確に、他者に危害を加えたいとか、器物を破壊損壊したいというような犯罪行為を企図して無理やりに入り込もうとする第三者の侵入を直接的に抑止するためのシステムは、一般的に普及しているとは到底言えません。
ですので、今後、この社会において、「こどもが過ごす施設には、第三者による暴力行為からこども、職員を守るための仕組みが必要で、そのコストは社会全体で負担するべきだ」という合意形成に至ってくれれば、児童クラブにも当然、そのことが及ぶでしょうから、クラブで過ごすこどもと職員の身の安全、そして施設や物品の財産的な損害を防ぐことにつながるでしょう。
しかしこのことは、いまのところ、全くもって空中楼閣です。
また、先にも触れましたが立川市の事案では学校に在籍している児童の保護者がいわば被疑者2人を引き入れている格好になっていることです。仮にインターフォンで来訪者の属性を確認して「この人は学校に関係のある人だ」という判断をして遠隔操作で門の施錠を解除したとしても、悪意のある人物が同行していればその機会に中に侵入できてしまいます。
仮に、「学校側が事前に登録した人以外は絶対に施設内に入れない」という方針を徹底するとしたら、指紋や顔認証で事前登録を済ませた人以外は絶対に施設内に招かない、ということを徹底することになります。いずれ、それほどの対策が必要だという意見が多数派を占める時代が来るのかもしれません。
放課後児童クラブも多くの人が出入りする施設です。児童の保護者や送迎を担当する人がいます。小学校では日常的に保護者が訪問することは、あまりないでしょう。PTAの役員さんが訪問するとしても毎日ではありません。ところが児童クラブでは登所した児童の保護者や送迎を引き受けている人が連日、出入りします。人の出入りが激しい施設であり、小学校とは決定的に異なります。送迎をする人が保護者以外の場合、ほぼすべての児童クラブは「誰が送迎するのか」を事前にクラブ運営事業者側に届けていることでしょう。
その他、「弁当、おやつの配達」や「教材や備品、施設の配達や修理」の人がいます。行政、学校、地域の人々もいます。事前に登録した人以外の人物は施設内に入れないとしても、フェンスも生垣も何もない場所にぽつんと建っている児童クラブだってごく普通にあります。道路に面したビルやマンションの1階に入居している児童クラブもあります。ドアのカギをこじ開けたり、窓ガラスを割ったりすれば施設内に侵入できてしまいます。
すべてが学校や児童館内に設置されている児童クラブばかりではありません。このことは、児童クラブにおける外敵侵入を防ぐ方策を構築するのを困難にしています。これは事実上、児童クラブでは悪意ある第三者の侵入防止については限定的な効果しか期待できないということになりますj。ごくごく一部の限られた施設(小学校の建物の上階にある等)では効果が期待できる程度、というものでしょう。
よって、命題の「完全に防げるか」については「残念ですがほぼ不可能」と私は考えざるを得ません。
<いかにして被害を軽減するか。最悪の事態を防ぐか。この観点で対応を重ねるしかない>
物理的に悪意ある第三者の侵入を防ぐのが難しいとしたなら、防御側=児童クラブ側の最終勝利条件をどう守り抜くか、の観点で考えることが必要です。まずはこどもと職員の生命を確実に守ることが最優先でしょう。それについで、危害を加えられないこと、施設や物品に損害を加えられないこと、が位置するものと私は考えます。
この点で私が重要と考えるのは、「すみやかな避難の実施」と「警察など関係機関への1秒でも早い通報、連絡」です。この2点が最上位です。この2点を確実にするため、職員の意識を徹底することが欠かせません。なお、立川市の事案を受けて「さすまた」で侵入者に対応する訓練の様子がメディアで数多く報道されました。その職員のテレビニュースやネットニュースを見た児童クラブの保護者から「クラブにもさすまたを備えるべきだ」という意見が上がるかもしれませんが、児童クラブにおける、さすまたは極めて限定的な効果しか期待できません。よほど条件が整っていない限り、具体的な効果は期待できないのです。理由は次の通り。
「さすまたは、よほど特殊な訓練を重ねている人でない限り、それなりに力の強い複数の人物が同時に使ってこそ効果が期待できる。児童クラブは女性が多い、また高齢者が多い職場であり、しかも人数が少ない。さすまたで不審者を抑え込める可能性に期待できない」
「上記の結果、逆にさすまたを不審者に奪われることによって凶器を与える結果となりかねない。攻勢側に凶器を与えることで事態がさらに深刻的な状況に追い込まれる可能性がある」
「児童クラブは、おおむね狭い空間に多数の児童や職員が過ごしている場である。長い柄のさすまたが存分に活用できる空間が少ない」
「さすまた常備の様子が外部から目視できれば、侵入を企てる者が、かすかであっても侵入を思いとどまる要素になるかもしれないが、外部から目視できる状態ということは、児童クラブのこどももまた容易に手に取れる場所にあるということでもある。それは残念ながら、こどもによるいたずら、誤使用の可能性が避けられない。その点、こどもにしっかり指導すればいいじゃないかという意見が必ずでますが、児童クラブの現実はそんな簡単ではありません。逆に、外部から目につかない場所では抑止の効果が無くなり、こどものいたずらも減りますが、逆に緊急時においてさすまたを取り出すために時間がかかってしまうことになる」
よって、児童クラブに職員が多数配属されていて常時5~6人の大人(それもシニア層などではない人物)が勤務しているような現場では、さすまたは役に立つ「かもしれない」ですが、どの児童クラブでも有効とは、とても言えないというのが私の見解です。もちろん、「さすまた常備」をアピールするためにさすまたを備え付けることは否定しませんが、「期待しすぎないこと」です。それならいっそのこと「当施設にはさすまたが常備されて職員たちが常に実戦態勢にあります」と書いた看板でもぶらさげておくだけでもいいのではないでしょうかね。
なお、私の手による「がくどう、 序」には、外部からやって来る不審者対応として「木刀」を児童クラブに備えている状況が描かれています。その木刀を職員が手に取るシーンも。ぜひ「がくどう、 序」を手に取っていただいて、そのシーンを確認してみてください。
意図的に侵入を企てる悪意ある第三者に対応するには、とにかく普段から徹底して「避難」の訓練をしておくことです。いろいろな侵入口や侵入パターンを想定した訓練を重ねましょう。同時に、常勤、非常勤の職員を問わず、すべての職員が参加しての「不審者に対する通報訓練」を繰り返し実施しましょう。
不審者を早期に気づくこと、つまり「危険予知活動」も重要です。外部の監視カメラは偶発的に犯罪行為を思いつくような人物に対しては「証拠が残る」ため効果的でしょうが、「逮捕されて死刑になっても構わない」と思い至った悪意ある人物には、犯罪行為の経過を調べるためには有効ですが抑止の効果は期待できません。よって、カメラがあるから大丈夫ではありません。外の世界とガラス一枚、ドア1つだけでしか区切られていない施設にて業務に従事している職員は、常に連携しあって外部を確認する、外部の様子を見やることが必要でしょう。
こどもにも「何か気になる人、恐ろしそうな人がいたら、すぐに声を上げて。職員に知らせて」と徹底することが必要です。ということは、保護者にも、危険予知活動の一環としてこどもが異変を感じたらすぐに知らせることをクラブで徹底させています、ということを事前に説明しておくことが必要です。「こどもを監視役にさせているのか」と誤解されないようにしましょう。あくまで、こどもがその場で自分なりの活動(宿題や、遊び等)をしているときに、気になった人に気づいたら知らせてね、ということです。
<私の経験から>
かつて児童クラブの運営事業者の理事長等を務めていましたが、悪意があると予想できた人物の到来で110番通報をしたことがあります。児童クラブの保護者で、継続入所に関する手続きをめぐって事務局(対応したのは私)と見解の相違がありました。保護者側が自分の主張を取り下げることがなく、電話での話は物別れに終わりましたが、「完全に頭にきた。お前をぶっ潰すのはわけが無い。今から若い衆を連れて事務局に行くから覚悟しておけ」と電話越しに言われたので「物騒な話はやめましょう。仮に異変があればこちらはすぐに対応します」との趣旨を私は返答しました。その後、電話相手の保護者がやってきたので、直ちに110番通報した次第です。なお、若い衆は見当たりませんでした。
立川市の事案でも、保護者が関わっています。保護者とは関わらざるを得ないので、そこに対応を受ける側としてはどうしても一手、遅れることになってしまいます。しかし、今後の展開が話し合いを超えた実力行使にまで及ぶことが想定される場合には「不意打ち」を避けるための準備をしておくことで不利を挽回できます。
もう1点、私はさすがにあきれてしまったことがありました。複数名の職員が、こどもを連れてクラブ近くの公園に遊びいったときです。バットのようなものを持った不審人物が「〇〇(こどもの実名)はいないか」と執拗に探し回っていることが分かりました。職員は危険を感じて直ちにクラブにこどもを連れて帰った。それは良かったのですが、警察にまったく通報していなかったのです。凶器となるようなものをもってうろついている不審人物を見かけたら、児童クラブの職員であろうかなかろうが警察に知らせるのは当然です。ある意味、義務と言えるでしょう。それを怠っていたのですから、私は頭を抱えました。「こどもの安全を第一に考えた。すぐに安全を確保した」ことはいいのですが、それは「学童のこどもだけ守られればいい。社会の誰かが危害を加えられる可能性について放置していた」ということですから、大変遺憾なことです。どうも児童クラブの人たちには視野が狭すぎる人が多いのが、私にはいまだに気になっています。
<できることなら、最悪の事態を起こさない取り組みを徹底しておく>
児童クラブは、保護者が生活の必要のために利用する仕組みですから、その点において義務教育である小中学校とは異なります。児童クラブ側と極度に関係が悪化すると利用しにくくなる、という感覚がおよそ通常の保護者には存在するものです。これが逆に行き過ぎてしまうと「自分のこどもがクラブ側に人質に取られている。だから職員への苦情や意見を言いたくても、こどもが職員や児童クラブから不利に扱われることが怖い」という感覚に陥ってしまうのですが。
保護者側に、児童クラブと極度に関係を悪化することはその後において決してよろしくない、合理的ではないという判断があっても良いのですが、残念ながら私自身も体験したように、「いま、自分自身の目的を何が何でも達成したい」という考えに固執してしまい建設的な話し合いができない保護者が存在することは、事実としてあります。そのような保護者とのトラブルが起きた時は、現場クラブ職員だけに任せるのではなくて児童クラブ運営事業者が前面に出て対応するべきです。
そのような例外的な「常識的な話が通じない」保護者以外では、例えばこども同士のトラブルが起きた際は、「速やかに、誠実に、解決に取り組んでいること」を保護者にもしっかり感じさせる行動が必要です。要は、「トラブルが解決できるように直ちに全力で取り組むべし」ということです。およそ多数を占める保護者は、児童クラブが必要だから利用しているのですから、誠心誠意の対応でトラブル解決につながる糸口を見つけられる可能性は、100パーセント存在するとまでは言えないとしても、かなりの確率であるものです。どうしても話し合いではどうにもならない場合は、「万が一」の対応を職員、運営事業者で改めて確認しておく必要があります。
そして、前にも記したように、この社会において、こどもと職員を守るための種々の設備、仕組みへの投資を惜しんではならない、という社会的な合意の形成を、児童クラブとしても社会に発信していくべきでしょう。このブログも当然、その思いで記しています。また、施設側の理不尽な対応によって保護者やこどもが追いつめられるという事態も残念ながら現実に存在しています。そのような状況で思いつめたり悩んでいたりする保護者やこどもの支援、援助や救済の仕組みも必要です。このブログで何度も記していますが、因果関係は確実になってはいないものの児童クラブで過ごしていた時に起きたことがきっかけでこどもが心に深い傷を負った事例(滋賀県栗東市の事例)などが起きた時に、福祉の仕組みとして相談や支援、援助に対応する機関の設置、整備が必要です。児童クラブは児童福祉法による公的な事業ですから、その制度によって不利益を受けた(と少なくとも保護者やこどもが感じている)事案について対応する仕組みの整備がぜひとも必要です。
最後に、これもまた社会が持つ意識の問題であり、刑事政策に関する部分になるでしょうが、「こどもが過ごす施設において、こどもや職員に悪意をもって危害を加えた場合は、社会は決して許さない」という強い覚悟をも持ってほしいと私個人は希望します。今回の立川市の事案では、こどもの特定につながる可能性があるとして被疑者の個人情報(氏名)を警察は公開していませんが、社会にこれほどの衝撃を与えた事案ですから、全体的な利益を考えての判断が必要です。勝手な想像ですが、この事案において、記者クラブに縛られない雑誌メディア等が実名を報道する可能性だってあるでしょう。私はこの立川市の事案については、現行犯に近い状況であることと、社会全体に与える影響が大きすぎることから、実名報道による被疑者の基本的人権や、児童の特定につながる可能性を考慮しても、被疑者2人の氏名の公表には賛成の立場です。しかし、実名報道が必要な理由ぐらい警視庁も分からないはずはないでしょうから、氏名を公表すると直ちに児童(この場合、2人の被疑者を招き入れた保護者のこども)が判明するという、何か極めて特別な事情があるのでしょうか。そうであるならば、それはやむを得ないことと理解します。
ぜひ社会の多くの方に知っていただきたいのは、こどもが脅かされる事案があるたびに、また、こどもを支える職員が被害者となる事案があるたびに、自分の仕事について不安になっている児童クラブの職員が大勢いる、ということです。日々、どんなことがあってもこどもの命は守りたい、安全を守りたいと思いながら働いている児童クラブの職員が不安におびえている、ということです。社会インフラとしての児童クラブの完全な機能を社会が期待するのであれば、そこで働いている職員、運営責任を負っている者の気持ち、心理的な状況を理解し、少しでも児童クラブに関係する人たちの安心につながるような施策が講じられるように社会が声を上げてほしいと、運営支援は強く求めます。
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弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。
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放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、群像劇であり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。
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弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
(宣伝です:放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。上尾市に比較的近い地域であればお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!)