東京都板橋区の放課後事業における盗撮疑い事案。ずさん過ぎる対応を厳しく批判します。こどもと事業の質を守る意識が見られない!

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたらSNSに投稿してください! 口コミ、拡散だけが頼みです!
 2025年5月29日夜に、NHKが、東京都板橋区の放課後事業における職員の盗撮疑い事案を報道しました。本日の運営支援ブログはこの報道について私見を述べます。27日、28日と続けてきた、こども家庭庁の「こども性暴力防止法施行準備検討会」(第2回)に関しては次回以降に取り上げます。ご容赦ください。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。) 

<報道から>
 放課後児童クラブなどこどもの支援に関わる事業場においての盗撮事案はたびたび報道されています。それぞれの事案ごとに大変腹立たしいのですが、今度の板橋区の事案の報道内容には、間違いなく事案全体の一部しか報道されていないとしても、それだけで極めて腹立たしいことが多々あります。まずは報道を一部引用して紹介します。NHKの「首都圏 NEWS WEB」が5月29日19時45分に配信した、「東京 板橋区 “放課後事業の法人職員がトイレで児童を盗撮”」の見出しの記事です。
「板橋区の小学校で放課後に子どもたちを受け入れる事業をしている法人の職員がトイレで児童を盗撮していたと区の教育委員会が発表しました。トイレは男女共用だったということで、区は改修工事を行ったほか、事業を受託する法人の職員に性暴力に関する研修を義務づけるとしています。」
「ことし2月に「あいキッズ」の建物にある個室トイレを児童が使っている映像が保存されたボールペン型カメラが校庭で見つかりました。法人が調べたところ、自ら撮影した映像だと認めたということで、その後、盗撮した職員は解雇されました。」
「盗撮が行われたトイレは男女共用だったため、区は男女で使う場所を区切る改修工事を行ったほか、再発防止策として事業に関わる法人のすべての職員に性暴力の防止に関する研修の受講を義務づけるとしています。」(引用ここまで)

 「あいキッズ」とは、児童クラブ業界で通称「放課後全児童対策事業」と呼んでいる事業です。分かりやすくいえば、放課後児童クラブと「放課後子供教室」(=実施小学校すべての児童を対象に午後5時ごろまで小学校や公民館などを居場所として提供し、種々の活動を行うもの)が融合して1つの事業として成立したものです。児童福祉法にて示されている事業ではありません。全国各地の市区町村が独自に実施しているものです。こういう放課後全児童対策事業では、午後5時前後を活動の区切りとしていて、午後5時以降も施設にて過ごすこどもは、児童クラブに在籍として取り扱うことがほとんどです。いってみれば、午後5時までが「放課後子供教室」で午後5時以降が「児童クラブ」というようなものです。

 記事の見出しが「放課後事業」と表記しているのはさすがNHKで正確性を考慮したのでしょう。「児童クラブ」という見出しでは厳密には誤りとなるのです。かといって「全児童対策」では視聴者が分からないでしょう。取材して執筆した記者か、原稿をチェックするデスクの知識が相当なものであるのでしょう。
 さてNHKの記事には「区の教育委員会が発表」とあります。30日午前8時30分時点で、板橋区のホームページにこの事案に関する報道発表は見当たりません。また、NHK以外の報道機関によるこの事案の報道はインターネット検索では見つかりません。盗撮事案はメディアがこぞって報道する事案(=それだけ世間の興味関心が強いジャンル)ですが、この板橋区の事案はいったいどうしたことでしょう。NHKの記事の書き方からすると、この事案の発表は区役所であり、警察ではありません。警察の場合は「記者クラブ」において加盟社全部に同時発表ですし、記事は「警視庁(又は〇〇署)によると」という引用元を明記するのがしきたりですから、警察の捜査による事案の発表ではないことは明らかです。区役所の発表であればほかのメディアが気づかないわけはありませんが、単に29日は備蓄米の引き渡しや売り出しなどほかのニュースが多かった日ですから、取捨選択の結果、記事にならなかったのでしょうか。

 この事案は、単に「こどもに関わる職員が、こどもを盗撮していた」という、(大変残念ですが)よくありがちな事案で片づけてはなりません。少なくとも報道機関はその点を理解して報道していただきたい。以下、わたくしの懸念点をつづります。

<なぜ事業者名を公表しないのか>
 全児童対策事業も、公のお金がつぎ込まれています。公事業です。公の事業の運営を任されている企業、事業者は、それだけ社会に対してより一層の責任を負っているはずだと私は考えています。であれば、公の事業の中で起きた不祥事はすべからく公表されるべきで、それは事業者の固有名詞も当然、世間に知らされるべきだと私は考えます。その結果、「あの事業者は信用おけないわ」となってもそれは自業自得です。「いや、事業者を公表すると施設が特定される」というおそれを行政が考えているのであれば、「どこを守りたいのだ?」と私は反論します。企業の体面か?名誉か?ばかばかしい。守られねばならないのは、こどもの人権であり、放課後等にこどもを受け入れてその生活と成長を支える事業の質や評価です。ろくに事業を行えない事業者を公表することで事業の運営に悪影響が出ていずれ廃業や指名を逃すなどで市場から淘汰されたら、それはそれで事業の質の向上に資するもので喜ばしい。
 区のHPには「あいキッズ」を運営している事業者名が記載されています。それ自体は評価できます。事業者名を記載しない自治体が多いですから。税金からなる補助金を受けて事業をしている事業者は当然、公表されるべきです。その点、板橋区のHPにおける個々の事業場における事業者名の情報提供スタイルはとても良いですね。以下、区のHPに記されている、あいキッズ運営事業者を列記します。HPの表の上から記載します。
株式会社 明日葉 (11か所)
労働者協同組合 ワーカーズコープ・センター事業団 (4か所)
社会福祉法人 ひまわり福祉会 (7か所)
社会福祉法人 松葉の園 (3か所)
社会福祉法人 白鳩福祉会 (2か所)
社会福祉法人 三共会 (2か所)
特定非営利活動法人 シンフォニア
株式会社 キッズホーム欒
株式会社 ポピンズエデュケア (2か所)
株式会社 コスモメイトサービス (2か所)
社会福祉法人 昭和会
株式会社 学研ココファン・ナーサリー
株式会社 パソナフォスター (7か所)
社会福祉法人 陽光会
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクール
株式会社 グローバルキッズ (2か所)
ライクキッズ 株式会社 (2か所)
社会福祉法人 翠生会

 1施設しか運営していない事業者がいくつかあります。その場合は事業者名を公表すると施設名が直ちに分かりどの小学校のこどもが被害に遭ったのか分かるから、という理由かもしれません。しかし私はその懸念はもっていません。まず、そもそも地元の住民には当然知られます。保護者説明会を開いた(=この点は、評価します)という記事内容からその学校を利用する保護者は何があったのか知ったわけですし、知らされねばなりません。また、報道でこの事案に接して、事業者名を見聞きした視聴者や新聞の読者は、事業者名を見聞きして「とんでもない会社だ」と思うでしょうが、わざわざ「どの小学校のこどもを受け入れる施設なのか?」まで調べないでしょう。1万人に数人は調べるかもしれませんが、それとて被害に遭ったこどもの特定にはとても至らない。事業者名の公表で小学校名までが知られても、だからといって直ちにこどものプライバシーが侵害されるおそれはない、と言えませんか?言えるでしょう。
 公表することによる利益の方が増します。その利益とは、「ひどい事業者なのね」という外部からの評価に対応して、今後の事業者がとるべき行動がおのずと定まっていくことです。つまり汚名返上、事業の質を上げるための行動を選択することを余儀なくされることになります。また、そういう事業者を忌避する社会の意識が醸成されるかもしれません。その結果、その事業者がこどもに関わる事業から撤退することになってもそれはそれで先に記しましたが自業自得なだけです。
 事業者の名前は今からで遅くないので板橋区は公表するべきです。
 なお、現時点において、行為をした者の実名報道までは私は求めません。例えばこれが長年に及ぶ盗撮行為があってその映像を販売して多額におよぶ利益を得ているという他の事情があればまた別ですが。犯罪が行われた恐れを関係者が捜査機関に通報し、それを受けて行われるであろう捜査の結果で起訴に値する行為があるのであれば、裁判所で判断していただきたいと願うだけです。

<公表が遅すぎる>
 報道によると事案の発生は今年2月。盗撮に使われたであろうボールペン型カメラが校庭で見つかったと報道されています。まず、2月と言えば前年度。つまり今年度、今年4月からその施設を新たに使う新1年生の保護者たちが入所の手続きを進めているころでしょう。その時期だからこそ、行政側は「保護者に不安を与えないよう」配慮して、新1年生の保護者たちもあらかた落ち着いてくるこの時期に公表したのでしょう。(もしかしたらその保護者の中にNHKの関係者がいたかもしれませんね)。しかし、それはあくまで自分たち、行政たちの都合です。盗撮は明らかな性暴力であり人権侵害。それを、数か月も公表しないなんて、ありえません。
 新1年生の保護者の中には、そういった盗撮疑い事案の発生を知らされたのなら「そんな事業者の施設はごめんだわ」と他の施設をこどもの居場所として選択したかもしれません。保護者の選択の余地を奪ったことは、行政は猛省するべきです。なぜすぐにこの事案を公表しなかったのでしょうか、明確な説明を区は公表するべきです。
 校庭でカメラが見つかった経緯も説明が必要です。個室トイレの内部の撮影に使っていたカメラが校庭で見つかった。なぜか。所有者である職員が常時携帯していて校庭でこどもと活動しているときに落としたのか、あるいは、こどもがトイレ内で「なにか不審なもの」を見つけた。カメラだと気が付いた。(こどもは、大人が幼く評価判定しがちですが、大人が思う以上に冷静に事態を観察して判断できます)しかし、それを職員に申し出ると「なかったこと」にされてしまうかもしれない。だから誰かが気づくように校庭に「わざと」落とした、というようなストーリーも考えられませんか? なぜ校庭でカメラが見つかったのか、その経緯は当然、区は調べているでしょうね。その結果もまた公表が必要です。

<「解雇されました」とはどういうことだ>
 報道記事だけでは全容はもちろん分かりませんが、記事にはカメラを所有していた職員が解雇されたとあります。その先、捜査機関によって逮捕されたか、あるいは在宅で起訴されたかどうかまでは記述がないので分かりません。
 仮に、懲戒解雇という、「(公の対照としての)私」だけの法律関係で処理されたままでしたら、2026年12月までに開始される、いわゆる「日本版DBS」では、この元職員が再びこどもと関わる業務に就くことが可能です。日本版DBS制度で、いわゆる就業制限に該当するには、裁判を経て有罪とならねばなりません。仮にこの職員にそのような刑事的な手続きが一切行われないままだとしたら、再度、こどもに関わる職業に就く可能性が残されることを、事業者も板橋区も当然、理解できるはずです。このことに考えが至らなかったとしたら言語道断。担当者は更迭されるべきです。もちろん、捜査機関が捜査したとしても最終的に検察官が起訴するしないを決めるので、ここで起訴されなければ日本版DBS制度の対象外となるので、区や事業者の判断や行動だけがこの面ですべての批判を受けることではありません。しかし、しっかりと刑事的な手続きにのせるようにすることは事業者や区役所の当然の振る舞いであると、運営支援は考えます。その結果、起訴されなかったらそれはそれで仕方ありません。少なくとも、懲戒解雇だけで「お・し・ま・い・デス!」とはなっていないことを心より願っています。

<板橋区は、盗撮事案の発生を防ぐ可能性を高められたはずだ>
 私が残念に感じたのは、「盗撮が行われたトイレは男女共用だった」という点です。これはどうしたことでしょう。多くのこどもたちが過ごす場所で、排せつにかかわる場所こそプライバシーと清潔が保たれねばなりません。男女共用とは、ありえません。いまは小学生でも高学年ともなれば生理があるこどももいます。この点、区が予算をしっかりと投じて、男女別にトイレを整備していれば、ゼロにはならないとしても盗撮行為を「簡単にできる」と思わるような環境設定を避けられることにつながったはずです。
 この事案の後、区は改修工事を行ったと報道にあります。改修工事を行う予算が確保できたのであれば、「先にやっておけ」と私は言いたい。こどもの過ごす生活環境について、区の担当者はどれだけ現実を踏まえて考えていたのか、私には疑問です。盗撮や、他の性暴力、性加害を防ぐ、誘発しないような環境設定について、行政はしっかりと考えて、快適性だけでなく防犯面でも高い機能を期待できる施設とするよう、お金をかけるべきです。こどものことに予算を惜しむな、といいたい。事案があってから急いで工事しただなんて、お笑い種です。

<性暴力防止の研修の受講を義務とする? 今までどうだったのか?>
 記事では、この事業者の職員に対して、性暴力の防止に関する研修の受講を義務づけるとあります。区が事業者にそう行政指導したのでしょう。しかし当たり前ですが、こどもへの虐待を防ぐための研修は、当然、実施されるべきですし職員であれば当然これも受講するべきです。虐待防止研修は、児童クラブの世界ではまさに一丁目一番地のような当然なされるべき研修であって、事業者が実施していないとか職員を参加させていないとか、そういうことはまずもって考えられないのです。
 板橋区ならびにこの事業者は、性暴力の防止、抑止に関する内容を含む、こどもへの虐待に関する研修の実施状況と、研修の内容、そして職員の受講状況を公表するべきでしょう。仮に、数年に1回程度で参加も職員の任意だった、という事業者であれば、板橋区の管理監督責任もまた追及されてしかるべきです。
 全国の児童クラブや全児童対策事業に当たり前にありがちですが、「設置責任」を行政は軽く考えている。「運営を丸投げ」の度合いがひどすぎます。業務委託(準委任契約)であれ行政処分である指定管理者であれ、市区町村は委託者、指定権者としての管理監督責任がまったく免除されてはならないと私は考えています。実際は、行政がやってほしくないことはどんどん運営する側に行政は口を出すのに、お金がかかることや他の部署や機関と調整が必要で面倒なことには「それはそちらでしっかりやってください。任せているんですから」と逃げる。都合の悪いことはことさら「丸投げ」する市区町村が多すぎます。研修だって本来はその実施費用、コストを行政が負担してしかるべきです。区民であるこどもの利益のためです。そういうカネがかかることは知らんぷりで丸投げ、何かあったときは指導するという残念な自治体が多すぎます。本当に丸投げしたいのなら、事業者が必要十分とする以上の予算を出して「それで思うようにやってください」と言いなさい。
 児童クラブも、全児童対策であっても、それが存在するからこそ子育て世帯が安心して社会経済活動に従事できます。重要な社会インフラなのです。インフラに投資するのは自治体であれば当然ですよ。なぜ児童クラブなどこどもと子育て世帯を支える社会インフラの整備に後ろ向きなのですか。理解しがたい。

<盗撮事案への深刻さを理解しているのか?>
 これまでも指摘してきましたが、事業者名を公表しないとか、公表のタイミングが遅いとか、懲戒処分でお茶を濁しているように見えるとか、私には、児童クラブ側も市区町村側も、「盗撮」という行為に対する認識があまりにも軽すぎると感じます。のぞき見、盗み見というイメージの延長線上で理解されているのでしょうか。
 いうまでもなく盗撮は恥ずべき性犯罪です。こども性暴力防止法では「特定性犯罪」に指定されています。(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律。また、都道府県の条例で定める罪であって、次に掲げる行為のいずれかを罰するものとして政令で定めるもの ・正当な理由がなく、人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体をのぞき見し、写真機等を用いて撮影し、又は当該下着若しくは身体を撮影する目的で写真機等を差し向け、若しくは設置する行為)
 盗撮は、就業制限を可能とする「犯罪事実確認」の対象となる性犯罪に含まれるのです。基本的人権の1つといえる就業の自由を制限するだけの根拠となる重大な犯罪行為なのですよ。
 盗撮された映像が仮にネット世界に流出でもしたら、永遠にその映像は消せません。被写体とされた人への人権侵害は永遠に続くということです。決して「たかが盗撮」という認識ではあってはなりません。
 しかし今回の板橋区や事業者の対応からは、とても重大な深刻な人権侵害事案だという認識を持っているとは私には思えませんでした。事後の対応は説明会を開く等、努力されたことはわかるのですが、残念ながら時間がかかっていることから、私には緊張感が感じられません。児童クラブの世界では、この盗撮という行為がいかにひどいものであるかという認識が薄いようにも私には感じられます。実際、弊会に寄せられた相談で盗撮行為に関する相談がありました。いずれも、現場職員が気づいて善処を求めたものの事業者も自治体もうやむやにしてしまったという内容です。「バレなきゃいい」とでも思っていたかのような対応ばかりでした。

<なぜ運営支援はこれほどまで執拗に批判の声を上げるのか>
 盗撮に限らずこどもへの性暴力は、その行為を行ったものが厳しく責任を追及されるのは大前提です。その上に、事業者や設置主体である市区町村もまた責任に応じた対応を毅然と行うべきですが、その「毅然さ」が感じられないのが残念です。

 なぜなら、こうした行為に対して、厳しく対処しないということが、こどもへの支援、援助に関わる事業そのものへの、世間社会からの理解と評価を向上させるどころか低下させる、低いままに押しとどめることを懸念しているからです。「盗撮? まあ、児童クラブとかそういう仕事は、そういうことをしでかす人でも採用するしそういう人ばかり集まる仕事だよね」という理解がただでさえ感じられるのに、こういう事案が起こったときの対応もまた手ぬるいものであれば、「そうだよね、そんな程度の仕事だし業務だよね」という、世間からの冷たい理解と評価しか生じないからです。

 児童クラブは言うに及ばず全児童対策であっても、こどもの居場所であり、安全安心な場所でこどもの育ちを支える場所です。その場においてこどもへの支援、援助に携わる仕事は本来はとても専門性の高い職業であるはずです。そうであるにもかかわらず一向にそうならないのはなぜか。世間の理解がまだまだ薄い、弱いというのはあるでしょうが、当の業界側の努力もまた弱いと私は考えます。そうした面が、こういう不祥事事案に顕著になって現れるのです。「程度の低い職員はいらない。こどもへの人権侵害は厳しく対処する」と自らを律する姿勢がなければ世間からの理解も深まりません。

 守るべきは、こどもであり、事業の質です。事業の質が向上すればするほどこどもが守られ、利用する保護者もまた安心して社会経済活動に従事できます。子育て世帯が安心して暮らせる地域になれば子育て世帯が定着するようになりその数も増え、結果としてその地域もまた利益を受けるのです。役所の体面や事業者の体面を守るのではなく、守るべきは「こども」であり「こどもを支える事業の質」です。ここが確実になれば、そこで働く人たちもまた高評価に応じて高い報酬を受けられる時代になるのです。

「残念ながら、こうした事案がありました。こういう措置をしました。保護者には説明をして理解を求めました。以上」ではなくて、「なぜ、そんなことが起きたのか。その原因はこうだった。これからは、その原因をこうして修正していきます」と、社会(そして納税者)に対して説明責任を果たす姿勢をぜひとも、板橋区と、事業者には求めたいと運営支援は希望するものです。

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 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、群像劇であり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)