朝日新聞がスキマバイト(スポットワーク)に関して報道しました。放課後児童クラブも避けられないこの問題は継続的な報道が必要。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台にした、人間ドラマであり成長ストーリー小説「がくどう、 序」がアマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください!
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 さて、朝日新聞が、保育現場におけるスキマバイト(スポットワーク)について報道しました。児童福祉におけるスキマバイト問題は、その実施の評価にあたって、社会一般の受け止め方と、児童福祉の質を懸念する人との間でその理解に関する落差が大変大きいものがあります。引き続き、あらゆるメディアが、児童福祉の現場におけるスキマバイト問題について興味関心を持ってもらって、報道を続けてくれることを運営支援は期待します。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<報道では>
 スキマバイト問題では、東京新聞が「スキマバイトの隙間」として継続的かつ断続的に特集記事を掲載しています。スキマバイトに関する事象を一般的に網羅して取り上げているようで、実は私も昨年秋、放課後児童クラブとスキマバイトの件で約2時間のインタビュー取材を受けました。記者さんからは「記事にします」と言われましたがその後、まったく連絡はありません。元新聞記者としては記者倫理の点でたいそう残念ですが、同紙には引き続きスキマバイト問題を取り上げていかれることを期待しています。

 ところで、この度の朝日新聞の記事はSNSでもそれなりに大きな反響がありました。2025年3月27日11時に配信された、「保育現場に広がるスキマバイト 「配置基準に入れないで」国の通知も」との見出しの記事を一部紹介します。なお、この記事は有料記事です。(https://www.asahi.com/articles/AST3S1V5TT3SUTFL017M.html
「タイミーによると、保育施設の募集人数は2024年2~7月の月間平均で前年同期平均の約2倍に拡大している。同社のアプリ上には、保育所や幼稚園、学童保育、障害のある子どもらを預かる放課後等デイサービス、英語の環境で未就学児を預かるプリスクールなど子どもを預かる施設での求人が多く掲載され、有資格者の募集が目立つが、一部には「無資格OK」とする求人もある。」
(引用ここまで)

 この記事に関しては、とりわけ子どもへの性暴力の防止の点で厳しい意見が相次いでSNS上で表明されています。チェック体制が甘くなって、子どもへの異常な性癖を持つものが紛れて働く可能性があるのではないかという懸念です。スキマバイトを利用せざるを得ない状況が問題なのだからもっと補助金を増やして保育士や支援員を安定して雇えるようにするべきだ、というありがたい意見も多く表明されています。
 なお、考慮しなければならないのは、こういう記事に対する意見表明が、スキマバイト利用反対ばかりであったとしても、それがすなわち現実の世論そのものだ、とはならないことです。スキマバイト利用反対派が多く意見表明する場で、あえて、「いやいやスキマバイトは役に立っている」という意見を表明する人は少ないでしょう。袋叩きに遭いたくないでしょうから。私たちは、1つの意見の裏には、声なき声がある、ということを常に念頭に置く必要があります。これはテレビ番組で放映される街角インタビューで、同じような意見を話す人ばかり放映すると見ている側はその意見が多数派であると何の疑いもなく信じてしまう、ということと同じです。注意が必要です。

 さていきなり重箱の隅をつつきますが、この記事を紹介する同社の旧ツイッター(X)の投稿は、「保育所や学童保育など子どもを預かる現場にも広がるスキマバイト。単発、短時間で働く保育士らが増えている背景やその課題について、まとめました。」という文章です。ええと、学童保育は、子どもを預かる事業ではございませんから。

 実はこの点、つまり「子どもを預かるという認識」にこそ、児童クラブのスキマバイトに関する意識のズレをもたらす原因の1つだと私は考えています。

<スキマバイトに対する国の緩い姿勢が問題>
 先に引用した記事では、学童保育の求人が多く掲載されているとあります。実際に、児童クラブの現場ではすでにスキマバイトを利用しないと事業が成り立たないという現実があるということです。私もそうですが、児童クラブの世界に関わる人の多くが「子どもと関わる仕事にスキマバイトはやめてほしい」という意見を相次いで発信している一方で、実際にはスキマバイトを利用しないと日々のクラブ開所ができない現実があるのです。「児童クラブにスキマバイトはダメだ」という、いかにも良識派的な意見が拡大すればするほど、現実にスキマバイトに頼らざるを得ない現場の事業者側は目立たぬように、バレないように、こっそりと水面下でのスキマバイト利用に追い込まれているのではないでしょうか。
 だとすれば、これは早急に解消しなければなりません。事故や問題、トラブル、不祥事は、世間の視線から逃れようとして身を隠すようにこっそりと行われている部門で起こりがちだからです。

 児童クラブにおけるスキマバイト問題はつまるところ、働き手がなかなか見つからない問題であって、結局は「深刻な人手不足問題」です。この人手不足問題を抜本的に解消しない限り、スキマバイトに頼らざるを得ない構造もまた解消しないでしょう。それは、優秀な人材を数多く雇えるだけの人件費を児童クラブ事業者が確実に得られること、すなわち「運営費補助金の増額」にほかなりません。

 ただ、運営費を増額しただけでは完全に児童クラブの人手不足問題は解消しません。児童クラブの世界でスキマバイトを過去に利用していたことが明るみになったのは大手の広域展開事業者でしたが、児童クラブの広域展開事業者の経営方針は、営利企業、非営利法人に関わらず利益を一定水準以上確保することにあるのは間違いありません。利益度外視の事業者が児童クラブ運営数を増やす合理的な理由がありませんから。となれば、運営費を増額しても、それが広域展開事業者にとっては単に利益を増やすだけの結果になりかねません。増額された補助金は、しっかりと労働者、職員に賃金として配分されなければ意味がありませんから、その点の縛り、規制が必要です。公契約条例や、個々の自治体が事業者と結ぶ契約等で事業者の行動を縛ることが必要です。

 こども家庭庁は2025年2月14日に通知を出して、児童クラブにおけるスキマバイトに対する考え方を表明しました。任意事業である放課後児童健全育成事業において、児童クラブの事業者とスポットワーカー提供事業者との間の、民間事業者間同士の契約を国が規制できない事情があることはわかりますが、児童クラブにおいては事実上、配置基準に該当する職員であっても一時的にスキマバイトを利用することを容認する姿勢であり、これは問題です。「スポットワークのサービスを活用して雇用した職員を、基準で定められた放課後児童支援員として配置する場合には、採用前に資格の有無を確認する必要があります。」という国の方針は、利用前に資格の有無を確認さえすれば放課後児童支援員として配置してよい、ということになります。
 根拠となる法令がないので明確に「禁止します」と言えないのは百も承知ですが、表向きは利用してもいいけど実質的にはとても利用できないという仕組みにすることぐらい、それこそ国が得意技としていることなのですから、やればいいのです。
 例えば「スポットワークのサービスを活用して雇用した職員を基準で定められた放課後児童支援員として配置した場合は、運営費補助は次の額とする」として大幅に減額した補助額を交付する構えを見せれば、補助額を利益の原資としている広域展開事業者はスキマバイトの大々的な活用を控えるでしょう。

 いま、すでに児童クラブのスキマバイトはその利用が水面下に姿を隠すようになっています。国はすぐにでも手を打たないと、ますます水面下でのスキマバイト利用が広がります。児童クラブのスキマバイト問題は、ひとえに、職員がなかなか確保できない人手不足問題であって、それはすなわち国の放課後児童クラブへの施策の貧弱さが元凶なのです。「児童クラブの運営費補助の増額」と「児童クラブ事業者の補助金の適正な使用」の2点について、国が直ちに改善の方向を打ち出すことが必要です。国の施策の貧弱さが現場にしわ寄せになり、最終的に、子どもへの支援、援助の態勢に深刻な不安を及ぼしているのです。

<いま、実際にスキマバイトを使えないと開所できない現実には>
 しかし、このような抜本的な改善は現時点で期待薄です。いまこの春休みの期間、人手不足で大変なんだよという事業者には何の助けにも心の支えにもなりません。
 国は、緊急的な措置として、児童クラブにおけるスキマバイトの利用について明確に指針を示すべきです。

 例えば次のような基準を示したらどうでしょう。
「スキマバイトは原則、子どもと直接的に関わらない業務に配置する」
「外遊びや所外活動において警戒や監視的な業務に就く場合は、子どもと直接的に関わる業務であっても例外的に配置を認める」
「スキマバイト職員を雇用配置することを市区町村、保護者に事前に通知する」
「スポットワークではない雇用契約を締結することを前提にしている、又は雇用契約を締結するための選考過程にある場合においての配置は認められる」

 難しいのですが、児童クラブでスキマバイトを活用する事業者には、「人件費を節約したいがために積極的にスキマバイトを使う、規模の比較的大きな事業者(広域展開事業者など)」と、「1クラブ1事業者のような極めて零細規模の事業者で、元来の雇用労働条件が極めて厳しいために慢性的に人手不足であり、スキマバイトも活用しないと職員の配置基準を満たせない」という、二極化にあるのではないでしょうか。前者の事業者には「もっと人件費として予算を割りあてなさい」と批判を浴びせることができますが、後者の、「どうしたって、逆さまにしたってお金がない」事業者にはまさに死活問題です。このような零細規模の事業者を救うのは本来は補助金の増額ですが、そのような「いつ降るか分からない恵みの雨」を待つよりも「今すぐに散水できる水が欲しい」という現実に対処しなければなりません。それは市区町村の役割になると私は考えます。

 スキマバイトを活用しないと本当にどうしようもない厳しい状況にある児童クラブ事業者は、率直にそのことを保護者、自治体に発信し、可及的速やかな善処を求めるしかありません。国は、そのような場合に市区町村が直ちに緊急的な補助をすることを含めて市区町村を指導するべきです。
 その善処がなされるまでの間は、市区町村及び保護者の同意を得ながら、スキマバイトの活用を認めざるを得ないでしょう。ただし、スキマバイトでやってきた者が、子どもと2人きりだけになる状態はダメです。施設に設置した監視カメラ、防犯カメラによって常時、オンタイムで映像を確認できる(もちろん、長期間、映像データが保存できる)場所でしか職務に従事しないという制限も必要です。

 つまり、あらゆる問題行為、犯罪行為を防ぐことと、仮にそのような行為がなされた場合は事態の究明に役だつ情報を容易に得られるようにするべきです。

 いずれにしても、今後の日本版DBS制度を考慮すれば、スキマバイトといえでも超短期間であっても雇用契約が存在することは間違いないのですから、認定事業者になった児童クラブ事業者は、スキマバイトについても戸籍情報や前科確認を行わねばなりませんから、何らかの特例的な措置(それがどういうものは私にはとんと見当がつきませぬが)でもない限り、利用はできないでしょう。認定事業者ではない児童クラブ事業者では現在と変わりませんからスキマバイト利用ができるでしょうが、日本版DBS制度によって多くの職場、働く場を失った性犯罪の前科がある方々が仕事を求めてスキマバイトに応募してくる可能性がそれなりに高くなると私は懸念しています。

 最後に、報道機関、メディアの方々に運営支援からのお願いです。ぜひ引き続き、児童福祉の現場のスキマバイトについて取材と報道を続けてください。「なぜ、スキマバイトを利用せざるを得ないのか」についての取材と報道、「スキマバイトを利用しなければならない産業構造、事業者の児童クラブ運営方針」について取材と報道をぜひ、お願いします。

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 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、群像劇であり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)