放課後児童クラブ(学童保育所)で働く人が、その仕事と責任に見合った待遇を受けられるようになるための世界線。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブの労務管理やじぎょ運営をサポートする社会保険労務士でもあります。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
 放課後児童クラブの運営支援は、児童クラブで働く人たちがあまりにも恵まれていない、つまりその職責、職務に対する評価を示す「報酬、賃金、収入」が、あまりにも低すぎる状態は社会正義に反していると考え、一刻も早く、まっとうな児童クラブ職員に対する待遇改善が実現するために、種々の活動を行っています。児童クラブの優れた職員に見合った待遇を実現することは最終的に育成支援の水準が高い児童クラブを実現させ、こどもの最善の利益を護る役割を果たす仕組みをこの社会に実現させることです。しかし現状はお寒い限り。そこで、どのような施策やアイデアが、児童クラブ職員の待遇を改善させることができるかを想像します。(当初、わたくし萩原の都合により、2026年2月2日から6日のブログ投稿を実施しない予定でしたが、時間に余裕が少しできたので本日2月4日のみ、当ブログを密かに投稿します。よってこの投稿はSNSでは告知しません。ひっそりと投稿します。)
 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)

<制度から整える>
 わたくしが児童クラブ職員の待遇改善を訴えると、「ひどい職員、ひどいクラブだって多い。まずはそこを改善するのが先で、ダメな職員、ダメなクラブにカネがつぎ込まれるのは納得がいかない」という声、とりわけまじめな職員や、こどもがひどい目に遭った保護者から、このような意見を頂戴します。それはそう思うのも無理はないでしょう。
 ですが、あえて言います。百年河清を俟つ、ではないですが、「優れた職員が児童クラブの仕事を続けやすくなる環境を整えないと、良い職員は辞めてしまう。新しく入った優れた職員も、呆れて児童クラブの世界から逃げてしまう」と、わたくしは考えます。
 よって、待遇を向上させることを優先するべきだと考えます。待遇が良くなれば、いい加減な職員もいい加減な児童クラブ事業者もいずれは居心地が悪くなって淘汰されることを期待するからです。

 なお、処遇を改善とはすなわち児童クラブ職員の賃金、報酬を上げることですが、それは単に補助金を増やしてばらまけばいい、ということではありません。事業者側が、職員の「能力、業務遂行の結果」を評価判定することが前提となります。誰でも彼でもどーんと給料を上げればいいとは考えません。一定程度の底上げは必要ですが、「職務の専門性を理解し、実践できていること」に対して、うんと賃金を上乗せするということです。

 このことは、まずは制度を整えることでしか実現できないと考えます。ではどんな制度が必要なのでしょうか。

<児童クラブを必要とする者がいる市町村は、実施義務を負う>
 つまり、現在の「事業」、法定事業であるが任意の事業である位置づけから、保育所と同じ児童福祉施設と位置づけを変えることです。ここを変更しなければ、有資格者の配置の義務の根拠が弱くなります。そもそも放課後児童健全育成事業は、児童厚生施設(児童館など)を利用して実施するように法律に書いてありますが、児童厚生施設は児童福祉施設です。であれば、児童クラブだって児童福祉施設にしなさいよ、ということです。(なお、児童厚生施設に留めて置くことは避けるべきだと考えます。児童館は重要な児童健全育成の施設ですが、児童館の強化を国や自治体はもうあきらめている実態があります。)

<設置を義務化した上で、資格者の配置を義務とする>
 児童クラブの設置が必要に応じて義務化とすることで、有資格者の配置も義務化することが当然です。児童福祉施設である児童館には有資格者の配置が義務となっています。
 児童クラブも児童福祉施設となれば有資格者の配置も義務化とせざるを得ないでしょう。というか義務となって当然です。大勢のこどもの命を守る場所ですから。それほど重要な施設に、国は、有資格者の配置を義務としていない方がおかしい。多くの市町村は条例で有資格者の配置を義務としていますがそれはあくまで市町村単位での判断。国レベルで有資格者配置を義務化する。
 児童クラブの児童福祉施設への変更と、有資格者の配置義務化はセットで実施することになりますね。

<資格の専門性をもっと深め、取得が難しい資格とする>
 資格を得るために身につけねばならない分野に関する理解と知識が難易度を増せば増すほど、その資格の専門性が深まるのは当然です。弁護士や公認会計士、医師の国家資格を持つ方々はまさにプロフェッショナル。だれもがすぐに手に入れられる資格ではありません。超難関資格を有するということは、それだけその資格がカバーする分野の専門性に秀でている優れた人材、ということです。
 児童クラブにも、専門性を深めた資格が必要です。育成支援という、教育とも保育とも違う分野の専門性をしっかりと身につけたことを保証する資格を創設するべきです。なお、前提として、育成支援という分野そのものの専門性を研究者の方々がずっと考察されていますので、その成果を大々的に活用することは当然の前提です。
 わたくし萩原は次のような資格を提案します。
 ①国家資格としての「児童育成支援士」「こども育成支援士」の新設。いまは「こども」表記が中心なので「こども育成支援士」がいいのでしょうか。国家資格で、試験に合格しなければ取得できない資格です。試験は筆記と実技でいいでしょう。実技は実践記録の提出で代えてもいいでしょう。受験資格は、公設資格である「放課後児童支援員」として5年以上の勤務経験を持つ者に限ります。5年でも6年でも10年でもいいのですが5、6年が妥当でしょうか。賃金水準は公定価格をベースに高めに設定しなければなりませんよ。地域によって賃金水準は異なりますが、この資格保持者であれば年収500万円は最低水準とするべきです。
 ②放課後児童支援員は、引き続き都道府県知事認定の公的資格として存続する。ただし、筆記試験は導入するべきです。大学などでの養成校システムを整えることも必要で、この場合は学校を卒業すると同時に放課後児童支援員資格を取得できます。もし資格を導入しないのなら、「取りっぱなし」による資格の専門性低下を防ぐため、ケアマネジャーのように6年更新制(批判が相当強いようですが)のように、資格の有効期限を設けるべきです。(なおこうすることで認定資格講習を実施する側のビジネス機会も保障できますよね。こども家庭庁さんは民間活力の導入に積極的なようにうかがえるので、悪くないアイデアだと、わたしは考えますよ)。放課後児童支援員資格者は年収300万円を最低水準とするべきです。
 ③補助員制度も現行のまま。なお子育て支援員の優遇制度が必要でしょう。

<基幹施設の創設>
 国家資格である「こども育成支援士」は、新たに創設する基幹的な児童クラブに必ず配置するとします。地域に複数児童クラブがある場合は必ず1施設を基幹的児童クラブとします。1つの支援の単位しかない地域ではそこが基幹的児童クラブとなります。1施設2支援の単位も同様です。複数施設の場合に基幹的施設を設けることです。
 優れた専門性を身につけた、こども育成支援士がいるのですから、基幹施設については、その地域全体のこどもの健全育成と、保護者の子育て支援の両輪に関して適切な業務を行うことを義務付けます。

 基幹施設以外の児童クラブは、基幹施設の児童クラブと連携して日常の育成支援を実施します。こども育成支援士を配置している基幹施設以外の児童クラブには、運営費をかさ上げするべきです。そうしてこども育成支援士の配置を政策的に誘導するのです。なお、どの児童クラブも必ず放課後児童支援員資格者は1人の配置が義務として必要とします。参酌基準は撤回してください。

 基幹施設は、地域における小学生がいる子育て世帯の子育てサポートを担う司令塔としても機能させます。児童館がある地域なら連携して対応するのが良いでしょう。

<こどもの人数に応じた余裕のある配置も必要だ>
 「だって、支援員資格のある人を雇えないんだよ」という地域や事業者から怒りの声が上がるでしょう。それはね、児童クラブという大変な仕事に従事する人に、最低賃金レベルの低い給料しか提示しないからですよ。給料が安すぎるからですよ。給料を上げれば、児童クラブで働いてくれる人は現れます。大事なことは職員数も増やすこと。こども10人に有資格者である職員1人は必要と、これも国が強く義務化を進めるべきでしょう。15人を常時超えるなら有資格者である職員2人、常時25人を超えるなら有資格者である職員3人とする、ということです。
 配置が義務となることは、必然的に、児童クラブ運営に関する国の交付金も保育所同様の義務的経費として扱われることが期待されます。現在の処遇改善等補助金のように、市区町村の3割前後しか実施されないという、自治体の任意の判断で使われる、使われないということが無くなります。これは、児童クラブ職員の処遇に大きな変化を必然的にもたらすことになります。
(副次的に、いわゆる日本版DBS制度も義務化、義務の事業者に変更となる可能性が極めて高いでしょう。まあ、そうなるでしょう。)

<児童クラブを必要とするすべての世帯が利用できるように>
 いまは、留守家庭のこどもを受け入れるという制度になっていますが、これを撤廃します。小学生の子育てに苦労している家庭は実に多いのですから、子育てに困っている、不安を(保護者が主観で)感じており、児童クラブにこどもを入所させて定期的に、こども育成支援士等からのサポートを受けたいのであれば、入所を認めるべきです。
 待機児童が出ている地域では保護者の就労等要件を撤廃するには抵抗が強いでしょうが、あと6、7年もしたらこどもの数がぐんと減ります。今から制度を新しくして、せっかく整えた社会資源を、子育てという今や大変な取り組みを社会的に支えるように構造を変えていきましょう。子育ては一義的に保護者に責任がある、ではもう無理な時代です。社会全体で、こどもを育てる、子育て世帯をも育てる、という意識への変革が求められます。
 まずは、ひとり親や虐待が懸念される世帯、また育児休業中の世帯のこどもの入所を必ず実現させることです。今後3年程度の期間で実現させ、次の3年で法令を改正して、児童クラブを必要とする世帯の入所を認める制度に変えるべきだと強く訴えます。

<規制も大事>
 ここまでは児童クラブを設置する側に変革を求める、わたくしの意見でした。ここまでできれば、児童クラブの世界は大きく変わります。しかし、同じぐらい重要で必ず必要なことがあります。
 児童クラブを民間事業者が運営することは当然に行われ、公営クラブはさらに数を減らすでしょう。公の事業としての放課後児童健全育成事業は民間事業者がどんどん運営することになるでしょう。つまり、この事業に対する交付金、補助金を手にする民間事業者は当然に存在するのですが、児童クラブで働く職員への待遇を改善するために交付金が大幅に増額されたとて、民間事業者なかんずくアウトソーシング事業を収益事業として期待する、いわゆる広域展開事業者においては、増額された交付金でさらに事業者の利益を増やせる可能性が広がります。
 ここに規制を設けねばなりません。民間事業者が運営する以上、利益を出すこと、つまり儲けを得ること自体、わたくしは否定しません。ただし、「職員の待遇が改善され、育成支援の質も以前よりはるかに向上したと認めるに足る」事業運営を実施した結果の剰余金、損益差額であればどうぞ事業者の利益として計上してください、ということです。非営利の某広域展開事業者が補助金の不正受給に伴う調査委員会の結果で明らかになったように、初めから27パーセントもの利益を事業本部がかっさらって、残りの予算で運営しなさいよ、では絶対にダメです。言語道断です。
 公契約条例で規制する、あるいは国が直接、規制する等の施策が必ず必要です。民間事業者の経済活動を制限することになりますが、公金である補助金を受けての事業ですから、別段、問題にはなりにくいでしょう。地域に応じて、専門職にふさわしい最低水準の賃金以上を労働者に賃金として支払う事業者に、放課後児童健全育成事業を任せるべきでしょう。
 しっかりと補助金を職員に分配しているかどうか、第三者が容易にチェックできるようにするため、事業者全体としては当然、支援の単位ごとの会計報告、計算書類の開示をも義務付けるべきです。年間でどれだけ損益差額があって、どれだけ事業者が利益として吸い上げてもとい計上しているかが市民、国民の目で容易に分かるようにすることです。
 これは、利益優先で事業には少ないカネしか投じない、ずるい事業者を自然に排除する効果が期待できます。
 当然、公募型プロポーザルや、指定管理者の選定委員会では、過度に利益計上を優先する姿勢の事業者に対する得点は低くすればよい。0点で良いです。

<ここまでくるために>
 制度を変えて、無理やりにも実施するべきだ、がわたくし萩原の意見です。しかし、社会からの理解はやっぱり必要です。制度を変えるための議論の過程において、なぜ児童クラブの職員の待遇改善が必要なのかは、しっかりと社会、一般の国民に説明するべきです。
 そのとき、説明に説得力をもたらすのは、なんといっても、全国各地の児童クラブによる、日々の実践です。ここがいい加減であれば、国民から「児童クラブへのカネは減らすべきだ。不要だ、あんな地獄のような施設は」と反発を買うだけです。児童クラブの職員が、自身の生涯をかけて働き続けることができる、やりがいも専門性も、それに見合ったリターン(収入)も得られる仕事であると児童クラブの仕事を評価できる世界を実現させるには、社会からの理解は必要ですし、そのためにも、「ひどい職員、ひどいクラブ」には退場を願うしかありません。こどもをPTSDに追い込んで知らんぷりの児童クラブなんて、即刻、取り潰しがふさわしい。

 これが、わたくし萩原が思い描く、「児童クラブの職員が、誇りをもって、日々の仕事に打ち込め、こどもの健全育成にその能力を発揮し、長く仕事を続けられる世界」です。
 児童クラブは必ず設置されること、資格はもっと専門性を深めて取得が難しくなるが報酬も高くなる、有資格者の配置が義務化されて交付金も義務的に支払われ、事業者が過度に利益として吸い上げるのを防ぐ仕組みも整った、そんな社会の到来を目指して、運営支援はこれからも、本当に微力ですが、声を上げ続けていきます。
 ご理解いただけますと幸いです。また、こんな考えを具現化できる機会を自治体や事業者からいただけますとありがたいです。こんな考えを広く伝えることができる機会をいただけますと、うれしいです。

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

New! いわゆる日本版DBS制度を専門分野の1つとして事業者の取り組みを支えたいと事業活動を始めた新進気鋭の行政書士さんをご紹介します。「行政書士窪田法務事務所」の窪田洋之さんです。なんと、事務所がわたくしと同じ町内でして、わたくしの自宅から徒歩5分程度に事務所を構えられておられるという奇跡的なご縁です。窪田さんは、日本版DBS制度の認定支援とIT・AI活用サポートを中心に、幅広く事業所の活動を支えていくとのことです。「子どもを守り、あなあたの事業も守る。」と名刺に記載されていて、とても心強いです。ぜひ、ご相談されてみてはいかがでしょうか。お問い合わせは「日本版DBS導入支援センター | 行政書士窪田法務事務所」へどうぞ。

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萩原和也