放課後児童クラブ内での人権侵害疑惑。あまりにも遅い対応と被害児童に寄り添えない姿勢。大メディアは無視ですか?

 放課後児童クラブ(学童保育)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。滋賀県栗東市内の放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所の中核的存在)で、施設代表者によって1年半前に行われた不適切な対応によって子どもが心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しめられているとされる問題について、地元メディアから続報記事が出ました。当ブログも引き続きこの事案に注目していきます。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<市の対応の遅れを厳しく批判>
 滋賀報知新聞は2024年12月12日に、再度、滋賀県栗東市内の放課後児童クラブに在籍していた児童が施設側の不適切な対応によって今なお治療を余儀なくされている事案について、11月29日に開かれた竹村健・栗東市長の定例記者会見の様子などを報道しました。記事は同新聞のHPで全文読めますので、ぜひ目を通してください。
当該記事:滋賀報知新聞

 要約しますと、「同市のこども家庭局長は会見で、保護者に対して市の初動対応が遅れたことに対するお詫びを申し上げるとともに、パワハラ行為があったことを公表すべきという保護者の意見については確認できない段階では公表しない旨を伝えた」ということです。つまり、「対応が遅れたことは認め謝罪する。一方で、児童クラブ側の不適切な行為は事実が確認できないので公表しない」という内容です。

 この栗東市の対応は極めて残念です。対応が遅れたことを謝るのなら、対応が遅れた分をなぜ挽回しようとしないのか。行政の対応は、子どもがPTSDになった原因について徹底的に調査究明するべきところを「事実が不明だから」と逃げているだけです。

 記事には、被害を受けた子どもの保護者の発言が掲載されています。私も大いに共感するものです。そのまま同記事から引用して紹介します。(一部、固有名詞を省略しています)
「 「私は市に謝罪や賠償を求めているわけではありません。ただ学童がより良い場所になることを願って、竹村市長や局長らと、きちんと話し合いたいと思っているだけです。またA学童の代表者が断じて不適切保育をしていないと断言するので事実の確認ができなかったと市は主張するが、児童にとって安心、安全であるべき学童に通ったがために1年半も子どもが心に深い傷を負っていまも苦しんでいる客観的事実に対して真摯に向き合ってほしい」と訴えた。」(引用ここまで)
 ・児童クラブがより良い場所であってほしいという、保護者の心からの願い。
 ・現実に子どもが心に傷害を受けて苦しんでいる事実を行政が重視していないことへの憤り
この2点、私も最もだと感じます。子どもが今なお苦しんでいるこの重みを行政側の人たちは、同じ人間として受け止められないのでしょうか。子どもへの児童虐待疑惑、人権侵害疑惑が起こっていながら、その原因となる事実の究明、解明に取り組まないことこそ、子どもと保護者へのさらなる人権侵害であると、運営支援は指摘します。

<大メディアは?>
 この事案を滋賀報知新聞は丁寧に取り上げて報じています。それ以外のメディアはこの栗東市の放課後児童クラブにおける児童への人権侵害問題を取り上げているのでしょうか。インターネット検索では同新聞以外のメディアがこの問題を取り上げている形跡は伺えません。ネットメディアに記事を公開していなければ、ネット検索しても照会できませんが、おそらく他のメディアは報じていないのではと想像します。

 なぜでしょう。原因は争いがあります。「やられた、やっていない」で児童クラブ側と被害者側が対立していますが、子どもがPTSDで今なお治療を余儀なくされているのは事実です。しかも、被害児童の保護者が原因究明を求めていたにも関わらず行政が対応を放置していたのも事実です。
 それだけで十分、取材して報道するニュースバリューはあるでしょうが、大メディアは報道していません。この案件を知らないわけはありません。市長の定例会見でも取り上げられた問題です。取り上げない理由が、「先にメディアで取り扱われてしまったから。追っかけ報道になるから」という、まったくもってくだらない、つまらない、見栄だの体面だのという理由であれば、報道機関として存在する意義はありません。この問題は全国で実は存在している問題が、勇気ある保護者の訴えで水面上に顔をのぞかせたのです。児童クラブで何か問題があっても大ごとにするといろいろ困るからという理由で泣き寝入りを余儀なくされている事案が、数えきれなくあるのが事実です。
 泣き寝入りが起きるのはなぜか。行政も事業者も真摯に事案の解明に努めないからです。その後の責任問題の波及を恐れているとしか思えません。そんな風潮に「それはいけない」と警鐘を鳴らせるのが報道機関の役割です。
 ぜひマスメディアにはこの事案を取材して報道していただきたいと運営支援は要望します。こちらにお問い合わせいただければ関係者につなぐことだけはできます。ぜひ、取材して報道を続けてください。

<児童クラブの関係者に心してほしい法則>
 私は放課後児童クラブ(とりわけ保護者運営由来系)の運営を改善したり支援したりすることを目的に運営支援のビジネスを始めました。児童クラブの運営支援でとりわけ重要なのが、危機管理であり危機対応であり、この2点に関するセミナー、講習も事業の1つに掲げています。今回の栗東市の事案はまさにこの危機管理と危機対応が問われています。
 運営支援では、危機管理(リスクマネジメント)と危機対応(クライシスコントロール)のそれぞれについて、何が重要でどういう対応が必要かを説明しています。その中で、運営支援が提唱している、1つの法則を紹介します。
 それは「K=SSSYの法則」です。

 最初の「K」は何でしょうか。それはぜひ運営支援のセミナーや講演で学んでください。
 それはさておき、「K=SSSYの法則」で、今回の栗東市や疑惑を持たれている児童クラブ側に欠けているものがまさに「SSSY」ではないでしょうか。
 責任感、対応する速度、真摯な態度、そして被害者に寄り添う気持ち。このいずれもが欠けているのがあまりにも残念です。これらはいずれも難しいものではありません。「こどもまんなか」の気持ちさえ意識していれば、なおさら当たり前として理解できるでしょう。行政は児童クラブの設置者として、補助金を交付している立場として、管理監督の責任があるはずですが、それはどこに? 保護者からの訴えを受けてすぐに対応しましたか?真摯に取り合ってきましたか? 何より、今も心に受けた傷害で苦しんでいる子どもに、その子どもを前に涙に暮れている保護者に寄り添っていますか? 行政も大メディアも見栄や体面を据えて、本当に弱くて追い詰められている者のことを考えて何が真実で、どういうことが起きていたのかをしっかり解明しつつ、保護者が訴えている「子ども達が安心して楽しく過ごせる児童クラブにするために、どういうことが必要で、やるべきことなのか」を明確に掲げていただきたいと強く求めます。

<おわりに:PR>
 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 放課後児童クラブを舞台にした小説を完成させました。とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子ども達の生き生きと遊ぶ姿や様子を描いた作品ではありません。例えるならば「大人も放課後児童クラブで育っていく」であり、そのようなテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。出版にご興味、ご関心ある方はぜひ弊会までご連絡ください。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。ぜひご連絡、お待ちしております。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)