放課後児童クラブの財源は?
放課後児童クラブ(地域によっては学童保育所や、学童クラブといった様々な名前が付いています)を運営する事業者(運営主体)の収入は基本的に利用する保護者から徴収する利用料(保護者負担金、保育料、月謝など)と、公費負担(補助金)の二本立てです。なお、全ての放課後児童クラブが補助金の交付を受けているとは限らないので注意が必要です。
放課後児童クラブの運営に関して国は運営に係る費用について、利用者と公費(補助金)の負担が5割ずつ、つまり半分ずつにすることを方針として求めています。1クラブの運営にかかるすべての費用が年間3,000万円とするならば1,500万円が保護者による利用料であるべき、という考えです。40世帯が利用するとしたら、1,500万円÷12カ月÷40世帯=1世帯あたり月額31,250円となります。
実際には保護者負担を抑えようと各市区町村が配慮しており、補助金の占める割合が6割程度になることもあります。また公営(市区町村が運営するクラブ)の場合は保護者負担を数千円程度に抑え、市区町村が負担する分を増やすことが通例です。
ここで注意が必要なのは、国の求める原則に忠実に従おうとする場合、保護者負担を抑えるならば公費負担をもそれに合わせて抑える方向になり、結果的にクラブ全体に投入される予算が少なくなることがある、と言うことです。結果として少なくなった予算については人件費で調整されることになり、最終的には児童クラブで勤務する職員が低賃金を余儀なくされるという結果を招くことになります。
この傾向は公営クラブで顕著です。公営クラブで働く職員は年収200万円が当たり前で、まさに「官製ワーキングプア」状態です。この悪しき状況を打開するには、国が方針を変え、クラブ運営における公費負担の割合を引き上げることが必要です。
なお国が放課後児童クラブに対して交付する補助金ですが、指定市等をのぞいて基本的には国、都道府県、市区町村が3分の1ずつ負担することになっています。財政的に厳しい状況に置かれる市町村が多い中で、3分の1の負担であっても重くのしかかることで児童クラブの整備に及び腰な市町村は珍しくありません。この3分の1ずつの負担割合も、待機児童の早急な解消が必要である現状、期間限定であっても国の負担割合を増す判断が必要でしょう。
放課後児童クラブは市区町村が必ず実施しなければならない義務的な仕組みではなく、任意の事業です。補助金の交付も最終的には市区町村の判断で決められます。放課後児童クラブとして市区町村に設置を届け出ても補助金が交付されない事業者が現に存在しています。その点の解消も必要でしょう。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)